インタビュー
「戦国無双 Chronicle 2nd」では,前作に盛り込めなかった要素をすべて実現。前作セーブデータの引き継ぎも明かされたショートインタビューを掲載
4Gamerでは,この体験会の合間に,プロデューサーを務める鯉沼久史氏から,本作に関するさらに詳しい話を聞いてきたので,その内容をさっそくお届けしよう。
「戦国無双 Chronicle 2nd」公式サイト
“2”ではなく“2nd”である理由とは
4Gamer:
よろしくお願いします。まずは今作について,“2”ではなく,“2nd”と位置付けた理由を,改めて教えてください。
順を追ってお話しすると,前作はニンテンドー3DSのローンチタイトルとして,開発を進めました。おかげさまで長く売れ続け,現在は出荷ベースで18万本を超えています。しかしその一方では,お客様からは「やってみたいけれども,店頭で売っていない」とか,「1年以上前のソフトを今さらやるのも……」といった声をいただくことがあります。
4Gamer:
タイミングを逸すると,なんとなく買えないということはありますね。
鯉沼氏:
また私達には,Chronicleシリーズが面白いゲームに仕上がったという手応えがあります。そこで今回,より多くのお客様に遊んでいただけるよう,いわば再ローンチしてみようと考えました。
しかし,ここで“2”と名付けてしまうと,あたかも前作で築いたものを一新してしまうかのようなイメージになります。今作では前作をベースに新たな要素を上乗せし,お客様の意見をもとに改良したり,あるいは前作では入れられなかった要素を詰め込んだりしたことを,お伝えしたかったので,“2”ではなく,あくまでも第2弾という意味を込めた“2nd”にしました。
4Gamer:
前作で入れられなかった要素と言いますと?
鯉沼氏:
無双シリーズには,基本的に2人で遊べる2Pプレイを入れています。これはお客様やショップさんから,ご兄弟やご家族,あるいは友人同士で遊べるよう,2Pプレイを入れてほしいというリクエストがあるからです。ところが前作はローンチタイトルということもあって,2Pプレイを入れられなかったんです。
また同じく無双シリーズには,多少のifを含めつつも基本的には史実に沿ったストーリーモードに加え,プレイヤーが腕を競うチャレンジモードを入れてきました。しかし,これも前作では実現できていません。
4Gamer:
今作では新モードの「猛将演武」で,チャレンジモードと3DSのローカル通信を使った2Pプレイの双方を実現していますね。
鯉沼氏:
そうです。協力プレイもできますし,ランキングで全国のプレイヤーと競うことも可能です。
4Gamer:
そのほか,プレイヤーからのリクエストで実現した要素はありますか?
鯉沼氏:
前作では,基本的に史実に沿った“歴史追体験”のできるシナリオを一つのウリとしていました。しかしそうなると,どうしても織田/豊臣/徳川という“勝ち組”の側しか楽しめなくなってしまいます。負けて滅びてしまう武将の側には,付けないんですよ。
戦国無双シリーズも,もう8年という長い歴史を持っており,それぞれの武将に対するキャラ人気も高まっています。そうなると,「この武将の側でゲームを進めたい」というお客様も当然増えてきます。そこで今作では,どの勢力にも付けるよう,マルチシナリオを採用しました。今川や浅井の側で遊ぶこともできますし,各勢力ごとの考え方の違いも示せたので,さまざまなお客様に楽しんでいただけると思います。
4Gamer:
今作ではシナリオが70超と,前作より大幅に増えていますよね。その増加分は,主にそうした各勢力を描く内容になっているのですか?
鯉沼氏:
そうです。ストーリーの幹となる部分は,基本的に前作を踏襲し,そこに枝葉を加えたようなイメージです。
4Gamer:
前作をやり込んだプレイヤーであっても,新たに楽しめるわけですね。
鯉沼氏:
それはもちろんです。幹の部分も,新キャラが加わったことで少し変更している部分もありますし,枝葉の部分はまったく新しいものですから,新鮮さを感じながら楽しんでいただけると思います。
とくに歴史はご当地とも結びついているものですので,史実の中で勝った負けただけではなく,この武将が好きだからという理由で遊んでいただくのもいいんじゃないでしょうか。
王道ではないが,ストーリーの枝葉を盛り上げる新キャラクター達
4Gamer:
なるほど,分かりました。それでは新キャラについて,教えてもらえますか。
戦国無双シリーズでは,久々の新キャラです。お客様やショップさんなどはもちろん,社内の戦国無双ファンからも「新キャラでプレイしたい」という声が挙がっていました(笑)。
4Gamer:
今回,新キャラが3人追加されますけれども,チョイスの基準は何でしょう?
鯉沼氏:
いつもそうなのですが,まずストーリーのどこに焦点を置くかを決めます。今回は,一本道からマルチシナリオに変更していますから,ストーリーにどうしても従来の無双武将が出てこない部分が生じてくるんです。選択基準の一つは,そういった部分を埋められるキャラということですね。
4Gamer:
なるほど。
鯉沼氏:
もう一つは,キャラの味付けです。藤堂高虎は,いかにも王道的なヒーローである真田幸村とは異なり,主君を7回も変えて自分の正義を貫いたという,少しダークヒーローっぽい存在です。“陽”の幸村,“陰”の高虎と対になるよう意識しました。
また井伊直虎は,これまでのシリーズに登場した女性キャラと異なる感じにしています。戦国無双の女の子というと強気で勝気な子ばかりでしたが,直虎は,周囲から戦うことを強いられているという位置づけです。史実上でも直虎は女性でありながら家督を継いでいますが,その背景にはそうせざるをえなかったということがあるようですね。
柳生宗矩は“刀を抜かない剣豪”という形で描いています。……あまり大きな声では言えないのですが,彼のような剣豪タイプは,武将と比べるといかようにも描けるので,マルチシナリオ上,扱いやすいんです(笑)。あとはやはり無双シリーズですから,一人は剣豪を入れたいという気持ちもありました。
4Gamer:
たしかに,いずれも堂々たる“(無双)武将”といった感じとは違うイメージですね。
鯉沼氏:
ええ,少しクセがあるというか,ストーリーの枝葉の部分を盛り上げてくれるようなキャラにしています。とくに高虎は,幸村とは全然違う立ち位置になっています。「こんなダークヒーローもいるんだよ」というところを出せたんじゃないでしょうか。
4Gamer:
なるほど。ところで試遊では,ゲームを冒頭から遊ばせていただいたのですが,チュートリアルが非常に親切になっていると感じました。
チュートリアルは,基本的に前作を踏襲しているのですが,より丁寧にしています。とくに前作では,キャラの切り替えが面白いけれども,少しハードルが高くて慣れるまでに時間がかかるというところがありました。そういった,お客様がつまずきがちな部分を,今作では重点的にフォローしています。
4Gamer:
ちなみに,前作からセーブデータを引き継いで遊ぶことはできるんですか?
鯉沼氏:
はい。所持金の一部とレア武器,そして前作で見たイベントのフラグを引き継げます。前作では所持金のカンストまで含めて,600時間以上もプレイしてくださったお客様もいらっしゃるようですので,もう一度同じことを最初から……というのは,さすがに忍びないと。
4Gamer:
引き継ぎは,具体的にどうやって行うのでしょうか。
鯉沼氏:
専用のアプリをニンテンドーeショップで無料配信します。指示にしたがって,前作と今作のROMを入れ替えていただければ引き継げます。
4Gamer:
3DSならではの遊びとして,すれちがい通信も強化されていますよね。
鯉沼氏:
前作のすれちがい通信は,おかげさまで大変好評でした。今作では,お客様ご自身で好きな名前を武器に付けられるようになり,個性ある武器を配信できますので,ぜひ楽しんでください。
また,いつのまに通信による武器の配信も,前作同様に行いますので,こちらも期待してください。
4Gamer:
分かりました。それでは最後に,戦国無双 Chronicle 2ndの発売に向けて,意気込みなどをお願いします。
鯉沼氏:
今作の大きなポイントは,マルチシナリオ化と,新モードでの2人協力プレイが可能になったことの2点です。ほかにも新キャラ,新ステージ,新武器,新アイテムと,前作のすべてをパワーアップしています。前作を遊んだ方はもちろん,そうでない方にとってもボリュームのある仕上がりとなっていますので,ぜひ遊んでみてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「戦国無双 Chronicle 2nd」公式サイト
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