プレイレポート
自由度の高いステルスアクション「Dishonored 2」のプレイインプレッション。暗殺者が行くは,闇の巷か,はたまた光の道か
「Dishonored 2」公式サイト
本作は,2012年にリリースされた「Dishonored」の続編で,開発を担当しているのは前作と同様,フランスのArkane Studiosだ。2006年の「Arx Fatalis」や,2006年の「Dark Messiah of Might and Magic」,さらには2008年の「Call of Duty: World at War」のマルチプレイ部分などで知られるスタジオで,現在,2017年にBethesdaからリリースされる予定の新作「Prey」の開発協力も行っているという。
そんな彼らの作り上げた「Dishonored 2」は,前作を超える高い自由度と,臨場感あふれるステルスプレイが楽しめるスリリングなゲームに仕上がっている。
影のように街を駆ける女王と護衛官
ゲームの舞台は,19世紀の大英帝国を思わせる「諸島王国」だ。前作と同じく首都ダンウォールでゲームが始まるが,話はもっぱら海辺の街,カルナカで進んでいく。諸島王国はスチームパンク的な科学技術と神秘的な魔術が同居する世界だ。
プレイヤーは,無実の罪を着せられて王座を奪われた元女王エミリー・カルドウィンか,前作の主人公も務めたコルヴォ・アッターノのどちらかとなり,復権を目指して陰鬱な街を駆け抜けていく。
物語は前作の15年後を描いているが,前作のあらましはオープニングで説明してくれるため,未プレイでもとくに問題はない。
プレイヤーは物語に沿って,敵の重要人物を排除したり,仲間を助け出したりするといったミッションをこなしつつ,ゲームを進めていく。ほとんどの場合,多数の衛兵が警備しているので,当然ながら任務の達成は簡単ではない。
衛兵の視界に入ったり,近くで音を立てたりすると「警戒モード」となり,彼らは周囲の探索を開始する。見つかれば戦闘になるが,衛兵達は剣で攻撃してくるだけでなく,数を頼りに包囲してきたり,銃を撃ってきたりと厄介だ。慣れていないうちは,知らない間に回り込まれて背後から斬殺されたり,遠くから射殺されたりといったことが頻繁に起こる。
そこで役に立つのが,「ステルスモード」だ。これは,しゃがみ込んだ状態から物音を立てずに移動し,机やテーブルがあれば自動的に隠れてくれるというもので,衛兵の視線を避けつつ物陰から物陰へと渡り歩き,気付かれぬまま通り抜けることも可能になる。
また,ステルスモードで敵の背後から忍び寄り,剣を突き刺したり,持ち物をスリ取ったり,首を絞めて気絶させたりできる。このうち,「敵を殺さない」というチョイスは「カオス度」にも関わってくるので,非常に重要だ。
倒れた衛兵が見つかると警報を鳴らされたりするので,敵の体は見つかりにくいところに運んでおくのがセオリーだ。空き瓶などを投げて敵の注意を引き,その横をすり抜けたり,背後から襲いかかったりなど,ステルスものでは定番のテクニックを駆使して,スマートにミッションをこなしていこう。
ちなみに本作は,ステルスに重きを置いたゲームとしては珍しく,一人称視点を採用している。FPS(First Person Shooter)ならぬFPS(First Person Stealth)といったところだが,三人称視点では,自分と周囲の状況が分かりやすいが,一人称ではそうはいかない。そのため,「隠れているところに衛兵が近づいてきた」とか「体力が減っていて戦いたくない状態で,衛兵の脇を通り抜ける」といった状況が,よりスリリングに感じられるし,うまく切り抜けたときの喜びもひとしおだ。このドキドキは,ぜひ味わってほしい。
超常能力と周囲の環境をフルに使って戦おう
本作の最大の魅力は,自由度の高さにある。本作の目玉である「超常能力」や武器,周囲の環境などを使って,自分の好きな方法で戦えるのだ。
超常能力は,エミリーとコルヴォ,それぞれに異なったものが用意されており,ステージ内に散らばる「ルーン」を貯めて購入したり,アップグレードしたりできる。
具体的には,“闇のロープ”を伸ばして自分の身体を高所に引き上げたり,敵を引き寄せたりする「ファーリーチ」や,壁越しに敵の姿が見える「ダークビジョン」,周囲の敵を混乱させる「メズマライズ」,瞬間移動の「ブリンク」,鼠を呼び出す「ラットスワーム」,そして,複数の敵をリンクし,一人に対して行った攻撃の影響が全員におよぶ「ドミノ」など,ステルス行動や戦闘に役立つものが揃っている。
この超常能力に加えて,さまざまなタイプの弾丸が撃てる(その代わり,音が大きい)「ピストル」や,音なしの「ボウガン」,手投げ弾である「グレネード」や,壁や敵の身体に貼り付く爆弾「スプリングレーザー」といった武器が用意されている。さらに,ネズミが人間に襲う性質や,触れた者を焼き尽くす防護壁「光の壁」など,周囲の環境を組み合わせることで,プレイヤーそれぞれがさまざまな戦い方を楽しめるわけだ。
「あらかじめスプリングレーザーを仕掛けておいた場所に,敵を誘い込む」「ファーリーチで敵を高所から投げ落とす」といった実戦的なものから,「敵にクロロホルムのビンをぶつけて気絶させ,ネズミがいるところまで運んで喰わせてしまう」「特殊能力で時間を止めてから衛兵にピストルを撃ち,回避不可能の状態を作り出す」「爆発物を集めた場所に自分の分身を立たせ,敵が集まったところで起爆する」など,なんだかアトラクションみたいなものまで,工夫次第でいろいろなことができてしまうのだ。決まれば爽快。決まらなければ,別の手を考えてみる,といった具合にゲームにはまりこんでしまう。暗殺者,楽しすぎ。
主人公が暗殺者だけに,血しぶきが跳び,首が飛ぶなどゴア描写はなかなか強烈で,その点ではプレイヤーを選んでしまうかもしれない。
しかし,上記のように本作ではカオス度のパラメーターが存在し,これがある意味,ゲームのスパイスとして機能している。このカオス度とは善人か悪人かの尺度のようなもので,敵を殺すたびに上昇し,カオスレベルがアップするのだ。
カオスレベルによってエンディングが分岐することに加えて,エミリーやコルヴォの言動が悪人っぽくなり,街中に不気味な昆虫「ブラッドフライ」が飛び交うようになる。これがイヤなら殺さなければいいのだが,カオスレベルが低い状態が必ずしも正しいわけでもないのが憎いところだ。
そのため,序盤は,これにあまりこだわることなく,思うようにプレイしたほうが良さそうな気もする。
自由度の高さは戦闘だけではない。ゲームの中には多くの選択肢があり,そのいずれを選んでも間違いではないのだ。例えば重要なアイテムがあったとして,盗み出してもいいし,資金を貯めてそれを買ってもいい。暗殺目標となった人物も,単純に殺してもいいし,隠された真実を暴いて,社会的に失墜させてもいいという具合だ。
さらに,ステージの各所には超常能力を購入,アップグレードするための「ルーン」や,パッシブスキルを発揮させる「ボーンチャーム」,この世界のことを教えてくれる文書やアイテムが置かれた隠し部屋などがある。これらを集めてもいいし,もちろん,無視してもかまわない。
強い印象を残す絵画的なアートワーク,迷信と貧困が蔓延する社会を活写するテキストやセリフ,そして上記のような自由度の高いゲーム展開など,いい意味で,いかにも「洋ゲー」っぽい。
敵を殺しすぎるとカオスレベルが上がってしまうため,明るいエンディングを迎えたければ,派手な戦いは慎まなければならない。しかし,全体的な難度はかなり高く,思わず力任せにプレイしたくなってくるところがジレンマだ。筆者はまず,体力自動回復などの恩恵があるイージーモードを選択し,キャラクターとしてはエミリーを使用,一定時間敵に見つかりづらくなる「シャドウウォーク」の超常能力を覚えて,それでゲームに慣れていった。苦労している人は,参考にしてほしい。
2017年1月に予定されているアップデートでは,ステージを選べる「ミッションセレクト」なるモードが用意されているとのこと。この雰囲気にぐっときた人や,骨のあるステルスものをプレイしてみたいという人は,ぜひ試してほしい。
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