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MMORPGはここからが勝負――「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」ローンチ直前,プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏インタビュー
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印刷2013/08/27 00:00

インタビュー

MMORPGはここからが勝負――「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」ローンチ直前,プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏インタビュー

今日のプレイ予定はスマホで決める?

スマートフォンアプリの完成度は必携したくなるレベル


4Gamer:
 いろいろ安心できたところで,ローンチ周辺でのお話も教えてください。たしか開発中のスマートフォンアプリは,正式サービス開始に合わせて公開ということでしたが。

画像集#006のサムネイル/MMORPGはここからが勝負――「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」ローンチ直前,プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏インタビュー
吉田氏:
 ええ,いま手元にありますが,これが「ライブラエオルゼア」というタイトルのアプリになります。自分のキャラクターをどこからでも見られるという機能もあるんですが,基本は新生FFXIVのデータベースになります。
 例えば,ラノシアのサブクエストを探したいと思ったら,すべてのサブクエストが一覧で表示されます。その中から一つ選ぶと,どのNPCから受けて,どんな報酬がもらえるかが分かりますし,NPCを調べればどんなクエストを持っていて,どこにいるのかも分かります。情報が相互リンクされている状態の完全データベースですね。

4Gamer:
 おお……完全すぎませんか,これ。なぜ,これだけの情報を網羅したものに?

吉田氏:
 帰宅途中の電車の中で,自分のキャラクターと同レベル帯のクエストを検索して,今日はどこから始めようかと悩めると思うんですよ。逆にアイテム名から検索して,クエストで手に入るのか,ダンジョンで手に入るのか,モンスターがドロップするのか確認して,今日の行動を決めてみたりもできます。モンスターに関してもどこに生息していて,どんなアイテムを持っているのか,すべてデータベースになっていますよ。

4Gamer:
 それは便利すぎる。データを参照するためには,ネットにつながっている環境が当然必要ですよね?

吉田氏:
 これはロードストーン()に同じデータベースがあって,そこと連動しているものです。ですので,最新データを取得してしまえば,ネットにつながっていなくても,オフラインのデータベースとして機能します。

※公式プレイヤーコミュニティサイト「新生Lodestone」

4Gamer:
 それはありがたいですね。

吉田氏:
 ただし攻略情報だけは,プレイヤーのみなさんで書き込んでただきたいなと。例えば,アイテムレベル75の武器を検索すると,ダンジョン名やどのボスを倒すべきかは出てきます。でも,どうやって倒すのか,攻略情報まではありません。そこで,ロードストーンのデータベースにプレイヤーが書き込みできるようになっているので,そこで攻略方法を知る,といった感じですね。

4Gamer:
 なるほど。そうした情報もこのアプリで確認できるわけですね。

吉田氏:
 そうです。そのデータベースには,リンクを張ることもできますから,外部サイトに攻略記事を作ってから貼り付けてもらうこともできますし,海外のMMO攻略サイトと提携してリンクしたりといったことも全部できるようにしてあります。

4Gamer:
 本当に至れり尽くせりですね……。

吉田氏:
 スマホのアプリは,プレイの目的を見つけるためのものだと思ってほしくて,エオルゼアを解析するという意味で「ライブラエオルゼア」というタイトルにしたんですよ。

4Gamer:
 ブラウザであちこち調べなくても,このアプリだけで必要な情報が揃いそうです。

吉田氏:
 フリーカンパニーメンバーの装備や,フレンドの装備も確認できますから,ちょっとメンバーの装備が弱いなと思ったら,誰々さんの装備とりに行こう! なんてこともできますね。

画像集#007のサムネイル/MMORPGはここからが勝負――「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」ローンチ直前,プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏インタビュー

4Gamer:
 コミュニティ活性のツールにもなるわけですね。これは,ローンチ日から利用できるんですか?

吉田氏:
 予定としては,ネタバレ防止も含めて9月3日くらいにiOS版をリリースして,Android版は少し遅れてのリリースになります。

4Gamer:
 プレイヤーとして気になるところで,これは有料なんですか?

吉田氏:
 ダウンロードは無料です。データベースとその検索機能のご利用も無料になります。ただ,将来的に自分のキャラクターをエオルゼアにログインさせて,そこからアイテムの売買をするだとか,リテイナーを通じてアイテムを購入するといった機能を使うようになると,専用のサーバーを用意しないとなりませんので,そういった機能は有料にさせていただくと思います。

4Gamer:
 リテイナーがらみの有料部分については,追々ということですね。

吉田氏:
 そうです。初期にはありませんが,今後のアップデートで対応していきます。


カーバンクルやエギの見た目から受けるイメージ以上にテクニカルなクラス/ジョブの「巴術士」「召喚士」


画像集#008のサムネイル/MMORPGはここからが勝負――「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」ローンチ直前,プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏インタビュー
4Gamer:
 フェーズ4やアーリーアクセスで,「巴術士」をすでにプレイされている読者も多いと思うのですが,フェーズ4ではレベル20がキャップですからジョブは解禁されていませんでした。
 インタビュー掲載時には,すでに新ジョブを開放しているプレイヤーがいるかもしれませんが,巴術士のジョブ「召喚士」「学者」について教えてください。ベースになるのは「巴術士」なので,まずはそちらの特徴から改めてお願いします。

吉田氏:
 分かりました。旧FFXIVの中では,デバッファー(敵を弱体・無力化する役割)というポジションが抜け落ちていましたが,そこにあたるのが巴術士や召喚士になります。旧FFXIVに存在していたどのクラスにも該当しないタイプのDPS(※ダメージを稼ぐ役目のアタッカー/キャスター)ですね。

4Gamer:
 巴術士はカーバンクルを駆使しながら,複数のDoTを駆使して戦うクラスということですね。

吉田氏:
 ええ。具体的に話すと,例えばカーバンクルのいずれかを呼び出しておき,まず敵に対してバイオなどのDoTを打ちます。当然,対象の敵はこちらに向かってきますが,敵視がプレイヤーに行くとカーバンクルが自動で攻撃を始めて,敵視をとってくれます。

4Gamer:
 敵を押さえてくれるのが,ペット職の強みですよね。そして,DoTを切らさないようにうまく戦うことが重要になるわけですね。

吉田氏:
 そうです。しかし,DoTを一つずつ入れていたのではグローバルクールダウン(以下,GCD)の2.5秒をいちいち待たなくてはなりません。そこで「エーテルフロウ」というアクションの出番です。

4Gamer:
 それは,どういったものでしょう。

吉田氏:
 エーテルフロウというアクションによって自身にBuffがつきます。そのBuffをコストとして使えるインスタントキャストのアクションがあるんですよ。ですから,DoTを切らさないように維持しながら,GCDの合間にエーテルフロウを使ってインスタントスペルで攻撃して,ダメージを稼ぐわけです。

4Gamer:
 なるほど……。2.5秒のあいだにエーテルフロウを使った攻撃と,なかなか忙しそうですね。

吉田氏:
 さらに高レベル帯になると,敵にかかっている複数のDoTを周囲の敵にまき散らす「ベイン」というアクションも覚えます。

4Gamer:
 それは面白い効果ですね。弱体化魔法の使い方も変わりそうです。

吉田氏:
 ダンジョンで攻略を安定して進めたいときは,スリプルを使って1匹ずつ倒していく形になりがちです。でも,巴術士がいるときはスリプルをかけるよりも,ベインをうまく使ったほうが効果的です。
 例えば,タンクがまとめて敵視を集めている状態のところに,まずは1匹に集中してDoTを乗せまくります。そこにベインを打つと,周囲全体にDoTが感染して,自身はさらに攻撃魔法を詠唱する。さらに,ベインの追加効果が発動すれば,感染したDoTの継続時間がリフレッシュされます。結果,大きなDPSが得られることになります。

4Gamer:
 敵が多ければ多いほど効率もアップしそうです。タンクへのヒールは欠かせませんが。

吉田氏:
 総合的にかなりのダメージを出せますね。それに,巴術士は回復スペルもありますから,かなりおもしろいクラスですよ。

画像集#009のサムネイル/MMORPGはここからが勝負――「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」ローンチ直前,プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏インタビュー

4Gamer:
 派生ジョブである召喚士も同じDPSということで,このスタイルを継承することになりそうですね。

画像集#010のサムネイル/MMORPGはここからが勝負――「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」ローンチ直前,プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏インタビュー
吉田氏:
 ええ,巴術士がベースになっているので,先ほど説明したベインもそうですが,戦術はそのまま使えます。そこに「イフリート・エギ」「タイタン・エギ」「ガルーダ・エギ」といった召喚獣と,ジョブ専用で得られる5つのアクションが追加されます。巴術士のアクションに対して,さらに効果を上乗せするというイメージなので,召喚士も使いこなせればかなり強いですよ。

4Gamer:
 召喚士のエギというのは3種類で確定なんですか。

吉田氏:
 はい,3種類です。これ以上はレベルキャップが開放されたりしない限りは増えません。単純に見た目が違うだけで,効果が変わらないというオチになりますから。

4Gamer:
 というと?

吉田氏:
 例えば,いまのレベルキャップの中で,それぞれのエギに特徴をつけようとすればするほど,やはり際立ったものを用意しなくてはいけなくなります。ですが,そうなると一つのペットしか使わないとか,コンテンツによってこのペットしか出せないという結果になりがちなのです。

4Gamer:
 ああ,そういうことなんですね。それで,多くを出すなら効果が変わらないものになってしまうと。いまであれば,アタッカー(イフリート),タンク(タイタン),キャスター(ガルーダ)という最低限の特徴でまとまっていますけど,特徴が細分化したらエギに優劣が生まれそうですし。

吉田氏:
 そうです。それが仮にバトルコンテンツ上で非常に有効な特徴だった場合,もう絶対に召喚士はハズせないという話になるでしょう。でもそれは,僕達の基本コンセプトから外れてしまいます。クラスやジョブもそうですけど,無闇に増やすことがプレイヤーの幸せにつながるわけではないと考えていますから。

4Gamer:
 バランスあってのものだと。そのエギは,単純にレベルを上げれば召喚できるようになるんですか。

吉田氏:
 カーバンクルやフェアリーは,レベルアップで修得できますが,エギはジョブクエストをちゃんとこなす必要があります。

4Gamer:
 ジョブクエストということは,とくに蛮神を倒したりする必要はないんですか?

吉田氏:
 ある程度,蛮神の力を吸収して使役しようとするわけですから,メインストーリー上の蛮神は,倒しておかなければなりません。どのみち,シナリオを進めるためには倒す必要がありますし,立派な角のついたAFを着るためにも,がんばって倒してください。

4Gamer:
 それにしても話を聞いていると,巴術士も召喚士も思った以上にテクニカルなクラスという印象が強いですね。

吉田氏:
 だからこそ面白いクラスに仕上がっていると思います。単純にソロでプレイしているときもすごく楽ですけど。ペットが敵視をキープしてくれて,後ろから支援しているだけで敵が倒れていきますからね。でも,そこで巴術士は簡単だなと勘違いしてしまうと,あとで少し困ってしまうわけです。
 カーバンクルが可愛らしいから巴術士にしようというのも,もちろんアリですが,パーティで戦力になろうと思うと,いろいろ考えて行動しなければなりません。

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パーティを支える新たなヒーラーとなる「学者」


画像集#011のサムネイル/MMORPGはここからが勝負――「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」ローンチ直前,プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏インタビュー
4Gamer:
では,もう一方の派生ジョブである,学者はどのように戦うのでしょうか。

吉田氏:
 学者は完全にヒーラータイプで,特徴としては「陣形」を使います。

4Gamer:
 陣形というのは?

吉田氏:
 GT(グラウンドターゲット)で範囲を指定して,そこにドーム状の陣を作り出すんです。「野戦治療の陣」という形で張られるので,その中にパーティーメンバーが入ると,被ダメージカットという効果がかかり続けます。例えばボスと殴り合っている近接DPSやタンクのまわりに陣を張って支援する。学者は,そうやって全体に気を配るというジョブになりますね。

4Gamer:
 なるほど。サポート色がかなり強いジョブなんですね。

吉田氏:
 ですから,白魔道士を2人にするより,白魔道士と学者が1人ずついたほうが,支援系のバフが増える分,パーティの底力はアップします。僕らもエンドコンテンツの調整をしていたときは,学者なしではいられないくらいでした。

4Gamer:
 そんなに違うんですか。

吉田氏:
 うまい人がやると,本当に素晴らしい活躍をしてくれるんですよ。フェアリーが持っているヒールも,パーティメンバーにちゃんと飛びますし。その意味で,それなりにMMOの経験があったり,腕に覚えのあるプレイヤーさんにこそオススメしたいジョブです。

4Gamer:
 4人パーティ用ダンジョンでコンテンツファインダーを利用すると,ヒーラーが1枠ということになりますが,そこに学者が入っても回復能力的にはまったく問題はないということですか。

吉田氏:
 全然問題ないです。ヒーラーとしてかなり優秀ですよ。

4Gamer:
 白魔道士と学者の差はどうでしょうか。あまりにも能力が高いと,今度は白魔道士が必要とされなくなりそうですが……。

吉田氏:
 白魔道士は大きな回復力を有していて,一発のヒールの大きさが圧倒的に上になるようにデザインされています。ただMPの消費が非常に激しいので,上位の魔法を連発するとすぐにMPが底をついてしまいます。
 対して学者は,パーティの能力を底上げしながら,全体をじわじわと回復していく感じですね。もちろん単体を大きく回復するスペルもありますが,燃費効率的にはあまりよろしくないです。

4Gamer:
 いざというときは,白魔道士の回復量に頼りたくなりますし,そのいざをできるだけ起こさないために,学者がうまく立ち回る感じなのかもしれないですね。では,学者での敵視の取得量はどうでしょう。

吉田氏:
 ペットクラスは,Masterとペットを合わせたDPSやヒール量で調整しているため,ほかのクラスに比べるとMaster自身が稼ぐ敵視は低めです。むしろ,ターゲットがヒーラーに向いてしまう場合は,タンクの頑張りが追いついていないということです。これは,タンクに敵視がしっかりと乗ってから攻撃を始めたにも関わらず,DPSにターゲットが向くような場合と同じで,タンクが必死にならないといけません(笑)。

4Gamer:
 ああ,そういうことは……よくありますね(笑)。

吉田氏:
 DPSの扱いがうまい人は,尋常じゃない火力を叩き出しますからね。ですからヒールの敵視でどうこうというのは,ほぼないと思ってください。それぐらい,エンドコンテンツにいくとヒール尽くしになるんですよ。
 一定周期で必ずダメージを受けてしまうギミックなどもあって,ヒーラーが暇になることはありません。むしろMP管理が必要で,最初はケアルを連発して凌いでおかないと,後半でもたなくなったります。

4Gamer:
 フェーズ3における,ダンジョン「奪還支援ブレイフロクスの野営地」のボスもそんな感じでしたね。

吉田氏:
 そうですね。ケアルには,15%の確率で次に発動するケアルラのMP消費が0になるという追加効果があるので,それが発動したらケアルラをかけていくような戦術を取らないと,まかないきれなくなります。ただ,ブレイフロクスの難度は本当に甘いほうだと思っておいてくださいね。

4Gamer:
 う,覚悟しておきます。ところで,フィジカルボーナスはどうなるのでしょうか。DPSとヒーラーとでは,きっと依存ステータスが異なると思うのですが。

吉田氏:
 巴術士と召喚士はINT依存で,学者はMND依存になります。

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