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FFシリーズの「バトルメドレー」や,世界初演曲が披露された「Distant Worlds: music from FINAL FANTASY THE JOURNEY OF 100」公演レポート
本稿では,その公演のレポートと,公演終了後に行われた作曲家の植松伸夫氏らへのメディア合同インタビューの模様をお届けしよう。
このコンサートは,2007年から世界各地で開催されているオーケストラコンサートツアー「Distant Worlds: music from FINAL FANTASY」(以下,DWFF)の100回めとなる記念公演だ。1月23日には同じ東京国際フォーラム,24日には大阪・オリックス劇場にて同内容の公演が行われる。指揮者を務めるのは,一連のDWFFツアーと同じ,グラミー賞受賞歴を持つ音楽家のアーニー・ロス氏。演奏は,東京公演では東京フィルハーモニー交響楽団,大阪公演では大阪シアターフィルハーモニー管弦楽団がそれぞれ担当し,ソリスト(独唱者)はスーザン・キャロウェイさんと白鳥英美子さんという豪華な顔触れだ。
公演の冒頭では,植松氏とアーニー・ロス氏が,DWFF100回めの記念公演を日本で開催できること,そして2015年にスクウェア・エニックス ミュージックが10周年を迎えることへの喜びを語った。
植松伸夫氏 |
アーニー・ロス氏 |
コンサート本編では,1月21日に発売されたFFシリーズのオーケストラアレンジCD「Distant Worlds III: more music from FINAL FANTASY」からの楽曲を中心に,FFVIIの「片翼の天使」など,人気の高い曲が披露された。
今回のセットリストは以下のとおり。
<第一部>
01.プレリュード【FINAL FANTASY シリーズ】
02.Liberi Fatali【FINAL FANTASY VIII】i
03.勝利のファンファーレ【FINAL FANTASY シリーズ】
04.蘇る緑【FINAL FANTASY VI】
05.F.F.VIIメインテーマ【FINAL FANTASY VII】
06.Kiss Me Good-Bye【FINAL FANTASY XII】 <ソリスト>スーザン・キャロウェイ
07.ローズ・オブ・メイ【FINAL FANTASY IX】
08.キャラクターテーマ メドレー【FINAL FANTASY VI】
09.Balamb GARDEN - Ami【FINAL FANTASY VIII】
10.ファブラ・ノヴァ・クリスタリス【FINAL FANTASY XIII】
11.片翼の天使【FINAL FANTASY VII】
<第二部>
12.祈りの歌〜異界送り【FINAL FANTASY X】
13.ザナルカンドにて【FINAL FANTASY X】
14.天より降りし力【FINAL FANTASY XIV】
15.いつか帰るところ〜Melodies Of Life【FINAL FANTASY IX】 <ソリスト>白鳥英美子
16.スウィング de チョコボ【FINAL FANTASY シリーズ】
17.バトルメドレー2012【FINAL FANTASY シリーズ】
18.ファイナルファンタジー【FINAL FANTASY シリーズ】
<アンコール>
19.(非公開・世界初演曲)
その中でもハイライトとなったのは,スーザン・キャロウェイさんの歌う「Kiss Me Good-Bye」と,白鳥英美子さんの歌う「いつか帰るところ -Melodies Of Life」。いずれの楽曲もソリストの深い歌声が会場を包み込み,観客は胸を打たれたように聴き入っていた。
とは言え,観客もコンサート全編を通じてただ静かにしていただけではない。演奏の合間には盛大な拍手と「ブラボー!」という掛け声が飛び交い,軽快な「スウィング de チョコボ」の演奏時には手拍子が起こったり,スクリーンに映し出された映像を見ての笑い声が上がったりと,思い思いに楽しんでいたようだ。
またもう一つのハイライトとなった「バトルメドレー2012」では,歴代FFシリーズのバトル曲をリリース順に演奏したのだが,初期タイトルの楽曲では思わず「懐かしい……」と声を漏らす人の姿も見受けられた。
コンサート第二部終了後,鳴り止まぬ拍手の中で始まったアンコールでは,世界初演となる楽曲がお披露目に。まだ1月23日,24日両日の公演が控えているため曲名は伏せておくが,会場に足を運ぶ人はぜひ楽しみにしてほしい。
終演後には,植松伸夫氏,アーニー・ロス氏,スーザン・キャロウェイさん,白鳥英美子さんへの合同インタビューが行われた。以下にその模様をお届けしよう。
──まずは本日の公演を終えられての感想をお聞かせください。
アーニー・ロス氏(以下,ロス氏):
100回も公演を重ねてきたなんて「信じられない!」の一言です。でも,コンサートのクレジットロールで昔の写真を見たとき,「これだけのことをやって来たんだ」と実感しました。
またDWFFの楽曲レパートリーが100曲以上になったことにも驚いていますし,今なお新曲が書かれ,初演を披露できることに喜びを感じます。また今回は,白鳥さんという新しいゲストを迎えることができました。こうして,どんどん育っていくコンサートに参加できることは本当にうれしいですね。
白鳥英美子さん(以下,白鳥さん):
私も皆さんが100回という偉業を成し遂げたことを,うれしく思います。私自身,FFシリーズのコンサートには過去3回ほど出演していますが,DWFFは今回が初めてですから,驚くことばかりでした。
今日は第一部からずっと聴かせていただいたのですが,ゲーム音楽から離れた純粋にクラシックのコンサートでありつつも迫力満点で,本当に素晴らしいです。これから先も続けていかれるとのことですが,また参加できたらと思っています。
スーザン・キャロウェイさん:
ずいぶん長いことDWFFに参加しているけれど,もう何年になるのかしら? (周囲から8年と教えられて)嘘,そんなに! でもその間,才能豊かな植松さんとアーニーさんに支えられて,私は本当に楽に,楽しくやらせてもらっています。こんなに楽しいことに関わることができて幸せです。
植松伸夫氏(以下,植松氏):
冷静に考えると,100回というのはすごい数字ですよね。でも別に100回を目指していたわけじゃなく,皆でできることをずっと続けていただけの話なんです。だから僕自身は,偉業だとはあまり思っていません。
その一方で,コンサートはいつも楽しいですから,今後もこういう機会が増えるといいなと思っています。そのためには美しいメロディの曲と,皆がワクワクするようなアップテンポのバトル曲とのバランスを考えて構成していきたいです。たぶんレパートリーを全部使ったら,1週間分のコンサートができるんじゃないかな。DWFFウィーク?
ロス氏:
2週間できるよ!
植松氏:
いや,そりゃないわ(笑)。
──観客の雰囲気はいかがでしたか。
植松氏:
静かでしたね(笑)。DWFFは海外公演が多いので比較してしまうのですが,日本の人達はよく言うと礼儀正しいんですけれど,喜んでもらえているのか,「この曲はオレの聴きたい曲じゃない」と不満に思っているのか分かりにくいかなぁと。
公演の冒頭でも言いましたが,DWFFはかしこまって聴くようなコンサートじゃないと思うんです。皆さんの大好きなゲームの音楽を聴きに来ているのだから,好きな曲が演奏されたら叫んだりしてくれると,変わった雰囲気のオーケストラコンサートになっていいんじゃないでしょうか。1月23日,24日の公演では,今日以上に煽ってみようかな。
──演奏する楽曲の選択基準を教えてください。
ロス氏:
結論から言えば,いろんな要素を考慮します。たとえば2010年と2012年に日本で演奏した曲目が何であったか,何かを記念する公演なのかなどですね。あるいはFFVIやFFIXを中心に取り上げたこともあります。
また曲目を構成するときは,後半に「エピック」と呼ばれる巨大叙事詩的なナンバーを入れるようにしています。これまでエピックとしてはオペラなどをフィーチャーしてきたのですが,今回はバトルメドレーでした。バトルメドレーは,生で演奏することはないだろうというコンセプトで録音したのですが,こうして披露できることになり,とても興奮しました。
──2000年のFFIXリリースから数えて15年めに,こうして「いつか帰るところ〜Melodies Of Life」を歌うことになったことについて,ぜひ白鳥さんの感想をお聞かせください。
白鳥さん:
実は私も,もう15年経ったのかと思い返していたのですが,非常に感慨深いです。最初に歌ったときは,今より若かったわけですからすんなり歌えましたけれども,今や還暦を過ぎた私があのときと同じキーで歌えるのかと不安でしたね。
でも無事歌えてうれしいですし,こうして呼んでいただけたこともうれしいです。当時,植松さんから楽曲をいただいたときの新鮮な気持ちが,今日,すごく蘇ってきて,興奮しつつも感動しました。
──今後,演奏してみたいFFシリーズの楽曲はありますか。
植松氏:
いろいろあるんですが……一つはFFIXのゲーム中に出てきた寸劇ですね。ゲームでは音楽は流れているんだけど,劇そのものは見せないという演出だったんです。あれをステージ上で劇として再現してみるとか。あとは,皆さんが興味を持ってくださるのであれば,ボーカル曲だけで構成した「VOICES music from FINAL FANTASY」の続編をやってみたい。前回は9年前だったから。
白鳥さん:
それなら早くやっていただかないと! 私もどのくらい歌えるか分からないから(笑)。
植松氏:
また今回のような形式だけでなく,オーケストラとバンドが一緒に演奏するのもいいかもしれませんね。弦楽四重奏や木管四重奏のコーナーを設けるなど,コンサートのバリエーションはまだまだ増やせるんじゃないでしょうか。
──今後の展開にも期待しています。ありがとうございました。
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