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  • コーエーテクモゲームス
  • 発売日:2014/03/27
  • 価格:パッケージ版:1万290円(税込)
    ダウンロード版:8900円(税込)
    「Winning Post 8 20周年記念プレミアムBOX」:1万3440円(税込)
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「Winning Post 8」は,血統に加えて人と馬の“縁”を描く。シリーズ20周年の集大成となるナンバリングタイトルが掲げる「血統のロマン」について,プロデューサーに聞いてみた
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印刷2014/03/27 00:00

インタビュー

「Winning Post 8」は,血統に加えて人と馬の“縁”を描く。シリーズ20周年の集大成となるナンバリングタイトルが掲げる「血統のロマン」について,プロデューサーに聞いてみた

 コーエーテクモゲームスは2014年3月27日,競馬シミュレーションゲーム「Winning Post 8」PC / PS3 / PS Vita)をリリースする。正統なナンバリングタイトルとしては,2004年の「Winning Post 7」以来となる今作。これまでに公開されてきた情報から期待に胸を膨らませているシリーズのファンも多いことだろう。

画像集#009のサムネイル/「Winning Post 8」は,血統に加えて人と馬の“縁”を描く。シリーズ20周年の集大成となるナンバリングタイトルが掲げる「血統のロマン」について,プロデューサーに聞いてみた

「Winning Post 8」公式サイト


 今回,そんな「Winning Post」シリーズの大ファンという男色ディーノ選手が,「Winning Post 8」のプロデューサーである山口英久氏に,今作で導入された新要素とその意図などを直接聞いてきたので,以下にその模様を掲載しよう。

「Winning Post 8」プロデューサーの山口英久氏(左)と,シリーズの大ファンで今回インタビュアーを任された男色ディーノ選手
画像集#008のサムネイル/「Winning Post 8」は,血統に加えて人と馬の“縁”を描く。シリーズ20周年の集大成となるナンバリングタイトルが掲げる「血統のロマン」について,プロデューサーに聞いてみた


牝馬の系譜とプレイヤー一族の概念を導入し,血統のつながりを表現


男色ディーノ:
 本日はよろしくお願いします。「Winning Post 8」は,久しぶりのナンバリングタイトルになりますね。

画像集#005のサムネイル/「Winning Post 8」は,血統に加えて人と馬の“縁”を描く。シリーズ20周年の集大成となるナンバリングタイトルが掲げる「血統のロマン」について,プロデューサーに聞いてみた
山口英久氏(以下,山口氏):
 2009年の「Winning Post World」は外伝的な扱いですから,正統なシリーズとしては「Winning Post 7」以来,実に10年ぶりのリリースとなります。この10年間,ファンの皆さんから「8はまだなのか」「いい加減にしなさい」とお叱りを受けてきましたが,ようやく皆さんにお届けすることができます。

男色ディーノ:
 私も待っていました(笑)。それでは「Winning Post 8」のポイントを教えてください。

山口氏:
 ベースは「Winning Post 7」のシステムを継承していますが,今作は「受け継がれる血統のロマン」をコンセプトに,シリーズでずっと中核に据えていた「血統の継承」要素を強化しています。
 まずは「牝系の継承」です。これまでのシリーズでは牡馬の系統だけだったのですが,今作では牝馬──つまり母馬の娘,そのまた娘……というように牝系をつないでいくと,さまざまな恩恵があります。

男色ディーノ:
 あらためて牝系をフィーチャーした理由は何でしょう?

山口氏:
 血統の継承を強化するにあたり,社外の競馬関係者にも意見を求めたところ,「今,競馬界で注目を浴びているのは牝馬」という話が出ました。

男色ディーノ:
 ダービーを制したウオッカなど,確かに,この10年で牝馬の活躍する度合いが増えましたね。

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山口氏:
 ええ。そこから,牝系の血を重視すると面白いのではないかと話が発展し,開発チームも情報を集めたんです。
 また,「Winning Post」シリーズをずっと遊んでくださっている方の多くは,自分の好きな馬の血統を代々つなげていくことに喜びを感じていらっしゃいますから,そういった意味でも牝系の継承を導入することを決めました。

男色ディーノ:
 血統と言えば,今作では馬だけでなく,プレイヤーにもそうした要素があるんですよね。

山口氏:
 今回はプレイヤー自身が奥さんと結婚し,子どもができて,孫ができて……と,代々一族を繁栄させていくシステムになっています。家族は牧場を支える存在で,子ども達を牧場のスタッフや,馬を育成する「調教師」,馬に乗る「騎手」として育てられます。したがって,一族で大レースを勝つという遊びも楽しめるわけです。

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男色ディーノ:
 代を重ねていくとなると,年月が経ったときにプレイヤーの視点はどこにあるんでしょう?

山口氏:
 プレイヤーキャラが代替わりしていきます。ずっとプレイしていると,一族の中に,明らかに「次の自分だ」と分かるキャラが生まれるんですよ。今プレイしている代のプレイヤーキャラが75歳以上で,代替わりの子孫が一定の年齢になると,プレイヤーのそれまでの功績を讃え,次の代に引き継ぐという引退セレモニーが行われます。。

男色ディーノ:
 なるほど。馬だけでなく人も代を重ねるというこの発想は,どこから生まれたんですか?

山口氏:
 会議で,ディレクターがポロッと「子どもを出しますか」と言ったことが発端でした。最初は父が調教師で,息子が騎手という,リアルの競馬にもあるような関係を描こうと思っていたんです。競馬の世界は,血縁も大事にされる傾向がありますから,そこから発想を得て,いろいろ広げていきました。そうして,このゲームはエンドレスにプレイするものだから,子孫を繁栄させていく過程や,人と馬の絆をも描こうという展開になっていきました。


人と馬との間に生まれる「縁の関係」がプレイヤーだけの競馬史を作る


男色ディーノ:
 ところでプレイヤーの家族となる子どもは,どれくらい生まれるのでしょう。

画像集#006のサムネイル/「Winning Post 8」は,血統に加えて人と馬の“縁”を描く。シリーズ20周年の集大成となるナンバリングタイトルが掲げる「血統のロマン」について,プロデューサーに聞いてみた
山口氏:
 プレイヤー自身の子どもは最大で3人です。ただし,その3人がそれぞれ最大3人の子どもを持ちますし,そのあともまだ増えていきますから,ゲームが進むにつれて大変なことになります(笑)。

男色ディーノ:
 ああ,それはすごい数になりますね。その大変なことになった一族全員を把握しながらプレイすることに?

山口氏:
 いえ,一族だからといって,必ずしも先ほど挙げた牧場の3職業に就くわけではないですから。中には,普通の会社員になるケースもあります。彼らはプレイを進めていくうちに,競馬に興味を抱いていくんですよ。

男色ディーノ:
 逆に言うと,子ども達は,最初から競馬に興味があるわけではないと。

山口氏:
 そうなんです。プレイヤーがレースで勝ったりしていくうちに,次第に競馬に関心を抱くようになり,何となくレース場についてくるようになります。そこでさらにプレイヤーの馬が勝つところを見せると,「競馬って面白いね!」という展開になる。
 加えて,数年に1回,子どもをどういった方針で育てるかを選択できます。子どもを騎手にしたいのであれば運動をさせたり,牧場の知識を持たせたいのであれば勉強させたりしていると,彼らは自分から「将来は騎手になりたい」「牧場で働きたい」と言い出すわけです。

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男色ディーノ:
 子ども達が,プレイヤーの方針に反発することはないんですか?

山口氏:
 それはあまりないです。ただ,子ども達にも勉強が得意,運動が得意という特性がありますから,向いていない方針を選択すると秘書から「あまり合っていませんよ」と指摘されることになります。

男色ディーノ:
 例えば子どもが騎手になったとして,そのあと,プレイヤー側からアプローチすることはできますか?

山口氏:
 自分の子どもですから,当然最初からプレイヤーとの友好度が高い騎手になります。
 また今作には「縁(ゆかり)の馬」という要素があります。例えば子どもがまだ幼児のころに,ある程度の強さの馬が生まれると,その子どもと子馬とのイベントがいくつか発生することがあります。それを何度か経験すると,子どもと馬の結びつきが強くなり,縁の馬となります。

男色ディーノ:
 縁の馬になるとどんなメリットがあるのでしょう。

山口氏:
 仮に子どもが騎手となったとき,その馬の産駒に乗せると通常時より高い能力を発揮します。これが「縁の血統」です。また,こうした縁の血統による能力上昇は,騎手だけでなく,調教師の場合も発動します。すなわち縁のある調教師のほうが,より馬の成長度合いが高くなるというわけです。

男色ディーノ:
 一つお聞きしたいのですが,この「縁」は,未来と過去,どちらを向いた発想なんでしょうか。実は,これまでに公開されている情報から「Winning Post 8」は未来志向で企画されたのかなと感じていたんですよ。つまり,競馬史をプレイヤー自身が紡いでいくというイメージなのかなと。一方,前作の「Winning Post 7」は,実在の競馬史を追体験するというイメージが強かったですよね。

山口氏:
 うーん,今作も1982年からスタートするので,歴史の追体験という部分に変わりはありませんが,どちらかと言えば未来志向でしょうか。
 例えば福永祐一騎手を例とすると,彼が騎手として実際に乗った馬はたくさんいます。しかしゲーム中で福永騎手を,あえて史実とは違うディープインパクトに乗せて活躍させると,両者の間には縁の関係が生まれます。そうなると,実際の競馬史とはまったく異なる歴史が生まれます。

男色ディーノ:
 実在の騎手と,ですか。そんな縁の生まれ方もするんですね。

山口氏:
 ええ。福永騎手がゲームに登場した時点では,どの馬とも縁の関係はありません。そのまま放っておけば,競馬史に沿って,実際に一緒に活躍した馬との縁がどんどん強くなっていきます。そしてディープインパクトには,武豊騎手が乗ることになります。そこにプレイヤーが介入することで,歴史を変えられるというわけですね。つまり,今作は競馬史を土台にしているけれども,それを自由にアレンジしてくださいというスタンスなんです。

男色ディーノ:
 縁はプレイヤーの一族だけでなく,ゲーム内の史実にも影響を与える重要な要素であると。

山口氏:
 縁は,もともとプレイヤーと子孫という発想から生まれた要素ですけれど,そういった史実への介入にも使えないかという話になったんです。当初は福永騎手の縁の馬として,シーザリオやラインクラフトといった馬を,最初からセットしてしまおうと考えていました。しかし途中で,ただ歴史を追体験するだけでは面白くないと考えて変更したんです。そこは,プレイヤーが介入できたほうがいいだろうと。

男色ディーノ:
 もし,その馬にあの騎手が乗っていたら……と考えると面白いですね。

山口氏:
 ちなみに福永騎手をディープインパクトに乗せると,必然的に武豊騎手はまた別の強い馬に乗ることになりますから,そこでもまた実際の史実とは異なる展開が生じます。そういった楽しみ方ができるのも,「Winning Post 8」ならではですね。


あくまでも競馬をメインにしつつ,ゲームとして長く楽しめる要素を盛り込む


男色ディーノ:
 ちなみに山口さん自身は,「Winning Post」シリーズの面白さはどこにあるとお考えですか?

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山口氏:
 やはり血統をつないでいくところでしょうか。プレイヤーさんの反応もそうですし,懇意にしているJRAの担当者もそう言っていますね。「とにかく血をつないでいくところだよ」と。

男色ディーノ:
 なるほど。実際に競馬に携わっている人達からして,そうなんですね。

山口氏:
 とは言え,なかなかマニアックな遊びですから,彼らも決して血統をつなぐことをメインに遊んでいるわけではないんですよ。「この馬が活躍したから,子孫を大事にしたい」と遊んでいるうちに,結果として,血がつながっていくんです。そうやって100年も200年もエンドレスにプレイしていく中で,もともとはマイナーな血統を,とてつもなく強いものに仕立て上げるというようなところが楽しいんですね。自分だけの箱庭競馬世界ができあがっていく楽しみといってもいいかもしれません。

男色ディーノ:
 あー,分かります。

山口氏:
 「Winning Post」シリーズは,ナンバリングや外伝を問わず,全タイトルでそういった要素を実現しています。もちろん「Winning Post 8」でも,箱庭競馬世界作りを重視して,牝系の継承要素や縁の要素を取り入れたわけです。

男色ディーノ:
 実際の競馬をゲームに落とし込むにあたって,どうしてもデフォルメしなければならない部分は出てきますよね?

山口氏:
 レース自体は,本物に近い作りにしているつもりです。逆に,イベントは現実とは異なるケースが多いです。
 一番現実と違うのは,騎手が「この馬に乗せてください」と言ってくるイベントですね。競馬関係者からは,よく「馬主さんに,そんなこと言えるわけないでしょ」と指摘されます(笑)。

男色ディーノ:
 そりゃ,そうですよね(笑)。

山口氏:
 ただ,ゲームとしては,もし福永騎手がそんなことを言ってくれたらうれしいじゃないですか。

男色ディーノ:
 プレイしている中で何がうれしいかと問われたら,まずそこですよね。

山口氏:
 ですから,よくご指摘いただく部分ではあるんですけれども,シリーズを通じて頑なにやめないんです。
 さらに今作では,縁の馬に子どもが生まれたら,騎手が牧場まで見に来てくれるんですけれど,競馬関係者からは「すぐ駆けつける事はないですね」と言われてしまいました(笑)。確かに福永騎手が勝負服で牧場を訪れるなんて,現実にはあり得ないですよ。

男色ディーノ:
 まあ,そこまでやってくれたら逆に面白いですけれど(笑)。

山口氏:
 ともあれ,そういう部分をリアルに考えすぎてしまうと,ゲームが作れなくなっちゃいますから。
 あとはプレイしているうちに,縁の馬の設定を忘れてしまうことがあるんですよ。そんなとき,こうしたイベントが発生すれば「ああ,福永騎手はこの馬を気に掛けてくれているんだ」「じゃあ福永騎手に任せてみようかな」という展開につながるんじゃないかという意図もあるんです。

男色ディーノ:
 システムがどうとかじゃなくて,頭の中でその馬と騎手の物語ができちゃいますよね。ほかに,今作で特徴的なイベントはあるでしょうか。

山口氏:
 プレイヤーが結婚するので,その過程を描くイベントがありますね。その中には新キャラだけでなく,シリーズ歴代の登場人物が職業を変えて出てくるものもあります。
 ただし「Winning Post 8」は,あくまでも競馬ゲームであり,恋愛ゲームではないですから,関係の発展は割り切った条件にしています。たとえば「芦毛で勝つと仲よくなれる」とか。そうやって,いつの間にか結婚できる条件が整っているような作りになっているんです。

男色ディーノ:
 相手好みの選択肢を……みたいなことはないわけですね(笑)。では,結婚する相手やタイミングは,プレイヤーが選べるのでしょうか?

山口氏:
 選べます。条件が整うと,「いい感じの人がいるけれど,結婚しますか?」というような話を持ちかけられるので,選択していただきます。

男色ディーノ:
 ちなみに,結婚できる相手はどのくらい用意されているのでしょうか。

山口氏:
 男女合計で14名の結婚可能な知人を用意しています。中には,条件が厳しい人もいます。私は,アイドル歌手との結婚が全然成功しません(笑)。もっとも知人も代替わりするので,自分の代では無理でも,子孫が条件の厳しい相手と結婚することを目指すというプレイでもいいとは思います。このほか,牧場長や一部のオリジナル騎手とも結婚できますので,それも含めると候補はかなりの数になりますね。

画像集#021のサムネイル/「Winning Post 8」は,血統に加えて人と馬の“縁”を描く。シリーズ20周年の集大成となるナンバリングタイトルが掲げる「血統のロマン」について,プロデューサーに聞いてみた

男色ディーノ:
 なるほど。かなり面白い要素に仕上がっているんですね。

山口氏:
 本来は競馬ゲームですから,ここはあまり推すポイントではないんですけれど。それでも自分の子孫となると,気になっちゃうんですよ。「やっぱり騎手として育てたい」とか,実際に騎手になってからも,あまり能力が高くないのについつい強い馬に乗せたりとか。
 ゲームの世界とは言え,我が子は可愛い,奥さんは可愛いというように,これまでのシリーズと進行は同じでも,感じる部分で異なるところがあるんじゃないでしょうか。

男色ディーノ:
 人に対しても感情移入ができるというのは,シリーズの中でも新しいポイントですね。

山口氏:
 ええ。「親バカ」って,こういうことなんだなと思いますよ。子どもの顔も可愛い感じから,そうでないものまであるんですが,どんな顔でも自分の子どもだと可愛いんですよ。「自分の持っているNo.1の馬は,この子に預けよう」とか思っちゃいますね(笑)。

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