プレイレポート
サッカーゲーム,「FIFA ストリート」「FIFA ワールドクラスサッカー」のプレイレポートをお届け。本作のプロデューサー,牧田和也氏へのインタビューも掲載
今回体験できた「FIFA ストリート」は,バランス調整がまだ済んでいない開発中のものだったが,オンラインに関連するモードなど一部を除いて一通り体験できたので,筆者のプレイフィールをお伝えしたい。なお,試遊は英語版を使用して行われたが,製品版では日本語にローカライズされるとのこと。また,PS Vita版「FIFA ワールクドクラス サッカー」もわずかな時間だが触ることが出来たので,紹介しよう。
さらに,体験会終了後には,FIFAプロジェクト統括プロデューサーを務める,Electronic Arts Canadaの牧田和也氏にインタビューする機会も設けられたので,そちらも合わせて掲載する。
プレイレポートに入る前に,大まかな「FIFA ストリート」の概要を紹介しよう。エレクトロニック・アーツのサッカーゲームでは,世界的に評価の高い「FIFA ワールドクラス サッカー」シリーズ(以下,FIFAシリーズ)がある。こちらは実在のチーム,選手,スタジアムをゲーム内で再現し,リアルなサッカー体験を出来るのに対して,「FIFA ストリート」は「フットサル」や,街の路上で行われる「ストリートサッカー」にフィーチャーした作品だ。
3年ぶりの発売となる「FIFA ストリート」は,「FIFA 12 ワールドクラス サッカー」(PlayStation 3 / Xbox 360 / PSP)と同じく,「プレイヤー・インパクト・エンジン」を使用して制作されており,これまでの「いかにもゲームだよね」という非現実的な部分が薄れ,動きにリアリティが増したのが大きな特徴といえる。また,画面内に登場する選手は通常のサッカーの半分以下,ゲームフィールドも狭めということもあり,攻防の展開は非常に早い。
それ以外には,FIFAシリーズとは比べ物にならないほど,豊富に用意されたスキルムーブがあり,これらを駆使して「魅せるプレイ」をするのも,注目ポイントとして挙げられるだろう。
ほかにもFIFAのオフィシャルライセンス商品ということで,プレミアリーグ(イングランド),リーガ・エスパニョーラ(スペイン),セリエA(イタリア)など,実在のリーグのチームや選手が実名で登場する。メッシやルーニーといった名選手を使って,数々のスキルムーブを決めてみる。なんてことも可能だ。
スキルムーブを使った1対1の攻防がアツい「FIFA ストリート」
「FIFA ストリート」で今回遊んでみたのは,「HIT THE PITCH」というモードだ。この中には「5-A SIDE」「PANNA RULES」「FUTSAL」「LASTMAN STANDING」という4つのルールが用意される。
まず5-A SIDEだが,こちらは壁に囲まれたフィールドで5対5の対戦を行う。FUTSALはここから壁を取り払ったものと捉えるといい。いずれもより多くゴールを決めた側が勝利となる。PANNA RULESは2対2で行うマッチで,非常に狭いフィールドでゲームを行う。こちらはゴールを決めることが得点になるものの,ルール名にあるようPANNA(股抜き)のほか,数々のスキルムーブを使用して華麗なプレイを行うことが,より高ポイントにつながる。
最後のLASTMAN STANDINGだが,こちらは4対4でゲームを始める。しかし,ゴールを決めるごとに自分のチームから選手が消えていき,人数差というハンデを抱えながら相手を倒さなければならない変わったルールになる。
なお,設定をカスタマイズしてルールを作ることもできるようだ。
いずれのルールもフィールドはかなり狭く,センターサークルからシュートを決められそうだが,相対的にゴールは小さく,そう簡単には決められない。ボールをキープしつつ相手にフェイントをかけて抜き去ったり,壁パスで前方の味方にボールを送ったりと,1対1の攻防がかなり熱いように感じた。
個人的に印象深いのはLASTMAN STANDINGだ。これをプレイした際,筆者は次々とゴールを決めたものの,チームからはどんどん人が消えていき,1対3という状況になってしまった。こうなると攻めも守りも自分1人でやらなければならないのだが,CPUはボールを奪っても,誰もいないゴールの前でパスをしあったり,シュートを外したりと,まるでこちらを挑発しているのかのような行動を見せたのだ。今後修正されそうな気もするが,なんとも人間くさい動きだなあと思わされた。
操作に関しては開発中のバージョンゆえ,どのボタンを使ってどのようなアクションができるかの詳細は省くが,レスポンスは素早く,気持ちよくプレイできた。ただ,牧田氏に聞いてみたところ,「個人的にはゲームスピードが速いように感じています」「ゲームバランスはまだまだチューニング中です」と話していたので,製品版では今回のレポートと異なる可能性は十分ありえる。
それ以外には「WORLD TOUR」モードで自分のチームを率いて世界一を目指すもよし,「PRACTICE ARENA」で,シュートやスキルムーブの練習もできる。
ほかには「MY SQUAD」というモードでキャラクターカスタマイズも可能だ。こちらでは選手の顔や体格などのほか,試合中に着るユニフォーム,パンツ,シューズも自由に選べる。大半のものがロックされていて選択は出来なかったが,アディダス,ナイキなど実在ブランドの商品が登場する。なお,ホームカラー,アウェイカラーの選択も可能だ。
「FIFA ストリート」を遊んでみて,これまでのシリーズにあった非現実的な動きはなくなり,実際のサッカーを見ているかのような,リアルな動きを再現できているのではないかと感じた。FIFAシリーズと違い,フィールドも狭めで攻守の切り替わりも素早く,ゲームスピードが速めなのもプレイしていて気持ち良かった。1ゲーム当たりにかかる時間も短く,手軽な対戦ツールとしても良さそうな印象を受けた。
PS Vita版「FIFA ワールクドクラス サッカー」は
本体の機能を活かした仕上がりに
PS Vita版「FIFA ワールクドクラス サッカー」は,牧田氏によると,PS3版「FIFA 12 ワールドクラス サッカー」をベースに制作されているという。据え置き機版で実現していた22人対戦は実装されていないが,ゲームモードやグラフィックスなどはPS3版と変わらないそうだ。「FIFA ストリート」と同じく,2012年春の発売を予定している。
PS Vita版の特徴は,前面のタッチスクリーンで,パスをしたい場所をタッチするとそこにパスを出したり,背面のタッチパッドをゴールに見立て,打ち込みたい場所をタッチすると,そこをめがけてシュートを打ったりできる。もちろん,アナログスティックとボタンを使ったプレイにも対応する。
実際に遊んでみた感想としては,グラフィックスのクオリティは申し分なく,PS Vitaの有機ELディスプレイとあいまって,非常に美しい。操作に関してはタッチスクリーンを使ってパスを送るのは,新鮮な印象を受けた。選手の位置を確認しつつ,狙ったところにパスを出し,それが決まるとかなり気持ちいい。ただ,アナログスティックを動かしつつ,タッチスクリーンを触るのは,少々慣れが必要かなという印象を受けた。
「作りたかったのは“リアルストリートゲーム”」
「FIFA ストリート」プロデューサー,牧田和也氏インタビュー
本日はよろしくお願いします。
牧田和也氏(以下,牧田氏):
こちらこそ,よろしくお願いします。「FIFA ストリート」を遊んでみていかがでしたか。
4Gamer:
従来の「FIFA ストリート」シリーズはサッカーゲームというよりは,アクションゲームみたいでしたが,今回はFIFAシリーズにあったリアルな部分を取り入れつつ,よりエンタテインメントな要素が増したように感じました。
牧田氏:
我々の趣旨を読み取ってもらえてありがたいですね。仰るとおり,昔の「FIFA ストリート」はアクションゲームでしたが,我々は「リアルストリートゲーム」を作りたかったんです。ストリートサッカーについてリサーチをしてみると,相手をどう抜くか考えたり,股抜きで相手を抜いたりする気持良さが魅力だと分かったんです。今回はベースのサッカーをしっかり作りつつ,相手との攻防を楽しめるよう作り込んであります。
4Gamer:
今回はスキルムーブが豊富ですし,リフティングからパスもできますね。こういった要素を使うことで,よりストリートサッカーらしさを出せるのでしょうか。
牧田氏:
ストリートサッカーは,イギリスだと「フットサル」をプレイする人が多いんです。この場合は点数を入れることが目的となります。ほかにはブラジルやオランダもフットサルが有名なんですが,こちらでは点を決めるより,いかにクールに相手を抜くかが魅力なんだそうです。こういった要素を作り込むことを我々は大きな目標としているんです。1対1の対決で相手を抜く際の動きも考えていて,スキルムーブを使って相手を抜いたり,そこからパスを出せるようにもしているんです。
4Gamer:
最初PANNA RULESを遊んでみたとき,こちらがゴールを決めた数が多いのに,総合ポイントでは相手に負けているというのが不思議でした。あとから,PANNAは股抜きということを知り,それを全然やっていなかったから負けたんだと分かりました。
牧田氏:
ゲームモードによって遊び方も大きく変わるんです。LASTMAN STANDINGというモードでは,ゴールを決めた側のチームはどんどん選手が減っていきますし,違う遊び方をできるようにしているんです。ほかにはスキルムーブを使って相手を抜いたり,ゴールを決めたりしたときに「エンタテインメントポイント」というものを得られるんですが,それをより多く獲得したチームが勝つというルールもあります。点数を入れるだけじゃなく,さまざまなことができるという作りになっているんです。
4Gamer:
「FIFA ストリート」はスキルムーブが豊富で,それを覚えるのは大変だと思うのですが,そこはどのように考えていらっしゃいますか。
牧田氏:
試合中にどういうスキルムーブを使ったかは,画面の下に表示されますし,CPUが使ったものもコマンドが表示されるようになっていて,それを見て学んでいただこうと思っています。
4Gamer:
スキルムーブもアンロックしていくという形になりますか。
牧田氏:
スキルムーブは選手によって違うんです。あとは選手の能力が上がるとレスポンスが良くなったり,スピードが増したりします。
操作に関しては,誰でも遊べるようにシンプルなものにしていますよ。コントローラーの右側のボタンをアクセル,左側をブレーキというコンセプトにしています。止まったら左スティックでボールコントロールをできますし,そこからどのように相手を抜くかということにつながります。これはストリートサッカーの中では重要なアクションなんですよ。ほかには選手のアニメーションも作り込んでいますね。
4Gamer:
実在のリーグやチーム,選手が出るのも魅力ですが,オリジナルチームを作るのも面白そうですね。
牧田氏:
本作には「WORLD TOUR」モードというものがあるんですが,これはどの地域からスタートするかを選べます。たとえばフランスを選んだとしたら,国内でいくつかの地域に分かれているんです。そこで4試合戦うんですが,最後の相手はライセンスチームなんですよ。彼らに勝つとそのチームから選手を引き抜けるんです。そうやって自分のチームをどんどん鍛えて試合を勝ち抜いていくと,今度はフランス全体,ヨーロッパ全体という風に規模が大きくなり,世界の頂点を目指せるわけです。
プレイヤーが使うチームは,ほかのプレイヤーが作ったチームをダウンロードできるようにもなっていて,今回はソーシャル的な部分も強く意識しています。友達と対戦するなどして,ストリートサッカーを広めていきたいなと思っていますね。
4Gamer:
ゲームの基幹となるのはWORLD TOURモードで,そこで自分のチームを作り上げて行くのがメインとなるのでしょうか。
牧田氏:
そうですね。それが1番面白い遊び方になるのではないかと思います。
4Gamer:
ソーシャル的な部分というと,友達のチームから強い選手を引き抜くとか,そういったこともできるんでしょうか。
牧田氏:
チームを作る際に,友達が作ったチームにいる選手をダウンロードして使うこともできるんですよ。選手は控えを含めて11人分の枠があるので,友達から強い選手を借りて,一緒に頑張るなんてこともできます。
4Gamer:
ほかに,どういったソーシャルな要素が盛り込まれていますか。
牧田氏:
FacebookやYouTubeに,自分のリプレイをアップロードできるという機能があります。そうやってプレイヤー同士で見せ合うこともできるんですよ。
4Gamer:
YouTubeにリプレイをアップしたら,知らない人から「お前のプレイすごいな」なんてコメントが書き込まれることもありそうですね。そういったことも狙っているのでしょうか。
牧田氏:
そうですね。そうやってコミュニティを作っていきたいですね。自分のプレイを作るというのはストリートカルチャーっぽいんです。そして,その動きをほかのプレイヤーが真似してくれるということは,すごく大きな意味があることなんだそうなんです。そういったカルチャーを,ソーシャル的な部分を利用して広めたいなと考えています。
4Gamer:
リプレイ時には写真も撮れるようですが,これもネット上にアップロードできるのでしょうか。
牧田氏:
このゲームは自分のスタイルをいかに相手に見せるかというのが重要なので,そういうフィーチャーを入れてあるんです。リプレイは監視カメラから見ているような映像になるんですが,実際のストリートでコートがある場所って,ちょっと危険な場所だったり,橋桁の下だったりするんです。そういうところには監視カメラもありますし,それを通してリプレイを見ているという作りにしました。ちなみに本作のアートディレクターは日本人が務めていますよ。
4Gamer:
キャラクターのカスタマイズ要素も見たんですが,ナイキやアディダスなど実在ブランドの商品も登場するんですね。これらはロックされていましたが,WORLD TOURモードでポイントを溜めて買うという感じでしょうか。
牧田氏:
そうですね。ロックされたアイテムはユニフォームや靴など約220ぐらいあります。これらは,試合をするごとに溜まっていくポイントでアンロックできる仕組みになっています。ほかのモードでもポイントは溜められる仕組みにしてありますよ。
4Gamer:
牧田氏:
「FIFA ストリート」は我々ではなく,別のチームが作っていたんです。私達はFIFAシリーズに特化していて,より良いものにしようと,ゲームエンジンを作るといったことに力を入れてきたんですが,ここまで来てある程度の部分まで見えてきたんです。そしてこれまで積み重ねてきたものを活かして新しいことができないかと考え,「FIFA ストリート」の制作に至ったんです。
4Gamer:
タイトル名を「FIFA ストリート4」としなかった理由はありますか。
牧田氏:
番号を外した理由は,過去のものとは違う新しいストリートゲームを作ったからなんです。これで番号を継続する意味はありませんからね。
4Gamer:
なるほど。ストリートというと,本作では東京やロンドン,ドバイなど世界各地でサッカーを楽しめますが,都市の選考基準はあるのでしょうか。
牧田氏:
ストリートサッカーやフットサルを多くやっている地域を選びました。コートは全部で35ありますよ。あとは特徴を出すために趣向を凝らしました。たとえばベニスの川沿いだったり,香港のビルの屋上だったりと,さまざまな場所にコートを作ったんです。
4Gamer:
オンラインでは,ほかにどういったことができますか。
牧田氏:
WORLD TOURモードで友達と対戦や協力プレイができます。あとは「トーナメントモード」というものがあります。ほかには「FIFA 12 ワールクドクラス サッカー」でやった「シーズンプレイ」もありますね。こちらは10ディビジョン制になっていますが,すごく評判が良いんです。自分で作ったチームで,成績に応じてディビジョンを上がっていけるようにしています。
4Gamer:
上級者はどんどん上位のディビジョンに行きますし,そうでない人は自分のペースで進めるってのはいいですよね。
牧田氏:
オンライン対戦の経験が少ない,初心者を保護するためにディビジョン制を導入しています。自分のレベルに合わせてプレイが出来るようになっていますね。
4Gamer:
最後に本作を楽しみにしている人達に向けてメッセージをお願いします。
牧田氏:
FIFAシリーズの良いところをふんだんに活かして,新しいタイプのサッカーゲームを作りました。1対1の攻防からオンラインのソーシャル的な遊び方があります。ぜひ友達と一緒に遊んで,ストリートサッカーの魅力を感じていただけたらと思います。
4Gamer:
ありがとうございました。
「FIFA ストリート」紹介サイト
「エレクトロニック・アーツ」公式サイト
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