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「Fate/Grand Order」がもたらす新しいスマホゲームの形――奈須きのこ×塩川洋介が語るFGOの軌跡と未来とは
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印刷2017/03/11 00:00

インタビュー

「Fate/Grand Order」がもたらす新しいスマホゲームの形――奈須きのこ×塩川洋介が語るFGOの軌跡と未来とは

画像集 No.006のサムネイル画像 / 「Fate/Grand Order」がもたらす新しいスマホゲームの形――奈須きのこ×塩川洋介が語るFGOの軌跡と未来とは
 2015年7月30日(iOS版は8月12日)にサービスを開始したスマートフォン向けRPG「Fate/Grand Order」iOS / Android。以下,FGO)。TYPE-MOONとディライトワークスによって開発された本作の第1部が,2016年12月22日に公開された「終局特異点 冠位時間神殿 ソロモン」をもって完結した。

 およそ1年半にわたって紡がれてきた,この壮大な物語はひとまずの着地を迎えたが,第1.5部,さらにそれに続く第2部の制作が発表されたことで,プレイヤーはいまだ冷めやらぬ熱狂の中にいる。

 これまでに「月姫」「Fate/stay night」「魔法使いの夜」といったノベルゲームを世に送り出し,さまざまなメディアで「Fate」シリーズを展開しているTYPE-MOONが挑戦した初めてのスマートフォン向けゲーム。そこにはどのような物語,システム,そして制作陣の情熱が込められていたのだろうか。

 今回,第1部の完結を記念して,「FGO」においてメインシナリオライター・総監修を務めるTYPE-MOONの奈須きのこ氏と,FGO PROJECTのクリエイティブディレクターを務めるディライトワークスの塩川洋介氏に話を聞いてみた。この2人のもと,「FGO」はこれまでどのような軌跡を描いてきたのか。そして先の未来において,どのような展開を見せるのだろうか。

※インタビュー中には,「メインシナリオ第1部全体についての重大なネタバレ」があります。ご注意ください。


駆け抜けた1年半。「FGO」第1部がついに完結


4Gamer:
 本日はお時間をいただき,ありがとうございます。まずは,サービス開始からの約1年半を駆け抜けた,今のお気持ちから聞かせていただけますか。

画像集 No.005のサムネイル画像 / 「Fate/Grand Order」がもたらす新しいスマホゲームの形――奈須きのこ×塩川洋介が語るFGOの軌跡と未来とは
奈須きのこ氏(以下,奈須氏):
 とにかく,感無量です。最終章が公開された12月22日はなんていうか,チームを誇らしく思っちゃいました。「ああ,この3年間やってきたことに意味はあったんだ」「十分に打ちこんでもらえる価値があるものを作れたんだ」と。

4Gamer:
 以前のインタビューでおっしゃっていた「リアルタイム性」が,とても有効に働いたと感じています。とくに最終章では,2017年を迎えるために挑む最終決戦というシチュエーションと,すべてのプレイヤーが協力して挑む討伐戦というゲームシステムが合わさって,とても盛り上がりました。

塩川洋介氏(以下,塩川氏):
 そこは運営型のゲームとしての魅力を出せた部分ですね。討伐戦に皆で挑む一体感と,物語のクライマックスに向けての興奮が,うまくリンクしてくれました。

奈須氏:
 最終章をみんなで挑む形にするというのは,企画当初から決めていたことでした。ゲームって,普通は作り手が用意したものを,それぞれのタイミングで味わうものじゃないですか。ですが,最終章に関してだけは,単に与えられたものをこなすだけではなく,皆で頑張って,自分達の力で未来(来年)を引き寄せるんだという感覚を味わってほしかった。

4Gamer:
 討伐戦は最終章以前にもありましたが,ここまで皆の気持ちが一つになったのは初めてだった気がします。

奈須氏:
 「鬼哭酔夢魔京 羅生門」や「天魔御伽草子 鬼ヶ島」といったこれまでのイベントが,すべてこの最終章に向けての準備だったんです。「全員で協力するイベントをやったらプレイヤーがどういう反応をするのか」「討伐戦を楽しくするには何が必要か」といったノウハウを蓄積するための。

塩川氏:
 結果,予想以上にうまくいきましたし,嬉しかったです。ただ,運営する立場からすると,やっぱり怖い部分も多かったというのが正直なところです。普通に考えたら,シナリオの最終章が期間限定イベントなんて,あり得ないことですから。

4Gamer:
 リアルの都合で参加できない人はどうすればいいのか,とか。

塩川氏:
 そうなんです。それでも,自分達が表現したいものをやり切るということだけは,譲りたくなかった。曲げちゃいけないものがあるんだってことを,FGOの開発を通して改めて学んだ2016年だったように,今は感じています。

4Gamer:
 ちなみに,7章が12月7日で,最終章が12月22日の公開ですよね。その間2週間程しかなかったわけですが,よく間に合いましたね。

塩川氏:
 やるしかないという感じではありましたが……そりゃもう,地獄のような日々でしたよ(笑)。時間的に厳しいというのもありましたが,それ以上に納期が明確に決まっていたことでのプレッシャーが大きかった。先延ばしは絶対にできないので。

4Gamer:
 2017年から先の未来を取り戻そうという話なのに,2016年内に完結できなかったら,今度()こそ取り返しがつかないですよね。

※FGOのサービスは,当初2015年に展開され,2016年以降の歴史を取り戻す物語として計画されていた。

塩川氏:
 そこを死守しなければならないのに加えて,最終章に挑むためには,ある程度のプレイヤーが,その前の7章をクリアしていなければならないわけです。なので,7章自体のスケジュールにも,最終防衛ラインが引かれていました。

4Gamer:
 まさにギリギリの戦いだったわけですね。

塩川氏:
 そうした状況の中で,奈須さんから上がってくるシナリオは,容量がどんどん膨れあがっていく。それを「そうかあ……」という気持ちで眺めていました(笑)。

(一同笑)

画像集 No.011のサムネイル画像 / 「Fate/Grand Order」がもたらす新しいスマホゲームの形――奈須きのこ×塩川洋介が語るFGOの軌跡と未来とは
塩川氏:
 でも,奈須さんからシナリオが届いた時点で,これはすごいことになるという確信もあったんです。サービス開始から1年半かけてクライマックスに辿り着いたプレイヤーに,一刻も早くこれを届けたかったですし,作っている我々としても,なんというか込み上げてくるものがありました。そして,その感動の提供を優先するために,クリスマスイベントを11月に前倒しでやるというような決断もしました。

奈須氏:
 人類悪としてのビーストという,今回の敵の正体を提示したのが7章で,その出来には自分としても手応えがありました。ただ,そこについてきてくれるのは,古参のTYPE-MOONファンだけだろうとも思っていたんです。でも実際には,多くのプレイヤーが物語を深く理解してくれて,クライマックスを待ち望んでくれた。

4Gamer:
 想像以上に,みんなが物語にのめり込んでくれたと。

奈須氏:
 7章のリリースをもう少し早めて,間を1か月ほど開ける案もあったんです。だけど,7章をあれだけ盛り上げておいて,そこから時間を置くのは絶対に嫌だった。カレンダー的に言えば,11月に7章で,クリスマスイベントを挟んで年末に最終章というのが自然なんだけど。でも,7章と終章の間にイベントを挟むのは,どうしてもしたくないと。

4Gamer:
 確かに,7章から最終章にかけては怒涛の展開でした。

奈須氏:
 人類悪は悪ではあるけれども,決して根絶できない。人間が存在する以上,どうしても生まれてきてしまうもの。そして,人類はそれを乗り越えていかなきゃならない,という話の流れでした。そうした思いを理解したうえで,皆が決戦に挑んでほしかったんです。その思いをチームみんなが受け入れてくれました。商業的なことより作品の芯を取ろう,と。そういった面でも、FGOは恵まれたゲームだと思います。

塩川氏:
 そして蓋を開けてみると,ものすごい勢いで魔神柱が狩られ……。

(一同笑)

奈須氏:
 あれはですね,2通りのプレイヤーに分かれると予想していたんですよ。魔人柱はそれぞれ影響し合っていて,一体を倒すとほかの柱が弱体化する設計でした。なので,「まずは回復能力を持っている柱を倒し,次に無敵貫通を持っている奴を仕留めよう」というように,戦略を立てて挑むプレイヤーが出てくるだろうと。

4Gamer:
 開始前にもそう予告されていましたから,きっと倒す順番があるんだろうなと思っていました。

奈須氏:
 一方で,そうした戦略はほかの人に任せ,ひたすらアイテムを集めるプレイヤーが出ることも分かってはいたんです。分かってはいたけれど……結果は「とにかく心臓を集めるんだ!」って,皆がバルバトスに群がっていった(笑)。

4Gamer:
 「素材掴み取りだ! 乗り込め!」って感じでしたよね。おいしい素材を落とす魔神柱から,恐ろしい勢いで倒されていって。

奈須氏:
 「これこそが人類悪だ!」って光景で,面白かったですけど(苦笑)。

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塩川氏:
 結果的には,「今,FGOで何かが起きてるらしい!」「早く参加しなきゃ!」っていう空気がプレイヤー内外に広がって,大きな注目が集まりました。素材ドロップの仕掛けは大きな決断の一つではありましたが,結果的にはやって良かったと思っています。

奈須氏:
 TYPE-MOON側が「これをやると絶対盛り上がる!」と思っても,運営であるディライトワークスさんが「時間的,リスク的に厳しいです」と判断するなら,それは正しい選択だと諦めていたと思います。でも,塩川さんをはじめスタッフの皆は引かなかった。そこで「やりましょう!」と言ってくれたからこそ,最終章はあの形で実装できた。だからやっぱり,本当に奇跡みたいなものだったんですよ。

4Gamer:
 ちなみに,7章や最終章を執筆されていたときの,奈須さんのモチベーションはどうだったのでしょうか。

奈須氏:
 とりあえず,体力的にキツかったことは確かです。 FGO以外の案件も合わせると,10月だけでファイルの容量1MBは書きましたから。もう目の下にクマができて,人相が変わってしまうくらい。ひたすらクリームを塗って,年明けにようやく元に戻ったほどです。ただ筆のノリはすごく良くて,書いていて楽しかった。

4Gamer:
 テキストファイルで1MB()とは……。

※編注:ちなみに,1MBで原稿用紙 約1311枚分となる。

奈須氏:
 2015年の10,11月あたりは,奈須きのこ史上,最高の忙しさだったかもしれませんが,「まだまだ自分も若いじゃないか!」と自信が沸いたのも確かです。作業に入る前は一点だけ不安があって,7章のギルガメッシュをうまく描けるか,というのもありましたが。

4Gamer:
 それはテーマ的な部分で,ですか?

奈須氏:
 どちらかというとキャラの魅力に関してですね。「Fate/EXTRA CCC」を作ったときに,味方視点で書けるギルは出し尽くした感があったので,それを超えられるかどうかが少し心配だったんです。あれこれ考えているうちに「探索を終えた後のギルは何者になるだろう」と突き詰めたら新しいギルが生み出せた。あれは自分でも意外な発見で,キャラクターの前提条件を変えてしまえば新しいイメージを作れるんだな,という驚きがありました。

「Fate/EXTRA CCC」
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塩川氏:
 ちなみに,第1部までに実装されたテキストの総量を調べてきたんですが,メインストーリーとイベントと幕間の物語を合わせて, 200万字に達していました。それ以外のフレーバーテキストなんかは含まれていない文字数なので,全体としてはもっと多いでしょう。

4Gamer:
 全角だとすると4MBほどですね。確か「月姫」や「Fate/stay night」がちょうど4MB前後だったと聞きますから,数人で書き分けているとはいえ,とんでもない量かと。

奈須氏:
 なるほど……。今年の1月頭はどうにも仕事が進まなくて,なんでこんなにやる気が出ないんだろうと思ってたけど納得です。そりゃ,そんだけ書いてたら心身共に疲れてるわ。

4Gamer:
 武内さん(TYPE-MOON社長の武内 崇氏)も,社長業やイラストでだいぶお疲れでしょう。

奈須氏:
 武内はどうなんだろう……? 自分以上に激務のはずなんですけど,暇を見つけてはアルトリアを描いてるから(笑)。いきなり「■■■■■アルトリアです。どうぞ」とか言ってきて,こっちはメインもイベントもギチギチだっていうのに。忙しい分,楽しんでやろうというバランス取りがすごくうまいんですよ,アイツ。羨ましい。

4Gamer:
 ああ,また新たなアルトリアが……。


火中の栗を拾う覚悟――塩川氏が見出した可能性


4Gamer:
 シナリオ面でのお話は,またあとで詳しくお聞きするとして,塩川さんの立ち位置について,改めて質問させてください。塩川さんは,FGOには途中参加されたとうかがっていますが,どのような経緯で本作に関わるようになったのでしょうか。

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塩川氏:
 経緯で言うと……本作のプロデューサーである庄司(庄司顕仁氏)とは,前職時代の知人でして,FGOのローンチ前から個人的に相談を受けてはいたんです。その時は単なる外野だったので,開発中のバージョンをちょっと触らせてもらったりしつつ,話を聞いたりしていました。

4Gamer:
 おお,庄司さん! 以前のインタビューで取材させていただきました。お元気ですか?

塩川氏:
 プロデューサーとして元気にやっています。で,ローンチ後もFGOのことは個人的に気になって見ていたんですが,外野からみても炎が盛大に燃えさかっていて……。

4Gamer:
 ああ……当時はまあ,いろいろありましたから。

塩川氏:
 そんな中,庄司から「困ってるんだよ」と相談を受け,「そりゃまあ,困ってるだろうな……」って感じで最初は話を聞いていたんです。そこで何か助けになれることがないかと,個人的にFGOを遊んで分析をしてみたんです。何が原因でゲームがこんな状態になっていて,どこをどう改善すればそれが解消されるのか。そういうのをレポートにしたりもしました。

4Gamer:
 その時は,まだ別の会社に勤めていらしたんですよね。

塩川氏:
 ええ。ですので,仕事としてではなく,あくまで個人的な活動としてです。人助けと言えば聞こえがいいですけど,半ば趣味のような感じでしたね。そうこうしているうちに,「一度TYPE-MOONの奈須さん、武内さんと会ってくれないか?」って庄司から言われて,お会いすることになりました。

4Gamer:
 その段階では,まだ本作に関わるという話ではなかったと。

塩川氏:
 はい。わざわざ火中の栗を拾いにいく必要はないですから。とは言え,いささか悩んではいました。FGOを遊んで分析していく中で,その当時は燃え盛っていましたが,実はすごいポテンシャルがあると自分の中で確信が芽生えていました。そんな中で奈須さん,武内さんから話を聞いて,本気で良いものを作ろうとしているんだということが分かったんです。彼らはただFateのIPを使ったものを出したいのではなく,FGOという新しいFateに本当に真剣に取り組んでいるんだなと。

4Gamer:
 そのFGOのポテンシャルというのは,具体的にどんな部分だったのでしょうか。

塩川氏:
 端的に言えば,根っこにある奥深さや面白さが,プレイヤーにまったく伝わっていない状況だったんです。例えば育成やバトルの仕様について,何故そうなっているのかとTYPE-MOONさんに聞いたら,「Fateはこれこれこういうものだから,この仕様にしている」っていう明確な答えが返ってくる。それってFateだからこその発想であり,つまりはFGOの本質とも言える部分です。そこがすごく魅力的だったので,魅力がきちんと伝わるように直していくだけでも,このゲームは大きく変わるだろうという確信がありました。

4Gamer:
 なるほど。そうしてディライトワークスへの参加を決めたと。入社後は,そうした“伝わらない”部分に,一つ一つに手を加えていった?

塩川氏:
 自分の仕事でいえば,特定のパートに手を入れるというより,全体を整理したという感じです。関わり始めた当時は,「このゲームはどこに向かうべきか」という部分が迷走していたので。

4Gamer:
 Fateの魅力を引き出すにはどうすればいいのか,進むべき方向が定まっていなかったと。

塩川氏:
 当然ながらTYPE-MOONの皆さんも,当時はこうした運営型タイトルの開発経験が豊富というわけではありませんでした。だから,作りたいものをどう具体化するのかという方法論を持っていなかったんですね。そこで形になっていない部分を順番に整理して,スマートフォンや運営型のゲームに適したフォーマットに置き換えていきました。

奈須氏:
 例えば「オーバーキル」とか「攻撃時のターゲッティング」というのは,FGOのバトルにおいて,戦略的な面白さを引き出す要素の一つでした。だけど,当初はそれが,プレイヤーに伝わるシステムになっていなかった。塩川さんはそうした部分のUIなどを調整して,楽しめるものに変えていってくれたんです。

塩川氏:
 とはいえ,すべての要素を一気に改善することはできません。なので,「いま最も優先すべきことはこれです」「これは確かに問題だけれど,改善はまだ先でいいです」という風に,問題点を見つけてはそれに優先度をつけて,ひとつひとつ改修していきました。細かな指示を出すこともありましたが,全体的な方向性を定めるのがもっとも重要な仕事でしたね。

奈須氏:
 僕のイメージだと,ローンチ直後のFGOは「10年間放置されたボロボロのサーキット」だったんですよ。道は存在しているんだけど,雑草は生えているわ,タイルやアスファルトは剥がれているわで,ひどい状況だった。それでもかろうじてプレイヤーが車を走らせてくれたのは,これまでのFateというコンテンツが作ってきた信頼という貯金があったからです。Fate貯金があったからこそ,みんな我慢して走ってくれていた。

4Gamer:
 Fateだから,TYPE-MOONだから,ついてきてくれるファンですね。

奈須氏:
 そんな状況の中で塩川さんがやってきて,「まずは雑草を取りましょう」「一度に全部は直せないけど,この箇所から舗装していきましょう」と言って,綺麗にクリーニングしてくれた。そうやって改修を重ねていくうちに,ちゃんとしたコースも実装されて,今ようやく,最初に予定していたサーキットのポテンシャルが発揮できるようになりました。

4Gamer:
 ああ,なるほど。

奈須氏:
 塩川さんが来る前は,僕らは何が悪いのか分かっていても,いちプレイヤーとして意見するだけで,具体的にそれを直すことができなかった。塩川さんは,そこに「皆さんの意見を反映させるには,こういう順番で,こういう方法で解決するのだ」という,具体的な方法をプレゼンして,道を示してくれました。その瞬間,僕と武内はアイコンタクトで「こいつを逃がすな! 何としてでも捕まえろ!!」って合図を送り合ったという(笑)。

4Gamer:
 (笑)。ちなみに,それはいつ頃のことなんですか?

奈須氏:
 2015年の8月末くらいでしたね。あの頃は,とにかくプレイヤーの皆さんに我慢してもらっていて,Fate貯金が目減りしていくのを眺めていることしかできなかった。この貯金がなくなる前にどうにかしてゲームの屋台骨を作り直さなければ,プレイヤーの期待をすべて裏切ることになってしまうという強い危機感がありました。なので「この状況を抜け出すために,ゲームのことをしっかり分かっている人」が必要だったんです。

塩川氏:
 Fate貯金が目減りしているという話は,奈須さんから何度も聞かされていて,Fateシリーズ,ひいてはTYPE-MOONさんが築いてきた信頼度が下がっていくことへの危機感というのが,すごく伝わってきました。だからこそ,自分がその状況に全身全霊で取り組むことでなんとかしたいという気持ちが徐々に芽生えてきて。ディライトワークスへの参加を決心したのは,そうしたTYPE-MOONさんの情熱に後押しされた部分は大きかったですね。

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4Gamer:
 塩川さんは,CEDEC 2016の講演で,KPIよりもTPI(TYPE-MOON Performance Indicator,型月反応評価指数)を重視するというお話をされていました(関連記事)。あれがまさに,今のお話につながっているように感じます。

塩川氏:
 そうですね。FGOの運営は,ディライトワークスで作った土台を,TYPE-MOONさんとのやり取りの中でアジャストしていく作業なんです。そこでお墨付きをもらえたら,TYPE-MOONさんが好きな人達には絶対喜んでもらえるし,自分としてもこれで大丈夫だと思える。講演では,それを分かりやすく伝えるためにTPIという言葉を使いましたが,本来はただそれだけの話なんですよ。

奈須氏:
 例えば,「夏の水着イベントを盛り上げたいので,水着キャラを8体用意しましょう」とか言われると,こっちは「オエー!」って吐きそうになるわけです。だけど,塩川さんはプレゼンがうまいから,いつの間にか納得させられちゃって。

4Gamer:
 夏の水着イベントは,いちプレイヤーとしても驚かされました。まさか2段階で来るとは。

奈須氏:
 重要なのはそういうところなんだと思います。水着キャラを8体出すという発想は,どうやっても我々からは出てこない。スケジュールも大変だし,出してもまあ4体だろうって。ところが「夏ですよ! ブルースカイ! 8人でしょう!」と言われたら,「なるほど,8人だな! よく分かんないけど!」って納得させられてしまう(笑)。

4Gamer:
 なるほど,分かりませんね(笑)。

奈須氏:
 バレンタインイベントも,2016年は大変だったので2017年は楽をしようと思ってたのに,塩川さんから「去年の倍のことをしましょう()」と言われ。きついんだけど,でもプレイヤーが喜んでくれるのも分かるから,こちらとしては「じゃあ,やってやりますよ!」と返すしかない。

※2016年イベントの拡大復刻版として実装。前回以降に実装された女性サーヴァントのシナリオ追加のみならず,まさかの男性サーヴァント用も追加。つまり,男性分はすべて新規シナリオだった……。

4Gamer:
 それはもう,完全に無茶振りなのでは?

塩川氏:
 自分としてはそんなつもりはないんですけど。ただ2015年のお月見イベントはちょっと……。

奈須氏:
 お月見は……ほら,先ほど話した「信頼貯金」だけでなんとか持っていた頃だったので。自分でも脊髄反射で動いてしまったと反省しています。イベントシナリオや告知のノウハウも蓄積されてなかった頃なので,進行がまだ乱雑というか,状況を掴めていなかった。

4Gamer:
 それはスケジューリングに関する部分で?

奈須氏:
 スケジュール的なものも,プレイヤー間の空気もですね。ネロ祭はバトルだけだったから,お月見はシナリオが欲しいという話になって,それは確かにあったほうが喜ばれるだろうとは思ったけど。「それで〆切は?」って聞いたら「明日です」って(苦笑)。

4Gamer:
 それは真顔になりますね(笑)。初耳だったんですか?

奈須氏:
 ええ。1文字も書いてないどころか,考えてすらいませんでした。それでもFGOを楽しんでくれているプレイヤーに,今できることは全部しなければという気持ちが強かった。ただ,その時に動けるライターが自分しかいなかったので,「じゃあ,なんとか明日までに用意するから,そちらも死ぬ思いで実装してください」と。

4Gamer:
 すごい……というか,やっぱり無茶ぶりですよね?

奈須氏:
 ただあれが,TYPE-MOONが頑張れば,その分ディライトワークスも頑張ってくれるという信頼関係を築くきっかけにもなったと思います。

塩川氏:
 確かにそうかもしれませんね。

奈須氏:
 あの時,ディライトワークスは割と軽めのシナリオを想定していたと思うんですよ。けど実際には,「あれ,気軽に10KBのシナリオを頼んだら,こいつ40KBも書いてきやがったぞ!」ということになって。武内も「だから言ったでしょ。奈須に頼むっていうのはそういうことなんですよ」って横で笑ってましたし。

4Gamer:
 逆に,塩川さんが受けた無茶振りはないんですか?

塩川氏:
 TYPE-MOONさんから投げられたものだと……やはりメインストーリーに関する部分が多いですね。文章の量もですけど,とりわけ6章からトリッキーな要望が多くなってきて。

奈須氏:
 ちょうど4章まで公開されたあたりで,塩川さんが年内の問題をほとんど片付けてくれたので,ようやくゲームを拡張できる状態になったんです。ただ,5章は1月公開だったので,演出などに手を入れるのは難しい。だったら6章から,自分の考える理想のJRPGみたいなものを作ってみたいと思い,シナリオの面白さとゲームとしての快感がセットになったものを提案してみたんです。半分くらいは無理と言われることを覚悟していたんですが,全部通してくれました。

4Gamer:
 6章ではギフトが登場しますし,バトル面でもかなり変化があったように思います。あと,1枚絵のCGが,演出で初めて使われたのも6章ですよね。オジマンディアスの宝具が炸裂するシーンで。

塩川氏:
 あれは,どうやってクライマックス感を出していくかを考える中で出てきた演出ですね。バトル面では,「Fate/Accel Zero Order」で敵の先制攻撃を入れたりと布石を打ってきていて,6章で花開いたという感じです。

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奈須氏:
 それこそ6章は,シナリオを読んだ武内が「ここは1枚絵がないとダメでしょ」と言ったり,エフェクトをもっと盛りたくなって「よし,こやまさん()に頼もう!」となったりと,TYPE-MOONの中でもてんやわんやでした。結果として,6章は理想的な形でリリースでき,「このチームすげえ!」って思いましたよ。

※TYPE-MOONのキャラクターデザイナー こやまひろかず氏。

塩川氏:
 そして,7章ではさらに上を目指そうってことに……。

奈須氏:
 制作体制も,そうやって少しずつ強化されていったんですが,7章や最終章では,お互いの全力を出し切って頑張りましょうってことになって。でも,そうやって全力を注いだものがプレイヤーに受け入れられたのは,やっぱり嬉しかったですよ。


ゲームバランスとFateらしさの狭間で


4Gamer:
 先ほど6章でのバトル面の変化の話がありましたが,そこをもうちょっと詳しく聞かせてください。難度的にも,あそこから急激に跳ね上がったように感じたんですが,あれは意図的なものだったのでしょうか?

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塩川氏:
 意図があっての調整です。そこにはちゃんと理由がありまして,6章のシナリオが持つテーマを表現するためには,あの難度が必要だった,ということなんです。獅子王の圧政に立ち向かうという危機的状況なので,「ここは危険な場所なんだ」というのを,バトルの面でもプレイヤーに実感してほしかった。

4Gamer:
 まさに実感させられました。第1節だから種火周回用のパーティでいいだろうって舐めてかかったら,まさかの令呪を使わされる羽目に。

塩川氏:
 スフィンクスにボコボコにされるっていうやつですね。

奈須氏:
 シナリオでは強敵扱いされているのに,実際のバトルになったら簡単に勝ててしまうというのを避けたかったんです。キツイ状況を打破して世界を救う物語がFGOなのに,その旅がプレイヤーにとってイージーなものだったら駄目でしょうってことを,会議で何度も主張しました。

4Gamer:
 そこは難しい部分でしょうね。ただ難度を上げれば喜ばれるという話でもないでしょうし。

奈須氏:
 実際,バランス担当からは「スマホゲームというジャンルで簡単にクリアできないバトルを用意しても,プレイヤーのストレスやヘイトが溜まるだけです」と,マイナス要素をかなり強調されました。

4Gamer:
 それは恐らく正しいのでしょう。一般的なスマホゲーなら,あまり大変なのはちょっと……という反応になりかねない。

奈須氏:
 でも,ここに関しては僕も譲れなかった。そうやって悩むのがRPGの楽しさですし,それを乗り越えることで,初めて小説以上の面白さが生まれる。そうでなければゲームである必要がない。それを何度も真剣に議論し,最終的に互いに「これならいける」というラインに落としこめたと思います。

4Gamer:
 ちょっと話がズレますが,難度という意味では,第2回ネロ祭のフィナーレミッションがよく話題に上ります。あれは結局調整ミスということで難度が下がったわけですが……本当にミスだったんですか?

塩川氏:
 本当に,ただのミスなんですよ。「超高難易度クエスト」という初めての試みだったんですが,どのミッションもリリース直前まで調整していて。毎日ギリギリの難度を追い求めていたんですが,最後の最後にミスが出てしまいました。

奈須氏:
 ネロが無限ガッツとかしてくるし(笑)。あれ,僕は超楽しかったんですけど,普通に考えたらちょっとクリアできないよね……。

塩川氏:
 設計段階で用意していた書類上のデータから,ゲーム用データとして入力する際に抜けが出てしまって,ああいうことになってしまいました。実装後にプレイ状況を確認したところ,「あれ,1000人しかクリアしてないぞ? おかしいな」って気付いて……プレイヤーの皆さんには申し訳なかったです。

4Gamer:
 それでも1000人はクリアしているんだっていう。できれば修正前にもう1回挑戦させてほしかった。次はクリアできる……ハズだったんですけど。

奈須氏:
 それも含めて,修正前のフィナーレをクリアした人というのは,やっぱり「選ばれし者」なんだと思います。超高難度イベントは今後もやっていきたいですが,重要なのは普段のクエストでの満足度なので,そっちのほうが大事ですよね。それも含めて,年に一度のネロ祭を楽しんでもらえたらと。

4Gamer:
 分かりました。では,その難度と関連するゲームバランス,メカニクスについてなんですが,FGOの場合は,普通にプレイしているだけでは気付かない要素――いわゆるマスクデータが多いのが気になっています。この点については,どのようにお考えなのでしょうか。

塩川氏:
 まず前提として,今はどんなゲームも,同じように便利になり過ぎているんじゃないかと思うんですよ。あまり考えなくていいゲームだったり,覚えなくていいゲームだったりと,世の中のゲームが横並びにそちらへ向かっている気がしています。また,ネットで少し調べれば何でも分かってしまうから,どんなゲームを遊んでも,結局はいずれ他人と同じような攻略や正解をなぞるだけになってしまう。そんなふうになんでも思いのまま叶うようになった先にあるのは,「飽き」なんだと思うんです。
 FGOでは意図的に,いろいろなことがままならなくなるよう設計しています。ままならないから,もっと遊びたくなる。FGOの楽しさのひとつは,ままならない部分をどう補うかを自分で考えながら遊ぶ事にあると思っています。

奈須氏:
 ゲームバランス的なものとは別に,設定的にあえてマスクしているデータというのもあります。例えば,天/地/人/星/獣といったサーヴァントの属性は,第1部を最後までプレイしたあとに振り返ったときに,「あ,そういうことなのか!」と思ってもらえるようになっています。コアなプレイヤーが気付いたときに楽しめる要素は,概ねマスクしていますね。

4Gamer:
 天/地/人はなんとなく分かるんですが,星がよく分からないんですよね。

奈須氏:
 「星の開拓者」に近いですが,基本的には人類史の中で大きな希望を残した人が星属性です。単に偉業を達成しただけではなくて,キラキラと光る星でなければならない。そういう概念的なものも含めたうえでの設定です。

4Gamer:
 となると,謎のヒロインXは……?

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奈須氏:
 彼女に関してはちょっと別。単純に「宇宙からやってきたから星だよね!」という理由なので,キラキラとは分けて考えていただけたらと(笑)。

4Gamer:
 まさかの宇宙人設定(笑)。では,特攻範囲についてはいかがですか。戦略に大きく関わってくる要素ですし,もう少し分かりやすく表示されても良い気がするのですが。とくに……ブリュンヒルデの〔愛する者〕特攻とか。

奈須氏:
 あれはですね,「ブリュンヒルデから見た正義の人」のことなんですよ。

4Gamer:
 正義の人……ですか?

奈須氏:
 全体としての正義ではなく,あくまでも彼女個人が考える正義であり勇士です。だから,もし「アイアンマン」のトニー・スタークみたいな正義の人が出てきても,ブリュンヒルデは「ときめきません……あれは悪です……」と言うかもしれない(笑)。なので,「愛する者」を紐解いていくと,ブリュンヒルデの好みや正義の在り方が分かるようになっています。

4Gamer:
 なるほど。つまりそれに気付いた人だけが,ニヤっとできる要素ということなんですね。

塩川氏:
 もし特攻範囲が最初からすべて明らかになっていたとしても,たぶんそれによって面白くなることはないと思います。ある程度曖昧で満たされない部分があるからこそ,より強く関心を持ってもらえるものになるんだと思います。

4Gamer:
 謎のヒロインXの〔アルトリア顔〕特攻のように,ネタみたいなものもありますよね。

奈須氏:
 あれはキャラ付けのために用意した設定ですが,一歩間違えると作品のシリアス度を下げてしまったりもするので,そのあたりには注意しています。ただ,FGOの場合は謎のヒロインXやタマモキャットのように,「こいつなら何をやっても大丈夫だ!」というお祭り的な役割のキャラも多いので,そういう場合はキャラ付けの方を重視します。

4Gamer:
 スキルについてはいかがですか。とくに「千里眼」「直感」「真明看破」 といったスキルは,効果が薄いという意見が多いように感じます。

塩川氏:
 運営をしていく中で,キャラクターやスキルが後から追加されていくと,そのすべてを均等にバランスしていくのはなかなかに大変で。でも,課題があることは認識しています。

奈須氏:
 「直感」は,スキルMAXにすれば,かなり使えませんか? まあ,そこまで上げるのが大変というのはありますけど。「千里眼」は,この先キャラクターに合わせて,少しずつ差別化を図れればと思っています。だけど「真名看破」,あれだけはシステム的にどうしようもない……おお……ジャンヌ……。

4Gamer:
 まあ,ジャンヌの個性ですし……。

奈須氏:
 「真名看破」はジャンヌ・ダルクというキャラクターの最大の味でもあるので,便利にしたりまったく別のものにしたりといったことができないんです。だからその分,1年に1回くらいは「今回はジャンヌだ! 真明看破めっちゃ強いぜ!」となるようなイベントがほしいなぁ,と……。

4Gamer:
 期待しています。スキルレベルの話が出たので,素材のドロップ率についてお聞きしますが,プレイヤーは皆さん,育成の厳しさを感じているだろうと思います。奈須さんは,「竹箒日記」の中でアイテム予算という言い方をされていましたが……。

奈須氏:
 アイテム予算というのは,「1つのイベントでこれくらいの素材を配りますよ」という,あくまで平均値のことなんです。フリークエストなんかで拾える素材は含まれていないので,当然頑張り次第でより多く獲得することはできるんですが,ただ,1人のプレイヤーがすべてのスキルをMAXにできるサーヴァントは,1年で6体くらいだと考えています。言い換えれば,これは「あなただけの6人を選んでください」ということでもあるんです。

4Gamer:
 うーん,なるほど。

奈須氏:
 FGOは,限られたリソースで誰に愛を注ぐのかが重要なゲームですので,簡単にすべてのキャラクターを育てきってしまえるような設計にはしたくない。それだとちょっと,愛と呼べなくなるじゃないですか。

4Gamer:
 FGOは,新しいサーヴァントでも,能力がインフレすることがあまりないですし,そこを重視しているのかなと感じます。

塩川氏:
 サーヴァントに関しては,新しいものが出たら,以前のものが完全に不要になるということには絶対したくないと考えながら調整しています。もし簡単に全キャラを育成しきれるようにした場合,プレイヤーは性能だけを重視してより強いキャラを求め続けるようになり,その結果,個々のキャラへの愛がどんどん薄れていくと思います。性能や数値だけが重視されるというのは,FGOでは絶対にやりたくないことで,それぞれのキャラの個性も見てほしいんです。

画像集 No.014のサムネイル画像 / 「Fate/Grand Order」がもたらす新しいスマホゲームの形――奈須きのこ×塩川洋介が語るFGOの軌跡と未来とは

4Gamer:
 結局のところ,ゲームとしてエンドコンテンツをどこに置くかということだと思うのですが,今だとそれが,スキル上げや聖杯転臨ということになっている。PvPやランキングのようなものはやらない方針とのことなので,これは当分変わらない……のでしょうか。

塩川氏:
 エンドコンテンツとして目標となるようなものは,これからも用意していくと思います。例えば,絆レベルの上限を引き上げたのもそうした試みの一つです。最終章でのリアルタイム感もそうですが,FGOでは現実世界でのプレイヤーの感覚と,ゲーム内におけるシステムを,どうリンクさせるかを中心にゲームを組み立てています。絆についても,3か月とか半年一緒にいることで初めてMAXになるようなものにしたのは,そうした理由からです。

奈須氏:
 でも,いざ絆がMAXになってしまうと,今度は使い辛くなっちゃうんですよね。パーティにアンデルセンを入れられなくなって,ちょっと寂しい(笑)。

4Gamer:
 分かります(笑)。溢れる絆ポイントがもったいなくて。

奈須氏:
 だから,絆を10にしたら任意で9に戻せるシステムってどうだろうか。また10になったら,聖晶石が1個もらえるっていう。ね,1個くらいなら……許されますよね?

塩川氏:
 ええっ……検討してみます(笑)。
 
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