プレイレポート
6年ぶりのシリーズ最新作「三國志12」のプレイレポートを掲載。曹操で天下統一を目指してみた
だが良くしたもので,シミュレーションゲームというジャンルは,プレイヤーの遊び方次第で十分に楽しめるようになるものだ。また,「三國志12」は「三國志III〜IV」あたりをプレイしていた人にとってみると,なかなか懐かしい雰囲気のゲームとして楽しめる作品のようにも思える。
ということで今回は「三國志12を筆者はこう楽しんだ」という,超主観的なインプレッションをお届けしたい。
「三國志12」公式サイト
三國志12はどんなゲームだっけ?
三國志12の概要を,きわめて大雑把に紹介すると,
(1)ターン制(1ターンは1か月)
(2)中国大陸がおおまかなエリアに分割されており,プレイヤーはそのエリア全部の支配を狙う
(3)各エリアには都市があり,都心にはいくつか建物用のスロットが用意されている(ブラウザゲームの街作りを想像すると分かりやすい)。都市に施設を建てることで兵糧や金,あるいは兵隊といったものが生産されるようになり,施設に武将を配置したり,施設のレベルを上げたりすると生産効率が上がる
都市には施設を建てられるスロットがあり,1スロットには8種類から1つの施設が建てられる |
すでに建てた施設をアップグレードすることも可能。一定の費用と時間がかかる |
(4)戦闘がリアルタイム制。「Age of Empire」シリーズのようなRTSと言うよりも,「三国志大戦」のプレイにニュアンスは近い
(5)特定の能力を持つ武将を集めると,全体の戦略や戦場での戦闘効率/移動規則に影響を与えられる“秘策”というカードを開発できる。これ以外にも各種技術を開発したり,外交交渉を行ったりもできる
ゲームとしてはシンプル,かつライト路線を狙っており,ネットブックのような非力なPCでも動くというのは,近年の推奨スペックが上がり続けるPCストラテジーゲームにおいては,大きなメリットだ。
また,ゲームをプレイしていると気に掛かる点(イベントで強制的に状況が変わったり,演出でテンポが悪く感じられたりなど)は出てくるものの,そのほとんどはオプション設定によってカスタマイズできる。
もちろん歴史の荒波にもまれるようなプレイも良いのだが,今回は筆者が個人的により楽しいと感じた設定(歴史イベントオフ,武将の固定寿命オフ)で,実際に三國志12がどんな感じのゲームになるのかを紹介したい。
シナリオは「群雄割拠」,董卓が倒れた直後のスタートである。
「三國志」の主人公といえば曹操である
三国志演義において,実際に誰が主人公なのかという話はさておき,豊かな人材を抱え,また形骸化していたとはいえ漢という中央権力の近くに位置していた魏は,ここだけを見れば良いポジションである。そのなかでも曹操と言えば,言わずと知れた三国時代の奸雄であり,今回の主人公としては最適な武将と言えるのではないだろうか。
しかし,中央に近いということは,周囲はすべて敵ということでもある。幸いスタート時点では袁紹と同盟関係にあるので,これが有効なうちに袁紹の大軍と渡り合える(あるいは「互いに仕掛けられない」)状況を構築したいものだ。
とはいえ,糧がなくては始まらない。ここはまず,内政に集中することにしよう。三國志12は,都市に建設した「施設」が資源産出源となるが,この施設は,作るのにもアップグレードするのにも,お金がかかる。なので,まずは金の生産量を増やすべく技術開発を行い,また施設の建設にかかる費用を減らす技術の研究などを先に進めるべきだろう。
その一方で,開発する秘策カードは,人材を全土から発掘できる効果を持ったものにする。施設を建てたらそこを監督する武将が欲しいし,どんなにたくさんの兵を有していても率いる武将が有能でなくては戦争には勝てない。
金と人の収集は,国家の急務なのだ。
求人所では,人材の探索に誰を充てるかを決定できる。ここの人選は結構重要な印象 |
人材が見つかると,登用するか否かを選択できる。数がいて困ることは滅多にないが,給金はシビア |
国家拡張を開始
資金繰りはまだまだ苦しいが,人材はそれなりの数が集まったので,周囲の空白地域に侵攻を開始しよう。最初の狙いは「洛陽」だ。経済価値が高い土地から狙うのは危険も伴うが,絶対に安全な後背地を有しない以上,ほかを圧倒できる国力を早期に構築しなくてはならない。
またこのシナリオでは,三国時代最強の物理攻撃力を持つ武将・呂布が,曹操と敵対関係かつ隣接地に領地を持っている。呂布を先に叩くにせよ,あるいは呂布との戦線を膠着させておくにせよ,一定の兵力確保が欠かせないのだ。
洛陽を占拠したあとは,周辺の小規模な群雄を叩く。全部を一度に敵に回すのは辛いので,適当な同盟者をみつくろい,側面を突かれないようにするのも忘れない。
出撃する軍団の編成。自動編成で最適化されるほか,武将の選択は自由に可能。 |
洛陽を占領。市場と兵舎をみっしりと敷き詰め,資金と兵力の補給源とする。もっと領土が広がったら,建物をより専門化するのも手 |
ここで,今後取り得る選択肢を考えてみよう。考えられるのは2つだ。
1つは,呂布との戦いに決着をつけ,海を目指して東進すること。袁紹とは黄河を隔ててにらみ合いながら,別働隊を仕立てて南下,孫家とその取り巻きを叩いたら,状況に応じて荊州方面にも進出する。
もう1つは,呂布とは睨み合ったままにしておいて(この膠着を作るために用意した大軍は,袁紹との同盟が切れたときに,そのまま対袁紹の抑えになる),西を目指すこと。馬騰が支配する西涼を平定し,益州を目指して南下。西涼と益州を後背地として孫家と戦う。
可能性としては,史実のように真っ先に呂布,続いて袁紹との決戦という選択肢もあるが,袁紹は兵隊の数が2倍くらいいるので,そのプランは却下だ。
少々悩んだが,今回は2つめの西進策を取ることにする。西には長安があるし,馬騰一族は厄介かもしれないが,劉璋や劉表であればさほど苦労せずに平定できるだろう。呂布に劉備,太史慈に孫策といったオールスターと連続で渡り合うよりは,随分と楽そうではないか。
馬一族との戦い,そして四面楚歌
馬騰との戦いは,予想どおり曹操有利で順調に推移した。西涼の勇「馬一族」は確かに精強だが,生産力の差は埋めがたい。数は力とばかりに押し寄せる曹操軍は,馬騰の領土の連続性を断ち切る形で領地を拡大。これによって孤立した馬超率いる軍からは離脱者が続出する(ルール上,孤立した領土にいる軍隊は徐々に離散していく)。続いての戦いで馬騰を捕らえて処刑し,あとは残敵を掃討するのみとなった。
とはいえ,この段階で劉璋と国境を接するようになったので,外交使節を送って劉璋と同盟を組んでおかなければ。いささか人材に貧するとはいえ,益州の豊かな土地を背景にした兵力は決して馬鹿にできたものではない。
先に劉表を食って,それでもまだ同盟期間が残っていたら益州も食って,それから劉璋を食ってしまい華南制圧という筋書きは,決して悪くない。
馬騰/馬超を中心とした馬一族の主戦力を叩いた際に生じた兵員の損失も補填し,さあいよいよ馬一族の最期に向けて――と思ったそのとき,事件は起こった。劉璋率いる大軍が,長安方面へと侵入してきたのだ。
いやいやいや,それおかしいですよ。劉璋さんとは刎頚(ふんけい)の交わり,家族も同然な同盟の仲じゃないですか!? なんでいきなり攻めてきてるの。こっちの主力が西涼方面とで分断されて大ピンチじゃないですか。なにしてくれるんですか。
うーん,同盟を安易に信頼しすぎたかと思い,外交状況を確認してみると,謎はすべて解けたのである。
すまない,劉璋と劉表を間違って同盟してた!
脳内に「セーブデータをロード」のテロップが流れたが,こんなことでめげてはおれぬ。状況は甚だしく悪化したが,なんとか劉璋軍を押し返して,西涼方面の平定を完了する。
だが結果的に,馬超/呂布という爆発力のある軍事国家を同時に敵にまわすことになった。あなどれない数を率いる劉璋とも膠着状態に陥り,劉備はいつこちらに攻撃してくるとも知れず……なんとも切ない四面楚歌状況に追い込まれてしまった。
毒を食らわば“そこまで”
しかしここで,同盟関係にある袁紹から「共に呂布を叩かないか」という大変嬉しいお誘いがかかる。呂布の領地を袁紹に取られるのはしゃくだが,敵の数は減らすに越したことはないし……背に腹は代えられない。将来のことは将来考えよう。
ということで,袁紹の大軍と曹操自ら率いる軍勢のタッグが呂布軍を押し潰し,呂布はあえなく歴史から退場……せずに袁紹の配下となる。
えー,聞いてないよ! やっと狂犬を葬ったと思ったら,最大の仮想敵の飼い犬になったよ!
ま,まあいい。将来のことは将来考えよう(大事なことなので2回言いました)。ともあれこれで,呂布との膠着状況を作るために養っていた部隊がフリーになったわけだ。これを劉璋戦線に回せば,数的均衡は崩れ,益州は曹操のものとなるだろう。
だがしかし。このままだと袁紹に劉備も全部食われてしまう。呂布に続いて関羽だの張飛だのが,10万20万の敵軍を指揮する将来まではさすがに考えたくないので,急遽方針を変更。勝手に漢王室の係累を名乗る劉備を討つことにする。洛陽と長安(と献帝)を持ってるウチが,漢ブランドを守る本家やで!
袁紹からのプレッシャーにも対応しなくてはならなかった劉備軍は,曹操軍の一撃であえなく瓦解。これによって魏は呉と国境を接するようになったが,四面楚歌はもう慣れっこだ。しかも呉を守る孫家は劉備より兵隊の数が少なく,隣人としてはむしろ好ましい。
劉璋と直接対決する前に,劉備を撃破することに決定。大きく育つ前に狩らねば |
こういう,まるで勝ち目が見えない一騎打ちとか本当に困るんですけど |
かくして,おそろしく打算的な理由で劉備を滅ぼした曹操は,いよいよ“国際信義にもとる,ならず者国家である劉璋”(魏の公式文書より)との対決に赴くことになったのだ。
曹操軍は奥方まで強い
劉璋との戦争は,最初の数回こそ激戦が続いたものの,おおむね押せ押せムード。だがマップのエリアとエリアのつながりを完全に把握していなかったため,たった7800騎で主力と本国との連結エリアを守っていた卞氏(曹操の正妻)が,厳顔率いる2万7000騎に襲われてしまったのだ。
いや,実は卞氏の部隊にはもっと人数がいたのだが,兵糧の関係で7800騎しか動かせなかったのでした。これは盲点だった。
しかし不幸中の幸いと言うべきか,その場にたまたま曹操軍のエース的存在,徐晃がいたのである(というか何かあってもコイツが指揮すれば大丈夫だと思っていた)。
徐晃の持つ特殊能力は,一定範囲にいる敵軍に対し,その指揮官の武力との差分に基づいて損害を発生させるという素晴らしいもの。徐晃は個人的に好きな武将の一人だったこともあって,武力を強化しておいたことが功を奏し,7800騎が見事2万7000騎を撃退! こちらの残存兵力800に対し,敵は2000という,ハンバーガーヒル(ベトナム戦争におけるもっとも熾烈な戦い)も真っ青な戦いで,ギリギリの勝利を収めたのだ。
この劇的な防御戦闘がターニングポイントとなって,劉璋軍は戦闘能力を喪失。本来なら2万騎くらいを残して連絡路を遮断していたはずの軍隊が,一気に壊滅したのだからさもありなんである。
ここで,戦闘に関して1つだけ補足しておくと,戦闘AIはとにかく城攻めが下手である。逆にこちらが2万7000,敵軍が8000という状況でも,AIに完全委任だと,マップによってはあっさり負けることがあるので,注意が必要だ。
そのため,「もう損害なんて恐れずに全軍で突っ込め!」と思える段階でAI委任を使っていたら,迷わずAI委任を解除し,全軍を範囲選択して敵本陣を指定したほうが良い。
ただし本陣までのルートが複数ある場合,こまめに進路を指示しないと,わざわざ守りの堅いルートを選ぶことが結構あるので,これまた要注意。
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