インタビュー
「ピコットキングダム」でマルチプレイが実装間近。ノーマルクエストのスタミナ制撤廃などこれまでの“進化”と2015年の計画を,開発キーマン2人に聞いてきた
そんな本作が,今後マルチプレイの要素を複数実装して,2015年にさらなる進化を遂げるという。
今回4Gamerでは,本作のディレクターである鈴木 健氏とプランナーの杉園未来也氏にインタビューを実施し,今後の展開について話を聞いてきた。これまで歩んできた道のりについての話も聞いているので,ゲームを休止してしまったという人も,「ピコットキングダム」が現在どれだけ進化しているか,ぜひ記事を読んで確認してほしい。
「ピコットキングダム」公式サイト
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4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
今回は,「ピコットキングダム」における今後の展開について話をお聞きしたいと思いますが,その前に,お二人がこれまでどういったタイトルに関わってきたのかを教えてください。
鈴木 健氏(以下,鈴木氏):
「ピコットキングダム」ディレクターの鈴木です。これまでは家庭用ゲーム機を中心に,「グランディア」シリーズや「ピコットナイト」など,RPGやアクションゲームの制作にプランナーとして携わってきました。
杉園 未来也氏(以下,杉園氏):
プランナーの杉園です。私はこれまで企画や運営を経験して,スマホ版「Dokuro」でメインプランナーを担当したあと,「ピコットキングダム」に携わることになりました。
鈴木氏:
杉園は,現在「ピコットキングダム」運営のメインプランナーを担当しています。基本的には,杉園がイベントやアップデートの方向性を考えて,僕がそれに承認を出すような形で運営しています。
4Gamer:
サービスを開始してから約7か月が経過しましたが,「ピコットキングダム」の現状を,お二人はどのように捉えていますか?
鈴木氏:
リリース当時,スマホでは本格的なアクションゲームが多くなかったので,どれだけのユーザーさんに受け入れられるのか不安でした。ですが今では,自主的にタイムアタックをしてクリア時間をSNSにアップするような方もいるなど,我々の想定以上に熱心に遊んでくださっているユーザーさんが多いという印象ですね。
杉園氏:
「ピコットキングダム」では,簡単なタッチ操作だけど本格的なアクションゲームであるという点や,可愛らしいキャラクターを前面に押し出しているのですが,リリースした段階では,ユーザーさんに受け入れられるのか未知数だったので,やはり心配なところがありました。
リリース後は,多くのユーザーさんからたいへん大きな反響をいただくことができて,スマートフォン市場でも,本格的に遊べるゲームへの需要が増えてきているという印象を受けましたね。
ノーマルクエストのスタミナ制撤廃をはじめとした大胆なシステム変更は,プレイヤーに「楽しく遊んでもらうため」のもの
「ピコットキングダム」では,この数か月の間にシステム面でいくつか大きな変更がありました。その中でも,ノーマルクエストでのスタミナ消費がゼロになったのは驚きだったのですが。
鈴木氏:
社内からも「大丈夫?」と心配する声は上がったんですけど,ユーザーさんのプレイ時間もクエスト挑戦回数も伸びましたから,やって良かったなと思っています。
4Gamer:
ビジネス的に考えれば,スタミナ回復も課金要素として大きな収入源の一つだと思うのですが,なぜそのような決断に踏み切ったのでしょう。
杉園氏:
前提として,ユーザーさんから「もっとたくさん遊びたい」というご意見を多くいただいていたんですね。スタミナの回復待ちで遊べない時間ができるよりは,「ピコットキングダム」をもっと遊んでもらったほうがいいだろうと。
社長の森下にも「中途半端なことをやるくらいなら思い切れ」と言われていましたし,思い切って決断に至ったんです。
鈴木氏:
強化や転生に使う素材が手に入るイベントクエストは,従来どおりスタミナを消費するので,そこでバランスを取れるだろうと考えていました。
とは言っても,最初に期間限定で「スタミナ消費ゼロキャンペーン」という形で実施したときは,僕らもヒヤヒヤしながら状況をうかがっていました(笑)。
クエストを自動で進めてくれる「AUTO」機能についても,クリア済みのクエストという条件が外れて,かなりプレイが楽になりました。
鈴木氏:
当初は,一度クリアしたクエストでしかAUTOを使えなかったんですが,2014年に行ったユーザーアンケートで,「最初から使えたほうがいい」というご意見を多くいただいたんです。
最初は,1週間限定で初回挑戦時からAUTOを使えるようにしてみたのですが,反響はそんなになかったんですよ。でも,元に戻したら「なんでなくなっちゃったの?」というご意見が多数寄せられまして(笑)。
4Gamer:
便りがないのは無事な証拠とでも言いますか,評判が良いと黙々と遊ぶだけで反応が返って来ないこともあるから,見極めが難しいですよね。
それから,システム面で言うと,サポートスロットの実装が大きな変更点だと思いますが,プレイヤーの評判はどうでしたか?
鈴木氏:
すごく好評ですね。レア度の高いココロイドや武器が手に入らない方でも,限界突破をしてサポートスロットの数を増やせば戦力を底上げできますし,スタメンから外れてしまったココロイドや使わない武器を再利用できますから,多くのユーザーさんに活用していただいています。
4Gamer:
そのほか,今までのシステム面の変更で,お二人にとって印象深かったものはありますか?
鈴木氏:
「いいココロイドやアイテムが手に入っても装備できない」というご意見をたくさんいただいて,ココロイドや装備品のコストを見直したことですね。
せっかくガチャを引いていただいたのにそれでは寂しいな,と思って見直しを図り,ガチャ限定のココロイドと装備品を中心に,コストを大幅に下げました。中には以前の半分程度までコストが下がっているものもあります。
全アイテムのコストを下げてしまうとシステム自体に意味がなくなってしまうので,いろいろと調整はしていますが,性能の高いユニットを使えない,といったケースはかなり減ったと思います。
4Gamer:
コスト制限の緩和とサポートスロットのおかげで,難度の高いクエストもようやくクリアできるようになりました。
杉園氏:
開発運営チームで喧々諤々と議論をした甲斐がありました(笑)。
システム面の変更で言うと,チュートリアルの最後に引くガチャで出てくるココロイドが固定だったのを止めています。今は☆5の極レアが出ることもあるんですよ。
4Gamer:
チュートリアルのガチャ排出キャラを固定にするのを止めて,何か変わりましたか?
杉園氏:
ゲームを始めてレアなココロイドが出ると,「すごいキャラクターが出たぞ!」とワクワクして,その後もゲームを楽しく続けていただけることが多いんですね。実際にやってみたらユーザーさんにもすごく好評だったので,決断して良かったなと思います。
4Gamer:
ちなみに今だと,どんなココロイドや武器の人気が高いのでしょうか?
鈴木氏:
やはりキングココロイドの人気が高いのですが,中でもスペシャルガチャ限定の「火狩王赤ずきん」「氷月王かぐや」「雷夢王アリス」といった,同属性のメンバーの数だけ攻撃力が上がるリーダースキルを持っているココロイドが人気ですね。
それから,一定確率で防御無視のダメージを与えられるリーダースキル「ケイロンスピア」を持つココロイドの人気も高いです。
杉園氏:
武器種に関しては,時期によってトレンドが変わっているのですが,現在は「ボウガン」「ハンマー」「アックス」の人気が高いですね。
敵に攻撃をさせずに倒すボウガンと,大ダメージを与えられるハンマーが人気を二分していたのですが,このところアックスの「ブンブンアックス」というスキルの強さが評価されてきて,使う人が増えてきたといった感じです。
4Gamer:
11月に追加された新武器のチャクラムの評判はどうですか?
鈴木氏:
チャクラムは遠距離攻撃ができてコンボも稼げるので注目はされているんですけど,ラインナップがほかの武器に比べると少ないので,まだこれからといったところでしょうか。もちろん,これからも入手できる機会を増やしていきますので,今後にご期待ください。
2015年の「ピコットキングダム」は「みんなで競う」「みんなで遊ぶ」「みんなで作り上げる」がキーワード
4Gamer:
ここからは「ピコットキングダム」の今後の展開について話を聞かせてください。今までのアップデートでは,限界突破,転生,サポートスロットといったシステム面の拡張が大きな要素でしたが,今後はどのようなコンテンツが追加されるのでしょう。
2015年のアップデートは,「みんなで競う」「みんなで遊ぶ」「みんなで作り上げる」をコンセプトに計画しています。
「ピコットキングダム」は,けっこうガチなアクションゲームなので,ユーザーさんの習熟度や市場の動向などを鑑みて,これまではシングルプレイ向けのコンテンツをメインに追加してきました。
ですがこれからは,「みんなでプレイできるゲームにしたい」という当初からの構想を実現すべく,ユーザーさん同士の関わりを強くする要素をアップデートで順次導入していく予定です。
4Gamer:
具体的には,どのようなコンテンツを計画しているのでしょうか。
鈴木氏:
まず,2015年2月に「みんなで競う」要素であるアリーナバトルモードを実装します。その後は,「みんなで遊ぶ」ものとしてリアルタイムのマルチプレイモードを2015年春に,「みんなで作り上げる」騎士団システムを2015年上半期中に実装する計画です。
4Gamer:
では,それぞれについて順に教えてください。まず,アリーナバトルモードとはどういった内容になるのでしょうか。
ざっくりと説明すると,3体1組のチームを組んで,ユーザーさん同士で対戦バトルをするというものです。
今までのクエスト同様,ユーザーさん自身のチームは自分で操作して,相手チームはAIで自動的に行動する,非同期型の対戦になります。
対戦をすると勝敗に応じてポイントが獲得できて,一定のポイントが貯まるとクラスが上がるという仕組みになっています。もちろん,ランクが上がったときなどのご褒美も用意しています。
鈴木氏:
アリーナバトルモードは,通常のクエストよりもフィールドに奥行きがあるので,通常のクエストとは違った感覚でバトルを楽しめると思います。
また,AUTOで戦うことができるのはもちろんですが,バトル中に操作するココロイドを切り替えられるのもポイントです。ただ,バトル中にメンバーを復活させることはできません。
4Gamer:
プレイヤー同士の対戦ということは,レベル最大まで育成済みのキャラクターを持っている上級者だけに向けたものになるのではないかという懸念がありますが,そのあたりはどうなっているのでしょうか。
杉園氏:
ゲームを始めたばかりのユーザーさんから上級者まで,幅広い層のユーザーさんが参加できるように,間口が広い遊びとして設計してありますのでご安心ください。
基本的には,同程度の実力を持ったユーザーさん同士でマッチングする形になっていますが,まれに強い相手に出会う緊張感もあります。
上のほうのクラスになると強い人と当たるので,勝敗でランキングが上下する部分もありますが,負けてもポイントを獲得できるので,地道にプレイすればクラスを上げていくことは可能です。
どちらかというと,「こんなに強い人がいるんだ」「強い人と戦って勝ってみたい」と思えるようなモードになっています。
アリーナバトルモードでは,連勝するともらえるポイントに倍率がかかる「連勝ボーナス」という要素を用意しています。ゲームを始めたばかりのユーザーさんでも,勝ち続ければ大量のポイントをゲットすることが可能です。
4Gamer:
ガチガチのPvPというわけではないんですね。
杉園氏:
対戦もけっこう斬新なシステムになっているんですよ。
たとえば,対戦する前に,相手のリーダー限定ですが装備やスキルをチェックできるので,対戦相手を見てから,チームの装備を変えることが可能です。
また,バトルを始めるまで対戦相手はキープされ続けるので,一度アリーナバトルモードを抜けて,強化合成などで自分のパーティを強化してからバトルに挑むこともできるようになっているんですよ。
4Gamer:
対戦をいったん放置して育成してもいい,というのは面白いですね。
鈴木氏:
ただ連勝ボーナスは,負けたときはもちろんですが,対戦相手を変更したときもリセットされてしまいますから,勝てそうな相手を探してマッチングを繰り返した場合は,あまりポイントが稼げないような仕組みになっています。
連勝ボーナスは最大で16倍になりますから,まさにのるかそるかの大勝負というわけです。
4Gamer:
対戦は,スタミナを消費してプレイする形になるんですか?
杉園氏:
いえ,アリーナバトルモード用に新しく導入する「ピコチケット」を消費してプレイすることになります。ピコチケットは消費したあと時間経過で回復しますが,上限が定められているので,一定時間内にプレイできる回数が決まっている,という形ですね。
4Gamer:
アリーナバトルモード専用のスタミナのようなものが用意されるわけですね。
先ほどのお話では,ほかにもマルチプレイというか,他プレイヤーとの関わりを持たせる要素を実装するとのことでしたが,最初にアリーナバトルモードを導入することにした理由はどこにあるのでしょうか?
まずは対戦型コンテンツを導入して,ユーザーさん同士が関わりを持つ場から提供して,そのあとにマルチプレイモードでプレイの幅を広げていこう,という意図で順番を決めています。
杉園氏:
熱心に遊んでいただいているユーザーさんのコミュニティでは,「このキャラクターが強い」「いやこっちのほうが強い」といったように,踏み込んだ議論が出てきていますし,腕自慢のユーザーさんが自分の力試しをしたいという要望もいただいています。
ですが現在は,ほかのユーザーさんと強さを比べる場がありませんから,アリーナバトルモードから導入することにしたんです。
リアルタイムの協力プレイを実現するマルチプレイモード
4Gamer:
それでは次に,マルチプレイモードについて教えてください。
マルチプレイモードは,複数のユーザーさんがリアルタイムで協力プレイを楽しめるモードです。最大4人が参加できて,それぞれのユーザーさんはご自身のチームリーダーを操作していただく形になります。
4Gamer:
マルチプレイの通信は,Bluetoothなどを使ったアドホック型,サーバーを経由するインターネット接続型のどちらになるのでしょうか。
杉園氏:
ゲームにログインしているユーザーさん同士を,サーバーを介してマッチングするインターネット接続の方式になります。
フリーマッチングやランダムマッチングだけでなく,パスワード付きのルームを作って特定のユーザーさん同士で一緒に遊ぶということも可能です。
4Gamer:
マルチプレイモードの最中に,メッセージをやりとりしたり,意思疎通はできるんでしょうか?
杉園氏:
意思表示ができる簡易的なコミュニケーションツールは用意したほうがいいと考えています。具体的にどうするか,さまざまな手段を検証しているところです。
4Gamer:
プレイするクエストは,マルチプレイ専用のものが用意されるんですか?
杉園氏:
今までのクエストより強力な敵が出てくるような,マルチプレイモード専用のものを用意します。敵はものすごく強いけど,勝てば強力な武器などの報酬が手に入るというものですね。
それから,専用クエストだけでなく,既存のクエストもすべてマルチプレイモードに対応させる予定で考えています。今はまだ,どうやったら一番面白い形になるのか,いろいろなアイデアを検討している段階です。
4Gamer:
そうなると,今までクリアするのが厳しかった超高難度クエストにも挑戦できるようになるでしょうし,プレイヤーの遊び方が大きく変化しそうですね。
はい。「オレはアタッカーで行く」とか「オレは回復役で行くぜ」というように,役割に特化した編成を組んでいただけると思いますから,今まで日の目を見にくかった武器にも活躍の場が出てくると思います。
鈴木氏:
現在の「ピコットキングダム」はソロプレイがメインなので,武器の性能はある程度のオールマイティさを念頭に置いていますが,今後は,盾役になれるような装備であったり,攻撃に特化した武器であったりと,マルチプレイモード向けの少し尖らせた性能のものを実装することも考えています。
4Gamer:
2015年前半に実装予定の騎士団システムは,どんなコンテンツになる予定なのでしょうか。
杉園氏:
大まかにいえば,ユーザーさん同士が集まる,いわゆるギルド的なコミュニティ要素ですね。
まだ検討中の部分も多いんですが,クエストでいろいろなものを集めて騎士団を強くしたり,騎士団同士で競い合うGvG的コンテンツであったりと,騎士団に所属するユーザーさん同士が同じ目標を持って,これまで以上に緊密な関わりあいを持って楽しめるコンテンツにできればと考えています。
4Gamer:
それでは最後に,読者に向けてメッセージをお願いします。
杉園氏:
2月に腕試しができるアリーナバトルモードが始まることで,いよいよ「ピコットキングダム」がみんなで遊べるゲームになる第一歩を踏み出します。アリーナバトルモードでは魅力的な賞品をたくさん用意していますので,ぜひココロイドを今のうちに強化しておいて,実装を楽しみに待っていただけたら嬉しいです。
それから,2月には今までとはちょっと違った方向性の可愛いココロイドを追加しますので,そちらもご期待ください。
アリーナバトルモードは,ちょっとした時間で遊べるコンテンツになっているので,実装されたらぜひ一度遊んでみてください。
ユーザーさんのチーム同士がぶつかることになりますが,どうすれば勝てるかというチーム構成であったり,どのココロイドや装備を強化すればいいのかだったりと,今までとは違った楽しみ方が生まれると思います。それまでは,今のチームを強化して備えていただければと。
また,「ピコットキングダム」はガチなアクションゲームですが,間口が広いゲームでもあります。アクションゲームが苦手だという方でも,タッチだけの簡単操作でも遊べますので,可愛い見た目に惹かれただけでも大丈夫ですので,ぜひ一度遊んでみてください。
4Gamer:
ありがとうございました。まずは2月のアップデートで実装されるアリーナバトルモードに期待しています。
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