プレイレポート
シリーズ初となるオンライン対戦の実力やいかに?「三國志12 対戦版」クローズドβテストのインプレッションをお届け
本作はコーエーテクモゲームスの人気歴史シミュレーション「三國志」のシリーズ最新作「三國志12」から,戦闘部分を抜き出して別のゲームとしてリリースされるものだ。オンライン対戦はシリーズ初の要素で,由緒ある三國志シリーズにどのような形で盛り込まれているのか,気になっている人も多いことだろう。
本稿では,クローズドβテストに参加して分かった各種システムを,ざっくりと紹介していきたい。なお,スクリーンショットなどを含め,掲載した情報に関しては,今後の開発作業を経て変更される可能性があるのでご了承を。
「三國志12」公式サイト
RTS+カードゲームの要素を取り入れた「三國志12 対戦版」
ひとくちにオンライン対戦といってもさまざまな種類があるが,「三國志12 対戦版」はRTS(リアルタイムストラテジー)に,カードゲームを組み合わせたようなシステムになっている。数多の武将がカードとして登場しており,プレイヤーは手持ちのカードの中からデッキを構築し,部隊を編成する。そしてオンラインを通じて,ほかのプレイヤーとバトルを繰り広げていくのだ。
対戦版の入手方法に関してだが,「三國志12」のゲーム本編を購入すれば,そのままプレイできるほか,対戦版のみをプレイできるクライアントも,別途無料でダウンロードできる予定だ。ビジネスモデルの詳細に関しては今のところ発表されていないが,新たな武将カードを“購入する”といった形をとるのかもしれない。
最大の特徴はRTS+カードゲームの戦闘システムになっていること。一般的なRTSと比べて,初心者でも楽しめる作りだ |
内政や戦略といった要素はばっさりカットしているので,戦場での采配が手軽に楽しめる。無料でダウンロードできるのも嬉しい |
ゲームを起動して最初に行うのは,プレイヤーが所有しているカードから武将を選び,出陣させるためのデッキを構築すること。武将カードにはそれぞれコスト値が決められており,総コスト内に収まるようにカードを選んでいくのだ。
今回のCBTでは,プレイヤーの総コストが24で固定。そして武将カードは,2〜6のコストが中心になっていた。もちろん強力な武将になるほどコストも高くなっているので,少数精鋭のカードでデッキを組むか,あるいは武将の数で勝負か,といった選択を迫られることになる。ちなみにコストとは関係なしに,デッキに登録できるカードは最多で6枚だ。
デッキの編成画面。魏・呉・蜀といった勢力による制限はなく,カードさえあれば自由に編成できる |
カードをよく見ると,武力や知力などお馴染みのパラメータのほかに,コスト値やアクティブスキルなども記されている |
RTS未経験のシリーズファンでも楽しめる戦闘システム
デッキの構築後に対戦ボタンを押すと,オンラインで相手を見つけたあとに,いよいよゲームスタート。ゲームの勝利条件は,敵本陣を攻め落とすか,あるいは敵武将を全員倒すことだ。
本作の戦闘はRTSということで,プレイヤーは操作するユニットを指定して,リアルタイムで動かす必要がある。そのため,これまでのシリーズをターン制でプレイしていた人には新鮮に映るかもしれない。また画面には(従来作などで見られる)六角形や四角形のマスは見当たらないが,操作そのものは決して難しくない。戦闘の進行も割とゆっくりなので,RTS未経験者でもあわてずにプレイできるだろう。
戦場全体を俯瞰して戦うのは従来シリーズと同じだが,本作はリアルタイム進行。1プレイの時間は最長で500秒でサクっと遊べる |
兵科の相性は重要で,相性の良い敵であれば多少の兵力差があっても覆せる。複数の部隊が入り混じる混戦時は,これを考えながらプレイしてみよう |
戦闘のコツはいろいろとあるが,もっとも基本的なのは,武将カードを元に生成される槍兵/騎兵/弓兵といった兵科の相性だ。兵科は三すくみの関係にあるほか,例えば槍兵は本陣に対して大ダメージが与えられるなど,それぞれ特色を持っている。
また兵科以外にも,武将カードごとにさまざまな個性があり,これらの使い分けが勝敗を大きく左右する。具体的には,武将が会得している「特技」や「戦法」があり,それとは別にゲーム中に1度だけ使える「秘策」といった大技もある。
順番に見ていくと,「特技」は部隊が置かれた状況に応じて自動的に効果を発揮してくれる,いわゆるパッシブスキルのようなものだ。例えば,所属部隊の機動力が上昇する「神速」や,遠距離攻撃の射程距離が延びる「速射」,敵本陣に与えるダメージが上昇する「攻城」などが,クローズドβテストで確認できた。
続いて「戦法」は,プレイ時間に応じて蓄積するゲージ「采配」と引き換えに繰り出せる,いうならばアクティブスキルである。範囲内の敵に対しダメージを与える「大打撃」や,防御が一定時間上昇する「防御強化」,敵部隊の攻撃対象を自分の部隊へと誘導する「挑発」などなど,かなりの種類がある。
ちなみに采配ゲージは,マップ内に点在する「陣」を制圧することで,蓄積スピードを速められる。戦法を中心に戦っていくのなら,この陣の制圧にも部隊のリソースを割く必要があるわけだ。当然,陣を制圧するまでの間は手薄となるため,プレイヤーはこういったバランスを考えながら戦っていかなければならない。
最後の「秘策」は,一度の対戦中に一回しか使えないものの,戦法よりも強力なものが揃っている。戦場全体を見渡せる「遠望の策」や,全ての味方部隊を本陣にワープさせる「帰陣の策」などがあり,これもマップや敵味方の武将などを見て慎重に選びたい。
采配ゲージのたまり具合はかなり緩やか。「陣」を制圧したいところだが,それ以外の攻防が手薄になってしまいがち |
秘策はゲーム中にいつでも使用できるが1回限り。タイミングが重要だ |
本作でもう一つ特徴的なシステムといえるのは,戦闘時に武将を失いにくくなっていること。というのも,兵数がほとんどなくなった部隊は,まず「潰走」の状態となり,本陣へ一目散に逃げ帰ろうとする。そして無事に本陣へ戻ることができれば,改めて兵を補充し,30秒程度のクールタイム後に再出撃が可能となるのだ。
万が一,潰走している間に追撃を受けてしまうと,武将が倒されてしまう。そうなるとほかの味方部隊に「動揺」が伝わり,戦闘力や機動力が大幅に減ってしまうので注意したい。
ただし,予備兵の数は無尽蔵というわけではなく,ゲーム開始直後は5万となっており,補充するにつれ次第に減っていく。つまり予備兵がゼロ=本陣が陥落するという考え方になっているのだ。
3月30日の本編リリースに向けての調整に期待
今回プレイしたCBTバージョンでは,毎回の対戦終了後に「武将くじ」を1枚引き,新たな武将カードを入手できた。対戦のたびに新しい武将カードを入手することで,デッキに組み込むカードの選択肢が増し,戦術の幅が広がっていくというわけだ。
また例えば同じ武将カードでも,コモン(C),アンコモン(UC),レア(R),スーパーレア(SR)といったレアリティが違うものが用意されており,それぞれ会得している特技や戦法,そしてコストが異なっている。どんなカードが入手できるのか。戦闘後にも緊張の一瞬が待っている。
スーパーレアの太史慈のカードを獲得。ビジネスモデルの詳細は不明だが,ソーシャルゲーム的な展開もありうるのだろうか |
カードが増えることで戦術が広がっていく。経験値やレベルの表記もあるので,好みの武将を育成できるようになるのかも |
もう一つ大きなポイントとなりそうなのは,掲載した戦闘時のカットインの画像を見れば分かるとおり,武将のグラフィックスが頭から腰まで描かれていることだ。従来シリーズ作と比べて武将のポーズに躍動感があり,実に見ごたえがあると感じた。カードの収集に熱が入るプレイヤーも続出するのではないだろうか。
そのほかの環境周りは,CBTということもありシンプルな内容となっていた。今後はプレイヤーのレーティングを元にしたマッチングシステムや,複数のデッキを管理できる機能や,プレイヤー間でのカードトレード機能などの実装にも期待したい。
今回プレイしてとくに印象に残ったのは,三國志シリーズのファンなら誰でも遊べるようにさまざまな調整が施されていることだ。最初にRTSと聞いて尻込みしてしまう人もいるかもしれないが,その点は大丈夫だろう。
その一方で,ストイックなRTSを求めてしまうと,肩透かしを受けてしまう可能性がある。現状のゲームバランスだと,強力なカードを揃えることと,兵科の相性で勝敗が左右されやすいと感じるのだ。もっともストイックさを追求しすぎてしまうと,今度はライトプレイヤーが付いてこられなくなるわけで,調整が難しいところだろう。
なにしろ「三國志」は,1985年から脈々と続く長寿シリーズである。昔からのファンと新しいファンの双方を満足させることは,想像以上に大変なことだろう。そういった状況下において,リアルタイムストラテジーというシステムを最終的にどのように仕上げていくのか。3月30日の発売に向けて,コーエーテクモゲームスのバランス調整に引き続き注目したい。
「三國志12」公式サイト
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