レビュー
あなたもA級スナイパーになれる,狙撃特化アクション
スナイパー エリートV2
凄腕スナイパーになって,大戦末期のドイツで大活躍
ユービーアイソフトから2012年8月9日にリリースされる「スナイパー エリートV2」(PlayStation 3/Xbox 360)は,第二次世界大戦下のヨーロッパを舞台にした三人称視点のミリタリーアクションだ。タイトルどおりスナイパー,つまり狙撃手の活躍を描いたもので,開発はイギリスのRebellionが担当している。同社は2005年に「Sniper Elite」をリリースしており,本作はその7年ぶりの続編として欧米のファンの熱い注目を集めているのだ。バキューン!
「スナイパー エリートV2」公式サイト
誰でも凄腕スナイパーになれる,
狙撃特化TPS「スナイパー エリートV2」をプレイムービーで紹介
ゲームの背景になるのは,ナチス第三帝国の敗北が決定的になった1945年。連合軍最高司令部は,一人の情報員,カール・フェアバーンをドイツの首都ベルリンに潜入させた。彼の任務は,第二次大戦末期にナチスが実戦に投入した史上初のロケット兵器,V2の開発/製造に携わった科学者がソビエト連邦に流出するのを防ぐことだ。連合軍は,のちに「ペーパークリップ」と呼ばれる作戦を展開し,多数のドイツ人ロケット技術者の確保に成功していたが,ソ連軍に包囲されたベルリンでは状況が異なっていた。
この時期,敵はすでにドイツではなく,戦後にアメリカの強敵となるソ連に移っていたのだ。ソ連がミサイルやロケットを開発してしまうといろいろやばそうなので,フェアバーンはドイツ兵だけでなくソ連の目もかいくぐってミッションを遂行していかなければならない。……やがて,物語は西ヨーロッパの人々の運命に関わる,より重大なものに変わっていくのだった。設定は,こんな感じだ。
目標をスコープの中心にとらえ,息をとめ,引き金を絞る。ライフルの銃口を飛び出した弾丸が見事にターゲットを貫く! ふっ,きまったぜ。という感じで,いやあ,狙撃ってほんとにいいですね。されるのはすごくイヤだけど。
狙撃モノとして日本でリリースタイトルとしては,本作と同じくユービーアイソフト(PC版はサイバーフロント)から発売された「スナイパー ゴーストウォリアー」などがある。ちょっと遅れちゃっているみたいだけど,続編の制作も進んでいるらしい。
また,いろいろなマルチプレイFPSでも,狙撃手は一定の人気を誇っている。ライフルを構えてクモのようにじっと待ち,敵の頭めがけてパシッ! とはいえ,あんまり狙撃手が多いと「おめえらが,そこでゴロゴロしているから,チームが負けたじゃないか」などと味方に怒られることもあるので,いくら狙撃がお好きでも,ほどほどに。
上記のように,本作の舞台は第二次世界大戦で,現代戦を背景にしたものがほとんどになったミリタリージャンルでは,まずもって非常に新鮮だ。ドイツ兵はいかにも憎々しげでイイ感じ。廃墟となったベルリンの街や,ドイツ軍のV2工場などもムード満点で,グラフィックスのインプレッションは良好だ。
主人公のフェアバーンはそんなマップを移動しつつ,敵を倒していくのだが,このゲームでおそらく最も重要なメカニズムである「狙撃」はかなり細かい。実際同様,「姿勢」「心拍数」「弾丸の落下」,そして「風の影響」が絡んでくる本格的なものになっているのだ。初速がどんなに高くても,弾丸は放物線を描いて飛んでいくので,遠くにいる目標を狙う場合はそれを考慮に入れて,照準の十字線を目標のやや上に置かなければならない。また,横風については,スコープ上部のメーターやオブジェクトの動きなどから確認するといったアンバイで,なかなか凝っており,こうしたことを考えて放った弾丸が命中してドイツ兵がくずおれると,気分はもう一級狙撃手だ。オレ強い。強すぎ。
また「跳弾」も再現されており,例えばドイツの兵のヘルメットに当たった弾丸が跳弾になり,背後の別のドイツ兵を倒すといったことも起きる。
画面で確認できる心拍数が一定以下のときに所定のボタンを押すと「フォーカスモード」になり,時間の経過が遅くなって目標にゆっくりズームインしてくれるので,狙撃しやすくなる。逆に,走ったり登ったりして心拍数が上がっていると,弾が当たりにくくなるわけで,そういうところまで再現されている。ここまでやってくれる狙撃ゲームは,個人的に初めてだ。
一度見たら忘れられない,「キルカメラ」
クリティカルヒットになると,視点が飛行する弾丸に移動し,ターゲットに命中する模様がスローモーションで描かれる。また,一撃で敵をしとめると,ヘッドショットとかバイタルショットとかが発動するのだが,たぶんさらにうまく狙いが定まると,命中した瞬間,ターゲットの骨だの筋肉だの内臓だのが透けて見えるようになり,それらに弾丸がめり込み,あるいは破壊していく様子が描かれるという,すごい演出が施されている。
口で説明するより,掲載したスクリーンショットを見てもらうのが分かりやすいと思うけど,これが本作のウリの一つである「キルカメラ」(英語では,X-Ray Killcam)で,最初に見たときはかなりビックリした。
写真だけだと「苦手」という人も出てきそうだが,シリアスというよりはまさか!と,ちょっと笑っちゃう雰囲気があり,個人的には,このキルカメラ見たさにゲームに熱中した。これがバシバシ決まると,俄然面白くなってくる。
また,わざと敵の足などを撃って負傷させ,助けに駆けつけたもう一人の敵もろとも撃ち倒すという,凝ったこともできる。筆者が映画で見たところ,これは現実の狙撃手もやる(らしい)テクニックで,やられたほうはたまったものじゃなさそうだ。戦場で狙撃手が嫌われるわけです。
このように,狙撃の再現度は非常に高いが,ビギナー狙撃手向けのアシスト機能も用意されている。これは,「照準アシスト」と呼ばれるもので,心拍数が一定以下のときにフォーカスモードを使うと,風や重力の影響を計算して,命中する地点を表示してくれるというものだ。遠距離射撃のときに効果絶大。また,敵の兵士に目印を付ける「タグ」機能もあり,物陰に隠れた敵の位置や状態まで分かるので便利だ。さらに敵の方向や,敵がこちらに気づいているかなどが分かる,「脅威インジケータ」も戦場で役に立つ。
以上,弾丸の落下や風の影響,アシスト機能の有無などで,ゲームの難度が3種類に分かれている。高難度ではもちろん各種アシストが使えなくなり,より緊迫した戦いが堪能できてしまうのだ。
狙撃だけじゃない
楽しい近接戦闘や楽しそうなマルチプレイもご用意
ただし本作では,ひたすら遠距離狙撃をするだけでなく,出会い頭の撃ち合いや近距離戦闘なども割と頻繁に発生する。フェアバーンが持っているのは,スナイパーライフルとハンドガン,そしてマシンガンの3種類で,各カテゴリーで一種類ずつ持てる。敵が落としたマシンガンを拾って使うことも可能だが,その場合,それまで使っていたマシンガンを捨ててしまう。もっとも,最初から所持している銃弾は十分にあり,また銃弾を補給できるポイントもマップ上にいくつか用意されているので,ゲーム中に弾不足で困るといったことはなさそうだ。近距離の戦闘では,マシンガンが大活躍する。
ゲームでは,行くべきポイントとそこまでの距離が画面上に表示され,基本的に一本道となっている。それぞれのポイントで「アレをしろ」「コレをしろ」という指示が出るというスタイルだ。とはいえ,マップはかなり広く,さまざまな移動ルートが考えられる。また,敵の死体に地雷トラップを仕掛けたり,ドアに爆弾をセットしたりなどもできるため,ある程度限定されるとはいえ,さまざまな戦略が考えられそうだ。金塊などのコレクション要素もあるので,リプレイアビリティは非常に高いといえる。というか,書いているうちに,もう一周したくなってきた。
発売前ということで,残念ながら今回は試せなかったが,マルチプレイについても少々説明しておこう。本作のマルチプレイは基本的にすべて2人のプレイヤーによるCo-op(協力プレイ)となっている。Co-opには,キャンペーン全編を2人で進める「Co-opキャンペーン」,マップのあちこちにある部品を探しつつ,敵と戦う「ボミング・ラン」,ひたすらキル数を稼ぐ「キル・タリー」,そしてスナイパーとスポッター(観測手)が協力する「オーバーウォッチ」の4種類が用意されている。オーバーウォッチとか,通常,二人一組で任務に当たる本物の狙撃手っぽくて,面白そう。
久々の第二次世界大戦モノであり,ロケーションやグラフィックスを含めたゲームの雰囲気は良好。狙撃も凝ったものになっており,キルカメラというフィーチャーもユニークで,緊迫したスナイピングの醍醐味をたっぷりと味わえるはずだ。現代戦モノにやや食傷気味という人や,一級狙撃手を目指したい人は,ぜひプレイしてみよう。ズキューン!
「スナイパー エリートV2」公式サイト
- 関連タイトル:
スナイパー エリートV2
- 関連タイトル:
スナイパー エリートV2
- この記事のURL:
キーワード
(C)2012 Rebellion. The Rebellion name and logo and the Sniper Elite name and logo and the Sniper Elite Eagle are trademarks of Rebellion and may be registered trademarks in certain countries. Published and distributed by Ubisoft Entertainment under license from Rebellion and 505 Games. Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries.
(C)2012 Rebellion. The Rebellion name and logo and the Sniper Elite name and logo and the Sniper Elite Eagle are trademarks of Rebellion and may be registered trademarks in certain countries. Published and distributed by Ubisoft Entertainment under license from Rebellion and 505 Games. Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries.