プレイレポート
死亡率99%!? あの子もこの子もみんな死ぬ,超絶シビアな育成RPG「魔壊神トリリオン」プレイレポート
発表当初は2014年内の発売が予定されていたが,気づけばもう2015年の夏。これはおそらく,人間界と魔界の時差によるものではないかと筆者は睨んでいる。
それはともかく,本作は魔界に突如として現れた,1兆ものHPを持つ巨大邪神「トリリオン」を倒すべく,大魔王の後継者候補である魔王達を鍛え上げて戦いを挑むという育成RPG。しかし,“死に際に想いを託すRPG”と謳われているように,トリリオンは一筋縄で倒せる相手ではなく,戦いを挑んだ魔王は十中八九,死んでしまうという情け容赦のなさが大きな特徴となっている。
可愛い女の子ばかりの魔王達が次々とトリリオンに挑んでは敗北していく姿に,「えっ,マジっすか。ちょっと,とがりすぎじゃないっすかねえ,これ……」と,思わず筆者も絶句してしまう本作を一足先に遊んでみたので,そのプレイレポートをお届けしよう。
「魔壊神トリリオン」公式サイト
突如襲来した魔壊神トリリオンの前に成す術ナシ!?
天界,魔界,人間界の三界からなる次元。天界と魔界は絶えず争いを繰り広げており,魔界は第3代大魔王ゼアボロスの治世にあった。そんなある時,魔界のはずれ,地獄門に突如としてトリリオンが出現し,魔界に侵攻を始めたからさあ大変。ただちに迎撃に向かったゼアボロスの兄,アスタロスだったがトリリオンには歯が立たず,家臣の制止を振り切ってゼアボロス自らが出陣することに。
ところが,大魔王の力をもってしてもトリリオンには遠く及ばず,今まさにその命が尽きようとしていたとき,ゼアボロスの頭の中に謎の声が響く。トリリオンを倒すために,自分の魂を捧げることはできるかと問いかけてくるその声の主,ファウストと契約を結んだゼアボロスは,継ぎはぎだらけの体となって九死に一生を得る。
そして,もはや戦う力を失ってしまった自分の代わりに,次の大魔王候補である6人の魔王達を鍛えてトリリオンと戦うことを決意するのだった。
●ゼアボロスと愉快な仲間達(約1名を除く)
●ゼアボロス 魔界を統べる第3代大魔王にして本作の主人公。仲間想いで,かつての力を失った今でも絶大なカリスマを誇る |
●ファウスト 一度は死んだはずのゼアボロスと契約を結んで蘇らせた謎の少女。彼女には何か個人的な目的があるようだが…… |
●トリリオン 突然魔界に現れた,1兆もの怨念の集合体。これまでにも数々の世界を食らいつくしてきたという。デカくて強い |
●ルゥシェ ゼアボロスの姪で,「傲慢」の刻印を持つ魔王。ペルペルの姉で,たぶんツンデレ |
●レヴィア ゼアボロスの幼馴染で,「嫉妬」の刻印を持つ魔王。大魔王様のことが大好き |
●フェゴール ゼアボロスの姉で,「怠惰」の刻印を持つ魔王。常に眠そうにしている |
●マモン ゼアボロスの従妹で,「強欲」の刻印を持つ魔王。お宝ハントが趣味 |
●ペルペル ゼアボロスの姪で,「暴食」の刻印を持つ魔王。お菓子好きで無邪気な性格 |
●アシュメディア ゼアボロスの従姉で,「色欲」の刻印を持つ魔王。豊満ボディの持ち主で,たぶんドS |
修錬を重ねて一人前の魔王に鍛え上げよう!
ゲームの基本的な流れは,トリリオンが休眠している限られた期間で魔王を育成し,次にトリリオンが目覚めた時に討伐に向かわせるというもの。トリリオンが目覚めるまでの期間は画面左上に表示されており,「修錬」もしくは「骨休め」を行うことで1日ずつ経過していく。
修錬には6種類があり,どの修錬を行うかによって,それぞれ異なる傾向の「経験点」が入手できる。それを「能力アップ」で割り振ることで,パラメータの強化や新たなスキルを習得する仕組みだ。期限内にできるだけたくさんの経験点を稼ぐため,ひたすら修錬に励みたいところだが,修錬を続けていくと疲労度が上がり,ケガをして数日間動けなくなってしまうこともあるので,適度な休息も必要となる。
この育成パートでは,どれもこれもと欲張って強化しようとすると経験点が足りず,中途半端な能力のままトリリオンと戦うハメになるので,しっかりと計画を立てて魔王を鍛えていきたいところ。どのパラメータも重要だが,もし迷ったときには魔王の行動速度を高める「SPD」を上げておくといいだろう。SPDを上げるとトリリオンの攻撃ターンを遅らせることができるので,優先的に鍛えておくと,多少なりとも生き残れる可能性が高くなる……かもしれない。
もちろん,HPやMPも多いに越したことはないのだが,どんなに鍛えてもトリリオンの攻撃をまともに食らえば,あっという間に消し飛んでしまうため,それよりも「想いポイント」を増やすことのほうがより重要だ。想いポイントは,修錬をしたり,アイテムの売買をしたりといったあらゆる行動によって増える魔王の想い出のことで,トリリオンとの戦闘中にHPやMPの代わりとして使用できる。
敵からダメージを受けたときや,スキルを使ったときは,まず想いポイントから消費されるので,どれだけの想い出を積み重ねてきたかはとても大切だ。想いポイントは魔王と「交流」することで大きく増えるので,修錬だけでなく,たくさんの想い出を作っていきたい……のだが,ほとんどの魔王はトリリオンとの戦闘に敗れて死んでしまうので,それを思うと切ない気分になってしまう。うう。
しかし,死んでしまった魔王を生き返らせる方法が,たった1つだけある。育成パートでは,交流やアイテムのプレゼントなどで魔王の親密度がアップしていき,それによってさまざまなイベントが発生するのだが,6人の魔王全員が死亡したとき,親密度がMAXになった魔王がいると,その中から1人だけを選んで蘇らせることができるのだ。
さらに本作はマルチエンディング方式となっており,親密度がMAXの状態でトリリオンを倒すことで特別なエンディングが見られる。
こんな風に魔王を育成していくと,1周期(=7日)ごとに発生するのが,トリリオンの行動を模した巨大な丸太人形(?)と戦う「モクジン戦」だ。ここで,日頃の訓練の成果を試すことができ,モクジンを倒すと多くの経験点とお金,想いポイントが手に入る。
モクジンに勝てないようでは,トリリオンを打倒するなど夢のまた夢! 気合を入れて模擬戦に臨みたい……ところだが,実際のところモクジンは結構強く,最初のうちはコテンパンにのされてしまうだろう。あちゃー,また負けたよ……。
命と想いのすべてを込めてトリリオンに挑め!
さて,トリリオンが目覚めたら,いよいよ本番。手塩にかけて育てた魔王を送りだし,トリリオンとの命を懸けた戦いに挑むのだ。
トリリオンとのバトルは,自分が1回行動すると相手も同時に行動するという,ローグライクゲームでおなじみの同時ターン制となっている。トリリオンは複数の下僕(=雑魚モンスター)を召喚しながら,画面の一番奥から,一番手前の防衛ラインを目指して進んでくるので,防衛ラインを突破されるまでにどれだけのダメージを与えられるかがポイント。
トリリオンの攻撃は非常に広範囲かつ高威力だが,トリリオンの行動はすべて発動予告を伴っており,使用してくるスキルやその効果範囲などが事前に表示される。そのため,いかに相手の攻撃をかわしつつ接近するかが勝負のカギだ。トリリオンの行動によっては,一歩ずつ歩いていては避けられないような攻撃がくる場合もあるが,そんなときは使用すると前進/後退が可能な移動系のスキルを使って緊急回避しよう。
しかし,どんなにこれらのテクニックを駆使したとしても,最初のうちはまったくトリリオンの相手にならないだろう。3人めの魔王くらいから,ようやくそれなりの戦いになるが,それでもやはり魔王の敗北はほぼ確定的と言ってもいい。
ここで,「死ぬとか言って,実はどこかで生きてるんでしょ?」などと思った人がいるかもしれないが,それは大間違いだ。戦いに敗れた魔王は,トリリオンにバリバリ食べられてしまうので,割とシャレにならない。これはトラウマものですよ……。
トリリオンに与えたダメージは,次の魔王が戦うときに引き継がれるが,魔王が持つスキルの中で最大の威力を誇るのが,HPが0になったときに命と想いのすべてを込めて放つ最後の大技「死に様スキル」だ。死に様スキルには,トリリオンに超絶大ダメージを与えたり,特定の部位を封印してトリリオンのスキルを封じたりといった複数の種類があり,あとに続く魔王の戦いに大きな影響を与えるので,慎重に選びたいところだ。
こうして命が尽きたとしても,それまでの魔王の努力がすべて無駄になるというわけではない。死んでしまった魔王の力は,その一部が「覇王の指輪」に蓄積されて次の魔王へと受け継がれるからだ。これにより,あとに戦いを挑む魔王は,少しずつ前の魔王よりも強くなっていく。このあたりは,まさに“死に際に想いを託すRPG”という謳い文句そのままといえるだろう。切なすぎる……。
しかし,裏を返せば早い段階でトリリオンに挑むことになる魔王は,すでに死ぬことが決まったようなものであり,討伐候補を選ぶときは非常に胸が痛い。また,先の見えないトリリオンとの戦いの中で,どのように魔王を育成していけばいいのか迷うことも多く,最後まで気を抜けないシビアなゲームバランスになっている。
ゲームの大枠をざっくばらんに説明すると,コマンド選択式のシミュレーションゲーム風の育成パートと,ローグライク風の戦闘パートを組み合わせたのが本作だ。
しかし,1つ1つを見ればよくある要素を組み合わせつつ,目標を超強力なトリリオンの打倒という1点に絞り,そこへ緊張感の高いゲームシステムと世界観を組み込むことで,ほかのゲームでは味わえない本作ならではのプレイフィールを実現しているのは見事としか言いようがない。冒頭に書いたように,かなりとがったゲームであることは間違いないので,一風変わったシビアなゲームが好きな人には,ぜひ遊んでもらいたい1本だ。
「魔壊神トリリオン」公式サイト
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