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NVIDIA,SIGGRAPH 2023に合わせてAdaベースのワークステーション向け新型GPU「RTX 5000」などを発表
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印刷2023/08/09 08:00

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NVIDIA,SIGGRAPH 2023に合わせてAdaベースのワークステーション向け新型GPU「RTX 5000」などを発表

画像集 No.007のサムネイル画像 / NVIDIA,SIGGRAPH 2023に合わせてAdaベースのワークステーション向け新型GPU「RTX 5000」などを発表
 米国時間2023年8月6日から,米国・ロサンゼルスにて,コンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術の学会「SIGGRAPH 2023」が開催されている。8月8日には,NVIDIAのCEOであるJensen Huang(ジェンスン・フアン)氏が基調講演を行い,それに合わせてNVIDIAが様々な新製品や新しいソリューションを発表した。

 本稿ではそれらの中から,とくにハードウェアの新製品に関して概要をまとめよう。


ワークステーション向けの新型GPU

RTX 5000/4500/4000を発表


 NVIDIAは,ワークステーション向けのGPU製品「RTX Professional Graphics」を展開している。2023年1月には,Ada Lovelace(以下,Ada)アーキテクチャベースでCUDAコア数18176基の最上位モデル「RTX 6000」と,スモールフォームファクタ向けでCUDAコア数6144基の「RTX 4000 SFF」という新製品を発表していた。

 SIGGRAPH 2023では,Adaベースの新型GPUとして,「RTX 5000」「RTX 4500」「RTX 4000」の3モデルが発表となった。

RTX 5000
画像集 No.003のサムネイル画像 / NVIDIA,SIGGRAPH 2023に合わせてAdaベースのワークステーション向け新型GPU「RTX 5000」などを発表

 新GPUの主なスペックをにまとめておこう。

表 発表となった新型GPUの主なスペック
  RTX 5000 RTX 4500 RTX 4000
GPUコア AD102? AD104? AD104?
アーキテクチャ Ada Lovelace Ada Lovelace Ada Lovelace
製造プロセス技術 TSMC 4N TSMC 4N TSMC 4N
トランジスタ数 約76.3億 約35.8億 約35.8億
ダイサイズ 608.4mm2 294.5mm2 294.5mm2
CUDAコア総数 12800 7680 6144
RT Core数 100 60 48
Tensor Core数 400 240 192
単精度演算性能 65.3 TFLOPS 39.6 TFLOS 26.7 TFLOS
RT Core演算性能 151 TFLOPS 91.6 TFOPS 61.8 TFLOS
Tensor Core演算性能 1044.4 TFLOPS 634 TFLOPS 427.6 TFLOS
メモリタイプ GDDR6 GDDR6 GDDR6
メモリインタフェース 256bit 192bit 160bit
メモリバス帯域幅 576GB/s 432GB/s 360GB/s
メモリ容量 32GB 24GB 20GB
フォームファクタ PCIe 4.0 x16
2スロット占有
PCIe 4.0 x16
2スロット占有
PCIe 4.0 x16
1スロット占有
GPU最大消費電力 250W 210W 130W
価格 4000ドル 2250ドル 1250ドル
発売日 8月8日 2023年10月 2023年9月

 なお,GPUコアのコードネームは未公開なので筆者の推定だが,公表されているダイサイズやトランジスタ数から見てRTX 5000がAD102,RTX 4500とRTX 4000はAD104で間違いないだろう。
 AD102は,RTX 6000や「GeForce RTX 4090」で採用されたGPUコアだ。最大で18176基のCUDAコアを集積可能なAdaアーキテクチャでは最大のGPUコアで,RTX 5000は,GPUコアの一部を無効化した製品というわけだ。
 一方,RTX 4500やRTX 4000が採用するAD104は,GeForce RTX 4070シリーズに採用されたGPUコアだ。RTX 4500とRTX 4000は,どちらもAD104をカスタマイズした製品だろう。

RTX 4500
画像集 No.004のサムネイル画像 / NVIDIA,SIGGRAPH 2023に合わせてAdaベースのワークステーション向け新型GPU「RTX 5000」などを発表

RTX 4000
画像集 No.005のサムネイル画像 / NVIDIA,SIGGRAPH 2023に合わせてAdaベースのワークステーション向け新型GPU「RTX 5000」などを発表

 NVIDIAによると,RTX 5000は高い性能を求めるユーザー向けとのこと。RTX 4500は,価格対性能比に優れた製品で,RTX 4000はCADやシミュレーションを行うワークステーションに適した製品とのことだった。

 GPUではほかにも,NVIDIA製の開発プラットフォーム「NVIDIA Omniverse Enterprise」向けに展開している「NVIDIA OVX Server」用のサーバー向けGPU「L40S」が発表となった。
 L40Sは,RTX 6000とほぼ同じスペックを持つGPUで,AD102コアを搭載したGPUをサーバー向けに転用したものと理解していい。新しいNVIDIA OVX Serverは,このL40Sを1サーバーあたり8基搭載して,極めて高い性能を実現しているそうだ。

L40S
画像集 No.006のサムネイル画像 / NVIDIA,SIGGRAPH 2023に合わせてAdaベースのワークステーション向け新型GPU「RTX 5000」などを発表

 そのほかに,「NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchip」(以下,GH200)の次世代モデルがアナウンスされている。そもそもGH200は,NVIDIAが開発したArmベースのプロセッサ「Grace CPU」と,「Hopper」アーキテクチャベースのGPUを搭載したスーパーコンピュータボードだ(関連記事)。

GH200のイメージ
画像集 No.002のサムネイル画像 / NVIDIA,SIGGRAPH 2023に合わせてAdaベースのワークステーション向け新型GPU「RTX 5000」などを発表

 GH200は,2023年5月のCOMPUTEX 2023で発表となり,つい最近になって量産が始まったばかりだが,早くも次世代製品がアナウンスされた格好だ。
 GH200では,グラフィックスメモリとして容量96GBの「HBM3」を採用しており,メモリバス帯域幅は4TB/sを実現していた。これが次世代製品になると,グラフィックスメモリが「HBM3e」に変わり,容量は141GB,メモリバス帯域幅は5TB/sに達するそうだ。次世代のNVIDIA DGX GH200サーバーには,新しいGH200が2基搭載されるとのことである。

 HBM3eは,メモリメーカーであるSK hynixがスペックなどを明らかにし始めたばかりの最新技術で,おそらくは量産も始まっていない思われる。なので,NVIDIAが明らかにした次世代型GH200も,いますぐ発売される製品ではない。NVIDIAによると,2024年第2四半期の発売を目指しているとのこと。今後も新型GH200に付いての情報は,更新されていくだろう。


Hugging Faceとの協業も発表


 ソフトウェア関連の発表も多数行われたが,発表内容はAIが中心だ。
 その中で,グラフィックス関連の目玉と言えるのは,NVIDIAとAI技術関連企業Hugging Faceの協業だろう。

 「Stable Diffusion」のような画像生成AIを使用している人なら聞いたことがあるかもしれないが,Hugging Faceは,機械学習向けツールを開発している企業だが,AIモデルのリポジトリ(書庫)を公開,運用している企業としても知られている。さまざまな企業や団体,個人が作成したAIモデルが,Hugging Faceのコミュニティサイトで公開されており,ダウンロードして利用できる。
 単に公開やダウンロードができるだけでなく,AIモデルをクラウド上で動かせるのがHugging Faceの特徴で,現在では話題の最新AIモデルが真っ先に公開される場として定着した。

 NVIDIAによると,今回の協業によって,Hugging Faceが新たに開始するトレーニングサービスで「NVIDIA DGX Cloud」が利用できるようになるとのこと。AIモデルのNVIDIA製GPU向け最適化が,Hugging Faceで行えるようになるとアピールしている。NVIDIAにとっても,最新のAIモデルとGPUの親和性が高まるという意味で,意義のある協業になりそうだ。

NVIDIAのSIGGRAPH 2023特設Webページ

  • 関連タイトル:

    NVIDIA RTX,Quadro,Tesla

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