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NVIDIA,独自のディスプレイ同期技術「G-SYNC」のデモを秋葉原のイベントで国内初公開
日本初披露となったG-SYNCのデモ(左)。デモコーナーは黒山の人だかりができ(右),説明員へ熱心に質問する人の姿も見受けられた |
G-SYNCとは,NVIDIAが2013年10月に発表した,GPUとディスプレイの今までにない同期技術のことだ。詳しい説明はこちらの記事を参照してほしいが,おおざっぱにいうなら,ディスプレイの表示タイミングをGPUが制御することで,表示のかくつきやラグ,「テアリング」(tearing,日本では「ティアリング」読みが一般的)と呼ばれる表示崩れなどをなくす技術だ。
G-SYNCに対応するGPUとディスプレイを組み合わせて使えば,ゲームのフレームレートが低めの環境でも,今まで以上に滑らかな表示が可能になるとされている。
NVIDIA,Vsync有効でも無効でもない第3のディスプレイ同期技術「G-SYNC」発表。その正体と狙いを明らかにする
会場のデモコーナーでは,「GeForce GTX 760」と「Core i5-3550S」を搭載したデモ用PCを2台と,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)製の垂直リフレッシュレート144Hz対応液晶ディスプレイ「VG248QE」が2台用意されていた。そのうち,片方はG-SYNCモジュールを搭載したモデルになっており,来場者は,横並びでG-SYNCの有無による表示の違いをチェックできるようになっていたのだ。
このデモでは,NVIDIA製のデモアプリを使い,フレームレートやVsync(垂直同期)の有効/無効を任意に設定して,その効果を分かりやすく示していた。デモアプリのフレームレートを40〜60fps程度で変動するように設定した場合,通常のディスプレイではVsyncを無効にすると,画面の書き換えタイミングとディスプレイの表示タイミングが同期できなくなるので,表示にテアリングが生じる。一方,
通常のディスプレイとGPUの組み合わせで生じる問題の説明したスライド。画面のレンダリングに時間がかかり,表示タイミングに間に合わないと,表示画面が変わらないのでかくついて見える(左)。Vsyncを無効にすると,レンダリングされた画面がすぐに表示されるものの,表示タイミングと合わないので,画面の一部だけが書き換えられたように見えるテアリングが起こる(右) |
だがG-SYNC対応ディスプレイでは,同じフレームレート設定でも,そうしたかくつきやテアリングが発生しない,というのが大きなウリとなっている。画面の表示タイミングをGPU側が制御することで,画面のレンダリングが終わった最適なタイミングで表示できるから,というのが,NVIDIAの主張だ。
と,説明やスライド写真を見るだけだと,G-SYNCの効果は分かりにくい。そこで,デモアプリの映像や「HAWKEN」のプレイ映像を,下に示したとおり,短いムービーにまとめてみた。ディスプレイの上に「G-SYNCオフ」と書かれているのが,通常版のVG248QEで,Vsyncを無効にし,意図的にテアリングが見えやすい状態になっている。「G-SYNCオン」と書かれているのが,G-SYNCモジュールを搭載するVG248QEでの表示だ。
特殊な撮影機能は持たないムービーカメラでの撮影なので分かりにくい面もあるが(※高解像度版を全画面表示すると多少分かりやすいかもしれない)通常版VG248QEで確認されるテアリングが,G-SYNC対応版VG248QEディスプレイでは見えないことが分かるのではないだろうか。最も違いを見分けやすいのは,緑色のバーが左右に動くシーンだと思われる。
さて,このG-SYNCを実現するには,GPUと液晶ディスプレイの双方がG-SYNCに対応しなくてはならない。といっても,GPU側はそれほど厳しい要求ではなく,G-SYNCのデモを担当したNVIDIAの矢戸知得氏によれば,Kepler世代のGeForce,具体的には「GeForce GTX 650 Ti BOOST」以上で動作するそうだ。
G-SYNCの原理を考えると,性能が低めのGPUほど効果が出そうにも思えるが,今のところミニマムがこれなのだという。
また,対応する映像出力は今のところ,DisplayPortのみに限定されている。つまり,グラフィックスカード側もDisplayPort出力を備えるものが必要というわけだ。将来的にはDVIやHDMI 2.0でのG-SYNC対応も予定には入っているが(関連記事),少なくともスタート時点ではDisplayPortのみの対応となる。
ただし,対応垂直リフレッシュレートが高いほうが,GPU側の表示が高速でも追従しやすくなるので,そういうディスプレイのほうが,高性能なGPUと組み合わせたときにG-SYNCの効果を発揮しやすい。
GPUがG-SYNC対応ディスプレイを検出すると,「Display」メニューに「Set up G-SYNC」という項目が現れて,ここでG-SYNCの有効,無効を切り替えられる。そこの説明には,「アプリケーションはフルスクリーンモードで動作する必要がある」という記述や,「G-SYNC対応ディスプレイをプライマリディスプレイで使うこと」(Windowsでは「メインディスプレイ」)という記述もあった。少なくとも今のところ,ウインドウモード状態だとG-SYNCは機能しないようである。
「Set up G-SYNC」のページ(左)は,有効無効を切り替えるだけだが,G-SYNCの動作条件に対する興味深い記述もある。また「3D設定の管理」ページ最下段(右)では,Vsync(Vertical sync)の項目で,G-SYNCが有効になっていた |
また矢戸氏によれば,国内のディスプレイメーカーも,G-SYNCには強い関心を持っているとのこと。将来的には国内メーカーの製品も登場してくると思われる。
価格は当然まだ分からないが,海外で流れている噂によれば,既存のVG248QEをG-SYNC対応製品化するための“自作キット”が175ドルで販売される計画があるという。
自作キットと言うからには,「モジュール単体価格が175ドル」ではなく,改造のための部品や専用工具などがセットの価格になるはず。なので,短絡的に「G-SYNC対応ディスプレイは非対応のものより175ドル高くなる」ということにはならないようにも思われるが,さて,どうなるだろうか。
NVIDIA製GPU限定の機能とはいえ,ゲーマー向け液晶ディスプレイの世界に大きなインパクトを与える可能性のある技術だけに,ゲーマーはG-SYNCと対応製品の動向に注目しておくとよさそうだ。
GeForce.comのG-SYNC関連ポスト(英語)
※2013年11月18日追記
「VG248QEをG-SYNC対応モデル化する自作キット」に関する言及を追加し,本文をアップデートしました。
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