レビュー
長寿シリーズ最新作に盛り込まれた新機軸に迫る
ニード・フォー・スピード ライバルズ
ストリートレーサーと警察の両サイドを楽しめる
NFSシリーズ最新作が登場
レースゲームの長寿シリーズとして知られる「ニード・フォー・スピード」の最新作,「ニード・フォー・スピード ライバルズ」(PC/PlayStation 3/Xbox 360)が,2013年12月12日にエレクトロニック・アーツから発売された。
広大なオープンワールドを舞台に,ときにストリートレーサーとなってライバルとのバトルや警察とのカーチェイスを繰り広げ,ときに警察側となって交通ルールを無視して走り回るレーサー達を追いかけ回すという本作は,2010年に発売された「ニード・フォー・スピード ホット・パースート」の流れを汲む公道レースをメインにした作品に仕上がっている。
開発は,これが処女作となるスウェーデンのGhost Gamesと,前述のホット・パースートのほかに「ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド」などを手がけたイギリスのCriterion Gamesが共同で行っている。ゲームエンジンには「Battlefield 4」にも使われた「Frostbite 3」が採用されており,空気感のあるリアルなオープンワールドで,ライバル達との熱いカーチェイスが楽しめる。
「ニード・フォー・スピード ライバルズ」公式サイト
広大な都市をライバルと共有し,シングル/マルチプレイをシームレスにつなげる“ALL DRIVE”
本作の舞台は,約16×16kmという広さで再現されたアメリカの架空の都市だ。その内部はいつくかのエリアに分かれており,高層ビルの建ち並ぶダウンタウンや郊外,田園や森林,山岳地帯,砂漠,海岸線などロケーションは多彩だ。
都市のあちこちには,飛距離を記録する「ジャンプ」,一定区間の平均速度を記録する「スピードゾーン」,通過速度を記録する「スピードカメラ」といった,ライバル達と競える「コレクション」と呼ばれるスポットが配置されているので,お気に入りのマシンで爆走しているだけでもかなり面白い。
道路から外れて走ることもでき,気ままに移動しているだけでも結構楽しい。「Frostbite 3」らしく,道路脇のオブジェクトや,建物の一部が破壊可能だ |
常に画面の左上に表示され,目的地などを設定できる「EASYDRIVE」メニューがとても便利。操作は十字ボタンで行うため,ステアリングから手(指)が離れ,少しばかり危なっかしい運転になってしまうが,マップを表示して操作するよりはずっと簡単 |
都市にはAIが操るレーサーやパトカーのほかに,自動的にマッチングされた5人のオンラインレーサーが走っている。彼らもレーサーか警察のどちらかに属しており,単にドライブしていたり,警察に追われていたり,レースに挑戦していたりなど,それぞれの楽しみ方でゲームに参加しているのだ。
本作の大きな特徴は,このオンラインレーサーの存在による“ALL DRIVE”というプレイスタイルで,シングルプレイとマルチプレイがシームレスにつながっている。例えば,自分が「イベント」(さまざまなレースモード。詳しくは後述)を楽しんでいるときに,いきなり警察役のプレイヤーが追いかけてきたり,自分が警察のときに,ほかのプレイヤーを追いかけているNPCのパトカーに協力したりなど,プレイヤーが一つの都市を共有することで起きる,さまざまな突発的な事態を楽しめるというわけだ。
逃げるか追うか,どちらもやるべきことはただ一つ
……ライバルより速く走れ!
レーサーと警察,どちらにもざっくりした感じのストーリーが用意されており,それに沿ってゲームを進めていくことになる。物語はいくつかのチャプターで区切られており,レーサーならば「スピードリスト」,警察なら「任務」と呼ばれる目標をクリアし,「セーフハウス」(レーサー側)または「コマンド・ポスト」(警察側)に戻ることで,次のチャプターに進めるという流れになっている。
クリアの目標となる「スピードリスト」または「任務」は,チャプターごとに3種類用意されており,その中の一つの目標を選ぶことになる。内容は,「バトルをクリアする」「5回ラム(体当たり)をする」「ニアミスする」などとなっており,繰り返し挑戦しなければならないものばかりだ。ただし,成果はカウントされているので,一度にやり遂げる必要はなく,次のプレイではそこから再開となる。そのため,一度に短時間しか遊べない人でもプレイしやすい。
もちろん,レーサーまたは警察のどちらでプレイする場合でも,チャプターの目標をまったく無視してオープンフィールドを自由に走り回っても構わない。
レーサーでプレイすると,見つけたライバルに1対1のレースバトルを挑める。もちろん,ライバルからバトルを挑まれることもあるが,マシンの差が明らかなときなどは断れるので安心だ。当然ながら,設定されたゴールに先に着いたものが勝者になるわけだが,バトル途中で警察に見つかれば追跡されることになり,三つ巴のレースが繰り広げられる。
警察なら,レーサーを見つけたらサイレンを鳴らして追跡開始だ。レーサーのマシンを停車させるか,体当たりやガジェット(アイテム)を使って走行不能にすればいい。素直に停車して捕まってくれるわけがないので,結局は走行不能になるまでボコボコにすることになるはずだ。
レーサーでも警察でも,ゲームを続けていくとマシンは次第にボロボロになるが,「リペアショップ」(ガソリンスタンド)を通過するとダメージが回復され,ガジェットの使用回数も復活する。これをうまく利用しつつ,ライバルとのカーチェイスを楽しむのだ。
シングルプレイ中にもオンラインレーサーが乱入する
斬新なシステムが熱い
ライバルとの即席のレースや追跡劇のほかに,シングルプレイ用のレースやタイムトライアルなどの「イベント」も本作には用意されている。
「イベント」は,レーサー,警察で異なるものが用意されており,レーサーには,ゴールまでのタイムを競う「タイムトライアル」,警察の追跡から逃れる「インターセプター」,複数のライバルと順位争いをする「レース」,警察の追跡をかわしながらレースを行う「ホット・パースート」がある。
また警察には,レース中のレーサーを追跡し,ゴールするまでに指定された回数停車させるか破壊する「ホット・パースート」,ミニマップで指示されるルートどおりに走って所定の時間よりも早く目的地に向かう「ラピッド・レスポンス」,レーサーとタイマンで追跡劇を繰り広げる「インター・セプター」が用意されている。
イベントは基本的にシングルプレイ用なのだが,前述のとおり,例えば警察側でラピッド・レスポンスをプレイしていたところ,オンラインレーサーを発見したのでラピッド・レスポンスを止めて追跡に参加したり,レーサー側で逃げ回っていたら,NPCパトカーに混じって警察側のオンラインレーサーが追いかけてきたなんてことが起こる。ここでも,シングルプレイとマルチプレイがシームレスにつながっているというわけだ。
どのイベントにも難度が設定されており,高難度になるほど得られるSP(スピードポイント)が増える。このSPはイベントで獲得するほか,ライバルへの接触,ドリフト,ジャンプ,ニアミス,オブジェクトの破壊などの危険走行でも与えられ,これを使って新しいマシンやガジェット,アップグレードの購入などができる。したがって,なるべく多くのSPを稼ぎたいところだ。
獲得したSPは,セーフハウスまたはコマンド・ポストに戻ることで累積され,使用できるようになる。ただしレーサーの場合,警察に確保されると,それまでに獲得したSPはゼロになってしまうため,走行中に多くのSPが獲得できたら,なんとしてでもセーフハウスにたどり着きたいところだ。筆者はもっとSPを! と調子に乗ったせいで何度も多数のSPを水の泡にしており,そのときの心境といったら,もう「がっくし」としか言いようがない。
リペアショップの周辺でパトカーを破壊し,セコくSP稼ぎ。これで捕まったらすべて水の泡。難度の高いイベントを繰り返したほうが効率がいいかも |
警察に追跡されていても,セーフハウスにたどり着けばもう大丈夫。獲得したSPが利用可能になる。新車を買っちゃうぞ! |
憧れの高級スポーツカーでぶっ飛ばせ!
絶対に見られないパトカー仕様も登場
収録マシンの一部を軽く紹介すると,日産 GT-R Black Edition,レクサス LFA,ポルシェ ケイマン S,ランボルギーニ ヴェネーノ,メルセデスベンツ SLS AMG クーペ,ケーニッグゼグ アゲーラ Rなどのほか,本シリーズとしては7年ぶりにフェラーリ(エンツォ フェラーリ,599 GTO,458 イタリア スパイダー,F12ベルリネッタ)が収録されているのも見どころ。
一部の超高級マシンは,現実では絶対にお目にかかれないパトカー仕様になっており,見た目も格好よく,そんな,あり得ないようなパトカーでレーサーを追いかけ回せるのも本作ならではの要素だ。
なお,レーサーはチャプターをクリアすると新たなマシンがアンロックされるものの,SPで購入する必要があること,また警察は各チャプターの「任務」ごとにマシンバリエーションに違いがあることから,ゲームを終わらせたからといって,すべてのマシンが手に入るわけではないことを覚えておこう。普通にゲームを進めるだけでも,かなりの台数のマシンがアンロックされるが,すべてのマシンを手に入れようとするとそれなりに大変なので,ぜひ頑張ってほしい。
現実ではやってはいけないレーサーと警察の
“追いかけっこ”を楽しもう!
本作では,最高速度,加速,コントロール性,耐久性といったパラメータによって,マシンごとの挙動や性能に違いを持たせており,ドリフトが維持しやすかったり,コーナーリングからの立ち上がりが速かったりといったそれぞれの特徴がある。そのため,いろいろなマシンを走らせる楽しさが十分に味わえるが,基本的には,ゲームパッドの使用を前提にした,初心者でもプレイしやすいものになっている。
細かいマシンセッティングはできないが,レーサーが使うマシンについては「性能のアップグレード」で,各パラメータを5段階までアップグレード可能だ。また,「カスタマイズ」では,マシンのカラーリングやナンバープレートの編集などもできるので,自由にカスタマイズしてゲームに参加できるのも嬉しいところ。
また,レーサー,警察のどちらも,マシンごとに2つのガジェット(アイテム)を装備できる。ガジェットにはレーサーと警察の両方で使えるものと,どちらか一方で使えるものがあるが,マシンに電磁フィールドを張る「スタティックフィールド」,前方のライバルに電磁攻撃を行う「EMP」,衝撃波でライバルにダメージを与える「衝撃波」,路上にスパイクのついたベルトを配置する「スパイクベルト」,逃走中のレーサーの前方にパトカーとスパイクベルトを配置する「バリケード」,ヘリコプターからスパイクベルトを落とす「ヘリコプター」などがSPを使って購入できる。これらもアップグレードによって,性能強化や使用回数が増やせる。
というわけで,やはり本作の最大の魅力はレーサーと警察の両方を楽しめるところにあるだろう。しかも,使用マシンは手に入れることが困難な超高級スポーツカーで,そんなマシンを駆ってリアルに再現された都市を縦横にぶっ飛ばせるとなれば,車好きにとってはそれだけでも楽しいはず。
体当たりだけのデストラクションレースになりがちな部分は,ガジェットを使うことでゲーム性を大きく向上させており,プレイの幅が広がっている。ただ,ガジェットの中には非現実的なものもあり,人によって賛否両論ありそうだ。個人的には「アリ」だと感じている。
本作はドライブゲーム初心者から上級者まで幅広い層で楽しめるバランスになっており,“ALL DRIVE”という独特のシステムもうまく機能している印象だ。MMOタイプのレースゲームに興味のある人はぜひ挑戦してほしい。
「ニード・フォー・スピード ライバルズ」公式サイト
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(C) 2013 Electronic Arts Inc. Trademarks belong to their respective owners. All rights reserved.
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