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「GSP 500」レビュー。名機「GAME ONE」の後継となるゼンハイザーの開放型アナログヘッドセットは,低域の再生能力と快適性の高さが強み
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印刷2018/05/28 00:00

レビュー

名機「GAME ONE」の後継となる開放型モデルは,低域の再生能力と快適性の高さが強み

Sennheiser GSP 500

Text by 榎本 涼


 今回は,2018年4月26日に国内発売となったSennheiser Communications製アナログ接続型ヘッドセット「GSP 500」を取り上げたい。

GSP 500
メーカー:Sennheiser Communications,問い合わせ先:ゼンハイザージャパン 03-6406-8911
実勢価格:2万7300〜2万8000円程度(※2018年5月28日現在)
画像集 No.002のサムネイル画像 / 「GSP 500」レビュー。名機「GAME ONE」の後継となるゼンハイザーの開放型アナログヘッドセットは,低域の再生能力と快適性の高さが強み

 すでにレビューを掲載済みの「GSP 600」と比べると製品名の3桁の数字は100低いが,GSP 600の2万7800〜3万2400円程度に対して2万7300〜2万8000円程度(※いずれも2018年5月28日現在)と,若干安価となるにせよ下位モデルという扱いではない。なら何が違うかといえばヘッドフォン部で,GSP 600が密閉型なのに対してGPS 500は開放型となっている。

 つまりはゲーマー向けヘッドセットの名機として知られる「GAME ONE」(※リリース当初は「G4ME ONE」表記)の後継となるわけだが,さて実力はどれほどだろうか。

●GSP 500の主なスペック
  • 基本仕様:アナログ接続型ワイヤードタイプ,オープン型エンクロージャ採用
  • 本体サイズ:未公開
  • 実測重量:約363g
  • 接続インタフェース:3極3.5mmミニピン×2(※PC接続用ケーブル),4極3.5mmミニピン×1(※ゲーム機&モバイル端末接続用ケーブル)
  • 実測ケーブル長:約2.4m(※PC接続用ケーブル),約1.3m(※ゲーム機&モバイル端末接続用ケーブル)
  • 搭載ボタン/スイッチ:ヘッドフォン出力音量調整ノブ,マイクミュート有効/無効切り替え(※ブームマイクの上げ下げによる)
  • 主な付属品:PC接続用ケーブル,ゲーム機接続用ケーブル
  • 対応ハードウェア:PC,Mac,PlayStation 4,Xbox One,Nintendo Switch,モバイルデバイス(※Xbox Oneの一部モデルは別売りアダプターが必要,モバイルデバイスは3.5mmミニピン端子が必要)
  • 保証期間:2年間
《ヘッドフォン部》
  • 周波数特性:10Hz〜30kHz
  • インピーダンス:28Ω
  • 出力音圧レベル:107dB SPL(@1kHz,1V RMS)
  • スピーカードライバー:ダイナミック型
《マイク部》
  • 周波数特性:10Hz〜18kHz
  • 感度:-47dBV/PA
  • インピーダンス:未公開
  • S/N比:未公開
  • 指向性:双方向(Bi-directional ECM)
  • ノイズキャンセリング機能:未公開


外観はGSP 600とほぼ同じ。機能も同様だが,よく見ると若干シンプル寄りに


 「下位モデルではなく,バリエーションモデル」なので当然と言えば当然だが,GSP 500の外観は遠目に区別がつかないほどGSP 600に酷似している。外観上の目立つ違いはエンクロージャ部の赤いワンポイントがGSP 600だと三角形風なのに対してGSP 500だと円,というかリング状になっていることくらいだ。

GSP 500(左)とGSP 600(右)の違い。エンクロージャ外面にある赤いワンポイント部のデザインが微妙に異なる。あえて言えばシンプルですっきりしたGSP 500,ゴージャスなGSP 600といったところか
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 開放型ヘッドフォンなのでもちろん開口部があるわけだが,これはうまくヘッドバンド部分に隠れるような配置なので,これもGSP 600と似た印象に拍車をかけていると言っていい。GAME ONEは本体側面にスリットが設けられた,分かりやすい開放型だったが,GSP500はスリットの場所にひと工夫がある。

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GSP 500にある,ヘッドバンドに隠れるような配置の開口部。金属製のメッシュがカバーとして入っている
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こちらがGAME ONEの開口部。開放型にはよくあるタイプで,エンクロージャ上のスリットから音が漏れる

 手に取って気付くのは,GSP 500のイヤーパッドカバーが全面メッシュ素材になっていること。GSP 600だと複数の異なる生地を使い分けるという豪華なものだったので,明らかに違うと言っていいだろう。
 ただ,こうなっているのは「GSP 500のほうが若干安価だから」ではなく,「開放型だから」だと筆者は考えている。密閉型のGSP 600ではできるだけ音漏れしないことが重要となるが,開放型であるGSP 500はそもそも盛大に音漏れする前提の設計なので,イヤーパッドのカバー素材も快適性をより重視してこういう設計にしたのではないか,ということだ。

GSP 500(左)とGSP 600(右)のイヤーパッド。GSP 500は全面メッシュ素材だ。それに対してGSP 600は外側が合皮,肌に触れる部分は最近流行のスポーツファブリックで肌触りのいいもの,内側は通気性重視のメッシュと3面で素材が異なっている
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 大きな違いはいま述べた3点で,それ以外はGSP 500とGSP 600で共通と判断していいように思う。本体実測重量は約363gで,同360gのGSP 600とほぼ同じだ。
 以下の機能,付属品を採用する仕様は両製品で完全に同じだ。なので詳細を知りたい場合はGSP 600のレビュー記事およびファーストインプレッションを参照してほしい。

  • 装着時に若干斜め前から音が鳴るようにすることで,定位感を向上させようとするスピーカードライバー配置
  • 装着時の前後中央を境にしてクッション部が2つに分かれ,そこに貼ってあるクッションは左右中央を境にしてやはり2つに分かれ,頭頂部への負荷を減らす「Split Headband」
  • Split Headbandの左右に1個ずつ,計2個のスライダーを搭載しており,これを動かすことでヘッドバンドの締め付け(≒側圧)を調整できる機能
  • 金属製の部品を採用することで強度を確保しつつ,前方と上方には5度〜10度くらい,後方と下方には30度前後回転するようにしてある「Solid Metal Hinge Design」
  • 世界にある耳の95%に対応できるという,独特のエンクロージャ&イヤーパッド形状
  • ブームを跳ね上げるとミュートが有効に,下げると無効になって入力できるようになるマイク
  • 右耳用エンクロージャ部の出力音量調整用ノブ
  • 着脱式で,先端が3極3.5mm×2のものと4極×1のもの,2本のアナログケーブル
  • 取り外してクリーニングできるイヤーパッド

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スピーカードライバーは若干傾いての配置となっている
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ヘッドバンド部はSplit Headband(スプリットヘッドバンド)仕様
スライダーによってヘッドバンドの締め付けを調整できる機能を使ってみている例。微妙な違いと思うかもしれないが,使って見ると効果はかなりある
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ヒンジ部に金属を採用することで強度を高めてあるSolid Metal Hinge Design(ソリッドメタルヒンジデザイン)になっている。プラスチック製ヒンジと比べて安心感があると言っていいだろう
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普通のヘッドセットと異なり,エンクロージャも底部がより前方に来るよう,角度が付けられているのがわかる。耳たぶがイヤーパッドと接触することなくエンクロージャを小型化する,Sennheiserではお馴染みの設計だ
左耳用エンクロージャ部のブームマイクを跳ね上げるとミュートが有効になる(=マイク入力が無効になる)仕様はSennheiserブランドのヘッドセット伝統の仕様だ(左,中央)。右は出力音量調整用ノブに寄ったところ
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ケーブルは2本付属。3極×2のほうは実測約2.4m,4極×1のほうは同1.3mとなっていた
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イヤーパッドは爪で引っかかっており,軽い力で外れ,かつ「パチン」とはめ込むことができる。着脱は簡単だ

マネキンに取り付けた例
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 ここまで同じだと装着感も同じと思うかもしれないが,肌に当たるイヤーパッド素材が異なるので,そこは大きく異なる。印象で言うと,「肌当たりを含め,タイトでしっかり装着でき,没入感の高いGSP 600」に対し,「肌当たりがよりさらっとしていて若干ルーズ。没入感より快適性優先で長時間の装着でもストレスの少ないGSP 500」といったところか。
 そもそも密閉型と開放型の違いとして,密閉型は没入感が強くなり,開放型は快適性が高い点が挙げられる。開放型は音漏れする分だけ音による耳への圧迫が少なく,その分だけ快適性が高いのだが,加えてGSP 500のイヤーパッドを全面メッシュにして快適性を高めているSennheiserの設計は実に正しいと言える。


「Sennheiserの開放型ヘッドフォン」風の,低域重視な特性を示すGSP 500


 以上,外観はGSP 600と共通点が多く,手短にまとめられたので,さっそくテスト結果を見ていこう。

 2017年5月時点において,4Gamerのヘッドセットレビューでは,以下のようにして実力を検証することになっている。

  • ヘッドフォン出力テスト:ダミーヘッドによる測定と試聴
  • マイク入力テスト:測定と入力データの試聴

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 ヘッドフォン出力時の測定対象は周波数特性と位相特性,そして出力遅延だが,アナログ接続型ヘッドセットで遅延計測はほぼ意味がないため省略し,今回は周波数特性と位相特性を計測する。
 具体的なテスト方法は「4Gamerのヘッドセットレビューなどにおけるヘッドフォン出力テスト方法」のとおりだ。

 一方,マイク入力の測定対象は周波数特性と位相特性で,こちらも具体的なテスト方法は「4Gamerのヘッドセットレビューなどにおけるマイクテスト方法」にまとめてある。基本的には,それらを読まずともなんとなくは理解できるよう配慮しているつもりだが,気になるところがあれば,それぞれリンク先をチェックしてもらえれば幸いだ。

 というわけで,いつものようにヘッドフォン出力から見ていこう。ここではCreative Technology製サウンドカード「Sound Blaster ZxR」と組み合わせた状態の出力波形をダミーヘッドで出力することになる。

こちらがリファレンス波形
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 本稿で示すテスト結果において,波形スクリーンショットの右に示した画像は,それぞれ「得られた周波数特性の波形がリファレンスとどれくらい異なるか」を見るものである。
 これは,Waves製アナライザ「PAZ Analyzer」で計測したグラフを基に4Gamer独自ツールを使ってリファレンスと測定結果の差分を取った結果だ。リファレンスに近ければ近いほど黄緑になり,グラフ縦軸上側へブレる場合は程度の少ない順に黄,橙,赤,下側へブレる場合は同様に水,青,紺と色分けするようにしてある。

 差分画像の最上段にある色分けは左から順に重低域(60Hz未満,紺),低域(60〜150Hzあたり,青),中低域(150〜700Hzあたり,水),中域(700Hz〜1.4kHzあたり,緑)中高域(1.4〜4kHzあたり,黄),高域(4〜8kHzあたり,橙),超高域(8kHzより上,赤)を示す。

 その結果は下に示したとおりだ。

90Hz付近を低域,6kHz付近を高域のそれぞれ山としたドンシャリ型。低域は90Hzより下で緩やかに,高域は11kHz付近より上でゆるやかにロールオフしていく。目を引くのは1.6kHz付近の大きな落ち込みで,それを除くと,中低域からプレゼンス(※)に至るあたりは非常に滑らかだ
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※2kHz〜4kHz付近の周波数帯域。プレゼンス(Presence)という言葉のとおり,音の存在感を左右する帯域であり,ここの強さが適切だと,ぱりっとした,心地よい音に聞こえる。逆に強すぎたり弱すぎたりすると,とたんに不快になるので,この部分の調整はメーカーの腕の見せどころとなる。


同じタイミングでテストしたわけではないため,あくまで参考だが,こちらがGSP 600の差分波形である
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 波形はやや低弱高強のドンシャリ型。GSP 600と比べると低域でも高域でもGSP 500のほうが山は大きく,またGSP 600にはない凹みが1.6kHz付近にあるというのが主な違いだ。
 細かいところでは,GSP 600は125Hz付近から上で急に波形が落ちるのに対し,GSP 500だと90Hz以上で1kHz付近まで緩やかに落ち込んでいく点も異なる。
 あえて言えば30Hz以下のロールオフはGSP 500のほうが大きく,低域はGSP 500が強いものの,それより低い超重低域はGSP 600のほうが大きいと予想される。

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 これを踏まえてステレオ音楽による試聴を行ってみるが,GSP 600が「重低域まで十分再生しながら,全体的には高域重視の,やや低弱高強型」なのに対し,GSP 500はGAME ONEの後継にしてSennheiserの開放型らしく,低域がより強く感じられる。少なくとも筆者の耳には,低域と高域がほぼイーブンに感じられた。
 低域は明らかにGSP 600より強く,その分だけ相対的に高域は弱くなる。これはGSP 600が125Hz以上で比較的急峻に下がるのに対し,GSP 500だと緩やかに落ちていき,ベースやバスドラムなど,多くの人が「低域」と認識する帯域が聴感上より多く残っているからだと推測できる。

 なお,いま「低域が強い」とは述べたが,これは市場によくある「強いだけで,むしろブーミー」な製品とは一線を画す,強すぎない程度にしっかりした非常にタイトな低域であり,ベースラインなど低音楽器の輪郭もはっきり分かる。ただ,GSP 600のほうが超重低域はきちんと聞こえるうえに高域もより繊細だったりするので,好みははっきり分かれるだろう。
 イマドキの言い方をするなら,「低音好きにはGSP 500,ハイレゾ好きならGSP 600」といったところか。

Razer Surround Proの設定。今回もフロントLRは前方に寄せているが,それ以外は弄る必要を感じなかった
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 「Razer Surround Pro」を用いたサラウンドサウンドの試聴に移ろう。今回もゲームタイトルは「Fallout 4」と「Project CARS 2」を用いる。
 まずFallout 4からだが,低域の量感はたっぷりありながらも高域は甘くならない。ヘリコプターを正面に捉えたときに聞こえるプロペラ音の前方定位もはっきりしている。

 GSP 600との違いだが,まず開放型は一般に密閉型と比べて重低域の出方が弱いこともあり,GSP 500のほうがどうしても重心が高い,つまり重低域〜低域成分たっぷりのシーンでも若干軽く聞こえる。
 Razer Surround Proは高域を若干落とす仕様ということもあり,高域の出方にGSP 600との違いは感じない。サラウンド感は変わらず見事で,音源を移動させてみると,その場所を前でも後ろでも確実に把握できる

 Project CARSでは主に,要所要所で鳴る後方敵車のガヤノイズやLFE(※)の応答などを見るが,敵車ガヤノイズはいつも以上に「いま強くなった」「いま弱くなった」と確認でき,ギアチェンジしたときなど,重低域の信号がLFEに入り,サブウーファが鳴った感じもしっかり聞き取ることができる。
 一方,LFE信号が恐らく入っていない状態における低域から重低域の出方だと,GSP 600との違いをあまり感じない

※Low Frequency Effect,低域効果音。(ゲームやビデオなどの)コンテンツ制作者が,「この音はサブウーファでのみ再生させたい」として,あらかじめ用意しておいた信号のことを差す。

やはり「参考までに」だが,こちらがGSP 600のテスト結果である。現在とグラフの見せ方が異なるのだが,橙がGSP 600の波形だ
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 続いてはマイクのテストである。
 マイクの外観はGSP 600とまったく変わらないのだが,結論から先に述べると,計測結果も同じだ。マイクはGSP 500とGSP 600で完全に同じものだと断言していいだろう。
 非常に素晴らしい特性のマイクをそのまま持ってきているわけで,使い回しはむしろよいことだ。アナログで広帯域を拾っているにもかかわらずパリッとした音で集音でき,かつノイズも少ない。

下は50Hz以下,上は16kHz以上でロールオフする低弱高強で,低域から6kHz付近のピークに向かって緩やかに高くなっていく印象。6〜12kHz付近が台形の頂上となっており,全体としてGSP 600のテスト結果とよく似ている
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双方向指向性,つまり口元と外側を中心に集音し,その“間”はあまり拾わないタイプのマイクなので,口側にもその反対側にもそれぞれ金属製のメッシュで覆われた空気孔がある。マイク部分の形状や大きさは大型で「伝統の」Sennheiserスタイル。一方,マイク設置の自由度はそれほど高くはない
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GSP 500とGSP 600はそれぞれどんなゲーマーに向くのか


製品ボックス。基本的にイマドキの高級な製品らしいシンプルな外装と内装だ
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 従来製品であるGAME ONEとGAME ZEROの間には音質傾向に明らかな違いがあり(関連記事),筆者はGAME ONEのほうがよいと感じていた。だが,今回GSP 500のテストを終えて分かったことは,GSP 500とGSP 600との間に極端な音質傾向の違いはないということだ。
 低域をよりしっかり再生でき,耳への圧迫が少なく装着時の快適性が高い開放型のGSP 500と,高域がより美しく,プレイ時の没入感が高い密閉型のGSP 600とをほぼ同時にほぼ同じ価格帯でラインナップすることにより,非常に高いレベルでSennheiserは方向性の違いを表現してきた,といった印象がある。

 そういうわけなので,GSP 500とGSP 600のどちらがよいかという質問には答えるのが難しい。こればかりはプレイヤーの好みと言うほかなさそうだ。1つだけ述べておくと,開放型のGSP 500は盛大に音漏れがあるので,その点は注意が必要だが,より「長時間プレイするときのストレスのなさ」を求めるならGSP 500のほうがいいと思う。

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 ゲーマー向けヘッドセットとしては文句なしに高額の価格設定なので,誰にでも買える製品ではないが,いずれも機能性に装着性,音質傾向すべての面でトップクラスであることは間違いない。機会があればGSP 500とGSP 600,両方試して選ぶことをお勧めする。

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