プレイレポート
[プレイレポ]ウクライナ生まれのサバイバルホラーFPS,15年ぶりの続編「S.T.A.L.K.E.R. 2」は冒頭から厳しいサバイバルを強いられる
「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズは,ストルガツキー兄弟の小説「路傍のピクニック」や映画「ストーカー」などに影響を受けた作品だ。物語の舞台は,チョルノービリ原子力発電所の周辺にある汚染された立ち入り禁止地区“ゾーン”。プレイヤーは,ゾーンへの侵入を試みる科学者や,一攫千金を夢見る怪しげな人物などを案内する「ストーカー」となり,突然変異したクリーチャーが徘徊する危険なゾーンに足を踏み入れることになる。
今回,本作の冒頭にあたる部分をプレイする機会を得たので,インプレッションを交えてその概要をお伝えする。また記事後半には,GSC Game Worldのスタッフへのメディア合同インタビューの模様も掲載しているので,興味のある人はチェックをお忘れなく。
「S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl」公式サイト
放射能汚染区域内でいかにして生き延びて,目標を達成するかを常に考える
1986年に大規模な事故を起こしたチョルノービリ原子力発電所の周辺に広がる「ゾーン」。2006年に2度めの原子炉爆発事故が発生したこの区域は,それ以前よりもさらに大きく変化しており,「ミュータント」「アノマリー」といった存在や,生存者の派閥抗争などの影響によって,極めて不安定な情勢となっている。
そんな状況にもかかわらずゾーンに足を踏み入れているのが,「ストーカー」と呼ばれる冒険者たち。プレイヤーもストーカーの1人として,計り知れない価値を持つ「アーティファクト」を入手するべく,危険を冒していくこととなる。
まずはゾーンの中で生き延びることの難しさを体験することになった。マップのところどころに広がる放射能に汚染された部分を避けながら,「アーティファクトを探す」など,ゲーム内で示される目標の達成を目指すのだが,その道中にはさまざまな困難が待ち受けているのだ。
そのひとつがアノマリーと呼ばれる異常現象で,局地的に汚染がひどくなっていたり,電磁波が発生したりしている。アノマリー探知機の反応が激しくなる場所にはできるだけ近づきたくないのだが,そんなところに限って目標が隠されていたりするから困りもの。
また目標をひとつ達成して一息ついた直後に,ミュータントに襲われたりもする。ゲーム慣れしているとつい応戦したくなるが,それが正解とは限らない。
目標に「当該ミュータントを討伐する」とあれば話は別だが,「こいつ,明らかに強敵だな」と感じたら,とにかく逃げることも選択肢となる。強いミュータントに何度も倒されてゲームオーバーを繰り返し,リソースを消費してようやく討伐したのに見返りはほぼなし……なんてことも普通にあるからだ。
さらに作中では,そうしたサバイバルの手法をほぼ示してくれない。プレイヤーは死を繰り返しながら,どうすれば生き延びて目標を達成できるのかを自分自身で考えるほかないのである。
もっとも,過去の「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズをプレイしていれば,その経験を活かすことができる。ただし経験が必ずしもプラスに働くわけではなく,のちのち有利になると思って試した行動が,上記のミュータント討伐と同様,徒労に終わることもある。
荒廃したゾーンを緻密に表現しているところも本作の大きな特徴だ。とくに今回のプレイで使用したのは,ASUSのゲーミングブランド・ROGの製品を中心に組み上げた自作デスクトップPCで,intel Core i7 CPUおよびNVIDIA RTX 4090 / RTX 4080 Superを搭載しており,その特徴を余すところなく体験できた。
今回のプレイで使用したデスクトップPC |
ディスプレイは,GtG 1msの高速応答と170Hzのリフレッシュレートを実現した「ROG Strix XG256Q」を使用 |
開発スタッフへのメディア合同インタビュー
本作のマーケティング・プロデューサーを務めるVlad Novikov氏と,テクニカル・プロデューサーのEugene Kulik氏にメディア合同でインタビューする機会を得たので,以下に掲載する。
左からEugene Kulik氏,Vlad Novikov氏 |
──「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズ三部作の影響を受けつつ,さらに進化したタイトルが続々と登場しています。そうした状況下で,どのようなコンセプトや方向性のもと「S.T.A.L.K.E.R. 2」の開発を進めたのでしょうか。
Vlad Novikov氏(以下,Novikov氏):
過去の三部作からいかに進化させるかについては,容易な部分と困難な部分が共存していました。本作の開発では,新しいテクノロジーを活用して,我々の目指すものを実現することに取り組みました。そのひとつが,より大きく,よりシームレスなオープンワールドです。
半面,シングルプレイにフォーカスし,ほかのプレイヤーとコミュニケーションを取るようなゲームではない部分は過去作から変えていません。
また,ほかのタイトルと比較するとアクション中心ではないかもしれません。過去作同様に,ストーリーや世界観に没入してプレイするタイプのゲームと言えます。
Eugene Kulik氏(以下,Kulik氏):
我々がフォーカスしたのは,過去作の雰囲気を維持することでした。もちろん新たなテクノロジーやメカニズムも活用していますが,基本的には「S.T.A.L.K.E.R.」らしいゲームプレイや体験,ビジュアルを踏襲しています。
ゲームとしてはそれほど複雑ではないものの,なかなか難度の高いものに仕上がっています。それはRPGやホラー,あるいは没入感などさまざまな要素が組み合わさり,多岐におよぶ内容になっているからです。その意味では,ほかにないゲームと言えるかもしれません。
──事前の説明で,周回プレイによってストーリーや世界観の全体像が判明するような設計になっているという話がありましたが,1周回あたりのプレイ時間はどのくらいを想定していますか。
Novikov氏:
メインストーリーの探索は,20〜40時間程度かかります。オープンワールドを隅々まで探索すると,何をやればいいのか分かっている人でも100時間くらい,初見であればそれ以上の時間が必要になります。
──過去作よりもマップが横に広くなっていますが,その中にどのくらいのエリアがあるのでしょうか。
Novikov氏:
マップは20前後のリージョンに分かれており,ひとつのリージョンの中には大小さまざまな複数のロケーションが存在します。それぞれのロケーションは,レベルデザイナーがカスタムメイドで作成しました。総面積で言うと,64平方キロメートルになります。
──そうしたロケーションを探索することにより,何かしらよいもの……たとえば強力な武器などを獲得できると期待していいのでしょうか。
Novikov氏:
ゾーン全体が,宝くじのような状況となっています。非常に苦労して到達した場所に武器庫があったけれども,中は空っぽだったということもあれば,たまたま通りかかった洞窟やラボで欲しかったものが見つかることもあります。
本作の探索では,リソースが十分であるか,自身に目標を達成する能力があるかといったことを事前に確認し,常にリスクをマネージメントしなければなりません。そこがユニークで面白いところです。
──過去作だと,トレーダーと呼ばれるNPCが各地に配置されていました。本作では,異なる場所のトレーダーだと,商品や装備のアップグレード内容も変わるのでしょうか。
Novikov氏:
おっしゃるとおり,トレーダーごとにまったく異なる商品を扱っています。加えてプレイヤーは,ほかのストーカーと取引することも可能です。また過去作同様,テクニシャンと呼ばれるNPCによって,武器や防具をアップグレードできます。
──今回のプレイでは確認できなかったのですが,ファストトラベルはどうなっていますか。
Novikov氏:
ファストトラベルの概念はありますが,非常にコストがかかる仕組みになっています。プレイヤーは,時間とリソースのどちらを節約するか判断しなければなりません。
──植物の表現が非常に美しいと感じました。ビジュアル面で注力した部分や,注目してほしいポイントなどを教えてください。
Novikov氏:
実際に,何度もチョルノービリに足を運んでロケハンをしました。そこで撮影した多数の写真を私達のアーティストがスキャンし,アセットをカスタムメイドで作っています。
──本作は序盤から難度が高いと感じました。難度の選択はできるのでしょうか。
Novikov氏:
製品版は,プレイ開始時に難度を何段階かに設定できるようになっています。プレイヤーの誤った行動を許容しない設計になっているので,プレイが困難であれば難度を下げたほうがいいかもしれません。
──「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズの未経験者に向けて,アドバイスがあれば教えてください。
Novikov氏:
あまり急がず,新たに到達した場所についてじっくり時間をかけて学習していくことをおすすめします。
Kulik氏:
本作は,決して万人向けのゲームではなく,じっくり考えながら進めるゲームです。ゾーンには,アノマリーを筆頭に放射能や盗賊などさまざまな危険が待ち受けており,決してリラックスできる場所ではありませんから,十分な準備をしてから目標に向かうことをおすすめします。
ただ,プレイヤーは常に危険と戦い続けなければならないというわけではありません。オープンワールドを見て回ったり,NPCと会話や交渉をしたりといったことも楽しめます。
──マルチプレイモードも実装されるとのことですが,どのような内容になるのでしょうか。
Novikov氏:
基本的には,過去の三部作と同じような内容になる予定です。加えて,ユニークなアーティファクトをハントするようなモードも検討しています。ただ我々のスタジオは人的リソースが潤沢というわけではないので,まずはシングルプレイに注力し,その後にマルチプレイモードなどの拡張要素に取り組むこととなります。
──最後に,本作に期待している人に向けてメッセージをお願いします。
Novikov氏:
大変お待たせしていますが,我々としては理想のゲームを実現することにコミットしてきました。待っていただいた価値のあるゲームに仕上がったと思っています。
Kulik氏:
最高のゲームを作り上げることに注力してきました。一旦気に入っていただけたら,そこからずっとハマってしまうこと間違いなしの仕上がりです。
「S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl」公式サイト
- 関連タイトル:
S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl
- 関連タイトル:
S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl
- この記事のURL:
キーワード
S.T.A.L.K.E.R. 2 is a registered trademark of GSC Game World Global Ltd. (C) 2024 GSC Game World Global Ltd. GSC Game World and its logos are Trademarks or Registered Trademarks Of GSC Game World Global Ltd. (C)S.T.A.L.K.E.R. 2 HEART OF CHORNOBYL a game developed GSC Game World.
S.T.A.L.K.E.R. 2 is a registered trademark of GSC Game World Global Ltd. (C) 2024 GSC Game World Global Ltd. GSC Game World and its logos are Trademarks or Registered Trademarks Of GSC Game World Global Ltd. (C)S.T.A.L.K.E.R. 2 HEART OF CHORNOBYL a game developed GSC Game World.