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日本マイクロソフト,2012年度の経営方針を発表〜Windows Phone 7の投入を明言し,実機も披露
イベントでは,日本マイクロソフト代表執行役社長である樋口泰行氏が登壇。少子高齢化や内需の低下に,震災の影響が重なるなか,言語的ギャップもあって日本が取り残されつつあることや,政治が「笑っちゃうくらいの状況になっている」(樋口氏)こともあって,日本は危機的な状況にあると指摘しつつも,日本が変わっていくのを,IT企業の立場から支援していくと抱負を述べていた。
説明会後の質疑応答では,「Windows Phone 7の投入が,致命的に遅れてしまったのではないか」という質問に対し,「出遅れているとは思っているが,致命的だとは思っていない。市場にはまだパイがあり,スマートフォン自体にも進化の余地がある」と回答したうえで,「我々のアプローチは,パートナーと一緒になってビジネスをしていくというものだ。日本では,PCメーカーと携帯電話メーカーはオーバーラップしていることが多い」とし,それこそOfficeなど,PCで実績のあるアプリケーションなどを武器に,国内展開を図っていくという方向性を示している。
「アプリケーション開発のしやすさでは,AndroidやiOSよりも優位性がある」「Mangoの開発は最終段階にある」と胸を張っていた点も付記しておきたい。また,ゲームや出版,エンターテイメント,検索,ナビ,ショップ,SNS関連のアプリや,サービスとの連携も,着々と進めているとのことだった。
なお説明会の後では,Windows Phone 7の次期バージョンで,日本語に対応した「Mango」(マンゴー,開発コードネーム)を搭載する端末の実機が披露されている。
4月26日の「Smart phone 2011 Spring」レポートでお伝えしているように,Windows Phone 7は,「Hub」(ハブ)ベースのユーザーインタフェースになっているのが特徴だ。
AndroidやiOSベースのスマートフォンだと,電話をかけるにはアドレス帳(のアプリ)を立ち上げるといった具合に,目的に合わせたアプリを立ち上げるのが普通。これに対してWindows Phone 7では,人を選ぶと,その人に紐づけられたさまざまな情報を横断的に見たり,そこから電話したり返信したりといったことが可能になっているのである。
日本マイクロソフトでモバイル製品関連を統括する横井伸好氏によると,Mangoはほぼ完成しているとのことで,氏が披露してくれたHTC製のスマートフォンは,ほとんど製品版といった佇まいだった。そう遠くない将来に投入されると見ておいていいのではないだろうか。
PCやスマートフォン,Xbox 360などの
統括部門が新設される
もう1つ,4Gamer的に注目しておきたいのは,新会計年度に合わせ,「コンシューマー&パートナーグループ」という組織が新設された点だ。
Xbox 360が一般ユーザー(コンシューマ)向け製品なのは言うまでもないが,Windows 7やOffice 2010ともなると,一般ユーザー向けとも,企業向けとも言えるようになる。また,Windows Phone 7やWindows搭載のタブレットPC(スレートPC)も,やはりBtoB(企業対企業),BtoC(企業対一般ユーザー)といった垣根が曖昧な製品の1つだ。
だが,にもかかわらず,製品群を「これは一般ユーザー向け,これは企業向け」といった具合に“縦割り”してしまうと,製品同士の横の連携が失われ,ひいてはMicrosoftの強みも失われてしまう。そこで,PCやゲーム機,スマートフォンといった「デバイス」関連を統括する組織を新たに立ち上げた結果が,今回のコンシューマー&パートナーグループなのだそうだ。
たしかにこの組織なら,KinectのWindows用SDKや,Windows Phone 7におけるXbox Liveとの連携もしやすそうである。
なお4Gamerでは,説明会後,国内でXbox 360関連のビジネスを率いる泉水 敬氏へのショートインタビューも実施している。その模様は別途お届けしているので,そちらもぜひチェックしてみてほしい。
日本マイクロソフトはXbox 360やXbox LIVEで,今後どのような展開を目指すのか。泉水 敬氏へのショートインタビューを掲載
→日本マイクロソフト
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