「PUZZLE&DRAGONS SUPER MARIO BROS. EDITION」は“マリオの世界ありき”で作り直された新しいパズドラ。ガンホー新作発表会の模様をレポート
発表会の冒頭は,ガンホーの代表取締役社長CEOで,企画開発部門統括のエグゼクティブプロデューサーを務める森下一喜氏が登壇し,2014年の同社の取り組みを振り返った。その中でも,とくに「パズル&ドラゴンズ」(iOS / Android)に関連するものは,ニンテンドー3DS用ソフト「パズドラZ」の累計販売本数150万本達成,アーケードゲーム「パズドラ バトルトーナメント -チャンピオンズ オブ ラズール-」およびキッズ向けアミューズメントマシン「パズドラZ テイマーバトル」のリリース,そして各種グッズ販売など,さまざまな分野に展開されているとアピール。
これらの展開について森下氏は,「スマートフォンの『パズドラ』のアップデートを重ねていくと同時に,より多くの皆さんに『パズドラ』を認知していただくため,我々はさまざまなアプローチで広い層にアピールしていく」とし,2015年の第1弾として「PUZZLE&DRAGONS SUPER MARIO BROS. EDITION」を発表した。
小学4年生のとき「スーパーマリオブラザーズ」に触れて衝撃を受けたという森下氏は,「ゲームクリエイターとして,このタイトルに携われるというのは,どれだけ幸せなことか」と最大限のリスペクトを表し,「皆さんに楽しんでいただけるよう緊張感を持って開発しています」と語った。
続いて,任天堂の宮本 茂氏がゲストとして登壇。宮本氏は,当初「パズドラ」をよくあるモバイル向けの落ちものパズルの一つだと思っていたという。ところがあるとき実際に触ってみたところ,タッチで遊べることに感心し,「もう一つ画面があったら,よりいいのに。なぜ3DS版がないのか」と考えたそうだ。
そこから話は「パズドラZ」の企画・リリースへとつながっていくのだが,任天堂とガンホーの関係はそれだけでは終わらなかった。通常なら「パズドラZ」にゲストとして任天堂の人気キャラを出すところだが,「どうせやるなら本格的にマリオらしく」という意気込みで作ったのが「PUZZLE&DRAGONS SUPER MARIO BROS. EDITION」というわけである。宮本氏は,このタイトルについて「キャラクターにしろ音にしろ任天堂カラー満載で,かつ『パズドラ』らしい魅力的な内容に仕上がっています」とし,「世界中の人に期待していただける内容になりました」と話していた。
また会場では,「パズドラ」シリーズのプロデューサーを務めるガンホーの山本大介氏により,「PUZZLE&DRAGONS SUPER MARIO BROS. EDITION」の開発経緯などがあらためて明かされた。
山本氏によると,2013年12月の「パズドラZ」リリース以降,さらにプレイヤーを増やすべく,3DS向けにもう1タイトルを作ろうという話が持ち上がり,そこで山本氏は,自身が小学生の時以来好きだった「スーパーマリオブラザーズ」をモチーフにできないかと考えたという。そこには,せっかく任天堂ハードで出すのだからという思いもあったそうだ。
そして山本氏をはじめとする開発チームはマリオを使った「パズドラ」のプロトタイプを作り,任天堂本社でプレゼンテーションをした結果,めでたく本開発が始まったという。
世界的なキャラクターを使ったゲームの開発には大きな緊張感が伴ったが,スタッフ全員マリオに思い入れがあったため,その過程は非常に楽しいものだったと山本氏は語る。開発上でもっともこだわったポイントは,「マリオの世界を壊さないこと,そこに『パズドラ』のアクションを融合させること」とのことである。
そんな「PUZZLE&DRAGONS SUPER MARIO BROS. EDITION」のストーリーは,クッパにさらわれたピーチ姫をマリオが助けに行くという定番の内容だ。ただしその道中では,マリオが「パズドラ」のパズルバトルで敵を倒していくこととなる。
こう説明すると「パズドラZ」のキャラクターをマリオに置き換えただけなのではないかと捉えてしまう人もいるかもしれないが,山本氏によれば「マリオの世界ありきで『パズドラ』を作り直しており,新しい仕組みも導入しています」とのこと。とくにBGMや効果音は,「スーパーマリオブラザーズ」のものを使っており,山本氏は「それだけで楽しさが5割増しになります」と話していた。
発表会の後半は,ゲストとして女優・タレントの高橋 愛さんと,お笑いトリオ「パンサー」が登壇し,「スーパーマリオブラザーズ」と「パズドラ」への思いを語ったほか,「PUZZLE&DRAGONS SUPER MARIO BROS. EDITION」の実機デモプレイを披露。とくに「クリボー」や「ノコノコ」といった人気キャラクターが敵として登場したり,マリオでおなじみのSEがコンボによって流れたりするたびに歓喜の声を挙げ,「細かいところにまでマリオ的なこだわりが施されていて,『パズドラ』とはまた違う楽しさがある」「マリオと『パズドラ』のいいところがうまく表現されている」と感想を述べていた。
お笑いトリオ「パンサー」 |
女優・タレントの高橋 愛さん |
ステージには,マリオとルイージ,「たまドラ」も登場 |
またこのデモプレイでは,敵キャラクターを仲間にできることや,スーパードロップでコンボを決めると花火の演出が入ること,コンボを重ねていくと1upすることなどが明かされた。またプレイ中にコインを集めると,のちのちいいことがあるようだが,詳細は続報で公開されるとのこと。
発表会のエンディングでは,森下氏が「PUZZLE&DRAGONS SUPER MARIO BROS. EDITION」について「ゲームのボリュームはかなりあります。『スーパーマリオブラザーズ』をご存じの方なら,どんなステージが登場するのか予想できると思いますが,かなりやり応えがあります」とコメントし,発売日が2015年4月29日,価格が4000円(税別)であることを発表。また「パズドラZ」と同様に,追加料金は発生しないと述べた。なお,国内ではガンホーから,海外では任天堂からリリースされることも発表された。
最後に山本氏は,開発が終盤に差し掛かっているとし「開発チーム一同,気合いを入れて仕上げに掛かっています」と発言。また森下氏が,「『パズドラ』のアクション,そしてマリオの世界観を本当に楽しんでいただけるよう,完成に向けて魂を込めています。ぜひご期待ください」と述べて,発表会を締めくくった。
マリオとのコラボと任天堂による海外展開で「パズドラ」をワールドワイドに
発表会終了後,「PUZZLE&DRAGONS SUPER MARIO BROS. EDITION」について,森下氏と山本氏へのメディア合同のインタビューが行われたので,以下にその模様をお伝えしよう。
──「PUZZLE&DRAGONS SUPER MARIO BROS. EDITION」の仕上がりはいかがですか。
森下氏:
かなり気持ちいい仕上がりで,僕ら自身が面白いと思えます。説明するよりも,ぜひ実際に触ってほしいです。
──「スーパーマリオブラザーズ」とのコラボレーションは,いつ頃から企画していたのでしょう。
森下氏:
「パズドラZ」100万本達成の報告を兼ねて,2014年の年始の挨拶で任天堂さんにうかがいまして。そのとき,岩田社長(※任天堂取締役社長 岩田 聡氏)と宮本さんに「もっと『パズドラ』のスピンオフを作りたい」という話をしました。その後(ガンホーの)社内で勝手にマリオバージョンを作ってみて,「実際に任天堂さんに見ていただいたほうがいいんじゃないか」ということになりました。そこから,あらためて任天堂さんとお話を進めたわけです。
山本氏:
最初におうかがいした数か月後には,もう任天堂さんにプロトタイプをお見せしていましたね。
森下氏:
そこからは「パズドラ」のアクションに,「スーパーマリオブラザーズ」の世界観やステージ構成を融合させる形で,ゲームを新しく作り直しました。
──開発上,配慮した点を教えてください。
森下氏:
気を使ってばかりでした(笑)。
山本氏:
マリオへのリスペクトを忘れないこと,ですかね。
森下氏:
一番気を使ったのは,「パズドラ」のキャラである「たまドラ」を出すことでした。本来,マリオの世界観に別のゲームのキャラクターを出すのは無理でしょうけれど,「これだけはぜひに」と,頼み込みました。
──ゲームのボリュームは,かなりあるということですが。
森下氏:
単純にステージをクリアするだけでなく,キャラクターをコンプリートして育成する要素がありますから,かなり長い時間遊べます。
──登場キャラクターは何体くらいになるのでしょう。
森下氏:
まだ詳しくは言えないのですが,「スーパーマリオブラザーズ」のキャラクター数くらいにはなります。
──成長することで,キャラクターの見た目は変わりますか。
森下氏:
変わります。
──会場で発表された以外に,「パズドラ」と異なる遊びはあるのでしょうか。
森下氏:
今回の発表だけでは分からないかと思いますが,メンバーの設置方法や,成長のさせ方など,結構違います。
──今回のコラボで,ガンホーのスマートフォン向け開発に影響はありそうでしょうか。
森下氏:
「パズドラZ」のときもそうでしたが,あまり影響はないと思います。むしろ,それまで「パズドラ」に触れてこなかった人達──たとえば「パズドラZ」では小さなお子さん達が親御さん同伴で大会に参加してくださったりと,プレイヤー層の広がりが実感できました。我々としては売上云々よりも,ゲームの遊びを作り,それが世代を超えて受け継がれていくことが重要だと考えています。
──今回のコラボの背景には,スマートフォンのゲーム市場が飽和し,頭打ちになってきているというようなお考えもあるのでしょうか。
森下氏:
もともとガンホーは,スマートフォン向けだけをやっているわけではなく,純粋にゲーム会社としてPCやコンシューマゲーム機を含めた,さまざまなプラットフォームに展開しています。ブランドを創造し,IPを育て,長期にわたって遊びを継承していく。プラットフォームなどの形が変わったとしても,そういうことをきちんとやっていきたいですね。
──それでは「PUZZLE&DRAGONS SUPER MARIO BROS. EDITION」のスマートフォン版の予定はあるのでしょうか。
森下氏:
今のところ予定はありません。
──「PUZZLE&DRAGONS SUPER MARIO BROS. EDITION」の目標販売本数を教えてください。
森下氏:
実はまったく考えていません。「あのマリオとコラボできる」ということで,開発だけに集中していました。今回は任天堂さんが海外展開をしてくださるので,ワールドワイドでいい感じに売れればいいなと。
──任天堂が海外販売を担当することの意味合いを教えてください。
森下氏:
タイトル開発だけでなく,販売に関してもお互いにタッグを組んでやっていきましょうということです。実は「パズドラZ」も,海外展開は任天堂さんにお願いしていたんです。
また任天堂さんのブランド力は世界でも圧倒的に強いです。そういう意味では,「パズドラ」がワールドワイドに広がっていくフックになるとも考えています。そこはお互いが協力する中でいろいろできるのではないでしょうか。
──海外での発売時期や発売する国/地域,国内版と海外版の違いなどはどうでしょう。
森下氏:
海外展開に関する詳細は任天堂さんからの発表になりますので,この場でのコメントは控えさせてください。
──価格は低めの設定ですが,何かこだわりがあるのでしょうか。
森下氏:
任天堂さんと協議した上での決定です。もっと多くの皆さんが手に取りやすい価格なども考えたのですが,お話したとおりかなりのボリュームになりましたから,納得していただけるのではないかと考えています。
──最後に,今回のコラボ実現について,あらためて感想をお願いします。
森下氏:
ガンホーのゲーム開発に対する姿勢などを,宮本さんをはじめ任天堂さんに理解していただけたと捉えています。ダメもとで話したことだったのですが,結果としていい形になりました。
また通常なら,我々もこういったことはしないというポリシーでゲーム開発に臨んでいるのですが,マリオとのコラボはそういうものを超えて「自分達のやりたいこと」をやったという感じですね。
──ありがとうございました。
「PUZZLE&DRAGONS SUPER MARIO BROS. EDITION」公式サイト
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パズル&ドラゴンズ スーパーマリオブラザーズ エディション
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