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次世代APU「Kaveri」は2014年1月14日に正式発表。最上位モデルは856 GFLOPSの「A10-7850K」に
初日である11日に開催された基調講演では,開発中の次世代APU「Kaveri」(カヴェリ,開発コードネーム)の概要と性能が公表され,ついに,正式発表が2014年1月14日になると予告されたが,本稿ではそんな期待の次世代APUについて,基調講演から明らかになったことをお伝えしていきたい。
Kaveriの理論性能値は856 GFLOPSに。Radeon HD 7750よりパワフル!?
現行世代である「Richland」世代のAPUだと,CPUコアは第2世代Bulldozerアーキテクチャ「Piledriver」ベース,GPUコアはRadeon HD 6000世代のものだったので,いずれも刷新されるわけだ。
Kaveriでは,GPUコアの演算ユニットたる「Compute Unit」を最大8基搭載。Compute Unitには,シェーダプロセッサ「Stream Processor」(以下,SP)16基一組の実行ユニットを4基搭載するので,総SP数は最大512基となる。
デスクトップPC向けKaveriの最上位モデルは,「Socket FM2+」に対応する「A10-7850K」となる予定で,A10-7850Kでは,4基のCPUコアが最大3.7GHz,512基のGPUコアが最大720MHzで動作するとのこと。そして,理論上の単精度浮動小数点演算性能は856 GFLOPSに達するとのことだ。
A10-7850Kの性能を示したスライド(左)。右写真はKaveriのGPUコアとIntel CPUの統合グラフィックス機能がダイサイズに占める面積を比較したスライドで,Kaveriではダイの約47%をGPU関連が占めるという |
この理論値がどういう計算で出てきたものかを押さえておこう。
まずSteamrollerコアのCPUは「1モジュールで2コア」という構成になっている。ここは現行世代の「Piledriver Module」と同じで,A10-7850Kも2モジュール4コア構成ということになる。そして,1基のモジュールは128bitの積和算ベクトルユニットを2基有しており,これらは1クロックで32bit浮動小数点の積和算を8個同時に処理できるので,CPUのFLOPS値は,以下の計算で118.4 GFLOPSと求められる。
次にGPUのほうだが,1基のSPが32bit浮動小数点の積和算を1つこなせるので,512基のSPが720MHzで動作するとした場合,FLOPS値は737.28 GFLOPSになるわけだ。
CPUとGPUを合計すれば855.68 GFLOPSで,四捨五入すると856 GFLOPSというわけである。Southern Islands世代の「Radeon HD 7750」が819 GFLOPSと説明すれば,その強力さは想像できるのではなかろうか。
もちろんこれはあくまでも理論値だが,それでも,「統合型GPU」として,相当な性能を持っていることは疑いようがない。
Kaveriの高い性能をBattlefield 4でアピール
Keveriでは,AMD独自のグラフィックスAPI「Mantle」と,プログラマブルサウンドエンジン「TrueAudio」を搭載することも,APU13では明らかになった。
KaveriはMantleとTrueAudioに対応する。ゲーマーとしては重要なポイントになるかもしれない |
基調講演では,A10-7850KとCore i7-4770K+GeForce GT 630のシステムで,「Battlefield 4」を同一グラフィックス設定で動かして,そのフレームレートを比較するデモが行われた。下にそのムービーを掲載しておこう。右側がA10-7850Kで,左がCore i7-4770K+GeForce GT 630。グラフィックス設定は「MEDIUM」とのことだ。
ムービーの中央に,「Fraps」によるフレームレートの表示が見えるが,比較対象は10fps代前半をうろうろしているのに対し,A10-7850Kは30fps前後に達しているのが分かる。滑らかさの違いも一目見て分かるほどだ。
まずメモリシステムには,HSAに対応する統合型メモリシステム「hUMA」(he
なお,これらについての細かい説明は割愛するので,それぞれのリンク先を参照してほしい。
なお,今回はKaveriのリリース予定と概要が発表されただけで,技術情報の開示は,2014年1月7日に米ネバダ州ラスベガスで開幕する展示会「2014 International CES」直前の5日になるとのこと。Kaveriの詳細が明らかになるのは,もう少し先になりそうだ。
躍進するAPUに賭けるAMD
基調講演で語られたのは,Kaveriの話だけではない。講演を担当したAMD上級副社長兼グローバル事業部担当ジェネラルマネージャーのLisa Su氏は,2011年から2013年までにわたるAPUの躍進ぶりと,HSAの広がりを説明した。
2011年に登場したAPUは,現在までに約1億個を出荷。採用する製品は,デスクトップPCやノートPCだけでなく,ゲーム機やサーバーにまで広がりを見せていると,Su氏は誇らしげに語る。
とくに躍進が著しいのが,「PC以外の分野」(non-PCs)だとSu氏は述べる。2014年には1億5000万台以上のAPU搭載システムの出荷を見込んでいるというが,その40%が,タブレットやゲーム機,サーバー分野といった「PC以外の分野」となるであろうとAMDは予測している。2015年以降には,PC以外の分野がAPU搭載システムの過半数を超えるだろうとのことだ。
2011年の登場以来,APUは1億台以上の搭載システムを出荷したという |
APUの採用分野はパソコンに限らず,他の多様な分野に採用が拡大している |
そして2014年以降,AMDはHSAによって,APUに大きなソフトウェアのパラダイムシフトを持ち込む。HSAを提唱したのはAMDだが,現在では同社のAPUに限らず,この枠組みを他社のSoC(System-on-a-Chip)などにも広げていくための業界団体「HSA Foundation」が,AMDの音頭で設立されている。
2014年1月にKaveriが登場することで,HSAも構想や利点を語る段階から,実際のシステムで性能と有用性を評価される段階に進むことになる。はたしてKaveriはGPUコンピューティングを利用するユーザーから,どのような評価を得ることになるのだろうか。期待を込めて見守りたい。
AMD Developer Summit 2013 公式Webサイト(英語)
- 関連タイトル:
AMD A-Series(Kaveri)
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