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Intel,新世代モバイルCPU「Core M」プロセッサ計3製品を発表。ファンレスタブレットで新生FFXIVが遊べる時代が来る?
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印刷2014/09/06 00:30

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Intel,新世代モバイルCPU「Core M」プロセッサ計3製品を発表。ファンレスタブレットで新生FFXIVが遊べる時代が来る?

Core M-5Y70(写真中央)と既存のモバイル向け第4世代Coreプロセッサ(写真左)を並べて。パッケージサイズが大幅に小さくなっているのがよく分かる
画像集#002のサムネイル/Intel,新世代モバイルCPU「Core M」プロセッサ計3製品を発表。ファンレスタブレットで新生FFXIVが遊べる時代が来る?
 北米時間2014年9月5日8:30,Intelは,開発コードネーム「Broadwell-Y」(ブロードウェル ワイ)の名で呼ばれていた,モバイル向けCPU「Core M」プロセッサ計3製品を発表した。14nmプロセスで製造される第5世代Coreプロセッサでは初の製品で,4.5Wという低TDPを実現したことにより,厚さ9mm未満でファンレスのタブレット端末を実現できるようになったのが特徴だ。
 AcerとASUSTeK Computer,Hewlett-Packard,Lenovoが搭載製品を発表しており,それらは2014年第4四半期に登場の予定である。

 本稿では,Intelの日本法人であるインテルが開催した報道関係者向け事前説明会での情報をもとに,発表された3製品の仕様や特徴をレポートしたい。なお,Core Mプロセッサ(以下,Core M)の概要については,2014年8月の記事でも説明しているので,そちらも合わせて参照してほしい。

Intel,14nmプロセス世代で製造される次期モバイルCPU「Core M」の概要を発表。2015年のCore Mタブレットは厚さ9mm未満でファンレスに



最上位モデルのCPU動作クロックは定格1.1GHz

統合型グラフィックスはHD Graphics 5300に


 まずは発表された3製品のラインナップを説明しておこう。
 発表されたのは,「Core M-5Y70」「Core M-5Y10a」「Core M-5Y10」の3製品。いずれも2基のCPUコアと統合型グラフィックス機能(以下,統合GPU),記憶容量4MBの共有型L3キャッシュとメモリコントローラなどを搭載し,トランジスタ数は約13億個,ダイサイズは82mm2とされている。

Core Mのダイ写真と仕様を説明したスライド。統合GPUがダイ面積の半分以上を占めている
画像集#010のサムネイル/Intel,新世代モバイルCPU「Core M」プロセッサ計3製品を発表。ファンレスタブレットで新生FFXIVが遊べる時代が来る?

 ちなみに,“M-”に続く数字は第5世代Coreプロセッサであることを示すものとのこと。同世代の上位モデルとして“M-7”が登場したりすることは,少なくとも今のところはない,ということだ。

 動作クロック以外の仕様はほぼ同じで,いずれも物理コア数2基,論理コア数は4基となっている。今回の3製品と,Intelがベンチマークテストで新製品の比較対象としている第4世代Coreプロセッサ(以下,Haswell)「Core i5-4302Y」のスペックを比較したを掲載しておこう。

画像集#015のサムネイル/Intel,新世代モバイルCPU「Core M」プロセッサ計3製品を発表。ファンレスタブレットで新生FFXIVが遊べる時代が来る?

 さて,この表を見ると,5Y10aと5Y10のスペックは「Configurable TDP down」(以下,cTDP)以外まったく同じであることが分かる。インテル 技術本部 統括部長の秋葉正之氏によれば,5Y70と5Y10aは,cTDPの下限が3.5Wまでとなっているのに対して,5Y10ではこれが4Wだという違いがあるとのこと。つまり,5Y10のほうが若干だがバッテリー消費が多い可能性があり,ここで製品を差別化しているわけだ。

Intelが公開したCore Mのスペック表。5Y70のみ,管理機能の「Intel vPro Technology」やセキュリティ機能「Intel Trusted Execution Technology」にも対応している
画像集#014のサムネイル/Intel,新世代モバイルCPU「Core M」プロセッサ計3製品を発表。ファンレスタブレットで新生FFXIVが遊べる時代が来る?

 ゲーマーにとって最も重要な統合型グラフィックス機能(以下,統合GPU)は,どの製品にも「Intel HD Graphics 5300」という名称が与えられている。動作クロックを除けば,製品間で仕様に違いはないとのこと。
 GPUコア部分のアーキテクチャ自体は,Haswell世代の統合GPUから若干改良された程度らしいが,内蔵するシェーダプロセッサである「Execution Units」(以下,EU)の数は,Core i5-4302Yの「Intel HD Graphics 4200」が20基であるのに対して,24基に増量された。そのためIntelでは,前世代に比べて演算性能では20%向上したと主張している。

Intelが北米時間8月11日に公開したCore Mのスライドにあった統合GPUの説明。演算性能(Computes)が20%向上とあるが,この根拠が4基増えて24基となったEUというわけだ
画像集#016のサムネイル/Intel,新世代モバイルCPU「Core M」プロセッサ計3製品を発表。ファンレスタブレットで新生FFXIVが遊べる時代が来る?

 なお,統合GPUの名称に付けられた数字だけなら,Haswell世代の最上位統合GPUであった「Iris Pro Graphics 5200」より上である。だが,Iris Pro Graphics 5200は,EUの数が40基とはるかに多いので,グラフィックス性能では太刀打ちできないだろう。


2-in-1タイプのタブレットPCを狙うCore M


Core Mがターゲットに狙うのは,2-in-1デバイスやタブレット端末,より薄型のノートPCなどだ
画像集#008のサムネイル/Intel,新世代モバイルCPU「Core M」プロセッサ計3製品を発表。ファンレスタブレットで新生FFXIVが遊べる時代が来る?
 それでは,Core Mの特徴を見ていこう。説明会でCore Mの概要を説明した,クライアント事業開発部 マーケティング・マネージャーの小澤 剛氏は,Core Mを「新しいデバイスに向けた,Core i7などとは違うラインナップ」であると述べる。
 具体的には,ファンレスタイプの2-in-1デバイス,とくにディスプレイ部がキーボード部と分離して,単体のタブレット端末として使える「デタッチャブル」型の製品が,Core M一番のターゲットであるという。もちろん2-in-1デバイスだけでなく,従来よりもさらに薄いノートPCや単体のタブレット端末もターゲットに含まれているので,Core Mを採用した薄型ノートPCも当然登場するだろう。

 アーキテクチャの説明を担当した秋庭氏は,消費電力低減を実現するCore Mの特徴を説明した。
 Haswell世代のモバイル向けCPUは,低負荷の用途(たとえばタブレット端末)における消費電力を想定した「SDP」(Scenario Design Power)が4.5Wと謳われていたものの,より一般的な消費電力指標である「TDP」(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は,11.5Wもあった。低負荷時に4.5Wで動作するといわれても,高負荷時には11.5Wになってしまうのであれば,高負荷時に合わせた熱対策をせざるをえない。とくにゲーム時には最大負荷が継続することは明らかで,ファンレスのタブレット端末に搭載するのは困難である。
 それに対して,Core MはTDPで4.5Wを実現しており,消費電力は実に60%近くも削減されたことになるわけだ。また,CPUパッケージ全体のアイドル時消費電力を大幅に削減したり,「Free Integrated Voltage Regulator」(FIVR)と呼ばれるCPU内部の電源安定化回路に,電力変換効率を向上した第2世代FIVRを採用したりといった改良も施されているという。

Core Mの特徴を列挙したスライド。当然ながら電力関連の項目が多い
画像集#009のサムネイル/Intel,新世代モバイルCPU「Core M」プロセッサ計3製品を発表。ファンレスタブレットで新生FFXIVが遊べる時代が来る?

 Core Mだけでなく,それを搭載するシステム全体の電力や熱の管理もHaswell世代以上に徹底されていると,秋庭氏は説明する。
 Haswell世代で導入された,「Power Optimizer」と呼ばれる電力制御フレームワーク(枠組み)を活用して,未使用状態にあるPC内の各種デバイス――無線LANモジュールや液晶パネルなど――をアイドル状態に落としたりするといった細かい調整を行うことにより,バッテリー駆動時間はHaswell世代と比べて,54〜103分ほど向上したとのことだ。
 Atom搭載のWindowsタブレットにはまだ及ばないように思えるが,Haswell世代に比べれば,Core M搭載タブレットはバッテリー駆動時間の向上も期待できそうだ。

Intelによる,Haswell世代とCore M搭載マシンでの消費電力グラフ。SoC部分だけでなく周辺回路の消費電力も削減したことで,バッテリー駆動時間はだいぶ向上しているようだ
画像集#013のサムネイル/Intel,新世代モバイルCPU「Core M」プロセッサ計3製品を発表。ファンレスタブレットで新生FFXIVが遊べる時代が来る?


CPUパッケージは2分の1サイズに小型化

裏面にインダクタ用サブ基板を配置


Haswell(左)とCore M(右)の裏面。サイズの違いがよく分かる。ちなみに,Core Mのピン数は1234ピンとのこと
画像集#003のサムネイル/Intel,新世代モバイルCPU「Core M」プロセッサ計3製品を発表。ファンレスタブレットで新生FFXIVが遊べる時代が来る?
 2-in-1デバイスやタブレット端末に搭載するために,Core Mではパッケージサイズの小型化も実現されている。冒頭で掲載したHaswell世代と並べた写真を見ても分かるとおりで,縦横サイズはほぼ半分,面積比では2分の1まで小さくなったという

 また,Haswell世代ではCPUパッケージ内に搭載していたインダクタをCore Mではサブ基板に分離したうえで,それをCPUパッケージの裏面に取り付けるという離れ業も採用されている。つまり,Core MのCPUパッケージは裏面にサブ基板が出っ張っており,装着するマザーボード側には,それを収めるための孔(または窪み)が必要になるわけだ。
 かなり無理矢理な方法にも見えるが,薄型のタブレット端末に内蔵するためには,こうした工夫も有効なのであろう。

Haswell世代の960mm2と比べて,Core Mのパッケージサイズはほぼ半分の495mm2まで小さくなった
画像集#011のサムネイル/Intel,新世代モバイルCPU「Core M」プロセッサ計3製品を発表。ファンレスタブレットで新生FFXIVが遊べる時代が来る?

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Haswell(写真左側)とCore M(同右側)のCPUパッケージを横から撮影したところ。Core Mには出っ張った小さな基板が付いているのが分かるだろう。サブ基板も含めると。Core MはHaswellより厚みがあるのだが,サブ基板はマザーボード側に埋め込まれるうえ,CPUパッケージそのものは薄型化されているので,Core Mのほうが筐体内で占める高さは低い


Core M搭載2-in-1デバイス試作機でFFXIVベンチの動作をデモ


 低消費電力だけでなく,Core Mでは性能向上もアピールされている。小澤氏は,Intelが開発したCore M搭載のファンレス2-in-1デバイス試作機「Llama Mountain」上で,「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」(以下,FFXIVベンチ)が動作している様子を披露した。

画像集#006のサムネイル/Intel,新世代モバイルCPU「Core M」プロセッサ計3製品を発表。ファンレスタブレットで新生FFXIVが遊べる時代が来る? 画像集#007のサムネイル/Intel,新世代モバイルCPU「Core M」プロセッサ計3製品を発表。ファンレスタブレットで新生FFXIVが遊べる時代が来る?
Intelが開発した,2-in-1デバイス試作機のLlama Mountain。12.5インチサイズのIGZO液晶パネルを採用し,CPUにはCore M-5Y70を搭載。厚さは7.2mmで,重量は700g未満を実現しているという。残念ながら動作が安定していないようで,FFXIVベンチでスコアを計測することはできなかった

Haswell世代のCore i5-4302Yと比べた性能比較。グラフィックス性能は47%,ビデオ変換処理は82%も向上したという
画像集#012のサムネイル/Intel,新世代モバイルCPU「Core M」プロセッサ計3製品を発表。ファンレスタブレットで新生FFXIVが遊べる時代が来る?
 残念ながら,FFXIVベンチの設定やスコアは確認できなかったのだが,低めの設定にして安全なところを移動したり,街中で生産をするといったことなら問題なくできると思える程度には動作していた。
 小澤氏は,「TDP 45WのクアッドコアCPUと比べるレベルではないにしても,それなりに動くところまでは来ている」と述べていたが,ファンレスのタブレットという厳しい条件を鑑みれば,FFXIVベンチがそれなりに動くというのは大したものだと思う。

 性能面も向上したとはいえ,Core Mはそもそも定格動作クロックが低いので,ゲーマー向けPCに適したCPUではない。しかし,性能が向上してバッテリー駆動時間が延びる可能性のあるCore Mは,たとえばタブレット端末でブラウザゲームをプレイする場合に,既存のHaswellやAtom搭載タブレットよりも快適かつ長時間のプレイが期待できる。
 評価を下すのは実際の製品が登場してからになるが,ブラウザゲームをプレイする機会が多いというゲーマーなら,Core Mは恩恵をもたらしてくれるCPUになるのではないだろうか。

Intel 日本語公式Webサイト

  • 関連タイトル:

    Core i7・i5・i3・M(Broadwell)

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