プレイレポート
この“殺意”は本物だ。PS3「DARK SOULS」(ダークソウル)E3向け試遊版のインプレッションを掲載
本作は,2009年にPlayStation 3向けタイトルとして発売された「Demon's Souls」の,“精神的な”後継作。直接的な続編ではないものの,プレイヤーから高い評価を得た退廃的な世界観や,「プレイヤーの心を折る」ために計算され尽くしたシビアなゲームバランスなど,特徴的なコンセプトを引き継いでいるのが特徴だ。現時点ではゲーム内容に関する詳細は明かされていないが,前作で“ソウル”の虜となってしまったコアゲーマーを中心に,多くのファンから注目されている。
今回4Gamerは,本作の発売に先駆け,E3 2011に出展されているものとほぼ同等の試遊バージョンを,先行プレイする機会に恵まれた。DARK SOULSのコンセプトや魅力について,存分に体感できたので,本稿ではプレイフィールを中心に紹介していこう。
「DARK SOULS」公式サイト
受け継がれし“ソウル”とゲーム性
初見殺しの敵配置や即死トラップ。繰り返されるゲームオーバーに幾度となく心を折られそうになるものの,なぜかコントローラを投げ出せず,気が付けばクリアできるまで延々とプレイを続けてしまう……。そんな無間地獄にも似た責め苦の中で輝くのは,信じられぬほどに大きな“達成感”。滅多に味わうことのできない,その圧倒的な快楽の虜となったソウル中毒者を多く生み出したのが,Demon's Soulsというゲームだ。
ソウルに飢え,待ちきれない者達のために結論から言うと,DARK SOULSは前述した要素を余すところなく,しっかりと受け継いでいる。難度がヌルくなっている部分など一切なく,さらに明確な“殺意”をもってプレイヤーに挑んできている。
まず操作性についてだが,元々「Demon's Souls」がアクションゲームとして非常に高い水準で完成されていただけに,基本的な部分に大きな違いはない。R1が攻撃,R2が強攻撃,L1が防御,L2がパリィ(受け流し)……といった感じでシンプルな操作系になっているため,初心者でも2〜3分遊んでいれば把握できるはず。ソウルの力に馴れ親しんだプレイヤーならば,すぐさまゲームに入り込めるだろう。
武器に関しても,剣,槍,斧,弓,弩など,色々と試すことができた。ざっと触ってみた印象では,各々の攻撃力云々よりも,それぞれのモーションの違いが印象的だ。例えば,一口に剣と言っても,長剣と大剣では振るう際の動きがまったく違っており,片手持ちにするか両手持ちにするかによっても細かく変化するのである。それが槍や斧になれば,間合いや一撃の重さにはさらに顕著な違いが出てくるのだ。
もちろん魔法も使用可能で,物理的な攻撃が効きにくい敵などに高い効果を発揮する。非常に便利ではあるが,使用できる回数には制限があるので,使いどころはしっかりと見極めなければならない。
そして何よりも重要なのが,“盾”の存在だ。ザコの一撃でも油断すれば大ダメージを食らってしまう本作において,盾はまさしく生命線。防御をないがしろにしては攻略など不可能である。プレイヤーに防御やパリィを常に意識させる,気が抜けない真剣勝負の連続が生み出す緊張感が,本作の醍醐味と言ってもいいだろう。
ちなみに,プレイヤー間での直接的な接触を極力少なくした“非同期コミュニケーション”が特徴のオンライン要素も健在だ。地面にアドバイスを記しておく,別世界のプレイヤーを味方として呼び出す,自らがほかのプレイヤーの世界に敵として侵入するなどといった独特のプレイは,本作でも可能となっているので,大いに期待できそうだ。
凶悪なニューフェイス
容赦なく襲いかかってくる新たなクリーチャー達にも注目だ。試遊バージョンだというのに,一見すると理不尽とも思えるような強さでプレイヤーのソウルを曇らせにくる。
例えば,全身が鋼鉄に包まれた巨大なイノシシの場合。こいつには通常の武器による攻撃がほとんど通用しないうえに,プレイヤー目がけて恐ろしいスピードで突撃してくる。真正面からぶつかってもほぼ勝ち目がなく,筆者は何度もボロ雑巾のように跳ね飛ばされて地獄を見た。
しかしある時,一直線に突撃してくる習性を利用して,燃え盛る炎の中に突っ込ませてみたところ,どうやら火が弱点だったようで大ダメージを与えることに成功。「先程までの苦労は一体何だったのか……」と塞ぎ込みたくなるくらい,難なく倒すことができた。どんな強敵であろうが,何度も挑戦することで必ず突破口が見えてくるゲームバランスには,「さすがフロム先輩!」と言わざるを得ない。
が,しかし。ある時ヤケクソ気味に重装騎士をスルーして先を急いだところ,なんと追撃されつつもほぼ無傷でボスまで辿り着くことに成功。いかにも「この私を倒さねば先には進めんぞ……」的な空気を醸し出していたので,真面目に勝負を挑んでいたのだが,実際のところは中ボスでも何でもなく,扱いはザコと同じ。まんまと騙されていたわけである。
卑怯だと思われるかもしれないが,状況によってはこのように「逃げるが勝ち」的な場面があるのも,本作ならではの面白いところなのだ。
そして重装騎士をやり過ごした先に待つのは,ガーゴイルタイプのボス。空は飛ぶわ攻撃範囲は広いわで,それだけでもかなりの強敵なのだが,とんでもない“奥の手”まで隠しているという凶悪っぷり。初見で戦ったときの絶望感といったらもう……血ヘドをまき散らしながら泣き喚きたくなるような気分だった。
一瞬「もう十分だ……やめてしまおう……」という負け犬の考えが脳裏をよぎったりもしたのだが,「Demon's Souls」から続く呪いのような魅力に引き留められ,5回目の挑戦にしてやっと倒すことができた。
プレイヤーの負けん気を刺激するというか,賽の河原で石を積み続ける亡者の如くコントローラを握らせてしまう不思議な魅力。ホントに何か呪いでもかけられているのではないかと疑ってしまう。
さて,ガーゴイルを倒し,その先にある教会の鐘を鳴らしたところで,試遊版はクリアとなるのだが,最後にもう一匹,紹介しておきたい敵がいる。大橋に立ち塞がる,巨大な赤いドラゴンだ。
ならば,と弓で遠距離から攻撃してみたところ,一応ダメージを与えられたが,10〜20という雀の涙ほどの数値。所持している矢の本数からして,どうしようもないのは明白だ。過去にバケモノと戦った偉大な戦士が「血が出るなら殺せるはずだ」という名言を残しているが,筆者は諦めざるをえなかった。製品版ではどうなっているのか,現時点では不明だが,もしもこのドラゴンが健在ならば,ありったけの矢を持って再挑戦したいところだ。
試遊版ということで短いマップではあったが,最大の魅力とも言えるハードなゲーム体験を,思う存分味わうことができた。E3のために作ったものとは思えないほど絶妙なバランスに仕上がっており,製品版への期待がさらに高まった。
ともあれ,ストーリーやシステム面ではまだまだ謎の多いタイトルなので,今後の情報公開にも,引き続き注目していきたいところだ。
「DARK SOULS」公式サイト
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