インタビュー
[TGS 2016]「PS4 ProはPS VRでさらに高品質な体験をしたい人にもオススメ」。10月13日の発売が迫るPS VRについて吉田修平氏に合同インタビュー
10月13日の発売が迫るPlayStation VRの話題を中心に質問に答えてもらったので,その様子をお伝えしよう。
――本日はよろしくお願いします。先日,ニューヨークで薄型のPlayStation 4とPlayStation 4 Pro(以下,PS4 Pro)を発表されて,どのような手ごたえを感じていますか?
吉田修平氏(以下,吉田氏):
ちなみにPS4 Proは,タイトルによってはPS VRでもかなり違いがあったりします。もちろん,通常のPS4でも,PS VRで良い体験はできますが,PS4 Proを使うと,よりキレイなグラフィックスが楽しめるんです。ですので,4Kテレビを持っていなくても,PS VRでさらに最高品質な体験をしたいという人には,PS4 Proがオススメです。
――PS VRは10月13日の発売が迫っており,9月24日に最後の予約受け付けが行われますが,初速の反響はいかがでしょう。
吉田氏:
予約を再開しても世界中ですぐになくなってしまうので,生産が追いついてない状態です。ただ,発売日の販売分がすべて予約にまわっているわけではなく,お店によっては当日分も確保していますから,発売当日に購入されるお客様もいっぱいいらっしゃると思います。
常に生産数を増やそうと努力していますので,すぐに行き渡るようにしたいですね。
――PS VRは,ゲーム以外のコンテンツもかなり発表されていますね。
吉田氏:
増えましたね。私は,ビデオコンテンツは非常に重要だと思っています。VRの楽しさというのは,リアルなインタラクションができる部分が大きいとは思いますが,ビデオであっても「そこにいる感覚」というのは得られますし,ゲームに比べて制作しやすいという利点もあります。
また,ゲームを目的に購入した人でも,よりPS VRを活用する動機になりますし,購入者の家族がVRに触れるきっかけにもなると思うんです。
――先日発表された,ソニー・ミュージックエンタテインメントさんの「anywhere VR」などは,面白いアプローチのビデオコンテンツですよね。
吉田氏:
狙いがよく分かるコンテンツですよね。VRの技術で何をやりたいか考えたときに,エスケープというか,リラックスできる環境を作るというものがあると思います。
実際,医療の世界でもVRの技術は使われていますからね。痛みを伴う手術のあとに,VRのキレイな映像を見せて気を紛らわせるとか。
――PS VR用のビデオコンテンツの制作に対して,SIEさんから何かサポートは行っているのでしょうか。
吉田氏:
我々自身がお金を投資して,ビデオコンテンツを作っているというわけではないですが,技術的なサポートは積極的にやっています。撮影から編集にいたるまでいろいろなノウハウがあって,日進月歩みたいな部分がありますから。
――ビデオコンテンツが増えた一方で,東京ゲームショウのブースを見ていると,ゲームらしいゲームというのもかなり増えましたよね。2015年は,まだデモ段階のものや映像出展が多い印象でしたが,今回は発表されたばかりの「V! 勇者のくせになまいきだ R」も出展されていて,非常に楽しめました。
吉田氏:
VRの視点で1つ面白いのが,テーブルトップ型というか,神の視点で,小さなキャラクターが動いているのを見るというものです。そこに,「勇者のくせになまいきだ」の捕食成分を盛り込んで眺められるのが面白くて。すごく期待しています。
――PS MoveはPS VRに合わせて改めて発売されるようですが,その際に改良などは加えられるのでしょうか。
吉田氏:
基本的には変わりません。ただ,もともとPS MoveはPS3用に作られたものなので,USBケーブルがミニプラグになっています。PS4はマイクロUSBなので,そこに対応できるケーブルは同梱します。
吉田氏:
積極的に検討中です。
「Farpoint(仮)」は私もすごく気に入っていて,もう銃を持っているだけで楽しいんですよね。あれは一人でも多くの方に体験していただきたいです。
一方で,Aim ControllerやPS Moveを使った操作は面白いですけど,実はPS VRの意外な秘密兵器って,DUALSHOCK 4になるんじゃないかとも思っています。PS VRでは,DUALSHOCK 4をトラッキングして画面に表示できますが,これによって,VR空間における操作の不安感を軽減して遊びやすくできますし,世界観に合わせて表示されるコントローラのデザインを変えるなど,いろいろな可能性があります。
吉田氏:
そういった点は,PS VRならではの特徴ですね。
――VR関係の開発者から,「いろいろな発明や発見があって,開発が楽しくてしょうがない」という話を耳にします。吉田さんは,いろいろなタイトルを見ていると思いますが,どんなことをしたらより良くなるか,開発者向けのアドバイスがあれば教えてください。
吉田氏:
皆さん「サマーレッスン」がすごいと思われるじゃないですか。キャラクターが自分を見ていて,自分の動きに反応するだけで,ものすごいインパクトがあります。ああいった技術は,コミュニケーションゲームではなく,ほかのジャンルでも使えると思うんです。プレイヤーの行動に対して,ほかのキャラクターが反応するとか。
あとは,普通のゲームでは素通りしてしまうようなNPCであっても,VRだと「そこに人がいる」という感覚があるので,NPC同士の会話につい聞き耳を立てちゃうんですよね。VRでは,そういった演出ができるよう,小さな空間で密度を高めるような作りこみをすると,楽しんでもらえるのではないでしょうか。
――VRは新しいメディアであり,よく分かっていない人から「規制すべきだ」という声を聞くことがあります。VRでの表現を推進したいSIEさんとしては,苦労もあるのではないでしょうか。
吉田氏:
ただ,新しい道具を心配するというのは分かりますので,我々としては,その道具を良いことに使って,その良さを皆さんにお伝えしていきたいですね。
業界の人間でVRに携わっている者がハッキリと分かっているのが,何年後かに,VRは普通の人がいろいろな機会に自然に使う技術になるということです。ですから,業界としては,心配される方々に理解を深めていただけるよう働きかけていかなければならないと思っています。
――ありがとうございました。
PlayStation 公式Webサイト
4Gamer「東京ゲームショウ2016」特設サイト
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