インタビュー
「東京魔人學園剣風帖」「九龍妖魔學園紀」で知られる今井秋芳氏が4Gamerに初登場。同氏が手掛けるスマホ向け新作カードバトル「サムライソウル」の魅力をたっぷり聞いてみた
本作は,従来のスマホ向けカードバトルにありがちなカード同士の戦闘力を比較するだけの単純なバトルではなく,トレーディングカードゲーム(TCG)のように,多種多様なスキルを持ったカードで戦略的なデッキを組んで対戦を楽しむタイトルだ。
今回はサムライソウルの監督である今井秋芳氏を迎え,タイトルの魅力や開発秘話をたっぷり聞いてみた。2013年を「再生」と「新生」の年であると位置付けている今井氏の近況についても聞いているので,往年のジュヴナイル伝奇ファンも必見だ。
「サムライソウル」公式サイト
今井氏と運営を担当するCJインターネットジャパンの二人三脚でサムライソウルを制作
本日はよろしくお願いします。今井さんといえば「東京魔人學園伝奇」シリーズでムーブメントを作ったりと,この業界で知らない人はいないと思うのですが……実は4Gamerに登場するのは今回が初めてなんですよね。
今井秋芳氏(以下,今井氏):
先日の「東京魔人學園伝奇」シリーズ(※1)のゲームアーカイブス配信をはじめ,コンシューマのタイトルで記事にしていただいたことはあると思いますが,こうして直接話をするのは初めてですね。
※1……ジュヴナイル伝奇シリーズは,1998年発売のPlayStation用ソフト「東京魔人學園剣風帖」を第1作とする作品群を指す。近代から現代の日本の学園を舞台として,まさに“ジュヴナイル的”作風を堅持しており,根強い人気を誇る
4Gamer:
今回は「サムライソウル」についての話がメインとはなりますが,最初に今井さんの近況をお聞きしておきたいと思います。東京魔人學園の後続タイトル「九龍妖魔學園紀」(※2)は,2004年の発売でしたね。
※2……2004年発売のPlayStation 2用ソフト「九龍妖魔學園紀」は,東京魔人學園シリーズと共通の世界設定を持っている。主人公は宝探し屋(トレジャーハンター)と呼ばれ,超古代文明の謎に迫っていく物語が展開される。
九龍妖魔學園紀からリリースの間隔が空いてしまいましたね。九龍が終わったあたりからは,企画を進めながら人材の育成にも力を入れていました。今後のタイトルを共に作っていけるような後進のクリエイターを育てること,同時に自分の裾野を広げたいという気持ちもありました。
4Gamer:
経済産業省主催の東京コンテンツマーケットへの出展というのも,裾野を広げる一環だったのでしょうか。
今井氏:
出展したのは「アーカムレポート」(※3)のPVなんですが,これは元々ゲームとして作ろうと思っていたものです。九龍の直後で,新ハードが出ていない時期でした。その時期にアーカムレポートを何社かに持ち込みましたが,面白い作品だけど「新しすぎて数字が見えない」「オリジナルすぎて手が出せない」と言われてしまいまして(笑)。
※3……「アーカムレポート」は,クトゥルフ神話をモチーフとしたミステリー作品。
4Gamer:
今井さんの作るタイトルは,職人が作る“商品”というより,芸術家が作る“作品”寄りだと感じています。
今井氏:
それはあまり良いことではないですよね,やはり収益も考えなければなりません。アーカムレポートは海外のパブリッシャにも見せたことがあって,「企画やコンセプトは良い」「自分は好きだ」と反応は悪くないのですが,最終的には「会社の上の人間を説得するのが難しそう」という結論に行き着くんです。いつか出せたらな,とは考えていますが。
アーカムレポートと同時期に考えていた「魔都紅色幽撃隊」(※4)は,かなり具体的になってきました。ジュヴナイル伝奇物の「魔人」「九龍」に続くコンシューマタイトルという立ち位置で,それぞれ舞台の年代は違いますが,高校生達の成長を描いている部分は共通ですね。
※4……「魔都紅色幽撃隊(まとくれないゆうげきたい)」はジュヴナイル伝奇シリーズの最新作で現在鋭意制作中とのこと。
4Gamer:
魔人,九龍,幽撃隊,サムライソウル,それらに共通する“ジュヴナイル伝奇”というジャンルには,強いこだわりがあるのでしょうか。
元々は海外のファンタジーやSF,スペースオペラなどを好んで読んでいて,ファンタジー作品を作りたいと思っていたのですが……。同時に「時をかける少女」や「ねらわれた学園」といったジュヴナイル作品も,夢枕獏さんや菊池秀行さんが描く伝奇物も好きで,気がつくと東京魔人學園ができていていました。正直なところ,ジュヴナイル伝奇だけを作っていきたい,と強く思っているわけではないんですよ(笑)。
4Gamer:
そうなんですか。ジュヴナイル伝奇の専門家といった風格すらあったのですが。
今井氏:
好きなジャンルであることは間違いありません。好きなジャンルだからこそ,より深くまで掘り下げていくことができますし,それは世界観の構築に役立っていると思います。サムライソウルや幽撃隊は相当深いところまで潜っていますので,ストーリーに注目してほしいですね。
4Gamer:
では,改めましてサムライソウルについて話を聞かせてください。そもそもサムライソウルという企画は,今井さんのチームと運営を担当するCJインターネットジャパンさん,どちらから出された企画なのですか。
今井氏:
私のほうから出した企画ですね。当時,CJインターネットジャパンさんは私のことを知らなかったと思うんですよ(笑)。
4Gamer:
今井さんは,現在のモバイル業界についてどんな印象をお持ちですか。
今井氏:
今のモバイル業界は,コンシューマゲームでいうと,ファミコンからスーファミに移行した時期に似ているなと感じています。ファミコンの頃は,いわゆる“微妙な作品”であっても,発売されれば嬉しいと思ったじゃないですか。何でもいいからプレイしたい,みたいな。
4Gamer:
お店に並んでいるカセットの箱を見ているだけで,ワクワクしましたね(笑)。
今井氏:
フィーチャーフォンから始まったモバイル分野でも,ゲームというメディアを手に入れたOLやサラリーマンといった普段ゲームをやらない層が,最初は何でもいいからゲームをプレイしていたのです。
ファミコンからスーファミに移行すると,プレイヤーの多くは「面白いタイトルしかやりたくない,同じような作品はもうたくさん」という気持ちになったと思います。モバイルでも同様で,コンシューマゲームをやらないようなプレイヤーでも,ゲームに対する目が肥えてきている感じがします。
4Gamer:
ゲームとして面白いかどうかを,モバイルのプレイヤーもよりシビアに判断するようになってきていると。
今井氏:
モバイル端末向けのゲームは数多く世に出ていますが,プレイヤーの目が肥えてきている現在では,生き残るためには「ゲームとして面白い」ことが必要不可欠です。実際,ヒットしたゲームを遊んでみると,クリエイター目線で見ても面白いと感じるんですよ。
4Gamer:
そうですね。最近ヒットしているタイトルを見てみると,ちゃんとオリジナリティがあって,それがうまく機能していたりしますね。
今井氏:
はい。ですので,コンシューマ出身のゲームクリエイター達は「ようやくバトンが戻ってきたか」と感じていると思いますよ。
4Gamer:
クリエイターとしては,やりやすい環境になってきていますか。
今井氏:
以前よりはやりやすくはなっていると思いますが……今回のサムライソウルをCJインターネットジャパンさんが受けてくれたことは,まだ稀な例だと思ってもいます。まだまだ業界には古い意識が残っていて,タップだけでプレイできるもの,収益が読めるよう売れているほかのゲームに似ているものが好まれているのも事実ですので。
スマホのゲームがもっと増えてきて,面白いゲームが今以上に求められるようになれば,ゲームクリエイターの復権もあるでしょう。
面白いゲームを作るのは“当たり前”。ちゃんと売るところまでが監督の仕事
サムライソウルにおける今井さんの立場は「監督・脚本」となっています。実際,ゲームのどのあたりまで関わっているものなのですか。
今井氏:
魔人も九龍もそうですが,企画からアートディレクション,仕様作成から,タイトルのすべてに関わっています。サムライソウルでは,カードバトルのシステム部分はもちろん,ストーリーパートも,イラストのチェックもすべてですね。スタッフからはよく無茶振りをすると言われたりもしますが(笑)。
4Gamer:
九龍では探索パートが謎解きありの3Dマップになっていたり,ミニゲームの「ロックフォード・アドベンチャー」が,ミニゲームとは思えないほどこだわって作られたりしていました。このあたりも今井さんの意向だったのでしょうか。
今井氏:
もちろんスタッフと協議はしますが,私の裁量によるところが大きいですね。ちなみに,ロックフォードの制作は,当時スタッフに大反対されました。「じゃ自分で脚本を書いてマップも作る」と宣言して制作を開始したわけですが,打ち合わせのときにスケジュールを確認すると,工程表にロックフォードがないんですよ(笑)。結局は自分で作りきりましたが,終わったあとでスタッフから「ロックフォード良いですよ!」と言われて複雑な気持ちになったりもしました。
4Gamer:
個人的な見解としては,ロックフォードのない九龍はありえません。
今井氏:
九龍はトレジャーハンターモノの集大成にしようと考えていました。「インディージョーンズ」「ハムナプトラ」「トゥームレイダー」など,古今東西のトレジャーハンターモノのエッセンスを分かりやすく集約させたのが,ロックフォードというミニゲームだったのです。
4Gamer:
話が逸れてしまいましたが,サムライソウルでもほぼすべての要素に関わっているのですね。
今井氏:
私が見ていないところはない,と言い切れるくらいです。ただ,良い作品がイコール売れる作品ではないことは九龍で学びまして,サムライソウルでは,CJインターネットジャパンさんのアドバイスも大いに参考にさせていただきました。以前は,良いゲームを作ることだけがクリエイターの仕事だと思っていましたが,監督としては「売れるゲームとは何なのか」まで考える必要があるんだなと痛感しました。
4Gamer:
面白いゲームであることが最低条件で,かつ売れるゲーム……理想はそこですよね。
今井氏:
プロですので,面白いゲームを作るのは“当たり前”なんです。なおかつ売り上げも期待できるようにして,制作スタッフや運営チームの方々,そしてプレイしたプレイヤーの皆さん,サムライソウルに関わるすべての人が「やって良かったな」と思えるタイトルを目指して制作しました。実際,自信を持ってお勧めできるタイトルに仕上がったと自負しています。
トレーディングカードゲームの醍醐味をスマホ向けカードバトルで実現
4Gamer:
今井氏:
サムライソウルは,ルールから新しく作り上げています。目指したのは,モバイル端末の機動力やサクサク感とコンシューマゲームのハイクオリティな部分,その両方の良いところを合わせたタイトルです。
4Gamer:
TCGの面白さを追求すると,サクサク遊ばせるのは難しくなるような気もするのですが。
今井氏:
例えば,任天堂さんの「カードヒーロー」は,スピード感のあるカードバトルで,しかもシステムも練られていてゲームとしてよくできていました。ですので,TCGとしてしっかり作り込んだものを作っても,モバイル端末ならではのスピード感は出せると思っていました。
4Gamer:
しかし,スマホ向けカードゲームというと,まったく違うものが多いですよね。
今井氏:
従来のスマホ向けカードバトルは,デッキとデッキが力のぶつかり合いで優劣を決めるという単純なものが多かったのです。それは,「カードに付与されるパラメータが多いと難しくなりすぎる」からだと説明されています。しかし,「ミラクル バトル カードダス」とか「ポケモンカード」といった子供向けのカードゲームでも,多数のパラメータを扱う,しっかりしたシステムを採用したものがありますよね。つまり,「パラメータが多いカードゲームは難しくてプレイする人が少ない」と決め付けるのは早計だと思うのです。
4Gamer:
TCGの面白さを,どうやってモバイル端末に落とし込んでいくかが焦点となったわけですね。
今井氏:
4Gamer:
どんなカードでも活躍できるようになるのでしょうか。
今井氏:
スキル次第ではありますが,最初にもらえるカードでも十分に活躍できます。例えば「相討」というスキルは,敵に攻撃されて負けてしまっても,相手のカードを道連れにすることができます。極端な例ではありますが,この相討を付けていれば,どんなにパラメータが弱いカードでも互角の戦いができると。もちろん,相討に対抗できるスキルもありますので,どんなに弱いカードであっても,逆にどんなに強いカードを持っていても,必ず駆け引きが発生するわけです。
4Gamer:
ベースになるカードは絵柄で選び,スキルだけ変えて戦う……ガンマンデッキや新撰組デッキが作れるわけですね。
今井氏:
ええ。ちなみにガンマンは元々「狙い」という遠距離攻撃可能なスキルを持っているのですが,これはサムライのカードに移植することもできます。刀を振って闘気を飛ばすイメージで(笑)。ですので,遠距離攻撃で攻める新撰組デッキだってできます。プレイヤーの数だけデッキのバリエーションがあると言ってもいいくらいです。
4Gamer:
なるほど。カードを作るうえでのポリシーはどんなところですか。
今井氏:
「使い捨てのカードを作らない」ことですね。カードそれぞれにプレイヤーの愛着があると思いますので,レア度が低いカードでも単なる合成のエサにしないようにしました。サムライソウルにもカード合成はあり,2枚のカードを合成すると片方がなくなってしまいますが,次のカードに必ずスキルは受け継がれます。次のカードに“ソウル”を託すわけです。
4Gamer:
確かにカードをまとめてエサにして経験値に変換,では味気ないですよね。「マジック:ザ・ギャザリング」(MTG)のデザイナーであるMaRo氏は「あなたはジグソーパズルが好きですか? それともレゴが好きですか?」とプレイヤーに問いかけました。個人的にこの質問が大好きなんですが,サムライソウルでは,レゴ的にデッキを“創造”することもできるのですね。
今井氏:
MTGは大好きです。以前社内でMTGが大ブレイクして,あれはロンドン大会の頃だったでしょうか。予選に出場するため横浜まで行って,対戦相手の小学生に瞬殺された苦い思い出があります(笑)。「ミラクル バトル カードダス」「ポケモンカード」そのほかにも数多くのTCGをプレイしてきましたが,原点はやはりMTGですね。TCGではありませんが「モンスターメーカー」も良くできたカードゲームで,個人的に結構遊びました。
4Gamer:
数多くのカードゲームに触れ,MTGをやり込む。そうした経験がサムライソウルに活かされているわけですね。
今井氏:
サムライソウルはルールをゼロから作っていますが,ゲームの流れや駆け引きの重点をどこに置くかなど,調整はかなり難航しました。ほんの少しの調整ミスで,冗長になったり,盛り上がりに欠けたりしますから。最終的にサクサク感を出した良いバランスに仕上がったと思いますが,TCGをプレイして得た経験が必要不可欠だったことは言うまでもありません。
4Gamer:
山札20枚,1ターンのドローが一気に2枚,そして場に出せるカードは3枚まで。スピーディな展開のプレイを目指すうえで,この枚数設定がベストだったのですね。
今井氏:
最初に考えたのは,土地カードを入れず,キャラクターカードだけで構成することでした。土地カードを入れてしまうと,土地とキャラクターカードの比率だとか,考えることが増えて,ハードルが上がってしまいます。スペルカードは入れたいと思ったのですが,重くなりすぎてしまうので今回は見送りました。なお,開発初期は紙にカードの効果を書き,リアルなTCGの要領でテストプレイをしたりしていました。
4Gamer:
サービス開始時のカードを初版とすると,初版には“まだ”スペルカードはない。という認識でよろしいでしょうか。第2版,第3版とカードがリリースされていくと,いずれスペルカードも含まれる……かもしれないと。
今井氏:
可能性としてはあります。MTGだと版ごとにトレンドとかもあったりして,そういった部分は意識しています。ただ,最初はTCGに馴染んでいない人にも遊んでいただきたいので,まずはキャラクターカードのみのリリースとなります。
自動プレイや倍速モードを搭載し,初心者でも手軽にプレイできる環境に
先日サムライソウルのテストプレイをさせていただきました。カードバトル部分を自動で行ったり,バトルの速度を倍速にできたりと便利な機能も搭載されています。しかし,自動プレイは奥深いカードゲームのシステムがキモのタイトルだけに,諸刃の剣なのでは,とも感じました。
今井氏:
自動プレイを入れるかどうかは,相当悩みました。いろいろ思うところはあったのですが,最終的には「人のプレイを見て覚える」ことはできると判断して導入に踏み切ったのです。チュートリアルもそうなのですが,最初は自動でカードが動いていくので,それをなんとなく見てもらう。それを続けていくと「このカードにはこういう使い方があるのか」と,少しずつシステムを理解していけて「ちょっと自分でやってみようかな」となるのかなと。
4Gamer:
自動プレイと対戦するNPC,双方の思考ルーチンを考えるのも大変だったのではないですか。
今井氏:
そうですね。基本的にはプレイヤーが有利になるようにしてあります。最初はプレイヤーと同じようなプレイをするようにしていたんですが,それだと完全に拮抗した戦いになってしまうんですね(笑)。デッキアウト戦が多発するため,敵の思考としては,1ターンに1枚しかカードを出さないようにしました。プレイヤー有利な状況ではありますが,弱いデッキのままだと少しずつ厳しい戦いになっていきます。合成を駆使しながら,デッキを強くしていく楽しみが味わえるのではないでしょうか。
4Gamer:
コンシューマゲームと違い,リリースしても終わりとはなりません。そのあたりは難しかったのではないでしょうか。
今井氏:
コンシューマよりも楽な部分もあります。コンシューマだとリリースまでにすべてを出し切って“完成形”にしなければなりませんが,モバイルの場合は,より良い要素や仕様があれば,その都度落とし込むことができます。その点は魅力的ですね。
今井氏:
もちろん,アップデートはいつでもできるから,体裁だけ取り繕えばいいという考えを持ってはいけません。クリエイターとして常に高い意識を持って,責任を持ってやっていきたいですね。
4Gamer:
イベントやアップデートの頻度は高いけれど,不具合が含まれる割合も高いとか,ソーシャルゲームではありがちですよね。
今井氏:
スタッフ一同,開発陣だけでなくカードの絵師さんも含め,プロ意識を持ってやっていきます。
ちなみに,カードのイラストについては,有名無名を問わず,同列でクレジットに名前を掲載しています。絵師さんの中には,モバイルのカードバトルのイラストは遠慮したい……という方もいらっしゃったのですが,企画書を見せ,タイトルの魅力をお伝えして協力していただけるよう取り計らいました。
4Gamer:
サムライソウルプロジェクトに賛同してイラストを描いてくださったわけですね。
佐々木小次郎(原画:岩元辰郎氏) |
織田信長(原画:金崎泰輔氏) |
アレキサンダー大王(原画:開田裕治氏) |
壱与(原画:きみづか葵氏) |
京極竜子(原画:碧 風羽氏) |
ローズ・オニール・グリーノウ(原画:まつやまいぐさ氏) |
今井氏:
ソーシャルゲーム関連の会社の方と会ったとき「カードのレアリティ=絵の上手さ」との話を聞いたことがあります。どうも,ノーマルカードは絵がそれほどうまくない人,レアは美麗なカードという認識があるようです。我々としては,「カードを描くのは全部うまい人がいい」と思うわけです。
なお,ゲームによっては,同じキャラクターなのに服装がちょっとだけ変わっていたりする“差分”のカードがあったりしますが,サムライソウルではそれは入れていません。200枚カードがあったら全部違う絵柄で,そこはウリの一つでもあります。
ストーリーパートは連載形式。定期的に物語が追加されていく予定
続いてストーリーパートについてですが,サムライソウルで注目すべき点はどこになりますか。
今井氏:
ネットワークで随時アップデートができる環境ですので,ストーリーを定期的に配信していきたいと考えています。サービス開始当初は2話分のストーリーがあり,それが連載形式で2週間に1回程度の間隔で1話ずつ増えていきます。例えば,15日と30日の0時はサムライソウルの新作配信というように,テレビでアニメやドラマを見るような感覚で楽しんでもらいたいですね。
4Gamer:
魔人,九龍,そして新作となる幽撃隊は,基本的に同じ世界設定の中で物語がリンクしていますが,サムライソウルはどうなるのですか。
今井氏:
サムライソウルも同じ世界観で,とくにコンシューマ用の新作となる幽撃隊とは,より密接な関係があったりします。サムライソウルは,魂(ソウル)を呼び出して戦わせる話,幽撃隊は霊(ゴースト)を扱った話となっていて,立ち位置は近いのかなと。
4Gamer:
魔人から始まった「感情入力システム」は,サムライソウルにも導入されていますね。
従来のアドベンチャーゲームにはないものをと考えて作ったシステムです。サムライソウルには,感情入力によって内部的に蓄積していくパラメータがあって,それによって対戦時のマッチングや、フレンドとの遭遇などに影響するようになっています。
4Gamer:
ストーリー自体も変わってくるのでしょうか。
今井氏:
アップデートでの連載スタート後の話になりますが,ストーリーを分岐させて“読み応え”のあるものにしたいです。
4Gamer:
ストーリーパートはビジュアルあり,音楽ありなので,相当大変ではないですか。
今井氏:
モバイルなので,1話5〜10分程度の短いストーリーにする予定で,コンシューマほどのボリュームはないので大丈夫でしょう。ちょっとした空き時間に軽く進められる物語で,その分,連載のサイクルを短くしたいと考えています。過去のストーリーはどんどん蓄積させていきますので,何度でも読み直すことができます。ただし,内部パラメータの蓄積は初回のみなのでご注意を。
4Gamer:
パラメータの変化は初回のみですか。今井ワールドの真骨頂ともいえる仕様ですね(笑)。魔人のアドベンチャーパート,とくにヒロインと仲よくなるルートの難しさが思い起こされます。
今井氏:
あれはですね,当時は「アドベンチャーゲームは1回しかやらないだろう」「話が分かったあとでやり直すことはないだろう」と思っていたんですよ。しかし,プレイヤーの中には何周もプレイして,話の分岐を全部確かめたいと思う人も結構いたわけです。
4Gamer:
そうした想定外のことがあって,ヒロインとのクリスマスイベントが迎えられないと話題に(笑)。サムライソウルでは,いわゆる正解の選択肢だけ選び続けることで見られる話などは用意されているのでしょうか。
そこまで厳しいフラグ立てはありませんのでご安心ください。記憶を失ったヒロインがどうなっていくのか,四鬼との戦いの行方は──など,ストーリーを読み進めていくことで,プレイヤーの環境は変わっていきます。自分なりに最善と思う選択をし,移り変わっていく物語を楽しんでいただけると幸いです。
4Gamer:
遊び応えのあるカードバトルと魅力的なキャラクター達が織り成す物語,どちらも期待しています。では最後に,この記事を読んでいる4Gamerの読者にメッセージをお願いします。
今井氏:
4Gamerの記事を読んでいる方も,ジュヴナイル伝奇を好きな方も一度サムライソウルをプレイしていただいて,世界に浸っていただきたいです。これをきっかけにカードバトルゲームを好きになってもらえたら,開発者冥利に尽きますし。今後ともよろしくお願いいたします。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「サムライソウル」公式サイト
「サムライソウル」iTunesサイト
キーワード
(C) 2013 CJ Internet Japan Corp. / NOWPRODUCTION, CO.,LTD All Rights Reserved.
(C) 2013 CJ Internet Japan Corp. / NOWPRODUCTION, CO.,LTD All Rights Reserved.