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異色のステルスアクション「République」プレイレポート。ハッキングによる遠隔操作と状況判断がヒロインの運命を決める
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印刷2016/04/15 00:00

プレイレポート

異色のステルスアクション「République」プレイレポート。ハッキングによる遠隔操作と状況判断がヒロインの運命を決める

 ガンホー・オンライン・エンターテイメントは,PlayStation 4用ソフト「République(リパブリック)」を,2016年4月14日に発売した。

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 本作はもともと,Kickstarterでのクラウドファンディングの成功によって開発が始まったタイトルで,2013年にiOS向け(Android版は2014年)に,全5章のエピソード形式で順次リリースされていた。その後,PCなどへの移植を経て,今回,初めてコンシューマゲーム機への移植が実現。このPS4版では全5章のエピソードがひとつにまとめられたうえに,日本語字幕によるプレイが可能となっている。本稿ではそのプレイレポートをお届けする。


ゲーム内に存在するすべての監視カメラが,ゲームの視点を担う


 見てはならない「ある物」を見てしまったことから,当局に危険人物としてマークされ,監禁生活を余儀なくされてしまう本作の主人公ホープ。プレイヤーが,“そこ”から彼女を脱出させるという目的のもとに物語が展開していく本作。そのオープニングはセンセーショナルだ。

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 突然の着信音から電話を取ると,画面には暗い部屋にいる女性の顔が映し出され,恐怖におののく表情でプレイヤーに対して助けを求めてくる。部屋が明るくなると,彼女の肩越しに1台の監視カメラが見える。さらに画面の指示通りにボタンを操作すると,その監視カメラの映像へと切り替わり,部屋全体を見渡せるようになる。
 やがて,ホープは部屋に入ってきた軍服風の装束の男女に尋問された末に,どこかへ連れ去られてしまう……。映像のすべてが,ゲーム中に存在するカメラのアングルによって構成されるこのオープニングは,本作のコンセプトを象徴している。

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 本作でプレイヤーがとるべき行動は,助けを求めてきたホープを施設から脱出させること。そのためのとくに重要な行動が,このカメラを使ったサポートだ。高度な監視システムを持つ施設の内部には無数の監視カメラが設置されている。プレイヤーはこれをハッキングして,ホープや周囲の様子を確認しながら誘導し,その脱出をサポートしなければならない。

 建物などに設置された複数の監視カメラを使ってプレイするゲームは,それがゲームのメインシステムではないものも含めると,それなりの数が過去にリリースされていて,筆者もいくつかをプレイプレイしている。しかし本作は,それらの作品とはひと味違った特徴を持っている。

 そのひとつが,プレイヤーは監視カメラでホープをサポートすると同時に,ホープ自身を操作して動かせるということ。ステルスアドベンチャーを謳う本作は,三人称視点のアクションゲームとしても進行していく。そう聞くとなんとなく複雑なゲームのように思えるが,もとがスマホ向けゲームで,さらにこのPS4版はDUALSHOCK 4での操作に最適化されていることもあって,操作自体はさほど難しくない。

 ゲーム中に[R1]を押すと「OMNIビュー」が展開し,カメラの切り替えや施設へのハッキングを行えるようになっている。このときはホープも含めて時間(画面の動き)がストップするため,建物内を巡回警備しているプリズラック(護衛者)などの動きを気にせずハッキングが行える。一方,OMNIビューを展開していないときは,使用中のカメラの角度とズーム操作のみで直接的なサポートは行わず,プレイヤーはホープの操作に集中できる。

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OMNIビューを開くと,プレイヤーが干渉できる場所がボタンで表示され,それを押すとカメラの切り替えやロックの解除が可能だ
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OMNIビューでは,巡回中のプリズラックたちのパスポートからそのデータを確認できる

 ゲーム中の視点は基本的に建物内のカメラが捉えているものなので,背後からキャラクターを捉える一般的な三人称視点のアクションゲームのそれとは異なる。感覚としては「バイオハザード」シリーズの初期作品などに代表される固定カメラのアクションアドベンチャーに近い印象だ。表現としては一昔前のものではあるが,プレイヤーが第三者として物語に関与しているという設定には実にマッチしたもので,ゲームの緊張感を高めることに成功している。

ホープ操作時も右スティックでカメラの向きを変えたり,ズームしたりできる。画面の丸いアイコンは目的地を示している
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  なお視点となるカメラは,プレイヤー自身が任意で切り替えられるほか,ホープが画角の外へ移動するとオートで最適なカメラに切り替わる仕様だ。そのため,任意で切り替えない限りホープの姿を見失ってしまうことはない。万が一,見失ってしまったときでも[L3]で即座にホープが映っているカメラに切り替わるので,心配することはない。

ホープが物陰に隠れているときはシルエットが表示される。特定の場所に身を隠すことも可能だ
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ハッキングができるのはホープの周囲のみ。プレイヤーとホープの連携が重要


 本作のルールにおける,もうひとつの大きな特徴として,プレイヤーはハッキングをホープの持っているスマホの回線を介して行っていることが挙げられる。これにより,ハッキングができる範囲がホープの周囲に限定されるため,移動先の様子をカメラで確認するには,ホープ自身が危険を承知で移動しなければならないというもどかしさがあり,独自の緊張感を生み出している。

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OMNIビュー時には,ホープが持つスマホの電波の範囲が球状に表示される。この範囲内の機器を操作可能だ
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監視カメラは映像に映り込んだカメラに切り替えていくことで,より遠くのカメラが操作できるようになる。ただし,ホープから遠くなるほど画面のノイズが増え,見づらくなる

 ゲーム中にプレイヤーが干渉できることはカメラの操作だけでなく,セキュリティの解除やデータのスキャンが行える。さらに,ゲーム中に習得していく「スキル」によって,新たなハッキング能力を身に付けて,ホープをさらに有利な状況に導くことができる。画面に映っているホープにではなく,ディスプレイを見ているプレイヤーに能力が備わっていくというのがまた面白いところだ。

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スキルはゲーム内で入手したデータを「データ・ブローカー」に売り,得たクレジットで購入できる
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こちらは「推測」のスキャンを使用したところ。黄色いラインがプリズラックの巡回ルートだ

 スキルの能力には,要所に設置してあるメールを盗み見る「メールスキャン」,プリズラックの巡回ルートを知る「推測」,近くにある電話などの機器を使ってプリズラックの注意を引く「陽動」などがある。一部の効果の高いスキルの使用には,ホープが持っているスマホのバッテリーを消費してしまうという制限があるのも,スマホを介して進む本作らしい演出だ。

特定の場所では,OMNIのアップデートが必要なところもある。ホープが建物のどこかにあるデーモンサーバーにたどり着けばアップデートが可能だ
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監視カメラで模索したルートでステルスアクションを構築


 冒頭で述べた通り,ゲームは章立てで進行していき,特定の場所までホープを誘導できると,次の章に進むという流れになっている。ホープの目的地は,ストーリー展開に応じてマップに表示されていくのだが,建物は複雑な構造をしていて,さらに要所にはプリズラックが巡回しているため,簡単には進めない。監視カメラやスキルを駆使して,できるだけ安全なルートを模索していくことになる。

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 ホープは囚われの身であり,女性ということもあって,行動はかなり制限される。プリズラックに抵抗するためには,催涙スプレーやスタンガンなどの消費アイテムが必要で,それらを持っていないときに発見されて捕まってしまうと,強制的に「隔離室」送りとなってしまうのだ。
 建物の中に隔離室は複数あり,確保されたときは一番近い部屋に送られるので,復帰自体はそれほど大変ではないが,ゲームを順調に進めるためには発見されないことがベストで,そのためにステルスアクションが求められるのである。

要所にある隔離室は探索の拠点でもあり,スキルを使用するためのスマホを充電できる
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 ステルスアクション自体はさほどシビアではない。走ると見つかりやすくなるものの,足音や物音まで気にする必要は基本的になく,プリズラックの視界に入らなければ発見されることはない。ただし彼らの視界は可視化されておらず,特定のスキルを習得するまでは,カメラで確認しないと居場所も分からないので油断は禁物だ。
 またホープはただ隠れるだけでなく,現場での物理スイッチの起動など,ハッキングでは対応できないことも行ってくれる。建物内の要所にはいわゆる「謎解き」的な仕掛けが施されていて,このあたりはどちらかというと古典的なアクションアドベンチャーに近い手応えだった。

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スキルを習得すると,プリズラックの位置がより正確に分かるようになる
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現場にいるホープにしか操作できない謎解き要素もある。その内容はパズル的だ


ゲーム内に仕掛けられた細かな“遊び”も楽しい


 プレイヤーには,一人の個性的な協力者が存在する。それが「クーパー」だ。実はこの人物,物語の冒頭で登場したプリズラックの1人で,こともあろうに実名でプレイヤーに接触してくるのだ。彼の協力によってハッキングができるのだが,テキスト読み上げソフトの合成音声で妙になれなれしく,さらにメッセージにいちいち顔文字を入れてくるのもいい感じにウザさを出している。

ゲーム中のシビアな空気を和ます(空気を読まない)クーパーからの顔文字入りメッセージ
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 ゲームのコレクト要素としては,巡回しているプリズラックの背後に近づくことで「フロッピーディスク」を入手できるのだが,これに近年のヒットゲームのイラストがあしらわれていて,それに対してクーパーがうんちくを話してくれるのが個人的に面白かった。もとがインディーズ作品ということもあってか,このあたりの“遊び”はいい意味でゆるい内容で,ゲームの味付けにも貢献している。

大作からインディーズ作品までカバーされたフロッピーディスク。クーパーのうんちくもポイントだ
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 なお,このPS4版には,ホープの追加コスチュームが用意されている。ゲーム中で手に入る「女子高生」などのほか,早期購入特典として配布されるDLコードで入手できるものがあり,それらの中には着替えることでゲームの難度に影響をもたらすものも存在している。オプションによる難度設定がない本作において,より深くゲームを楽しみたいという人は,ぜひこれらの特典は手に入れておきたいところである。

こちらはゲーム中で入手できる「女子高生」のコスチューム。セーブ回数や所持アイテムに制限が発生するなど,難度が格段に上がる
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ホープとプレイヤーのコンビネーションがうまくゲームとしてまとめられた秀作


 インディーズ作品ならではの挑戦的な内容を持ちつつ,コントローラでの操作にも違和感のないチューニングが施されていて,手触りのいいアクションアドベンチャーとして仕上がっていた本作。囚われの美女とディスプレイ越しのプレイヤー(+おせっかい焼きのプリズラック)によるコンビネーションが,バランスよくゲームとしてまとめられていたのが非常に好印象だった。

 少し気になったのは一部のシーン切り替え時に,画面がやや長めに止まることだ。ゲーム画面がスマホの回線を介した映像(意図的な画面の乱れもゲーム中に起きる)であるため,ローディングの影響ではなく演出と捉えればさほど違和感はない。また,テンポを求めるゲームでもないので致命的というものではないが,いいところで遭遇すると,やはり「ん!?」という気分になってしまう部分ではあった。

 そうした個人的に気になった点を差し引いても,これまで述べてきたとおり,ゲームとしての完成度は十分に高い。章ごとにエンドクレジットが入る構成などは次の章への期待を大いに高めてくれる。全話がまとまられたPS4版ならば,そのまま続きを遊んでもいいし,インターバルを入れて遊ぶという手もある。パッケージ版,DL版とも価格も非常に手軽なので,この機会に本作の斬新なゲームシステムに触れていただければと思う。

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