連載
異色のクライムアクション「PAYDAY: The Heist」を紹介する「海外ゲーム四天王」。目指すは,金庫の奥深くに眠る山積みの現ナマだ
今週の「海外ゲーム四天王」で紹介するのは,スウェーデンのOverkill Softwareが開発を担当し,Sony Online EntertainmentがパブリッシングするFPS「PAYDAY: The Heist」だ。SFや現代戦など,いろいろなテーマを持ったFPSがあるが,本作がメインとしているのは「強盗」。銀行強盗や現金輸送車の襲撃など,さまざまなシチュエーションの6種類のミッションを,シングル,Co-opのいずれでも楽しめるという異色作だ。
「ヒート」や「ダークナイト」など,ハリウッドのクライムムービーが好きだという,大人向けのこの作品を,クライムライターの朝倉哲也氏が紹介するから,終わるまで動くんじゃねーぞ。
フリーターのあなたも,そして強盗のオレ達も楽しい日
「今日は,楽しい給料日」はサラリーマンもバイトに励む学生も一緒。もちろん“オレ達”銀行強盗もそう。というわけで,今週の「海外ゲーム四天王」は,銀行強盗になって金庫の現ナマをごっそりと頂いちゃおうというクライムFPS「PAYDAY: The Heist」を紹介したい。開発はスウェーデンのOverkill Softwareが担当しており,パブリッシングは,Sony Online Entertainment。ご想像のとおり,今回紹介するPC版のほか,PlayStation 3版がリリースされている。
「PAYDAY: THe Heist」公式サイト
プレイヤーは4人組強盗の一人となって,銀行の大金庫に詰まっている現金を狙ったり,ハイテク装備で守られた2000万ドル相当の宝石を奪取したり,あるいは護送車を襲って移送中の囚人を助けだしたりすることになる。用意されたミッションは6種類で,それらをシングルプレイとマルチプレイの両方で楽しめるという趣向だ。
銀行強盗の王道(?)ともいえる銀行襲撃ミッションでは,アメリカのとある都市が舞台になる。一般客として銀行に入り,マネージャーを見つけたらいよいよミッションスタートだ。
マネージャーの持っているキーカードを奪ってロックされた扉を開き,その奥の扉に爆薬をセット。さらにその奥の金庫の入り口を特殊ドリルでこじ開ければ,そこには現金の山が。
あとは隣のビルとの境にある壁を爆破して地下駐車場へ降り,用意してあった車に乗り込めればミッションコンプリートだ。もちろん,世の中そううまくいくとは限らないもので,強盗を始めてしばらくすると警察が登場し,あっという間に銀行の周囲を取り囲んでしまう。ここをどうやって切り抜けるかは,プレイヤーの腕次第。続々と突入してくる警官隊やSWATチームを蹴散らし,隣接するビルからこちらを狙ってくるスナイパーを返り討ちにして血路を開こう。
高層ビルの22階にある宝石店に侵入し,時価2000万ドル相当の宝石を頂こうというミッションでは,深夜,人気のないオフィスに潜入するところからスタートし,首尾よく宝石を手に入れたら,ビルの屋上で仲間の操縦するヘリコプターに乗って逃走することになる。これはなかなか痛快だ。
毛色の変わったものとしては,麻薬の売買をしているギャングのアジトに乗り込み,稼いだ大金をごっそりと頂こうというものや,金を持ち逃げした裏切り者を追いかけるというものがある。前者のミッションでは,現ナマがシェルターのような頑丈な作りの小部屋に保管されているため,その部屋の分厚い壁を破るまでの間,ギャングや警官隊の攻撃をしのぎ切れるかが勝負の分かれ目となる。後者のミッションでは,首尾よく手に入れた現ナマを持ち逃げした裏切り者を追いかけ,白昼の繁華街を駆け抜けることになる。
場所が場所だけに,あっという間に警官が集まり,プレイヤーは十重二十重の包囲網を銃撃戦で突破しつつ,逃げた裏切り者を追いかけねばならないのだ。このように,どれも一筋縄ではいかないミッションばかりで面白い。
マルチプレイでは,シングルプレイ用に用意されたミッションを,ほかのプレイヤーと一緒にプレイするCo-op(協力モード)が楽しめる。シングルプレイと違い,本物の人間とチームを組むと,こちらの思うように進まなかったり,あるいは一人だけ取り残されてちょっと困ったりなど,歯がゆいところがあるのだが,それもまたマルチプレイの楽しみの一つだろう。そういうことにしておきたい。
マルチプレイ人口はあまり多くないが,銀行強盗ミッションの人気が高いようだ。ほかのプレイヤーの足手まといにならないよう,まずはシングルプレイをひととおり遊んで手順を覚えたうえでマルチプレイに挑戦するのが良いだろう。何事も練習である。うん,すいません。
それぞれのミッションは,いつどこで何をするかの手順がキッチリと決まっているため,それを覚えてしまえば,あとはルーチンワーク的なプレイになりそうだが,敵として登場するギャングや警官隊の配置が毎回ランダムなので,そこそこのリプレイアビリティはあるはず。
グラフィックスも値段なりといったところだが(Steamでは19.99ドル),犯罪映画の主人公になったような気分になれる,強盗に特化した一風変わったFPSとして欧米メディアに評価されている本作。ハリウッドのクライムムービー,例えば「ヒート」や,それをリスペクトした「ダークナイト」,あるいはクエンティン・タランティーノ監督の「レザボア・ドッグス」などが好きだという人は,試してもよさそうだ。
※2011年12月13日追記
初出時,4人の強盗メンバーに能力的な差はなく,マスクや銃器など,好みで選べる旨の記述がありましたが,マルチプレイではキャラクターの選択はできず,またキャラクターによってデフォルト装備が異なるということもありません。キャラクターには,「Assault」「Sharpshooter」「Support」という三種類のクラス的なものが存在し,経験値を溜めることでそれぞれのレベルが上昇します。以上,お詫びして訂正いたします。
■■朝倉哲也(ライター/四天王)■■
アクションゲームからMMORPG,アドベンチャーからストラテジーまで,なんでもプレイする雑色系ライター。年季の入ったPCゲーマーでもあったが,最近はコンシューマ機のゲームもプレイするようになったので,そのオールラウンダーぶりをますます強くしている。
- 関連タイトル:
Payday: The Heist
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Payday: The Heist
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