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[CJ 2011]PC版展示は一切なし。新たな超巨大ゲーム市場となりそうな中国スマートフォンに照準を合わせた第九城市の展望を聞く
携帯電話用アプリ専業メーカーであれば,携帯用ゲームのみの展示にも納得だが,The9のようなゲームパブリッシャがPCオンラインゲームをまったく展示しないというのも,かなり思い切ったことである。
今回,同社副総裁のChris Shen氏にインタビューする機会を得たので,まずそのあたりについて話を聞いてみると,同社の関連会社というわけではないものの,The9はRed5に出資してきており,PCゲームについてはそちらに任せて,新しいスマートフォン向け事業に注力しているとの答えが,冗談交じりに返ってきた(とはいえ,「Firefall」自体の中国サービスをThe9がやると決めているわけでもないようだが)。The9は,昨年からスマートフォン向けのゲーム配信を始めており,将来的なビジネスの柱として,スマートフォン市場を重視しているということであろう。
ゲーム業界関係者がスマートフォンを有望な市場と捉えていること自体は,とくに驚くことではないのだが,PCオンラインゲームとはかなりビジネススキームが異なることも事実である。
スマートフォンアプリの販売単価は非常に低く,そもそもが薄利なので超多売でないと成り立たない。日本円で説明すると,100円のアプリを仮に7:3ルールで扱ったとしても,10万本売れて300万円の売り上げ。そもそも,1本を売るために,その10倍の無料版配布を行う必要があったりするケースも少なくないことから,回線などの諸経費を考えると,控えめにいってもさほど儲かりそうな気はしない。ものすごく多くのユーザーを抱え込んで,はじめて成り立つビジネスなのである。
The9としても,現状ではビジネス的な採算は取れていないが,将来的な投資としてスマートフォン市場に傾注しているとのこと。
中国のスマートフォン市場について聞いてみると,政府からの公式な数字ではないとしつつ,だいたい中国国内での携帯電話新規契約の10%程度がスマートフォンになっているという。現在の中国国内での携帯電話利用者は8億人に達しているとのことで,すでにとてつもない市場となりつつあることが分かる。しかも伸びしろも大きい。
ちなみに,なにげに日本でのスマートフォンの普及率は世界でもトップクラスで,携帯電話出荷の50%がスマートフォンとなっているのだが,台数を掛け合わせると市場規模ではすでに負けている感じだ。
Shen氏は,スマートフォンの魅力として,操作しやすいこと,画面が美しいこと,ゲームがやりやすいことの3点を挙げた。お気に入りのゲームはいろいろあるが(端末を見せてもらったがゲームがずらりと並んでいた),「Guns'n Glory」というゲームが大好きだという。これはちょっとコミカルなTower Defence風のゲームだ。
スマートフォンというと,シンプルなゲームに人気が集まりがちであり,価格も低価格か,広告表示入りで無料版のまま配信するというものが多い。これはソフト開発側からすればビジネスになるのだが,ソフト配信側にとってはビジネスにならないケースである。とにかくアクセスを集めて,広告やクーポンなど,配信とは違った分部でビジネスを展開する手はあるのだが,同社のこれまでのビジネスとは少し違ったものとなる。
今回,中国連通との提携と同時に,日本のエイタロウソフトによるスマートフォン版のオンラインゲーム「ギャラクシーフロンティア」との提携も発表されたのだが,オンラインゲームのノウハウを持つ同社としては,シンプルなゲーム販売よりもスマートフォンでのオンラインゲーム運営のほうを狙っているのではないかと聞いてみたところ,どちらも視野に入れた展開をしていくとのこと。
ただ,今後期待するゲーム分野としては,オンラインゲームとソーシャルゲームを挙げており,同社としては,シンプルなゲームでシェアを伸ばし,今後はオンラインゲームやスマートフォンでのソーシャルゲームに期待をかけているのだろう。
PCオンラインゲームよりも巨大な市場になる可能性のある分野で,The9は幸先のよい滑り出しを遂げている。この段階でChinaJoy会場に,スマートフォンメインの出展を行うというのは,本気で勝ちにきていると見ていいだろう。氏は,今後「1000人民元を切る端末が登場してくれば,爆発的に広がるはず」との見解を示し,来るべき日に向けて着々と足固めを行っているようだ。同社の今後の展開に期待したい。
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