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「舞台ドリームクラブ」オーディションの模様をレポート。プロデューサーの岡島信幸氏と演出担当の深寅 芥氏,さらにはドリームエックスクリエイト代表の3名へのインタビューも掲載
ディースリー・パブリッシャーの「ドリームクラブ」シリーズは,ピュアな心の持ち主だけが入店できる大人の社交場“ドリームクラブ”が舞台の恋愛シミュレーションゲーム。ドリームクラブで来店者を接待する,純粋で清らかな心をもった乙女“ホストガール”達との恋愛を,1年間という期限内に達成するのが目的となる。
シリーズ第1弾は,2009年にXbox 360向けにリリースされた「ドリームクラブ」となり,その続編となる「ドリームクラブ ZERO」が2011年に発売されている。PS3向けには,Xbox 360版に新要素の追加やシステムリファインが施された,「ドリームクラブ Complete Edipyon!」「ドリームクラブZERO Special Edipyon!」が発売中。
そのほか,携帯機向けの移植版である「ドリームクラブ Portable」(PSP)や「ドリームクラブ ZERO ポータブル」(PS Vita),スピンオフ作品の「マージャン★ドリームクラブ」(PS3/Xbox 360)も発売されている。
その「ドリームクラブ」を演劇化した舞台は,2013年8月にラゾーナ川崎プラザソルで開催される予定だ。オーディション合格者は,「劇団ドリームクラブ」一次メンバーとして,この公演にホストガール役として出演する。本舞台で演出を担当する深寅 芥(みとら あくた)氏は,劇団「空間ゼリー」の演出家/俳優で,「ハロー!プロジェクト」の演出や演技指導も行っている人物である。
なお,オーディションには,女優,声優,グラビアタレント,雑誌モデル,コスプレイヤーなど,4月11日に告知が行われてから200名を超える応募があり,中でも受付最終日は公式サイトにアクセスが集中。送付された審査用の画像が高解像度だったこともあってか,サーバーがダウンするほどの反響があったのだとか。
少々前置きが長くなってしまったが,本稿では,書類審査を通過した約100名が参加したオーディションの模様をお伝えしよう。
また,審査終了後に行われた,演出家の深寅 芥氏,ディースリー・パブリッシャーの岡島信幸氏,そしてドリームエックスクリエイト代表の3名への合同インタビューも合わせて掲載している。舞台がどのような内容になるか気になる人は,ぜひ最後まで目を通してほしい。
「ドリームクラブ」公式ポータルサイト
「舞台ドリームクラブ」公式サイト
この日のオーディションには,書類審査を通過した約100名が参加し,5人一組での自己PR/歌唱審査/演技審査が行われた。
歌唱審査は,キャラクターソング「夢見るCagedBird」(亜麻音)「時間(とき)のカケラ」(るい)「Glory days」(ナオ)から,参加者が好きな一曲を選んで歌うという内容。中には,ゲームの振り付けそのままに踊りながら歌う人もいるなど,参加者のレベルの高さが垣間見られた。
ちなみに,オーディション参加者の中には,自己PR中に「Ride on time」で岡島氏も絶賛するほど見事なカワオケ(※シリーズ名物のほろ酔い状態で歌うカラオケのこと)を歌った人もいたのだとか。
演技審査では,「お客様との間にトラブルがあった亜麻音を,ナオ,雪,魅杏,玲香が慰める」というシチュエーションで,配役を何パターンか変更しつつ,審査が行われた。
ちなみに,オーディションで使用された台本は深寅氏が書き下ろしたものだ。舞台でこのままのシチュエーションがあるわけではないのだが,ゲーム版の主人公のデフォルトネームである「ドリームイチロウ」らしき名前も登場するなど,ファンには興味深い内容となっていた。以下に,その一部を抜粋して掲載しておこう。
ナオ:「ゴメンね亜麻音ちゃん。ボクがナツメさんを止めることができれば,こんなことにはならなかったのに。ただ,いくら酔っ払ってたっていっても,さすがにお客さんを蹴り倒す訳にはいかないし……」
亜麻音:「ううん。いいんです。私の態度が……いえ,ご対応がいけなかったんだと思います。皆さんがイチロウさんとお話ししてくれて助かりました」
玲香:「ごめんな亜麻音ちゃん。うちらも控え室に長く入り浸りってしもうたからな」
雪:「そうだそうだ! 亜麻音チンは悪くない! ナツメめ,今度来たらセッちゃんが激辛オムライスを食べさせてやる!」
魅杏:「今日は大丈夫! 私達がやっとくから」
そのほか,自己PRでは,ダンスのようなオーソドックスなものだけでなく,「洋式便器の絵を2秒で描く」など,さまざまな特技が披露され,オーディション参加者の経歴は実に個性豊かという印象だった。参加者の中から誰がキャストに選ばれ,8月の公演に出演するのか,今から楽しみである。
本稿の締めとして,オーディション終了後行われた,岡島氏,深寅氏,そしてドリームエックスクリエイト代表へのインタビューを掲載しよう。ファンの中には「3人?」と思う人もいるかもしれないが,写真を見れば分かるとおり,どこからどう見ても3人である。
なお,取材現場では,ドリームエックスクリエイト代表はなぜか取材陣と直接の会話を交わしてくれず,質問の回答はすべて岡島氏に耳打ちで伝え,それを聞いた岡島氏が代弁していた。記事では便宜上,代表の発言としているので,その点はあらかじめご了承いただきたい。
――本日はよろしくお願いします。まずは,「ドリームクラブ」が舞台演劇化された経緯から教えてください。
私は2004年から「空間ゼリー」という女性だけの劇団で演出をしていまして,2007年からは,ハロープロジェクトの演出と演技指導も行っています。
今回は,こうした私のキャリアを生かせる原作を探していたときに,「ドリームクラブ」という素晴らしい作品に出会えたので,ディースリー・パブリッシャーさんに舞台演劇化をお願いした,という次第です。
岡島氏:
まさか「ドリームクラブ」舞台化のオファーをいただけるなんて思ってもいなかったので,たいへん光栄でした。
「ドリームクラブ」は,3Dグラフィックスの手法で二次元の絵をリアルに動かすという,2.5Dとでもいうべきところを目指していたタイトルです。
それが舞台演劇化となると,本当の実写,三次元になるわけです。そのときにどういうものができあがるのか,「ドリームクラブ」を支持してくださっているピュアな紳士の皆様にどのように受け入れられるのか,今からとても興味があります。
二次元だろうが三次元だろうが,ドリームクラブは万全だ。100%,感動作になるに違いない。
――今回のオーディションでは,演技審査に深寅さんが書き下ろした脚本が使われていましたが,舞台とはあまり関係ないとお聞きしました。舞台がどういった物語になるか,すでに決まっているのでしょうか?
深寅氏:
オーディション用の脚本は,この日のために書き下ろしたものです。舞台本番用の脚本は,現時点ではまだ決まっていないのですが,すでに複数の脚本家に執筆依頼をしています。
ドリームクラブという場所を大切にしていきたいので,その中から選りすぐったものを舞台演劇化する予定です。
岡島氏:
ドリームクラブであれば,どんな物語も作れますからね。殺人事件でもいいですし,工事をしていたら温泉が湧いた,みたいな話でもいいですし(笑)。
――今回の舞台で,キャストを一般公募したのはなぜでしょうか。たとえば,ゲーム版の声優を起用するといった方法も考えられたとは思うのですが。
深寅氏:
ゲームには,“初めて指名してくれたのがプレイヤー”というホストガールが出てきますよね。一般公募にしたのは,こうした初々しさを表現するためです。
また,ゲームを遊んでいると,最初はたどたどしかったホストガールも,関係が深まるにつれてフレンドリーになってくれます。私は,そういうところに“育てていく”感覚を覚えたんですね。
キャストの皆さんを“劇団ドリームクラブ”という形にしたのは,舞台を通してお客さんに劇団を育てていただくという部分が,ホストガールを育てていくという原作の感覚にリンクすればいいなと考えたからなんです。
――深寅さんは,「ドリームクラブ」を遊んでみて,育てていく感覚のほかにはどのような部分が印象的に残っていますか?
深寅氏:
ホストガール自身の設定が細かいのに加え,ホストガール同士の人間関係も設定されているというように,一人一人が詳細に設定されている,という部分です。
衣装も,一人一人の制服が異なったデザインというのも魅力的ですが,店外に出たときの私服がセンスの良いチョイスになっている点が,とくに心に残っていますね。
それぞれのキャラクター性に合わせた楽曲も用意されていますし,こうした原作の細かい設定は,舞台でも大切にしていきたいです。
――ちなみに,深寅さんのお気に入りホストガールは誰でしょう。
深寅氏:
亜麻音,ノノノですね。ノノノが話す“未来”の話は,ミステリーな部分がたくさんあるのが面白いです。
――ディースリー・パブリッシャーからは,ホストガール全員に舞台に出演してほしい,というようなリクエストを出しているのでしょうか。
ゲームを作っている立場としては,舞台でキャラクター全員がフォローされていればいいとは思いますが,顔見世興行的に“ただ出ているだけ”では意味がありません。
何か訴えかけることがあって,お客さんに満足して帰ってもらわなければいけませんから,舞台は舞台として成り立つよう,深寅さんに上手くアレンジしていただければと考えています。
――自分の好きなホストガールを指名できる,というようなゲーム的な要素が,舞台版に取り入れられる可能性はありますか?
ドリームエックスクリエイト代表:
寝言は寝てから言いたまえ。舞台演劇で指名ができるわけがないだろう。
深寅氏:
舞台ドリームクラブは,男性の主人公がいるかどうかはまだ分かりませんし,もしかしたら,女の子だけの世界になるかもしれません。ただ,男性が主人公になるとすれば,ドリームクラブを愛する“ピュア紳士”達の代弁者として,感情移入できる存在にはなるはずです。
――ちなみに,シリーズ最新作の「ドリームクラブ5号店(仮)」が2013年内の発売予定とされていますが,今回の舞台に出演するキャスト達が,ゲームの声優としても出演するような展開の可能性はありますか?
ドリームエックスクリエイト代表:
あるかもしれないし,ないかもしれないな。そんな重要なことをここで明かせるわけがないだろう。
――読者に向けてのメッセージをお願いします。
深寅氏:
舞台の魅力というのは,「アナログ中のアナログであること」「劇場の中という場でしか提供できないこと」であると考えています。
「ドリームクラブ」をプレイして,“2.5Dを目指す”というコンセプトを感じることができたのが,今回舞台演劇化することになった理由です。ドリームクラブにいるという空気を,原作のファンの方に感じていただける――そんな作品にしたいですね。
岡島氏:
僕は代表の言ったことを実行するのが仕事です。深寅さんの演出家魂と代表のピュア魂,両者の折り合いが付くよう,誠心誠意,調整に努めます。
ドリームエックスクリエイト代表:
舞台にかける意気込みは深寅さん,岡島と同じだ。ポロリもあるかもしれないし,ないかもしれない。そこは,深寅さんがきっと何とかしてくれるだろう。
――では最後に,ドリームクラブはピュアな紳士でないと入店できませんが,代表の考える「ピュア」とは何でしょうか。
ドリームエックスクリエイト代表:
ピュアとは,自分の思いに正直に生きることだ。
――ありがとうございました。
深寅氏と岡島氏,そしてドリームエックスクリエイト代表へのインタビューから,舞台には原作ゲームのホストガール達が登場することは間違いなさそうだ。中でも演技審査の内容から,亜麻音,ナオ,魅杏,雪,玲香が登場する可能性は高いといえるだろう。
今回のオーディション取材では,「舞台ドリームクラブ」では殺人事件が起こるのか,温泉が湧くのか,そして“紳士のお楽しみ”は舞台上で再現されるのかどうかなど,どのような内容になるのかまでは見当もつかない状況だが,キャスト決定の報も含め,今後の情報に注目だ。
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