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[TGS 2014]「P.T.」は“情報がないから”怖い。小島監督が登壇したステージイベントをレポート
P.T.といえば,2014年8月にドイツで開かれた「gamescom 2014」に合わせて発表されて配信された体験版だ(関連記事)。とある屋敷に閉じ込められた主人公が,出口を求めてひたすら歩き回るという内容のホラーアドベンチャーで,最初は「7780s STUDIO」という,架空の開発スタジオが手がける作品として紹介されていた。
しかし,体験版をクリアしてみると,実はKONAMIのホラーゲーム「サイレントヒル」の新作,「Silent Hills」の存在が判明するという凝った仕掛けになっており,世界中で大きな反響を呼んだことは記憶に新しい。純粋にホラーゲームとして非常に怖い内容だったというのも,話題になった理由のひとつだ。
ちなみにP.T.とは,“Playable Teaser”の略とのこと。
さて,ステージに登壇した小島監督は,「ゲームはエンターテイメントであり,笑ったり泣いたり怒ったりという感情が生まれますが,怖がるというのもひとつのエンターテイメントになり得ます。それを最大限に引き出すようなゲームがなかったので,チャレンジしてみました」と,再びサイレントヒルシリーズを制作する理由を述べた。
P.T.という変わったプロモーションを仕掛けたのは,サイレントヒルやKONAMI,小島プロダクションという情報を伏せた状態で,ゲームの純粋な怖さを伝えるための実験だったという。また同時に,PS4のシェア機能を使って,世界中の人達がネットワーク上でつながって恐怖を克服し,謎を解いていくという試みをしたかったのも,理由の1つであったそうだ。
また小島監督は,「クリーチャーやグロテスクな表現で『ワッ!』と驚かせるような怖さがはやっているが,本来の怖さは,何もない廊下をただ歩くだけで怖いと思えるもの」だと述べる。これは,人間の本能や個々人が持つトラウマなどによって,“見えないものが見えてくる”ことから生まれる恐怖だが,この本来のホラーのテイストがP.T.に盛り込まれているのである。
そんなP.T.を踏まえて登場するSilent Hillsでは,「究極の恐怖を見た目で感じられるグラフィックスにしていきたい」と,國府氏は話す。さらに伊藤氏は,「怖さはもちろん大事だが,サイレントヒルといえば美しさや悲しさにも惹かれるので,それらも表現していければ……」と述べていた。
一方,小島監督は,怖がらせるだけでは駄目で,最終的には“人間ってこんなに強いんですよ”“家族にはこんな絆がありますよ”といった,「明日もがんばろうと思える内容にしたい」という。怖さという点では,P.T.のように“情報がないことによる恐怖”という演出が使えない。だが,それでも本当に怖いゲームにするため,ちょっと特殊な手法を用いるのだという。
ちなみにSilent Hillsは,テレビシリーズのように「1話」「2話」「3話」という形で,少しずつ遊べるエピソディック方式で提供するとのことだ。
イベントの最後に小島監督は,「ゲームでも映画でもテレビでも,笑って,泣いて,ストレスを発散しますが,怖がるというのも,生きているのを感じられるストレス発散です。なので,ぜひ怖がっていただきたい。怖がることで,世界中の人とつながれると思うので,恐怖をキーワードに自分の生活を豊かにできるようなものを作りたいと思っています」とコメントし,ステージを締めくくった。
P.T. 公式Webページ
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(C)Konami Digital Entertainment