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「英雄伝説 閃の軌跡」先行体験プレイやトークセッション,スペシャルライブと盛りだくさんだった「トールズ士官学院オープンキャンパス」をレポート
このイベントは,「閃の軌跡」の主人公達が通う“トールズ士官学院”の授業をイメージした形で進行した。1時限目と2時限目は「閃の軌跡」の先行体験会,3時限目はホームルーム(トークセッション),4時限目は音楽(スペシャルライブ)といった授業内容だ。
ディスカッションのテーマは「ゲーム全体の感想」「キャラクターの感想」「音楽の感想」の3つ。約10分間のディスカッションを終えると,各グループが意見交換から導き出された感想を発表していった。
最初は,ゲーム全体の感想について。PS3/PS Vitaならではの美麗なグラフィックスや,クラフトの演出が前作よりパワーアップしていること,アーツの組み合わせを試行錯誤する楽しさ,敵シンボルを攻撃することで有利な状態でバトルに突入できる点など,システムに関する意見が多数飛び出した。
プレイヤーの意見を聞いた上倉さんは,同じ感想を抱いていたようで,自身が「閃の軌跡」をプレイしたときも「グラフィックスの美しさに感激した」とのこと。また,意識していないと気が付かないような細かい部分にも力が入っており,「揺るぎないファルコム魂を感じた」と語った。
岡島さんは,「閃の軌跡」を含むファルコム作品について「“景色を楽しめる”のも大きな魅力」とコメント。ずっと景色を楽しんでいたい気持ちにさせてくれると熱く語っていた。
近藤氏によると「閃の軌跡」のグラフィックスは,音楽もSEも用意されていない段階から作られていたという。その後,音楽とSEをグラフィックスに乗せるわけだが,するとそのシーンが一気に完成する感覚があるそうだ。ファルコム作品にとって,音楽がいかに重要なのかを教えてくれるエピソードだ。
さらに近藤氏は,これまでの軌跡シリーズは,バトルにおいて「見ている時間が長い」という意見が多かったことを明かした。この問題を解消するために,見ている時間そのものをなくすか,プレイヤーに介入してもらうか,という2つの案があったそうだ。
そこで,簡単なボタン操作を要求する新システム「リンクアタック」が生まれたのだという。その結果,戦闘がサクサク進んでテンポが良くなり,気持ちの良いプレイ感が味わえるようになったと分析した。プレイヤーも同感だったようで,「コマンドによって効果が変わるのが楽しい」と意見を述べていた。
続いては,キャラクターの感想について。ここでは,リンクアタック後のキャラクター同士の掛け合い,とくにリィンとアリサがハイタッチするシーンがすごく良いという意見が出た。また,「リィンが予想していたより真面目」「サラ教官,めっちゃカッコイイ! 強い!」「アリサが可愛い」といったキャラクターへのストレートな思い入れを感じる意見も。
近藤氏によると,当初,ハイタッチのシーンはスケジュールの関係であきらめるつもりだったという。しかし,急きょ「これは切るべきじゃない」と考え社長命令を発動。ハイタッチがなくてもゲームは完成するが,あったほうがプレイヤーに喜んでもらえるとの考えから,スタッフに頑張ってもらったと話した。
こうした意見を受けて,近藤氏は「軌跡シリーズでは,キャラクターの家族構成や過去のトラウマまでエグるように描いている」とコメント。参加者の笑いを誘っていた。「閃の軌跡」でもキャラクターの描写に関しては,「ぜひ期待してほしい」と胸を張った。
本作では,9人すべてのパーティキャラクターが最初から登場するが,このような展開はシリーズの中でも,「閃の軌跡」が初めてかもしれないとのこと。近藤氏は,これまでの作品では「1人ずつ描いていく丁寧さがなくなる」という理由から徐々にキャラクターが登場したが,「閃の軌跡」では最初から全員登場するほうがシックリくると語っていた。
3つめのテーマは,音楽について。「ノリの良いビート」「何度も聴きたくなる」「サントラが欲しい」といった,好意的な意見が連発した。また,「閃の軌跡」のために韓国から来たという熱心なファンは,「音質が綺麗で鮮やか」「画面と音楽がマッチしていて,心地良さと安定感が上がっている」「アクションが進化して,疾走感がある」などの意見を述べていた。
さらに,岡島さんは「ファルコムミュージックはただの情景描写ではなく,そのときのプレイヤーの感情を代弁しているのではないか」と続けた。近藤氏もこの意見に同意。このイベントでプレイできた「ガレリア要塞」の1シーンでは,戦闘からフィールド画面に戻ってもバトル音楽が途切れることなく流れるのだが,こうした演出を採用した理由は「(シーンが変わるたびに)曲を変えなくてはならないという固定観念にとらわれる必要はない」と考えたからだそうだ。
最後に近藤氏は,「今はRPGが厳しいと言われる時代だが,閃の軌跡は日本ファルコムにとって大きなチャレンジとなる。グラフィックスエンジンやツールもゼロから開発されているので苦労は多かったが,プレイヤーの応援のおかげで乗り切れた」とコメント。発売日(9月26日)を楽しみにしていてほしいと挨拶し,トークセッションを締めくくった。
トークセッションが終了すると,不意に後方のステージからファルコムjdkバンドのボーカル担当 小寺可南子さんが登場。「明日への鼓動」を熱唱した。このサプライズ演出に,会場は大いに盛り上がった。
続けて,「英雄伝説III 白き魔女」のエンディング曲「デュルゼルの手紙」,「英雄伝説 零の軌跡 Evolution」の主題歌「way of life」をジャズバージョンで演奏。そして最後は,「イースVI -ナピシュテムの匣-」より「パンドラ」を会場のファンと一緒に大合唱。ライブハウスさながらのパフォーマンスとテンションで,全5曲のスペシャルライブを駆け抜けた。
「パンドラ」では近藤氏にもマイクが向けられた。「台本にはない」と困惑していたが,覚悟を決めて歌い切った |
イベント終了後,ファルコムjdkバンドから来場者に特典CDが直接手渡された |
第1部終了後,近藤氏とファルコムjdkバンドを直撃
――第1部が終わったばかりですが,率直な感想をお聞かせください。
岡島俊治さん(ドラムス):
皆さんが活き活きと「閃の軌跡」を楽しんでいる様子を肌で感じられた,すばらしいイベントだったと思います。僕自身も「閃の軌跡」をプレイするのが楽しみですので,完成を楽しみに待ちたいと思います。
榎本 敦さん(ベース):
オープニングムービーもそうですけど,僕自身も今日初めて知った情報がたくさんありました。「閃の軌跡」をプレイして,「これは楽しみだな!」と体感できたイベントだったと思います。ライブも楽しくできました。
小寺可南子さん(ボーカル):
会場の入り口にファルコム作品のキャラクターの衣装が飾られていて,イベントに対する力の入り具合が,個人的にすごく嬉しかったです。さらに,会場内はもっと素敵なことになっていたので,今日はお客さんとして来たかったなと思うほどでした。お客さんを「うらやましいな」と思いながら見てましたね。こんな素敵なイベントに音楽担当として関わることができましたし,ゲームの発売がすごく楽しみです。今後もぜひこういうイベントをやってほしいです。そのときは自分で応募して,(お客さんとして)参加したいですね(笑)。
上倉紀行さん(キーボード):
今日のお客さんは抽選で来られていますが,グループ分けしていたときとか,昔からの友達みたいに仲良く意見交換していて驚きました。「閃の軌跡」の期待度の高さを強く感じました。ゲームはもちろん,楽曲も楽しんでほしいと思います。
近藤季洋氏:
ファルコムが開発中のタイトルの体験会を開くのは,僕が知っている限りでは初めてのことだと思います。準備もそれなりに大変で,本番までは心配でした。お客さんに(「閃の軌跡」について)何を言われるのかなとドキドキしていたんですけど,非常に心強い言葉をいただいたので,完成に向けてもっともっと頑張っていかなくてはと,決意を新たにしました。
「閃の軌跡」は新しいチャレンジをたくさん試みているタイトルです。あまりに売り文句のように使われているので,「総力を結集して」という言葉は好きではないんですけど,このタイトルについては本当に総力を結集しています。ファルコムは60人弱の会社ですが,1人1人が持っている力を出し切って,完成に向けて頑張っていますので,ぜひよろしくお願いします。
――小寺さんは新曲「明日への鼓動」を披露されましたが,いかがでしたか。
小寺さん:
「明日への鼓動」を聴いて,「これからストーリーが始まっていくんだな」というワクワクする気持ちを感じました。私自身,「閃の軌跡」のストーリーは全然知らない状態で歌いましたが,ゲームのヒントになればというか,皆さんにもワクワクした気持ちををプレゼントできればいいなと。そういう気持ちで歌いました。今後,いろいろなところで皆さんの耳に届く機会もあるということなので,そのときは一緒に歌っていただけたら嬉しいです。
軌跡シリーズを未プレイでも楽しめるシンプル設計
新機能「戦術リンク」がバトルの要に
ここからは,「閃の軌跡」の先行プレイレポートをお届けしよう。今回は,主にPS Vita版をプレイしてきたので,バトルに関するレポートが中心となる。
「閃の軌跡」は,軌跡シリーズの新作としては初となるPS3/PS Vitaタイトル。2004年に発売された「英雄伝説 空の軌跡FC」と同時代,同じ世界(ゼムリア大陸)の帝国を舞台としながら,まったく新しい物語が展開する。戦闘システムは,軌跡シリーズでおなじみのAT(アクションタイム)コマンドバトルを踏襲しているが,新機能「戦術リンク」の搭載によって,戦略性がアップしている。また,ハードの性能を活かした美麗なグラフィックスや,ファルコム作品のウリである魅力的なBGMも健在だ。
プレイし始めて最初に感じたのは,非常にオーソドックスなRPGの伝統を踏襲しているということ。筆者は,軌跡シリーズをほとんどプレイしたことがなかったが,なじみやすいキャラクターや,国産RPGならではのシンプルなUI(ユーザーインタフェース),オーソドックスなコマンド選択式のバトルシステム等,親しみやすいゲームデザインのおかげでスムーズにプレイできた。筆者のように軌跡シリーズを未プレイでも,国産RPGが好きなら違和感なくプレイできるだろう。
今回プレイしたデータは,キャラクターのレベルが50以上とかなり高かったので,特殊技「クラフト」や導力魔法「アーツ」などが使い放題だった。戦闘中に選べるコマンドは「攻撃」「アーツ」「クラフト」「移動」「退却」「道具」となっている。攻撃(通常攻撃)だけでもそれなりにサクサク戦えるが,せっかく高レベルのキャラクターなのでアーツを使ってみることにした。
アーツとはいわゆる魔法のことで,役割によって攻撃系と補助系が存在する。攻撃系アーツは,敵の技を封じる効果がある「スパークアロー」や「ジャッジメントボルト」,凍結効果がある「クリスタルスラッド」など。また,アーツには「地/水/火/風/時/幻/空」の7属性があり,敵にもそれぞれ属性有効率が設定されている。つまり,弱点の属性を突いて攻撃すれば,バトルを有利に進められるのだ。ただし,アーツは発動までに待機時間を要求されるものが多い。待機時間中は行動できなくなるので,アーツを使う際はこれを計算に入れておく必要があるようだ。もちろんアーツ自体はかなり強力なので,余力があれば積極的に使っていくべきだろう。
クオーツはさまざまな種類があり,それぞれにアビリティやアーツが封入されている。クオーツの組み合わせ次第で,同じキャラクターでもまったく異なるタイプになるわけだ。
また,クラフトもバトルでは欠かせない要素と言える。アーツと同様,攻撃系と補助系に分かれており,キャラクターのレベルが上がると覚えていく。クラフトはキャラクターの個性を反映しているので,それぞれ独自の演出が楽しめるのが特徴だ。
クラフトは,敵を攻撃したり,ダメージを受けたりすると溜まっていくCPを消費して使うことになるが,なかでもCP100以上で発動可能なSクラフトは強烈だ。対戦格闘ゲームに例えるなら“超必殺技”といった感じで,高威力なのはもちろん,挿入されるカットインも見応えがある。今回のプレイでも,Sクラフトのおかげでボス戦も苦労することをなくクリアした。ただ,レベル50を超えているとはいえ,さすがにSクラフトは使い放題ではなく,戦況に応じて使うタイミングを見極めることが重要だ。
トークセッションでもたびたび話題に上っていた新機能「戦術リンク」にも触れておこう。戦術リンクとは,仲間同士をリンクさせることでお互いに支援や連携を可能にするシステム。一定確率で味方をかばったり,瀕死の敵にトドメを刺してくれたりするので,なかなか重宝する。
敵を弱点の属性で攻撃すると,体勢を崩せる場合がある。このときに発動するのが「リンクアタック」だ。入力時間内にボタンを押すと,「バースト」「ラッシュ」「追撃」といった派生攻撃が繰り出せる。これは戦術リンクの最大の見せ場であり,カッコよく決めたいところだ。
また,リンクレベルを上げると,より強力なリンクアビリティを習得していく。リンク自体に制限はなく,好きな組み合わせでプレイすることが可能だ。戦闘終了後,リンクした仲間同士で掛け合いを披露することがある。キャラクターの意外な一面を見られるので,さまざまなパターンを試してみたくなる。
今回はプレイ時間が限られていたとはいえ,「閃の軌跡」が持つシンプルながらも奥の深いゲーム性を感じることができた。シリーズ未経験でも安心して遊べることは筆者で実証済み。シリーズのファンなら,より試行錯誤しながら楽しめるはずだ。発売日(9月26日)はまだ先の話だが,現段階よりさらにブラッシュアップされた「閃の軌跡」をプレイするのが,今から楽しみでならない。
「英雄伝説 閃の軌跡」公式サイト
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