テストレポート
英国版「Xperia PLAY」テストレポート〜これが世界初の「ゲームをプレイできるスマートフォン」だ
なお,ハードウェア的にどんな製品なのかは,発表時点のニュース記事や,先のフォトレポートを参照してほしい。本稿では,最低限フォトレポートを読んでもらっている前提で話を進める。
また,Wi-Fiを有効化すると,電波法違反になる可能性があるため,台湾SIMを用いた国際ローミングによる最低限の3G通信しか行っていない。今回はあくまでも,来るべきXperia PLAYの国内発売に向け,ゲーム機としての可能性を探るものであることを,あらかじめお断りしておきたいと思う。
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Android用と初代PS用
2つのゲーム管理ソフトを標準搭載
フォトレポートでも簡単にお伝えしたとおり,Xperia PLAYには,ゲームのランチャー的に機能する管理ソフトが2つ用意されている。Androidアプリを選択したり購入したりできる「Xperia PLAY Launcher」と,初代PlayStationのエミュレータごとゲームを起動できる「PlayStation pocket」だ。
PSP goの場合,スタンバイ状態から液晶パネル側をスライドさせると「そこまでプレイしていたゲーム」がレジュームするが,Xperia PLAYだと,標準ではXperia PLAY Launcherが起動するようになっている。
また,これはスマートフォンという位置づけ上やむを得ないが,ゲームを中断した状態からスライドで即復帰という,PSP goのようなスマートな動作はできない。Xperia PLAY Launcherの自動起動を設定していた場合,いったんランチャーが開くので,そこから復帰させたいタイトルを選ぶ,という流れになる。
一方,よいところも述べておくと,PlayStationタイトルのエミュレーション時にステートセーブが行えるのは,エミュレータらしい挙動といえばそれまでだが,けっこう便利。ゲーム中にホームボタンで戻ったときや,明示的にゲームを終了させるときにステートセーブは可能だった。
なお,英国版Xperia PLAYにおけるプリインストールタイトルは下記のとおりだ。
●Xperia PLAY Launcher
- Bruce Lee: Dragon Warrior:Digital Legendsの格闘ゲーム
- FIFA 10:EA Mobileのサッカーゲーム
- Star Battalion:Gameloftの3D STG
- The Sims 3:EA Mobileのシミュレーション
●PlayStation pocket
- Crash Bandicoot:3Dアクション。邦題「クラッシュ・バンディクー」
一方のPlayStation pocketは,同条件で5タイトルがリストアップされ,購入も可能になっているのを確認できている。
ただ,今回は「英国版Xperia PLAYに台湾のSIMを差して日本のIP網に接続した」というレアケースのものなので,あくまで参考程度と捉えてほしい。Xperia PLAYは台湾で販売が始まっているようので,台湾の状況をある程度反映したリストが表示されている可能性もある。
アナログスティックには違和感があるものの
ゲームパッド部はかなり使いやすい
というわけで,まずは下に示したムービーで,手元の操作とゲーム画面の動きをチェックしてもらえればと思う。サウンドは,Xperia PLAYのヘッドフォン出力端子とビデオカメラを直結して録音しているので,その点はご了承のほどを。
以上を踏まえ,ゲームパッド部の使い勝手について一言でまとめてみると,アナログ系には違和感がある一方,デジタル系にはほとんどなく,総じて,かなり使いやすい,ということになる。
Star Battalionで,緊急回避のように単発で使っているうちはまったく問題ないのだが,タッチパッドだけで自機の操作をするのはつらい。タッチパッドを快適に使えるかどうかは,タイトルと利用法次第,ということになりそうである。
Xperia PLAYとPSP goのデジタル入力系に,操作感の違いはほとんどない |
ゲームパッド部はゲーム専用というわけではなく,メニューに項目が整然と並んでいるような場面だと,十字キーがけっこう有効に使える。決定が[×],キャンセルが[○]に割り当てられているので,ひととおりの操作は可能だ。Webブラウザのスクロールも可能である |
実装できるスペースを考えると,本当によくできている。PSPとの比較ではさすがに一段落ちるが,PSP goと同じレベルの使いやすさは維持できているといっていい。
また,ボタン以外の点では,フォトレポートでも指摘した「両サイドの膨らみ」の違いが,グリップ感に大きな違いを与えているのに気づかされた。
PSP goの場合,両サイドが膨らんでおり,しかもその膨らみ部分にあるエッジが少々キツいため,長時間プレイしていると人差し指の付け根が痛くなってくるのだが,Xperia PLAYだとその心配はまず無用だ。
例えばStar Battalionの場合,ゲームを開始後のチュートリアルは充実しているのだが,ゲーム起動時に流れるムービーは,ゲームパッド部からキャンセル不可で,画面をタップしなければならなかったりする。また,Xperia PLAY LauncherにもPlayStation pocketにも登録されないまま,単体で「Tetris」がプリインストールされており,これは専用ゲームパッド非対応なのだが,その説明はどこにも一切ないのだ。2つのソフトウェア管理ツールともども,ゲーム機としてどう使ってほしいのかに関するSony Ericssonからのメッセージは,残念ながらいまのところ読み取れない。
最後に操作系以外のところも簡単に触れておくと,まず,少なくともプリインストールされたゲームタイトルをプレイする限り,搭載されるQualcomm製SoC「Snapdragon」(MSM8255/1GHz)は十分な性能を発揮できているといえる。Crash Bandicootのプレイ時に,もっさり感を覚えるようなこともなかった。
また,内蔵スピーカー,内蔵ヘッドフォンアンプとも,突出して高音質というわけではないものの,破綻はなく,Androidスマートフォンとして及第点は与えられる。4インチ,480×854ドットのLEDバックライト搭載液晶パネルは,よくも悪くも特徴がない,といったところか。
マニアックさと普通さが同居するXperia PLAY
ゲームパッド部対応タイトル次第だが面白い
Android端末に十分慣れた人なら,少し試行錯誤すればある程度は掴めるだろうが,そうでなければ相当に苦労するはず。このままの仕様で国内販売するのであれば,国内キャリアレベルで相当にちゃんとした操作マニュアルを用意する必要があるように思う。
ただ同時に,いざゲームパッド部対応タイトルを始めたときの「しっくりくる感」も相当に大きい。というか,誤解を恐れずにいえば,Xperia PLAYの操作感そのものに感動はないのだ。ゲームハードに当然存在して然るべき入力系が当然のようにあるのだから当たり前であり,むしろ,Xperia PLAYでのゲームプレイを止めて,ほかのAndroidスマートフォンやiPhoneでゲームを始めようとしたときの違和感が増大するのである。
その意味で,Xperia PLAYは,ついに登場した「普通にゲームをプレイできるスマートフォン」とまとめることができるだろう。日本円でおおむね6万円前後からというコストを踏まえるに,現時点ではマニア向けの高い玩具だが,対応タイトル,そしてPlayStation pocketタイトルが本当に揃ってくるなら,その将来には期待してもいいのではなかろうか。
→Sony Ericsson Mobile Communications
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