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 ハロー!Steam広場 第274回:私情を挟むな,善人でも殺せ。死神の苦悩を体験できるアドベンチャーゲーム「Death and Taxes」
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印刷2020/03/06 12:00

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ハロー!Steam広場 第274回:私情を挟むな,善人でも殺せ。死神の苦悩を体験できるアドベンチャーゲーム「Death and Taxes」

画像集#009のサムネイル/ ハロー!Steam広場 第274回:私情を挟むな,善人でも殺せ。死神の苦悩を体験できるアドベンチャーゲーム「Death and Taxes」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamで公開されている気になるタイトルを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,T-51パワーアーマーを着て花粉の季節を乗り切ろうとする上級Steamerにジョブチェンジできるかも。

 ハロー!Steam広場 第274回は,死神のデスクワークをテーマにしたADV「Death and Taxes」を紹介しよう。プレイヤーは新米の死神となり,毎日送られてくる「お迎え候補リスト」に目を通し,「誰を殺して,誰を生かすか」を選択していく。その決断は世界に影響を与え,結果をニュースで確認していくことになるのだ。

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画像集#010のサムネイル/ ハロー!Steam広場 第274回:私情を挟むな,善人でも殺せ。死神の苦悩を体験できるアドベンチャーゲーム「Death and Taxes」

私情を挟むな,善人でも殺せ。死神の苦悩を体験できるアドベンチャーゲーム「Death and Taxes」


 今回は,エストニアのインディーズ系デベロッパPlaceholder Gameworksが手掛ける「Death and Taxes」を紹介しよう。

 本作は死神のデスクワークをテーマにしたアドベンチャーゲームだ。プレイヤーは7日の試用期間が始まった新米の死神となり,毎日送られてくる「お迎え候補リスト」と“少なくとも○人は殺せ”と書かれた「指示書」に目を通し,「誰を殺して,誰を生かすか」を選択していく。そこに正解/不正解はないが,決断は世界に影響を与え,次の日のニュースで世界の“その後”が確認できるといった流れだ。

まずはキャラクリから。といっても結局は全部ガイコツである
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これがプレイヤーのデスク。出社したらまず指示書に目を通そう
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 何を判断材料にするかはプレイヤー次第だが,「顔がムカつく」とか以外なら,その人物のバックグラウンドを読んでみるといい。「視力は衰えたけどまだまだ働きたい電気工のおばあちゃん」だったり,「永久凍土に眠る古のハムスターの採掘に挑戦する考古学者」だったりと,ユニークな背景を持つ人物が多く,このプロフィールを読むだけでも結構楽しめる。

プロフィールには「顔写真」「年齢」「職業」「バックグラウンド」が記載されている
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 さて,「やりたいことをさせてあげたい」という短絡的な善意で,このおばあちゃんをリストから外した筆者だったが,次の日おばあちゃんは配電ミスによって大火災を起こし,多くの人の命を奪うこととなった。「なんと理不尽な!」とも言えないのが本作のにくいところで,バックグラウンドをきちんと読んでいれば,リスクにつながるヒントはちゃんとあった。おばあちゃんは目が悪かったのだ。

自分の判断が世界にどう影響を与えたかは,スマホのニュースアプリから確認できる
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 前述したとおり,本作には何が正解で何が不正解という決まりはない。自分の判断でおばあちゃんが殺人者になろうが,考古学者がペスト菌を世界にばら撒こうが,指示書の指示さえ守っていれば,ちゃんと仕事をしていることになるからだ。それでも後味が悪いことに変わりはない。だからこそプロフィールはしっかりと読もうと思えてくるし,判断を下すときにも影響をあれこれと考えて躊躇してしまう。

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 世の中のことを思うのであれば,「善人は生かす,悪人は殺す」がもっとも事務的で手っ取り早いのだが,ここで厄介なのが指示書の存在だ。少なくとも指示書で指定された人数には死の宣告を下さなければならないわけで,たとえばリストが全員「善人」だったとしたら,おそらく相当気が滅入る取捨選択をすることになるだろう。
 逆に指示書に書かれている人数以上を殺したりしても,指示書を無視した行動として上司にドヤされることになる。先ほどとは逆に,リストが極悪人ばかりだったりすると? 「いや,なんでこんな奴を生かしておかなきゃいけないんだよ?」――と,ついつい感情的になってしまう場面もしばしば。

指示書の内容は日によって異なるが。「少なくとも○人には死を与えよ」という数字は必ず書かれている。それに加えて「科学者は生かせ」だったり,「○歳以上には死んでもらおう」といった追加の指示が書かれていることも
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 ここまでの流れを覆すことになるが,別に指示書に従わず,全員生かしてもいいし全員殺してもいい。報告書を上司に出しに行く道すがら,このあとどんなお叱りを受けるのかと考えるとちょっと気落ちするかもしれないが,少なくとも試用期間中にゲームオーバーを突きつけられることはない。

 試用期間中の働きが認められると,7日目以降も仕事が続けられる。そこからは人間だけでなく動植物もリストに入るため,人間の生死を決めるのとはまた違ったベクトルでいろいろ考えていかなければならない。仕事が何日目まであるのかは確認できていないが,リストのバリエーションは豊かなので,途中で飽きるようなことはないはずだ。

会社の最下層にある海賊部屋では,仕事の報酬金でいろいろなアイテムが購入できる
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 欠点というわけでもないが,本作をプレイするうえでハードルとなるのが言語の壁だ。記事中でも触れたが,テキストをしっかりと読まないと判断や結果に対して納得がいかなくなるので,英語を読まないことには味わい尽くせないはず。ただ動きのあるゲームではないので,辞書を使うなり,「Capture 2 Text」のようなOCRソフトを使うなりすれば,ゆっくりと進めていくことは可能だ。
 本作にはDemo版もあるので,気になる人はまずはそちらで試してみることをおすすめしたい。



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