インタビュー
「The Last of Us」のキャラクターの新たな側面を描く追加シナリオが開発中。DLC第2弾の話も出たディレクターインタビュー
今回4Gamerでは,同作のゲームディレクターを務めた,Naughty Dogのブルース・ストレイリー(Bruce Straley)氏に,非常に短い時間ながらインタビューする機会を得た。現在開発中のDLCの話などを少しだけ聞けたので,お届けしたい。
4Gamer:
本日はお時間をいただきありがとうございます。まずは,簡単に自己紹介をお願いできますか。
ブルース・ストレイリー氏(以下,ストレイリー氏):
「The Last of Us」のゲームディレクターを務めるブルース・ストレイリーです。Naughty Dogに在籍して,15年になります。
4Gamer:
長いですね。The Last of Usの前は,何のタイトルを担当されていたのでしょう。
ストレイリー氏:
もともとは,テクスチャのアーティストとして入社し,背景や環境などを担当していたのですが,「アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝」でアートディレクターとなりました。続く「アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団」ではゲームディレクターを務め,今に至ります。
アンチャーテッドのヒット以降,Naughty Dogといえばアクションアドベンチャーの印象が強いですが,ストレイリーさんはそこに大きく関わってきたわけですね。
今回は,SCEJAさんから「The Last of UsのDLCの話が少し聞けるかも?」とうかがっています。DLCの第1弾としては,マップパックが10月16日に配信されていますが,お話いただけるのは第2弾の内容という認識で良いでしょうか。
ストレイリー氏:
はい。まだ作っている途中なので,あまり詳しいことはお伝えできないのですが……DLCの第2弾は,シングルプレイヤー用の追加ストーリーになります。
4Gamer:
追加というと,本編の後日談のような内容ですか?
ストレイリー氏:
いえ,本編のストーリー自体は完結していて,私達も満足しています。ただ,これまでは分からなかったような,登場キャラクターの新たな側面にスポットを当てる内容になる予定です。開発中なので,ボリュームについてはまだ何とも言えませんが,皆さんが「遊んでよかったな」と思えるようなDLCにできればと思っています。
Naughty Dogのタイトルで,マルチプレイ用コンテンツなどではなく,シングルプレイ向けに新たなストーリーをDLCとして追加するというのは,初めての試みですね。
4Gamer:
そういえば,アンチャーテッドでも,DLCで追加されたのはマップやスキンでしたよね。今回は,どういった経緯でストーリーを追加することになったのでしょう。プレイヤーからの要望が多かったなどの理由でしょうか。
ストレイリー氏:
皆さんが望んでいるものを作りたいという想いはありますが,今回はNaughty Dog内の実験的な意味合いがあります。これまでは,ゲームの開発が終わると,開発チームのほとんどが休暇を取り,少数でDLCを作るという形を取っていたのですが,その間,チームのテンションが一時的に落ちてしまうんです。そこで,追加ストーリーの開発に取りかかることで,チームの熱量を維持できないかと考え,取り組んでいます。
4Gamer:
なるほど。プレイヤーとしては,また違ったストーリーが遊べるということで,非常に楽しみです。
ストレイリー氏:
ありがとうございます。でも,もともと「追加ストーリーをDLCで出してみたい」という話はあったのですが,実を言うと,The Last of Usが皆さんに受け入れられて,もっと遊びたいと思ってもらえるかどうか,発売されるまで不安でした。
4Gamer:
え,そうなんですか? The Last of Usは,Naughty Dogの新規IPとして世界的な期待に応えた作品だと認識しているので,それは意外に思えます。
ストレイリー氏:
もちろん私達も,作っている間は,絶対に自分達がプレイしたいと思えるような,良いゲームができたと思っていました。リアルな世界の中にキャラクターがいて,彼らに恐怖や緊張が襲いかかる。それを見て,プレイヤーがつい身を乗り出してプレイしてしまうような,これまでにないゲームができたなと。でも,新しい作品というのはチャレンジでもありますから,皆さんの反応を生で見るまでは,本当にうまく行っているのか確信を持てずにいたんです。
もう1人のディレクターであるニール(Neil Druckmann氏)とは,「人気が出るかは分からないけど,すごく好きな人と気に入らない人で,評価は2つに分かれるだろう」と,よく話したものです。
4Gamer:
でも実際には,世界中でかなりの高評価を得ましたよね。その理由は,どこにあったとお考えですか?
ストレイリー氏:
私の予想になりますが,ゲーム中でジョエルやエリーが感じたことが,プレイヤーにも伝わり,彼らがなぜこの行動を取ったのか,その理由に対して感情移入できるような体験を作れたからではないでしょうか。アンチャーテッドで培った,「プレイヤーと主人公の一体感を高める」という作り方も,うまくできたのではないかと思います。
4Gamer:
そうですね。つい熱中してしまって,やめどころが見つからず,のめり込んでしまった覚えがあります。ストーリーとゲームプレイへの没入感は,まさにアンチャーテッドの体験から期待した通りでした。
ところで,The Last of Usからは離れますが,海外ではPlayStation 4の発売が,いよいよあと1か月に迫っています。PS4についての期待感や意気込みがあれば教えてください。
ストレイリー氏:
やっぱり大きく期待していますよ。グラフィックスのクオリティがどうなるのかは興味がありますし,作り手としては,PS3で苦労していたメモリが大容量になるのは大きな変化です。PS4ではソーシャル周りの要素も充実してくるでしょうし,どんなゲームが出てくるのか,私も楽しみにしています。
でも,正直に言ってしまうと,私のチームはThe Last of Usにずっと集中していたので,あまりコメントできることがないんですよね(笑)。
4Gamer:
なるほど(笑)。Naughty DogがPS4でどういったタイトルを出してくるかは,非常に気になりますね。
ストレイリー氏:
皆さんからの期待はもちろんですが,同時にファーストパーティの開発スタジオとして,SCEさんからの期待も感じています。Naughty Dogとしては,「PS4っていいよね,だってあのタイトルが遊べるんだから!」と言ってもらえるよう,これまでよりさらに良いものを作っていきますが,ハードルはどんどん高くなっています。
4Gamer:
ストレイリーさんへのプレッシャーも相当なものになりそうですね。
ストレイリー氏:
(日本語で)モチロン! グラフィックスなどであれば,見比べればどちらが上か決められるので分かりやすいのですが,ストーリーは人によって感じ方が違うので,とくにプレッシャーを感じます。まぁ,グラフィックスも,これまで以上に頑張って,本当に自分が誇りに思えるものを作ろうとしたら,間違いなく抜け毛が増えてしまいますが(笑)。
4Gamer:
それは切実な問題ですね(笑)。それでは最後に,The Last of Usファンの皆さんにコメントをお願いできますか。
ストレイリー氏:
はい。お話したとおり,The Last of Usは,ここまで良い反応をいただけるとは思っていませんでした。このゲームを遊んでくれた皆さんに,本当に感謝したいです。ありがとうございます!
DLCの追加ストーリーでは,これまでNaughty Dogがやってこなかった試みということで,新しいことをいろいろと入れていこうと思っています。今,私達はこのストーリーを作りながら楽しんでいるところなので,日本の皆さんも同じぐらい楽しんでくれると嬉しいです。
4Gamer:
ありがとうございました。
今回ストレイリー氏が話していたDLCは,2013年の年末から来年の1月ごろの配信を目指して,開発が進められているという。登場キャラクターについて,さらに掘り下げた内容になるとのことだが,その中心となるのが,ジョエルなのかエリーなのか,あるいは違う人物なのかは非常に気になるところだ。
なお,The Last of Usは,10月31日にPlayStation Storeでのダウンロード販売が開始される(関連記事)。期間限定で割引も行われるので,まだプレイしていない人は,この機会にぜひ一度触れてみてほしい。
「The Last of Us 」公式サイト
- 関連タイトル:
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(C)2011 Sony Computer Entertainment America LLC. The Last of Us is a trademark of Sony Computer Entertainment America LLC.Created and developed by Naughty Dog.
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