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[CES 2015]「ioquake3」が動くPowerVR搭載開発ボードをImaginationがCESに出展
そんな会場を回っていたところ,ふと目に止まったのが,組み込み機器向けグラフィックスIPの大手であるImagination Technologies(以下,Imagination)のブースだ。CES Unveiledはモバイル機器向けGPUを宣伝するような場ではないので,不思議に思って何を展示しているのかと質問したところ「PowerVR SGX540を搭載する開発ボードだ」というのだ。製品名は「MIPS Creator CI20」(以下,CI20)とのこと。同社の直販Webページでは,65ドルで販売されている。
CI20は手のひらに載る程度の小さなボード上に,SoC(System-on-a-Chip)とHDMI出力端子,有線LAN端子,USB(Type-A)端子×2を備えた,小型のコンピュータである。SoCは,中国の半導体メーカーであるIngenic Semiconductorが開発した「Ingenic JZ4780」というもので,CPUコアには,Imaginationが所有するMIPSアーキテクチャの2コアCPUを採用。SoCに統合されたGPU部分が,PowerVR SGX540であるという仕組みだ。
ちなみに,PowerVR SGX540は,現行世代である「PowerVR Series6」の前世代にあたるGPUアーキテクチャ「PowerVR SGX Series5」世代のGPUコアで,ARM系SoCやIntelのAtom Z2400シリーズにも採用されたものである。2013年前半時点では高い性能を備えていたが(関連記事),世代交代した現在では,これを搭載するSoCを採用したタブレット端末やスマートフォンを見かけることはほとんどない。
このCI20自体は,2014年8月に発表されていたのだが,発売されたのは昨年末なのだそうで,宣伝のためにCES 2015に出展したということらしい。
開発ボードと呼ばれているとおり,CI20は,これを使ってコンピュータ制御の機器を作るためのものであり,これ単体を消費者が購入してゲームを遊ぶようなものではない。組み込み機器用のシングルボードコンピュータとして有名な「Raspberry Pi」と同じような路線のハードウェア,といえばピンとくる人もいるだろうか。ただし,スペックははるかに上だ。
SoCのパワーからすれば性能面ではまだまだ余裕があるだろうし,対応OSにはAndroid 4.4も挙げられていたので,Android用アプリケーションをテストする実験機には使えるかもしれない。
デモ機ではDebian GNU/Linux 7.5が動作していた。メインメモリ容量は1GBのようだ |
消費電力の低さもCI20の特徴とのこと。ioquake3を動作させた状態でも,2.5W程度の電力で動作している |
ゲーマーにも知られたPowerVRが,こんな用途にも使われていることは,知らなかった人も多いだろう。スマートフォンや携帯ゲーム機で使われるようなGPUが,普及によってゲーム以外にも活躍の場を広げていく分かりやすい事例といえるだろう。
MIPS Creator CI20 製品情報ページ(英語)
MIPS Creator CI20発表時のImagination公式Blog(英語)
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