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[GDC 2016]シリコンスタジオブースレポート。Mizuchiベースの美熟女YURIさんがデビュー,YEBISはDCCツール対応に
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印刷2016/03/25 18:05

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[GDC 2016]シリコンスタジオブースレポート。Mizuchiベースの美熟女YURIさんがデビュー,YEBISはDCCツール対応に

画像集 No.001のサムネイル画像 / [GDC 2016]シリコンスタジオブースレポート。Mizuchiベースの美熟女YURIさんがデビュー,YEBISはDCCツール対応に
 日本を代表するゲーム/CG関連ミドルウェア群を提供しているシリコンスタジオは,今年もGame Developers Conferenceにブースを出展していた。
 日本ではゲーム開発シーンに高い影響力を持つシリコンスタジオだが,ここ数年,海外での認知度を上げるべく積極的にブースの出展をしている。近年では,GDC 2014で発表された同社の技術デモ「Museum」が,当時「実写にしか見えないリアルタイムCGデモ」として,現地でも話題になったことが思い出される。このときのレンダラーは後に新リアルタイムレンダリングエンジン「Mizuchi」として正式リリースされている。
 そんなシリコンスタジオは,GDC 2016でどんな出展をしたのか? さっそくレポートすることにしたい。


2016年版のMizuchiはキャラクター表現に対応


 まず,冒頭でも紹介した「Mizuchi」の話題から。
 Mizuchiは,物理ベースレンダリング(PBR:Physically Based Rednering)を採用し,マテリアル(材質)表現は現実世界に実在するモノの反射特性に配慮した描画を行っている。ただし,物理ベースであるため標準搭載されているマテリアル群は不透明な材質で,表皮で入射光のほとんどが反射するようなものがメインになる。それ以外の異方性反射をする材質や,あるいは半透明材質,多層構造材質については特別な処理を実装する必要があり,今年のMizuchiはそうした新テーマに取り組んできたというわけである。
 ちなみに,こうした現行PBRシステムが抱える課題は,Mizuchiに限ったことではなく,現在の主要エンジンが採用するPBRシステムが共通して取り組んでいるものになる。裏を返せば,イレギュラーな材質をどこまでリアルに再現できるかが,現行PBRシステムそれぞれのウリや特長になってきているのだ。
 今年のMizuchiが取り組んだ特殊材質表現は「布」「毛髪」「人肌」の三つだ。
 この三つは,人間や動物などのキャラクター表現には欠かせない要素であり,実際,リアルタイムレンダリング(≒ゲームグラフィックス)では,最もホットな研究開発テーマになっている。
 新版Mizuchiの「布」は布特有の陰影が出るもので,表現したい布の材質に応じて「Clothness」を調整できる仕様となっていた。
 このClothnessを上げると木綿の布のような拡散反射が支配的な陰影になり,下げるとサテン生地のような鏡面反射が支配的な陰影となる。いずれにせよ,視線が掠めるような箇所にはリムライトのような布特有のハイライトも現れる。

新版Mizuchiの布表現
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Clothnessパラメータを最小値にした場合と最大値にした場合の見た目の違い
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 新版Mizuchiの「毛髪」は毛髪特有の「毛髪内に浸透してから出射する光」と「毛髪表面で反射する光」を疑似的に再現するものだ。現状はPBRではないが,ほかのPBRマテリアルと親和するように設計されているものだという。

新版Mizuchiの毛髪表現
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 新版Mizuchiの「人肌」は,拡散反射の陰影処理結果を画面座標系でブラーさせるタイプのものだが,顔面の部位や肌の肌理ごとにブラー系を変えたりすることができるようだ。

新版Mizuchiの人肌表現。アップになると肌の肌理までが見える
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 そして,Mizuchi開発チームは,この新版Mizuchiの「布」「毛髪」「人肌」の新要素を駆使したデモ用途に「YURI」と呼ばれる和服姿の黒髪の女性モデルを制作したそうで,これをブースで公開していた。

会社には一人二人はいそうな美人社員といった風情のYURIさん。和服が似合っている
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 現在はアニメーションはせずに素立ち状態のYURIさんだが,妙にリアルというか,なまめかしい雰囲気があって面白い。こうした女性3Dモデルを起こす場合,日本では十代の美少女などになりがちだが,三十代の美熟女(編注:30代は熟女ではないと思う)を作るあたりはさすがシリコンスタジオといったところか。ちなみに,このYURIさんは,ある女優の写真を参考にモデリングしていたのだが,調整しているうちに参考モデルからまったく離れて今の状態になったのだとか。今後,シリコンスタジオのイメージキャラクターとして活躍を期待したいものだ。

あえて「美しすぎない肌」になっているせいか「すっぴん感」が凄いYURIさん。やや耳が大きめか
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お化粧したバージョンはスマホで見せてもらった。開発チームの面々もYURIさんがお気に入りなのか相当遊んでいるようである(笑)
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Mizuchiエディター上でのYURIさん。ぜひとも動くYURIさんを見てみたいものだ
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 このほか,Mizuchiの基本ツールであるMizuchiエディターには,アニメーション再生機能と動画出力(静止画連番出力)機能を搭載したこともアピールしていた。ごく基本的なデモ映像であればMizuchiエディタ単体で作れるようになったという。

Mizuchiエディター上で再生された貨物列車の走行シーン。これを動画として出力ができる
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 また,Mizuchiの「リアルタイムレンダリングエンジンでありながら実写並みの品質」という性能はゲーム業界以外でも高い評価を受けたそうで,現在,建築業界や自動車業界からの引き合いがあるそうで,そうしたビジネス分野の進出計画の過程で制作されたデモなども公開していた。

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自動車業界での活用を想定したデモ。ボディカラーや背景を選んで,その見た目を評価できる
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建築業界,リフォーム業界での活用を想定したデモ

 Mizuchiは,シリコンスタジオのオールインワンゲームエンジンのOROCHIとの組み合わせが奨励されているが,実際この組み合わせを使った商業タイトルが最近リリースされたそうである。「タイトル名はもうしあげられない」とのことだが,近々明らかになるものと見られる。


光学シミュレーションベースのポストエフェクトミドルウェア「YEBIS」がMayaに対応


YEBISがビューポート2.0に対応
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 レンダリング結果にさまざまなエフェクトを適用するポストエフェクト処理を光学的に正しく行うことができるミドルウェア「YEBIS」。その最新版は,DCCツールの「AUTODESK Maya」に対応することとなった。
 GDC 2016での出展ブースでは,「YEBIS for Maya」と名付けられた,この新製品の実動デモが披露されていた。
 対応するMayaのバージョンは「Maya 2015」「Maya 2016」で,レンダービューとビューポートの両方にリアルタイムにYEBISが誇る各種光学系ポストエフェクトをかけることができる。

 もともとYEBISは,リアルタイムレンダリング(≒ゲームグラフィックス)での使用を想定して制作されたミドルウェアだが,この「YEBIS for Maya」は,文字どおり,その機能をMaya上で使えるようにするものである。
 深読みすれば,オフライン(プリレンダー)CGプレイヤーでも利用できるように間口を広げた……といえなくもない。オフラインレンダリングの世界ではレイトレーシングで描画を行うので,この段階で光学的なエフェクトを実装するのが普通だが,「YEBIS for Maya」を利用することで,このアニメーション制作やモデリングの段階でエフェクトを適用できるようになる。使用目的としてはデザインプレビュー用途はもちろん,レンダリング工程の圧縮削減,あるいは試作版の映像の制作などが想定されるという。

●YEBIS OFF/ONの比較
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C#ゲームエンジン「Paradox」が「XENKO」に改名


 シリコンスタジオがGDC 2012から出展し続けているゲームエンジンに「Paradox」エンジンというものがある。オールインワンエンジンと謳われるParadoxエンジンだが,2015年12月付けで「XENKO」(公式サイト)という名称になったそうだ。


 シリコンスタジオといえば,自社ミドルウェアにはYEBIS,OROCHI,Mizuchiといったように和風名称をアルファベット表記した名前にすることが多かったのだが,改名前のParadoxといい,改名後のXENKOといい,ちょっと毛色が異なる。ブースにいたXENKO開発者に聞いてみたところ,「XENKOは響きで決めた」とのことで深い意味はないらしい。ちなみに,このXENKOエンジンは開発スタッフのほとんどが日本人以外(フランス人割合が多い)で構成されているそうなので,そのあたりの事情でネーミングの系統が違うのかもしれない。
 さて,このXENKOエンジン,オールインワンゲームエンジンを名乗っているように,コンセプトとしてはシリコンスタジオの「OROCHI」と競合するのだが,OROCHIが家庭用ゲーム機(PS4,Xbox One)やPC,アーケードを想定したハイエンドゲーム開発を想定しているのに対し,XENKOはスマホなどの携帯端末(iOS,Android,Windows Phone),PCプラットフォーム(Windows)を想定していており,棲み分けはできていると説明されている。XENKOは,どちらかと言えばUnityと競合するような,インディーズゲーム開発シーンへの訴求を行っていくようだ。

インディーズ系ゲーム開発に向けて訴求されるXENKOエンジン
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 XENKOは,オールインワンエンジンなので,レベルデザインにも対応したエディタ,物理ベースレンダリングに対応したグラフィックスエンジン,UI設計機能,サウンドエンジン,スマホタッチからゲームパッドまで対応した入力エンジンなどを備えており,コーディングが必要な局面ではC#が利用できる。エンジン自体のソースコードも公開されており,存在としてはかなりユニークだ。

グラフィックスエンジンは物理ベースレンダリングに対応している
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パーティクルシステムも搭載
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 GDC 2016のブースでは,新機能を使って,サウンドデータからグラフィックスまでのあらゆるアセットに親子関係を待たせたデモを行っていた。
 例えば,ある炎のパーティクル表現をデザインし,これを親として,炎の吹き出し方の違う派生パーティクルを複数作り込んだとする。ここで親の炎パーティクルの色を変えると,その派生パーティクルのすべてが親パーティクルの変更を受け継ぐのだ。この親子継承の仕組みはパーティクルだけでなく,シェーダや効果音にも持たせることができるという。

あらゆるマテリアルに親子関係を設定できる独特な属性管理システム
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 このXENKOエンジン,Paradoxエンジンの時代から完成度も上がり,5年にわたるGDCへの出展もあってか,認知度を上げつつあり,今ではいくつかのインディーズ系ゲーム開発グループで実際にXENKOエンジンを活用しての評価が進められているという。もしかすると近い将来,XENKOベースのユニークなゲームが誕生するのかもしれない。

現在はインディーズゲーム開発チームと協力してエンジンの鍛え上げを行っているとのことだ
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  • 関連タイトル:

    Mizuchi

  • 関連タイトル:

    Xenko

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