プレイレポート
アップデートで爽快感が増した「討鬼伝」アクション体験版を再レポート。気力の変更でスピーディな戦闘が楽しめる作品に変化
4月に配信されたPS Vita用アクション体験版は,まだ荒削りな内容で,とくにアクションや移動のスピードについて,厳しい意見がプレイヤーから出ていた。それを受けてコーエーテクモゲームスは,異例とも言える体験版のアップデートパッチを配信した。これにより,プレイフィールは前回のプレイレポート時に比べて,別ものと言っていいほど変化。格段に爽快感が増している。
こうしたプレイヤーの声(アンケート)を反映し,その改善版を出すというのは発売後であればしばしば聞く話だが,体験版の時点でそれを行うのは珍しい。しかし,本作に興味を持っているプレイヤーとしては嬉しい対応だ。
さて,アクション体験版のプレイフィールが変化したということで,前回お届けしたプレイレポートの内容も,当てはまらなくなっているはずだ。そこで今回,アップデートされたアクション体験版 (Ver1.01)のプレイレポートを,変更されたプレイフィールを中心に,あらためてお届けしたいと思う。
なお,少しではあるが,PSP版についても言及していくので,PSP版を楽しみにしているという人にも,ぜひ目を通していただきたい。
アクション体験版でできることを再確認
まずは,アクション体験版で遊べる要素を改めて確認していこう。アクション体験版では,七つの任務(クエストやミッション的なもの)と4種類の武器,4種類のミタマ(※)が使用できる。任務は,弱い敵しか出てこない非常に簡単なものと,本作のメインパートとも言えるボス系の手強い鬼と戦うものに挑戦可能だ。
※装備することで,プレイヤーキャラクターの方向性をアタッカー(源頼光),タンク(土方歳三),ヒーラー(清少納言),デバファー(濃姫)に変更できる。出撃前にいつでも変更可能だ
ちなみに本作では,敵となるモンスター全般を指して「鬼」と呼ぶが,いかにも鬼らしい出で立ちのボス鬼,「ゴウエンマ」の討伐がひとまずのプレイ目標となっている。
任務中には素材なども手に入るが,この体験版ではそれを使って何かをするということはできない。6月中旬に予定されている製品版への引き継ぎが可能な体験版まで,その中身はおあずけといったところか。ともあれ,基本的な武器の操作方法や,強力な鬼とのバトル,つまりアクション要素が十分に体験できるものとなっている。
なお任務は,1人プレイ用のものとマルチプレイ用のものが用意されている。マルチプレイでは,アドホック通信での協力プレイが可能で,PS VitaとPSP間でのクロスプレイにも対応。一部任務内容は異なるが,マルチプレイ用の任務に1人でも挑戦可能だ。
本作では1人プレイ時でも,NPCの仲間を連れて行くことができる。ゲーム本編のストーリーモードでは彼らとのエピソードもあるようだ |
シングルとマルチ双方で七つずつ任務が用意されている。一つを除いて任務の内容は同じだ |
基本となる操作系も再確認
武器の操作方法は□ボタンと△ボタンに基本攻撃アクションが割り振られているほか,×が回避,○が気力を消費する特殊技といった割り振りになっている。これに加えて,□+×の回避攻撃と,△+○の部位破壊攻撃技が加わる。これらボタン同時押しの技は,PS Vitaではタッチパッドにも割り当て可能なので,好みに合わせて調整しよう。
また,左アナログスティックで移動できるほか,Rボタンを押しながら移動することで走ることができる(走っての移動は気力を消費する)。
各武器の操作方法は,チュートリアルに相当する武器指南とキー割り当てを表示する戦闘解説書で確認できる。チュートリアルをプレイしてみれば基本操作は分かるはずだ。
武器ごとに操作方法のチュートリアルが用意されている。まずはこれを一通り試そう |
操作方法は戦闘解説書でも確認できる。忘れたときはこちらが便利だ |
簡単な任務で武器の操作方法をいろいろと試すことができる |
一通り試したら,武器とミタマを選び,とりあえずミフチに挑んでみるべし |
より特徴が際立つようになった4種類の武器
体験版では,手甲,太刀,鎖鎌,弓といった4種類の武器が使用できる。それぞれに特徴があり,間合いなどが異なるので,いろいろ試して好みの武器を使うと良いだろう。
さて,Ver.1.01からは気力の消費量が減少し,回復速度が大幅に速くなったことで,冒頭で述べたとおり,以前の体験版と比べてプレイフィールはかなり変化している。これによって,自然と各ステップで技をつなげられる時間が長くなったので,単発気味だった攻撃も,武器ごとの技やコンボが派手に決まるようになっている。そこで,武器の特徴についてもあらめて確認していきたい。
いずれの武器もほぼ共通して言えるのが,○ボタンによる特殊技の気力消費量が目に見えて減ったことだ。そして,気力の基本回復速度が上がったことや,通常攻撃中も気力が回復するようになったことで,戦術に積極的に組み入れる余裕ができている。そのため,とくに太刀や鎖鎌の戦い方はかなり変わった印象だ。
●太刀
太刀は,□と△の通常攻撃の組み合わせで最大4回まで攻撃をつなげることができる。加えて,□+×の「翻身斬(ほんしんざん)」は攻撃後の硬直をキャンセルできるので,これを織り交ぜることで気力が続く限り技を繰り出せる。
Ver.1.01では気力消費が低下したことで,この翻身斬を気軽に連続攻撃の間に挟むことができるようになった。しかも「翻身斬」自体が移動しつつの攻撃であるため被ダメージ率が低く,攻撃範囲も広いという万能な技だ。通常攻撃中は徐々にではあるが気力も回復するので,ちょっと練習すれば,かなり長く連続攻撃を入れ続けられる。
また,△ボタンの長押しによる溜め攻撃「真空斬」の気力消費がなくなり,敵が動きを止めたときや攻撃の隙を突いて大ダメージを叩き込むことも容易になった。
○ボタンで発動させ,発動終了時に切りつけた相手に追加でダメージを与える特殊技「残心」も,発動中の気力消費が減ったことで発動時間が長くなり,より多くの攻撃を当てるチャンスが増えた。
さらに,発動中は敵の攻撃にひるまなくなったため,多少無理をすれば敵の近くに留まって攻撃を続けることも可能になった。さらに,最後に○ボタンを長押しすることで,攻撃しながら技を終了させることができるなど,使い勝手と与えるダメージが大幅に向上している。
もともと太刀は,全体的にくせがなく,攻撃をつなげやすいうえ,安定してダメージを与えられる武器だった。これに加えて気力の変更が行われたことで,溜め攻撃や「残心」といった大技が使いやすくなり,アタッカー(※役割を決めるのはミタマの種類ではあるが)として,ワンステップ上の戦い方ができるようになった印象だ。
●手甲
手甲は通常攻撃を4回までつなげられるようになったほか,ヒットした瞬間に□ボタンを押すことで出る会心のタイミングが緩和され,会心を出しやすくなった。また,特殊技の気力消費が減ったことで「百烈拳」を長く繰り出せるようになり,与ダメージが大きく向上している。
敵の防御力を「赤熱打撃」で下げつつ,重い一撃を叩き込んでいくという重戦車的な戦い方に変化はなく,太刀やほかの武器ほどプレイフィールの違いはない印象だ。しかし,会心タイミングの調整などによって使いやすくなっている。
範囲攻撃で防御力も下げられる「赤熱打撃」は,積極的に攻撃に絡めたい |
回避不可能な強力な攻撃を受けても,ガードでダメージ軽減できるのは大きい |
●鎖鎌
鎖鎌も太刀と同様に,戦い方の印象がかなり変わっている。気力消費の大幅改善で,特殊技「瞬迅印」の使用可能時間が大幅に長くなったところが大きいだろう。
このおかげで,技の使いどころが増えると同時に,「分銅射出」による滞空時間が劇的に長くなった。また空中で「飛び退き打ち」が可能になったことで,敵の足下に着地しなくてもすむようになり,まさに空中殺法によるヒット&アウェイができる。また,離脱後に気力が回復していくので,すぐに敵に飛びかかれるのも大きい。
分銅射出で飛びかかって切りつけるのが基本攻撃パターンだ |
高い位置に飛びかかれば着地までに3回は鎌攻撃ができる。さらに「瞬迅印」を使って分銅で飛びかかれば,そのまま地上に降りずに戦える |
滞空時間が延びたことで,主戦場が高所になり,ほかのキャラとはまったく違った場所での戦いが多くなる。ただ,それもあってミタマ「濃姫」との相性が若干下がった印象だ。背の高いゴウエンマのような鬼の場合,立っている状態で当てた「秘針」だと,鎖鎌のメインターゲットになる高所の弱点に届かないケースがあるのだ。そういう意味では「源頼光」との相性が増して,より攻撃的な武器になったとも言える。
とにかく動き回る忙しいプレイスタイルになるが,その分,爽快感もある武器だ。アクション体験版では唯一ジャンプできるので,ほかとは異なる視点で戦える面白さを体験してほしい。
敵の攻撃が足下に集中しがちな中,空中からの攻撃ができるため反撃を受けにくいなど,かなりトリッキーな動きができて楽しい |
鎖鎌の「鬼千切」は,鎌を回転させて投げつけるタイプなので,中距離から攻撃できる半面,放つまでにタイムラグがある |
●弓
弓は,鬼との距離が取りやすくなった印象だ。状況を見定めてサポートするという戦い方が,より生きるようになっている。
見た目の大きな変化は,△ボタン3回押しによる「番え攻撃」が変わったことだ。噴水のように青白いエフェクトが吹き出して,火花が落ちるまでに多段ヒットする攻撃になっている。やや射程は短めだが柱状の縦長の攻撃範囲を持っているので,直立しているゴウエンマなどは,ダメージを与えやすい。
また,特殊技の「呪矢」は,狙いを定めている間の気力消費が軽減されたことで,長時間狙いを定められるようになり,より多くのポイントにロックオンできるようになった。しかも,同じエリア内なら敵がどこにいてもロックオンできるので,射程を気にせず攻撃できるという,使い勝手の良さも特筆ものだ。
細かいところでは通常攻撃が連射可能になり,餓鬼などの雑魚鬼をさばきやすくなっている。飛び道具ならではの中長射程での戦いにバリエーションが増えた印象だ。マルチプレイなどで「とにかく死にたくない!」という初心者は,敵の攻撃パターンが分かるようになるまで,弓で安全な距離から回復などでサポートしながら戦うと良いかもしれない。シングルプレイでは鬼を倒すのに時間はかかるものの,仲間NPCキャラに前衛を任せながらの戦いは安定感が抜群だ。
アップデートによるミタマの変化は武器との相性くらいか
今回のアップデートでは,体験版で使える4種類のミタマ自体にはとくに変更はない。
ただし,気力の基本回復速度が向上したことで,源頼光のアドバンテージはやや薄れた印象だ。また,前述したとおり,鎖鎌と濃姫の相性もやや低下した。ただ逆に言うと,これが必須という感じも薄れたので,役割(ミタマ)の選択肢が広がったイメージだ。とはいえ,さすがに弓で「防(土方歳三など)」スタイルのミタマを選択することに,意味があるのかは微妙なところだが。
ちなみに,全体の動きがスピーディになったこともあって,ボス戦の討伐速度もかなり速くなっている。そのため頼光の「軍神招来」などの大技はクールダウンが間に合わず,使用する機会が減ったように思う。Ver 1.01では開幕からどんどん大技を使って,回復したころにだめ押しでもう一度,くらいの感覚で良さそうだ。
なお,ボス戦のある任務のスタート地点には,タマフリ(スキル)の使用回数を回復してくれる石碑が設置されている。ボスエリアにあるものでは足りない場合,こちらも利用すると良いだろう。
スピーディに,そしてより派手になった悪鬼討伐!
本作のメインディッシュとも言える,大型の鬼討伐任務。体験版ではクモ型のミフチと,ヒト型のゴウエンマの2種類と戦える。いずれも,初見では非常識とも思えるくらい凶悪な攻撃を仕掛けてくるのが特徴だ。そのうえ体力が減ってくるとタマハミと呼ばれる状態になり,部位も再生。凶暴化して全く異なる攻撃パターンで襲ってくるようになる。
しかし,どんな攻撃にもきちんと対処方法は用意されている。諦めずに,間合いやタイミングを見極めれば太刀打ちできるようになっているのだ。このあたりのうまいバランス取りは,「真・三國無双」シリーズなどを手がける開発スタッフならではと言えるだろう。
多彩な攻撃パターンに最初はとにかく驚かされる |
しっかりと観察してパターンを見切れば回避は可能だ |
ちなみにアップデートでプレイヤーキャラが素早く立ち回れるようになった分だけ,敵の一撃が痛くなったようだ。半分くらい体力があっても一撃で倒されてしまうこともある。体力は常に高めを保っておいたほうがよさそうだ。
このほかVer.1.01からは,部位破壊した跡がより明確な半透明で表示されるようになった。実体化した外殻がはがれて,物質とは違った鬼の魂がむきだしになった感じがよりイメージしやすくなったように思う。
また,エフェクト関係も大幅に見直されたようだ。とくに,プレイヤー側が矢継ぎ早に攻撃を仕掛けられるようになったため,画面全体が非常に派手になった。こうした派手な演出は,熾烈な戦いをしている気分にひたれて楽しい。
以上,今回の体験版のアップデートで変わったプレイフィールをメインに紹介してきたが,いかがだっただろうか。
開発スタッフは当初,1アクションの重みというものを重視していたようだ(公式サイト,開発者通信より)。しかし,プレイヤーの要望を受けて軽快な爽快さが楽しめるようにしたという。そういう意味では,敵の攻撃も避けやすくなったのだが,その分敵のダメージが凶悪になったことで,バランスを取っているのだろう。
気力はすぐ回復するので気軽に使っていける |
消費気力の低減によって鎖鎌の「瞬迅印」などは非常に滞空時間が長くなった |
なお,プレイレポートではとくにPSP版とVita版の差異に触れなかったが,実際ゲームを遊んでみた感触としては,キャラクターの動きはもちろん,部位破壊の表現についても同様なので違和感はない。もちろん,右スティックの存在の有無はあるし,画面の綺麗さという点ではPS Vita版が圧倒的だ。あらためてPS Vitaの有機ELディスプレイの性能を思い知らされる。
右スティックの有無に関しては,PSPなどでほかの狩りゲーを遊んでいたなら,そのときと同じ持ち方で問題ないだろう。PS Vitaのタッチパネルの操作にしても,「鬼ノ目」の使用はSELECTボタン,ほかはデフォルトでは通常のボタンで操作できるものなので,さほど気にしなくてもいい。
大幅なアップデートに加えて,6月中旬には製品版にデータを引き継げる体験版の配信予定もあるなど,プレイヤーの期待に大いに応えてくれている「討鬼伝」。
今回のアクション体験版をプレイして,まずその基本の基本をしっかりとつかんでおくと,今後の体験版,あるいは製品版を遊ぶときにいきなりトップギアで遊べるだろう。なにはともあれ,本作に興味を持った人や,前バージョンが合わなかったという人は,Ver 1.01以降のアクション体験版を遊んでみよう。
「討鬼伝」公式サイト
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