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[gamescom]死闘感を演出する新システム「リゲイン」とは? 「Bloodborne」の新情報がgamescom 2014に合わせて行われたレクチャーで公開に
バトルの死闘感を生み出す要素の一つ「リゲイン」とは?
本作においてバトルの死闘感を生み出す要素には,「ビジュアル」と「ゲームシステム」の2つがある。
まず,本作のビジュアル面については,血しぶきなどの表現や不気味な外見の敵などが挙げられるだろう。これらは単に生理的嫌悪感を抱かせることが目的ではなく,例えば,恐ろしい敵にきわどく勝利することで,より高い達成感を感じてもらうためだという。
次はゲームシステム面だ。本作と同様にフロム・ソフトウェアの宮崎英高氏が手がけた「Demon's Souls」などでは,プレイヤーに達成感を感じてもらうためにあえて難度が高く設定されていた。しかし,新作を作るにあたって,これ以上難度を高めるのは難しいと判断されたようだ。そこで今回は「よりプレイヤーの感情に訴えかけるような達成感」をもたらす,難度以外の柱を用意しようということになった。
それをゲームシステムとして表現している一つが,「リゲイン」と呼ばれるシステムだ。これは,敵の攻撃を受けたとき,一定時間内にこのリゲインを発動することでヘルスをある程度取り戻すことができるというものである。Bloodborneに盾という概念はないが,ゲームにおける一般的な盾が敵の攻撃に対して「受動的」に作用するものだとすると,このリゲインは「能動的な盾」であり,ゲームにおける防御をより戦略的なものにすると山際氏は語る。
宮崎氏は以前,「プレイヤーを死闘に誘う仕掛けを用意する」と述べていたが,このリゲインがこれにあたる仕掛けの一つというわけだ(ただし,それがリゲインだけなのかは現時点では分からない。未発表のオンライン要素と絡んでくる可能性もある)。リゲインをいつ発動させるか,あるいはさせないかはプレイヤーの自由なので,より戦略的な戦いを楽しめそうだ。
ここで山際氏は,デモプレイによってリゲインの説明を行った(残念ながら会場は撮影禁止だったので,文章でお伝えするしかない)。
BloodborneのUI(ユーザーインタフェース)は比較的シンプルで,プレイヤーキャラクターに関する情報は画面左上に集まっている。長い赤のバーがヘルスゲージで,その下にある緑色のバーはスタミナ,さらにその下にアイテムが2つ並んでいる。赤いゲージの近くには数字の書かれた枠があったが,これはヘルス関連アイテムの数を示しているとのこと。便宜上,以下アイテムエリアと呼ぶことにする。
ちなみに,Demon's SoulsとのUIの違いは,ヘルスアイテムとそれ以外のアイテムが分かれていることであるという。この仕様となった理由は,Demon's Soulsプレイヤーの傾向を見たとき「アイテムエリアが体力回復アイテムで埋まっていた」からだそうだ。それはそれで戦略の一つではあるが,Bloodborneでは「さまざまな道具をうまく使ってほしい」ということらしい。ともあれ,敵の打撃を受けるとヘルスゲージが一定時間黄色になり,リゲインの発動が可能になることが確認できた。
ただし,連続してダメージを受けるとリゲインのチャンスを失ってしまうため,どのタイミングでリゲインを使うかも重要になるのだという。
今回のデモプレイでは,gamescom 2014会場のSCEブースに展示されていたものと同じマップが使用されていた。山際氏は前述のアイテムエリアにオイルと火炎瓶を入れた状態でゲームを進め,これはまあ想像のとおり,敵にオイルを浴びせてから火炎瓶をぶつけることで,大きなダメージを与えられるものであった。
もちろん,このほかにもアイテムや道具は多数用意されており,例えば「石を投げて敵の集団から1体だけをおびきだす」などの行動も行えるとのこと。ぜひ積極的にいろいろ試してほしいと山際氏は語っていた。
ちなみに,なぜ「リゲインが一定時間発動できるのか」という哲学的(?)な疑問についてだが,これについて宮崎氏が面白いことを言っていたそうだ。
前述のとおり,赤いバーはヘルスということになっているが,宮崎氏はこれを「意志の力」だと考えているのだという。つまり「心が折れるか折れないか」の問題であり,たとえ敵の攻撃によってダメージを受けても,しばらくの間なら奮起できるが,それを過ぎると“あきらめムード”に陥り,つまり心が折れてしまう。いかにも宮崎氏らしい考え方という気もするが,それを表現しているのがリゲインということなのだそうだ。
変形する武器でさまざまなシチュエーションに対応可能
さて,本作において「死闘感」を表現する方法の一つとしてリゲインを紹介したが,これ以外にも「銃」,そして「変形する武器」の存在も忘れてはならない。もちろんこの点についても,変形する武器を中心に山際氏による解説が行われている。
武器の変形機構を使った攻撃は“変形させながら行う”ことも可能であり,例えば「ノコギリ鉈」は,変形前と後でのリーチの違いを利用することで,シールドを持った敵を相手にうまく立ち回れるという。
また,“しなる柄”を持った斧「獣狩りの斧」の場合,変形前は片手持ちだが,変形後は両手持ちになる。両手持ちにすると,強力な一撃を放てるが,スキは大きめ。一方で,「ノコギリ鉈」よりリゲイン量も大きくなるという特性を持っている。
さらに,今回初めて公開された「杭打ち機」は,仕掛けを装着してそれを撃ち出すことで攻撃するという武器だ。溜めれば溜めるほど,強力な一撃を繰り出すことができるという。
このように,変形する武器をうまく使うことでさまざまな状況に対応できるのも,Bloodborneの持つ戦闘システムの大きな特徴となる。変形については,分かりやすいものから,「これはどうやって使えばいいのだろう」と考え込んでしまうようなものまで多数の種類が用意されているので,ぜひいろいろと試してほしいと山際氏は語った。個人的には,これら変形武器は単純にどれもカッコイイという印象だ。
プレイヤースキルを高めてさまざまな状況を乗り切る
本作は,基本的に盾のない戦いが繰り広げられるアクションゲームだが,いわゆるハック&スラッシュではなく,経験と学習によってプレイヤーのスキルを上げ,困難な状況を打破していくことが重視されている。当然ながら難度も高く設定されており,これまでの作品と比較しても,さらに「バトル重視」と言えるだろう。
また,押しつけがましいストーリーはないが,さまざまな謎が提示されることにより,プレイヤーはミステリアスな物語を楽しむことができる。物語はまだ詳しくは発表できないとのことだが,楽しみにしたい。
最後に,死闘感を分かりやすく伝えられるものとして,「ヘムウィックの墓地街」というマップを舞台にしたプレイムービーが公開された。
墓地ではまず「墓守女」という,老婆のようなモンスター達と戦うことになる。
一対一だけでなく,一体多数の戦いも特徴の本作だが,一見して難しそうに思えても,必ず打開策はある。墓守女の場合はローリングでぶつかるとよろめくので,それを利用してうまく乗り越えてほしいと山際氏は言う。想像力が重要ということだろう。
また違うマップでは地下深くに進んでいくのだが,本作にはこのような多層構造になったマップも多く,探索のしがいがありそうだ。サウンドを始めその雰囲気作りは徹底的で,「恐怖の予兆」がうまく生み出されている印象である。死体だと思って漁ってみたら,アイテムを拾った途端にガバッと襲ってくるなど,心臓が弱い人には注意が必要だろう。最後に,巨大なブタのようなモンスターがトンネルの向こうからものすごい勢いで走ってきて画面が暗転。ムービーは終了した。
今回のレクチャーは以上のとおりだが,Bloodborneというタイトル名の由来を含めて,本作はまだ謎が多い。2015年春の発売まで,さらなる新情報に注目しておきたい。
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