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[COMPUTEX]第2世代のThreadirpper,Vega,そしてEPYC。AMDが6月の台北で発表したことまとめ
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印刷2018/06/07 06:00

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[COMPUTEX]第2世代のThreadirpper,Vega,そしてEPYC。AMDが6月の台北で発表したことまとめ

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 台湾時間2018年6月6日,AMDは台北市内のホテル,The Westin Taipeiでプレスカンファレンスを開催した。AMDはCOMPUTEXを重要なイベントと位置づけており,例年,多くの発表や予告を行うのだが,では今年は何を発表したのかというと,大枠で以下のとおりとなる。

  1. 第2世代Ryzen Threadripper:最大32コア64スレッド対応となることを発表,製品パッケージを披露,2018年第3四半期中の発売を予告
  2. 第2世代Vega:7nm世代のプロセス技術を採用して2018年下半期中の発売となることを予告,製品パッケージを披露,第2世代Radeon Instinctのメモリ容量が32GBに達することを発表
  3. 第2世代EPYC:「Zen 2」マイクロアーキテクチャ&7nm世代のプロセス技術を採用して2019年に市場投入することを予告,製品パッケージを披露
  4. Radeon RX Vega 56 Nano:PowerColorブランドがMini-ITXサイズのRadeon RX Vega 56カードを展開すると発表
  5. FreeSync:Xbox One Xを用いたFreeSyncのデモを披露

 AMDの社長兼CEOであるLisa Su(リサ・スー)博士は冒頭の挨拶で,同社が2017年に市場投入したRyzenとRyzen Threadripper,EPYC,Radeon Vega,Radeon Instinctによって高性能コンピューティング市場におけるAMDの存在感が劇的に高まり,競合の市場戦略にすら影響を与えたことを笑顔で振り返り,「この勢いを緩めることなく2018年以降も魅力的な製品を投入していく」と決意表明を行っていた。

Dr.Lisa Su(President and CEO, AMD)
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 それを踏まえて,発表内容を振り返っていこう。


1.第2世代Threadripperは32C64TのモンスターCPUとして第3四半期に離陸


 COMPUTEX TAIPEI 2018のAMDプレスカンファレンスにおける事実上の主役となるのが,第2世代Ryzen Threadripperである。
 「Zen+」マイクロアーキテクチャに基づき,12nmプロセス技術を用いて製造される第2世代のRyzenプロセッサをCPUパッケージ上に4基搭載することで,HEDT(High-End DeskTop)市場向けCPUとして史上初の32コア64スレッド対応モデルとなる見込みだ。

第2世代Ryzen Threadripperのパッケージと,パッケージからヒートスプレッダを外したサンプルを掲げるJim Anderson氏(SVP and General Manager, Computing and Graphics Busniess Group, AMD)
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 発売時期はこれまでの「2018年後半」から「2018年第3四半期」とアップデートが入った。32コア64スレッド対応モデル以外のラインナップや,動作クロックなどのスペック,そして最も気になる価格も一切が明らかになっていないが,これらについては発売直前に公開することと,第1世代Ryzen Threadripperが第2世代モデルの登場以降も併売となることは発表されている。

第2世代Ryzen Threadripperは2018年第3四半期のリリース予定
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 AMDはこの第2世代Ryzen Threadripperと,Intelの現行最上位モデルとなる「Core i9-7980XE」とでレイトレーシングの性能を比較するデモを披露し,前者が大差で圧勝するさまを見せつけていた。

第2世代Ryzen ThreadripperとCore i9-7980XEとでレイトレーシングの性能を比較したデモ。「何倍も速い」というわけではないものの,第2世代Ryzen Threadripperのほうが目に見えて速かった
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一種異様な巨大さを誇る(?)クーラーも公開となった。第2世代Ryzen Threadripper用のリファレンス空冷クーラーだそうだ
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「Vega 7nm」は2018年下半期中に登場予定


David Wang氏(SVP Engineering, Radeon Technologies Group)
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 Radeon関連の発表は,GPU部門で技術系を率いるDavid Wang(デヴィッド・ワン)氏が行った。昨年まではRaja Koduri(ラジャ・コドゥリ)氏が登壇していたパートだが,氏は2017年11月にIntelへ移籍したため,新しいミスターRadeonが担当することになったわけだ。

 さてWang氏は今後のGPUロードマップを示したが,実のところこれは,従来までと変わっていない。
 次世代GPUである「Navi」(ナヴィ,開発コードネーム)の登場時期を示す時間軸は空欄のままで,2020年頃登場予定とされる次次世代GPUに至っては開発コードネームも明らかになっていない。

ここまで空欄だらけのロードマップも珍しい?
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 ただ,そこはCOMPUTEXのAMD。このまま終わることはなく,AMDが「Vega 7nm」と呼ぶ第2世代Vegaアーキテクチャでは,当初,GPGPU用途向けの「Radeon Instinct」のみで展開されることになることがまず明らかになった。

Vega 7nmベースのGPUパッケージ。Radeon Instinctになる見込みのGPUだ
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 なお,AMDはそんな第2世代Radeon Instinctに関して仕様のごく一部を明らかにしており,それによると,

  • GPUサーバーやグラフィックワークステーション向けの最適化
  • Infinity FabricベースでGPU同士をつなぎ,通信する機能の搭載
  • ハードウェア仮想化技術の搭載
  • 深層学習向けの新命令セットの搭載

が入るという。
 一方,「Compute Unit」数や動作クロックといった部分は明らかにならなかった。7nm世代の製造プロセス技術を採用することで得られるメリットは,第1世代Vegaに対して,

  • トランジスタ密度が2倍になる
  • 電力効率が2倍になる
  • 性能が1.35倍になる

点にあるそうなので,今のところはこれらをヒントにするしかない。

7nmプロセス技術の恩恵
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 Vega 7nmベースのRadeon Instinctは,2018年後半にリリース予定で,現在はパートナー各社へのサンプル出荷が始まっているタイミングという。

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Vega 7nmはまずはRadeon Instinctブランドでの提供となる
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「搭載メモリは容量32GBのHBM2」は今回の新情報だ

 AMDはプレスカンファレンスで,Vega 7nmベースとなる第2世代Radeon Instinctの動作デモを行っている。
 デモの内容は「オートバイが佇む3Dシーンを『Cinema 4D』からRadeon ProRenderでレイトレーシングレンダリングする」というもの。デモを担当したAMDのエンジニアは「レイトレーシングで広大なシーンにレイを投げる場合,メモリの性能がレンダリング速度に直結してくる。その意味において,32GBという容量のHBM2は非常に大きな意味を持つ」とアピールしていた。

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adeon Instinctを使って行う,Radeon ProRenderによるレイトレーシングデモ
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一瞬でレンダリングが終了。演算性能の高さはもとより,HBM2の圧倒的なメモリバス帯域幅による恩恵も大きいようだ


Zen 2ベースの第2世代EPYCは2019年に


 本稿は時系列を無視して紹介しているが,実際の発表会で,「最後にもう1つ」として出てきたのが第2世代EPYCである。
 第2世代EPYCについて語ったのはSu氏で,氏は「Zen 2」マイクロアーキテクチャを採用し,7nmプロセス技術を用いて製造されるエンタープライズ向けCPUが2019年に登場することを明らかにした。

Su氏が掲げた第2世代EPYCのCPUパッケージ
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 Su氏によると,2018年下半期中にはパートナー各社へのサンプル出荷が始まるとのことだ。


Radeon RX Vega 56 NanoがPowerColorから登場


 プレスカンファレンスでRadeon Gaming部門担当ジェネラルマネージャー兼副社長を務めるScott Herkelman(スコット・ハーケルマン)氏は,「Radeon RX Vega 56」搭載カードをMini-ITXサイズの約170mm長にまで小型化した「Radeon RX Vega 56 Nano」を,PowerColorブランドのTulが市場展開すると発表した。

Radeon RX Vega 56 Nanoカードを掲げるScott Herkelman氏(CVP and Gneral Manager, Radeon Gaming, AMD)
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 GPUのスペック自体はRadeon RX Vega 56そのままだが,小型PCに搭載できるよう最適化したバージョンになっているそうで,当面はPowerColorブランドだけが扱う予定だそうだ。
 詳細なスペックは別途Tulに取材する予定なので,動作クロックなど新情報があればあらためてお届けしたいと考えている。

補助電源コネクタは8ピン+6ピン。シールを見る限り製品名は「AXRX VEGA 56 NANO 8GBHBM2」のようだ
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 なお,世界市場では本日発売だそうだが,日本市場における動向は今のところ明らかになっていない。


Xbox OneシリーズにおけるFreeSyncのデモを披露


Samsung Electronics製の液晶テレビがファームウェアアップデートでFreeSyncに対応
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 Herkelman氏はもう1つ,量子ドット技術採用のQLED TVシリーズに属するSamsung Electronics製の80インチ液晶テレビが,ファームウェアの更新を行うことでFreeSyncに対応することを発表した。
 また,かねてよりアップデートによってFreeSyncに対応することが予告されているXbox One Xで実際にFreeSyncを動作させるデモを披露している。

Samsung Electronics製液晶テレビとXbox One XによるFreeSyncのデモ。なおXbox OneシリーズではXbox One XとXbox One SがファームウェアアップデートによるFreeSync対応を果たすとされている
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 主要な発表は以上だ。
 振り返ってみると,CPUラインナップの充実,そして製品開発サイクルの速さに対して,GPU側は速度がスローな印象を受ける。現在はRadeon RX Vegaシリーズがゲーマー向けのハイエンドという扱いだが,その下,ミドルクラス以下は依然として1世代前のPolaris世代だ。ウルトラハイエンドからエントリーまですべてGTX 10シリーズで揃えているGeForceと比べてしまうと,「遅れている」印象は拭えまい。

 競合NVIDIAは,GeForce GTX 11シリーズを準備中とも噂されているだけに,GPU部門の奮闘にも期待したいところである。

AMD公式Webサイト


COMPUTEX TAIPEI 2018取材記事一覧

  • 関連タイトル:

    Ryzen(Zen,Zen+)

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    Radeon Pro,Radeon Instinct

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    Radeon RX Vega

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