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ブランド復活の狼煙となるか? ソニーの次世代スマホ「Xperia 1」体験会レポート。新しいゲーム機能「Game enhancer」も触ってみた
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印刷2019/04/18 21:00

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ブランド復活の狼煙となるか? ソニーの次世代スマホ「Xperia 1」体験会レポート。新しいゲーム機能「Game enhancer」も触ってみた

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 2019年4月16日,ソニーモバイルコミュニケーションズは,東京・品川のソニー本社で,2019年夏に発売予定の次期フラグシップスマートフォンである「Xperia 1」の体験会を開催した。
 これまでのXperia新製品といえば,大手キャリアの端末発表会で国内初披露というのが通例だったが,今回は,グローバル版の発売前にお披露目を行ったわけで,ソニーモバイルコミュニケーションズとしては珍しい動きと言っていい。製品への自信や,端末市場シェア挽回に向けた動きの現れといったところだろうか。

 そんなXperia 1の開発途上版を試用できたので,簡単なインプレッションをレポートしたい。残念ながら,ゲーム関連のベンチマークは実施できなかったので,そちらは今後の機会をお待ちいただければと思う。

Xperia 1のカラーバリエーション。左端は復活したパープルで,中央はグレー,右はホワイト。ほかにブラックもある
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重心のバランスがよく持ちやすい縦長ボディ


 Xperia 1は,アスペクト比9:21で1644×3840ドットという縦長アスペクト比の6インチ有機ELパネルを採用するのが大きな特徴だ。いわゆる「シネスコサイズ」を採用することで,横長の映画コンテンツをフルスクリーンで楽しめるわけだ。
 PCゲーマーなら,アスペクト比21:9のディスプレイパネルはゲーマー向け液晶ディスプレイで見かける,あるいは使っている人もいると思うが,スマートフォンに落とし込むと,単純に1画面あたりの情報量が増えるくらいの認識でいいだろう

最近多いアスペクト比9:18のパネルを採用するスマートフォンよりも,さらに縦長である
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背面のカラーによっては,正面からでも色が分かる
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 最近のスマートフォンでは,前面側をほぼディスプレイが覆う路線が定着している。Xperia 1もご多分に漏れず,前面のほとんどがディスプレイで覆われているものの,ベゼルは存在している。左右は気にならない程度の幅しかないが,上下は分かりやすい幅となっており,インカメラを上側に組み込んでいるためノッチはない。
 最近のハイエンド市場向けスマートフォンでは,ノッチや涙滴形状の出っ張りがない端末のほうが珍しい状態なので,「ノッチはどうにも気になる」という人にとっては,Xperia 1の大きなポイントになるだろう。

 公称本体重量は約178gと,軽いほうではないが,実際にXperia 1を手に持ってみると上下のどちらかが重いといったこともなく,重心のバランスがいいので重さを感じにくい。これは横画面にした状態でも同様で,持ちやすさはとても良好であると思えた。
 「Xperia XZ2」や「Xperia XZ3」では,背面が丸みを帯びていたため,平らな面に置くとクルクル回るなど,とかく評判の良くなかったアンビエントフローデザインを採用していたが,Xperia 1でフラットな背面形状に戻ったのも(人によっては)評価すべきポイントとなるだろう。

上側面(左):SIMカード兼microSDカードスロットと,サブマイク孔がある
下側面(右):マイク孔とUSB Type-Cポート,スピーカーが並んでいた
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右側面:写真では目立たないが,指紋認証センサーの左側にシャッターボタン,右側に「電源/スリープ」ボタン,音量調整ボタンがある。なお,左側面にはなにもなし
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有機ELパネルを生かした映像用途をアピール


体験会のトークセッションで,最初に掲げられたスライド。Xperia 1が目指す方向性を端的に表したものだ
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 Xperia 1が採用する有機ELパネルは,HDR表示に対応している。ただ,パネルの具体的なスペックは,非公開で,ソニーモバイルコミュニケーションズのグローバルサイトを確認しても,輝度がいくつといった記述はない。
 同社では,Xperia 1の有機ELパネルにチューニングを施して,いわゆる「マスターモニター」に発色を近づけたとアピールしている。それに加えて,設定アプリの「映像設定」にある「クリエイターモード」を選ぶと,Ultra HD(UHD)向けの映像規格「BT.2020」に準拠した10bit信号に対応する映像表示が可能になるそうだ。BT.2020の色域を完全にカバーしているわけではないが,マスターモニターと同じ映像ソースを表示するデモでは,筆者が見る限り,近しい表示を実現していた。

クリエイターモードを利用した機器間連携のデモ(左)。業務用ビデオカメラとXperia 1をワイヤレスで接続して,映像ソースをXperia 1の画面でチェックできるというものだ。右はクリエイターモードの動作を説明したパネル。画像処理によってBT.2020/10bit信号に準拠した表示を行うとのこと
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ソニー製のマスターモニター「BVM-HX310」と同じソースを,手前にあるXperia 1表示したデモ。映像の差異は少なめだった
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 有機ELパネルの発色を生かした用途では,Xperia 1専用のビデオ撮影アプリ「CinemaPro」も挙げられる。ソニーが業務用として展開するハイエンド映像制作機器ブランド「CineAlta」の映画用カメラ「VENICE」譲りという撮影が可能な機能を備えているそうだ。
 映像クリエイターやビデオ撮影にこだわるマニア向けのアピールだろうが,HDR映像コンテンツにおいて,制作者が意図した色合いで作品を楽しめることは,間接的ながらゲーマーにとってもメリットがあるといえよう。

 ただ,軽く脱線するが,PCディスプレイのようなカラーキャリブレーションには対応しておらず,「iPhone XS」のような環境光に応じての色調調整機能もない。写真撮影やビデオ撮影における実用性を考えると,Xperia 1をサブディスプレイ的に使うというのは,ごく限定的な場合に限られそうだという印象だ。

オーバースペックすぎて大多数の人には縁がなさそうなビデオ撮影アプリ「CinemaPro」のデモ(左)。映画用カメラ譲りの撮影機能がウリだという。会場ではXperia 1とデジタルカメラαシリーズによる連携デモもあったのだが,データ転送に使うアプリの「Imaging Edge Mobile」が致命的に扱いにくいので,本稿でこれ以上の言及はしない
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 カメラアプリに触れたついでに,背面のアウトカメラもチェックしておこう。
 アウトカメラに2つのレンズを組み合わせるのは,いまやミドルクラス市場向けスマートフォンでも珍しくなくなりつつあるが,Xperia 1の背面には,3つのレンズが並んでいる。Xperia XZ3で背面にあった指紋認証センサーは,かつてのXperiaシリーズと同じ右側面に戻ったため,アウトカメラがとにかく目立つ。
 アウトカメラは,広角用16mmと標準の26mm,および望遠用52mm(いずれも35mm換算)という焦点距離のレンズがあり,それぞれを1200万画素の撮像センサーと組み合わせるというスペックだ。

Xperia 1のアウトカメラは3眼式だ(左)。右は会場に展示されていたアウトカメラユニットとスペックの分かるパネルだ
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 ゲーム関連イベントにおいて,広角や標準域の焦点距離があると便利であろう。ただ,体験会場で触れた純正カメラアプリとそのチューニングは,あきらかに開発途中のもので,評価に値しないレベルであった,製品版で改めてチェックをしたいところだ。


ゲーム向け機能「Game enhancer」は何ができる?


ゲーム関連のデモコーナー。Xperia 1と旧機種で同じゲームを体験できた
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 先述したとおり,PC用ディスプレイならともかく,横持ち状態で21:9というアスペクト比は,スマートフォンでは一般的ではない。ゲームアプリは,徐々に横長アスペクト比に対応しつつあるが,国内における人気タイトルの多くは,アスペクト比16:9が前提のままだ。
 そうした事情もあってか,体験会場では,Xperia 1のアスペクト比に対応した「アスファルト9:Legends」「フォートナイト」「伝説対決 -Arena of Valor-」を使ったゲームのデモを体験できた。

 Xperia 1のアスペクト比にゲームが対応することの利点は,単純に見える範囲が広がるということに加えて,仮想ゲームパッドでゲームの一部が隠れたとしても,画面の情報量を確保できることだろう。ゲームの映像が指で隠れにくいと言われれば,そのメリットを理解してもらえると思う。

 さて,Xperia 1には,「Game enhancer」というゲーム向け機能が搭載されたので,これも見ておこう。
 Game enhancerは,SamsungのGalaxyシリーズや,ASUSTeK ComputerのZenFoneシリーズが搭載しているゲーム向け機能とほぼ同様なもの,と言ってしまえばそれまでだが,同種の機能を搭載するのは,Xperiaシリーズとしては初めてのことだ。パフォーマンス設定やメインメモリの解放,通知の制御や録画といった定番の機能が揃っている。

2019年4月19日15:15頃追記:本稿執筆時点では,Game enhancerが録画と配信に対応していると記載しておりましたが,正しくは録画のみで,配信には対応しておりません。お詫びして訂正いたします。

画面左上にあるD-Padを模したアイコンが,Game enhancerを開くボタンだ(左)。アイコンの位置は変更可能である。アイコンをタップすると,Game enhancerのメニューが表示される(右)
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Game modeの設定項目
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 パフォーマンス設定は「Game mode」という名称で,「Performance preferred」と「Battery life preferred」という2種類の設定からいずれかを選択する仕組みだ。なお,Game enhancer使用中は,バッテリー関連の設定にある「STAMINAモード」は無効化されると書かれていたので,バッテリー設定からは独立した機能であると見ていいだろう。

 Performance preferredは,「Xperiaでの最高性能」を発揮する設定だそうで,ゲームプレイ時の推奨モードとなっている。一方のBattery life preferredは,バッテリー駆動時間を優先するためにフレームレート上限を40fpsにしたうえで,いくつかの性能向上機能を無効化するとあった。いくつかの機能というのが何かは,説明がないのでなんとも言えないのだが,省電力化という観点からすれば,SoC(System-on-a-Chip)の動作周波数制御に関わるものと思われる。

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Focus settingの設定項目
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設定アプリ側のGame enhancerからも,これらの項目は設定可能だ。なお,デモ機にはなぜか「黒い砂漠Mobile」がインストールされていたが,おそらく「縦画面時のマルチウインドウでもプレイできます」というのをアピールするためだろう
 「Focus setting」という項目には,メモリ解放,通知の非表示,ナビゲーションバーのロック,サイドセンス(※ディスプレイ側面をタップするとアプリや設定を表示する機能)の無効化,そして「明るさの自動調整」を無効化する設定が並んでいた。いずれもゲーマー向け機能としては珍しくないものなので,細かい説明は不要だろう。
 なお,Focus settingの内容は,ゲームタイトルごとに設定可能となっている。たとえば,横画面前提のゲームであれば,明るさの自動調整無効化が便利だろうし,縦画面ゲームであれば,サイドセンスの無効化は必須だろう。

 ただ,Xperia 1を手に持ってみると,右側面のシャッターボタンが,縦持ち時に端末を手で保持するときの懸念点となりそうだ。シャッターボタンは,タップする程度なら無反応だが,長押しでカメラアプリが起動するので,持ち方とプレイ状況によっては誤爆が怖い。Focus Settingでシャッターボタンも一時的に無効化できるといいのだが。

Recordで録画中は,アイコンが変化する
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 ほかの項目も簡単に紹介しておこう。
 「Search」は,プレイ中のゲームタイトルに関するWebサイトや動画を検索するという機能だ。縦画面の場合,マルチウインドウ機能で動画を見ながらゲームをプレイするといった用途が考えられる。一方,横画面時はゲーム画面の上に検索結果が表示されるため,ゲームによっては動作に問題がでる可能性は否定できない。実機での動作を見て判断するのがいいだろう。
 「Screenshot」は,読んで字のごとくゲーム画面のスクリーンショット撮影機能だ。最後の「Record」は,ゲーム画面を録画する機能だ。これを選択すると,録画用アイコンが画面に表示されて録画操作を行える。

 会場には,Xperia 1におけるゲームの動作を重点的に担当する説明員がいたので,いくつか気になる点について質問してみた。
 まず,従来のXperiaシリーズでリズムゲームをプレイするときに重大な問題となっていたパネルの入力応答性についてたずねてみると,問題があることは認識しているそうだ。ただ,Xperia 1でどうなったのかという回答は得られなかったので,実機での検証待ちとしておく。

 ソニーモバイルコミュニケーションズ内でも,リズムゲームを使ったテストはしているそうだが,テストプレイ時の難易度設定は低めなようだ。入力応答性の問題は,主として高難度におけるプレイで遭遇しがちなものなので,「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージでテストするのであれば,「難易度Masterでフルコンボ前提がいい」と伝えておいた。

 放熱についても話を聞いてみた。Xperia 1は,Qualcommの最新ハイエンドSoCである「Snapdragon 855 Mobile Platform」を採用しているが,熱処理は楽になったそうで,フォートナイトを20分ほどプレイしたくらいでは,プレイフィールに影響が出るほどの熱は生じないそうだ。SoC自体が高性能であるため,既存のゲームを快適にプレイできる程度の性能で動作しても,熱的に余裕があるということだろう。
 もちろん,長時間のプレイになるほど熱ダレは生じてしまう。熱ダレが起きたときの挙動は,まだ詰めている段階とのことだが,唐突に性能が落ちるのではなく,マイルドに性能が低下していく挙動であれば納得できるというゲーマーは多いのではなかろうか。

会場にあったXperia 1の分解モデル。放熱に関わる部品を見てみると,背面だけでなく正面からも行うようだ
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Dolby Atmosのデモ。USB Type-C to 3.5mmミニピン変換アダプター経由でヘッドフォンを接続しているのが分かる
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 ところで,ゲームにおいて地味に影響を与えているヘッドセット端子省略の流れは,Xperia 1も同様で,ヘッドフォン端子は備えていない。製品ボックスには,USB Type-C to 3.5mmミニピン変換アダプターが付属するそうだ。変換アダプター経由となると,リップシンクレベルで遅延が生じないかと思って質問してみたところ,変換アダプターではD/A変換をしておらず,USB Type-Cポートからアナログの音声信号を出力しているので,単純に端子形状を変換しているだけとのことだった。

 ゲームに関する機能展示はあったものの,現場ではフォートナイトで軽いフィールを確認する程度しかできていない。20〜30分ほど負荷をかけて挙動をあぶり出すのにフォートナイトはちょうどいいタイトルではあるが,遅延を許容しやすいので,入力に対する応答性は分かりにくい部類に入る。ゲームにおける真の実力を検証できるのは,もう少し先の話になるわけだが,Xperiaシリーズの復活を待ち望んでいたゲーマーであれば,納得して手を出せそうな仕上がりであるとは感じられたので,この夏以降に機種変更を検討している人は,候補に入れておこう。

ソニーモバイルコミュニケーションズのXperia 1製品情報ページ(英語)

ソニーモバイルコミュニケーションズのXperia 公式Webサイト

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