テストレポート
「Ryzen 7 2700X」「Ryzen 5 2600X」評価キットが4Gamerに到着。第2世代Ryzenは8C16Tの最上位モデルで税別329ドルに
段ボールの中には,Ryzenロゴの入った灰色の箱と,AMDロゴの入った黒い箱の2つが入っていたが,さっそく中身をチェックしていきたいと思う。
8コア16スレッド対応のRyzen 7 2700Xと,6コア12スレッド対応のRyzen 5 2600X
Ryzenロゴ入りの相対的に小さな箱を開けると,CPUのアピールポイントが英語で書かれたシート,そしてCPUの製品ボックスが入っていた。
Pinnacle Ridgeは,「Zen+」マイクロアーキテクチャを採用し,GLOBAL
マイクロアーキテクチャ面でもプロセス技術面でも着実に進化したとも,両面で劇的な進化は果たしていないとも言える。
さて,AMDは正式発表に先立って,以下のとおり,製品ラインナップを明らかにしている。
- Ryzen 7 2700X:
8コア16スレッド対応,定格3.7GHz,最大4.3GHz,共有L3キャッシュ容量16MB,倍率ロックフリー,Wraith Prismクーラー付属,北米市場におけるメーカー想定売価329ドル(税別) - Ryzen 7 2700:
8コア16スレッド対応,定格3.2GHz,最大4.1GHz,共有L3キャッシュ容量16MB,倍率ロックフリー,Wraith Spireクーラー付属,北米市場におけるメーカー想定売価299ドル(税別) - Ryzen 5 2600X:
6コア12スレッド対応,定格3.6GHz,最大4.2GHz,共有L3キャッシュ容量16MB,倍率ロックフリー,Wraith Spireクーラー付属,北米市場におけるメーカー想定売価229ドル(税別) - Ryzen 5 2600:
6コア12スレッド対応,定格3.4GHz,最大3.9GHz,共有L3キャッシュ容量16MB,倍率ロックフリー,Wraith Stealthクーラー付属,北米市場におけるメーカー想定売価199ドル(税別)
現在のところ,メモリコントローラなどの詳細は未定だが,それにしてもインパクトのある価格設定と言っていいだろう。第1世代Ryzenの最上位モデルだった「Ryzen 7 1800X」だと,発表当初の北米市場におけるメーカー想定売価は499ドル(税別)だったので,なんと170ドルも安価だ。
CPUクーラーは「Wraith Spire」が付属していた。第1世代Ryzenだと「Ryzen 5 1500X」などの製品ボックスに付属していたのと同じものだ。CPUの熱を受ける部分に銅が採用されたアルミ製ヒートシンクを100mm角のファンで冷却するトップフロー型で,静音指向という位置づけのクーラーである。
「ROG CROSSHAIR VII HERO(WI-FI)」と「X470 AORUS GAMING 7 WI-FI」,2枚のX470マザーボードが付属
なぜ同じチップセットのマザーボードが2枚入っているのか,AMDからこれといった説明はない。
一方,ASUSもGIGABYTEもすでに既存の300シリーズチップセット搭載マザーボード用として第2世代Ryzen対応UEFI(≒BIOS)を公開しているため,対応UEFIを導入すれば300シリーズチップセット搭載マザーボードで第2世代Ryzenを利用することも可能だ。
チップセットレベルのUSBおよびSerial ATA(以下,SATA)サポートは,USB 3.1 Gen.2が2ポート,USB 3.1 Gen.1が6ポート,USB 2.0が6ポート,SATA 6bpsが6ポートで,このあたりもX370から変わっていないようである。
ならX470マザーボードを選ぶメリットは何かだが,AMDは「StoreMI Technology」(以下,StoreMI)を推している。AMDはストレージを高速化する技術としているが,両マザーボードのマニュアルを読む限り,X470マザーボードで2基あるM.2スロットを使ってRAID 0/1アレイを構築するもののようだ。
といったところを踏まえ,以下,2枚のマザーボードを順に見ておきたい。
CROSSHAIR VII HERO
黒い箱で上段に入っていたCROSSHAIR VII HEROは,ASUSが展開するゲーマーおよびオーバークロッカー向け製品ブランド「Republic of Gamers」(以下,ROG)の新製品という扱いだ。ASUSは第1世代Ryzen用に「X370」チップセット搭載マザーボード「ROG CROSSHAIR VI HERO」という製品を展開しているが(関連記事),その後継という理解でいい。
CROSSHAIR VII HEROの裏面側。補強板的なものはない,シンプルな見た目だ |
SLI HB Bridgeのほかにも,製品ボックスには無線LAN用アンテナや大きなステッカーシートなどが付属する |
3本あるx16スロットのうちCPUから近いほうの2本はCPU直結のGen.3仕様で,レーン構成はx16+x0およびx8+x8,x8+x4のいずれか。「x8+x4」という仕様を不思議に思うかもしれないが,CPUソケットに近い,ヒートスプレッダ付きのM.2ソケット「M.2_2」にPCIe 3.0 x4接続のSSDを差した場合にはCPUから遠いほうがx4接続になる。CPUに直結の4レーンはチップセットに近い「M.2_1」のほうなので,セカンダリM.2スロットの4レーンをPCIe 3.0 x4で確保するためにこのような仕様になっているのだろう。
CPUから遠い1本はチップセットにつながったGen.2仕様となっており,内部的にはx4接続だ。
SATA 6Gbpsポートは6つで,いずれもX470直結。4本のメモリスロットはマザーボードレベルでDDR4-3466設定まで行えるようになっているという。
SATA 6Gbpsポートは6つ。いずれもX470とつながっている |
4本のメモリスロットはDDR4-3466アクセス設定が可能とのこと |
マザーボード上のヒートシンクやカバー類を外してみると,まず,電源部は12フェーズ構成のようであることが分かる。
MOSFETとしてはドライバICもまとめてワンパッケージとしたInfineon Technologies製「IR3555M」を採用し,フェーズごとに1基組み合わせた構成になっていた。
CPUのオーバークロック設定に寄与する「TPU」(TurboV Processing Unit)や,ASUS独自のLEDイルミネーション制御機能である「Aura Sync」の制御用チップといった具合に独自チップを複数載せてきているのは,ROGブランドの製品らしいところだ。
CPUから最も遠いPCIe x16スロットの近くにTPUがある。その近くにはROGロゴマーク入りのチップも見えるが,これはTPU関連だろうか |
「AURA」と入っているのでAura Sync用と思われるチップと,Cortex-M0ベースのSTMicroelectronics「STM32F072CBU6」。後者もおそらくAura Sync用だろう |
X470 AORUS GAMING 7
GIGABYTEの新しいゲーマー向け製品ブランドである「AORUS」(オーラス)の名を冠するX470 AORUS GAMING 7は,X370マザーボード「GA-AX370-Gaming K7」の後継的な製品だ。
背面は外部I/Oインタフェースの近くを,橙色の差し色入り金属板が覆うデザイン。3本あるPCIe x16スロットのところを見ると,CPUに近いほうから最大16,8,4レーンとなっているのが分かりやすい |
無線LAN用アンテナやロゴ入りベルクロテープ,ステッカーシート,SLI HB Bridgeなどが製品ボックスに付属。評価キット版だとマニュアルは中国語だった |
CPUとGen.3接続しているのはCPUに近いほうの2本。付属の中国語マニュアルに詳細が書いていなかったので推測だが,SLI HB Bridgeが付属している以上,おそらくレーン数構成はCROSSHAIR VII HEROと同じくx16+x0あるいはx8+x8になるはずだ。残る1本はPCIe 2.0 x4接続だが,こちらはCPUから遠い側の,PCIe 2.0 x4接続もしくはSATA 6Gbps接続のSSDに対応したM.2スロット「M2B_SOCKET」と排他になっている。
グラフィックスカードを差したときにカードのクーラーで隠れる場所のSSDスロット「M2A_SOCKET」はCPUとPCIe 3.0 x4で直結する仕様。外排気タイプのグラフィックスカードを組み合わせた場合はここに熱が籠もる可能性があるので,この点は注意が必要だろう。GIGABYTEとしては,WINDFORCEシリーズのクーラーを搭載したグラフィックスカードと組み合わせれば,クーラー側のファンがもたらすエアフローでSSDもきちんと冷却できますよということなのかもしれない。
SATA 6GbpsポートはX470直結のものが6つ。外部インタフェース部は,これまたカバー一体型だ。USBポートはCPUに接続された青いUSB 3.1 Gen.1ポートが4つと,X470につながる黄色いUSB 3.1 Gen.1ポートが2つ。黄色いポートはUSB接続型サウンドデバイスに向けて電源出力の最適化が可能な「USB DAC-UP」仕様になっている。
ASMedia Technology製のUSB 3.1 Gen.2コントローラによりType-AとType-Cを1ポートずつ提供するのはCROSSHAIR VII HEROと同じだ。
SATA 6Gbpsポートは6つ。いずれもマザーボード基板に対して平行方向を向いている |
外部I/Oインタフェース部。USB DAC-UP仕様の黄色いUSB Type-Aポートが目を惹く。写真左端に見える2個のボタンはATX電源用とCMOSクリア用だ |
電源部のヒートシンクはかなり大きい。ただ,CPUクーラーを取り付けやすくすべく,CPUソケットに向かって切れ込んだ斜面にしてあった |
メモリスロットの間にはLEDが埋め込んである。なお,メモリアクセス仕様は中国語簡易マニュアルだとDDR4-2933までだった |
X470 AORUS GAMING 7でもここからはヒートシンクとカバーを取り外してみるが,さすがはハイエンドモデルいったところで部品点数が多い。外部I/Oインタフェース部の一体型カバーが着脱式だったのはちょっと面白いと感じた。
電源部についてGIGABYTEは公式に「10+2フェーズ構成」と製品ボックス上で謳っているのだが,実際,電源部の並びは確かに10+2フェーズのように見える。フェーズごとにドライバICとMOSFETを統合したInfineon Technologies製「IR3553M」を1つずつ組み合わせ,同社製のデジタルマルチフェーズコントローラ「IR35201」から制御するという仕様だ
オンボードの主要なコンポーネントは以下のとおり写真で紹介してみたい。
製品名シルク印刷のすぐ近くにIntegrated Device Technology製クロックジェネレータ「9FGL1214AKLF」を搭載 |
M2A_SOCKETの近くにはNXP Semiconductors製PCI Express 3.0スイッチチップ「CBTL04083B」が並んでいる |
オンボードセンサー類を司る「ITE8792E」(左)と,LED制御用となる「IT8295FN-56A」(右)。いずれもITE Tech.製だ |
外部I/Oインタフェース部の近くに,Intel製1000BASE-T対応LANコントローラ「I211-AT」(左)とASMedia製USB 3.1 Gen.2コントローラ「ASM1143」がある |
現在テスト中。結果にご期待あれ
マザーボードが2枚も付属していたので長くなったが,現在4Gamerでは,CROSSHAIR VII HEROを組み合わせてRyzen 7 2700XとRyzen 5 2600Xのテストを実施中だ。結果はそう遠くない将来にお届けできると思うので,期待してほしい。
AMD公式Webサイト
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