第18回「Project Zomboid」
1993年、ケンタッキー州ノックスカントリー。スマホもインターネットも存在しないこの街は、突如としてゾンビが徘徊するポストアポカリプスの世界へと変貌した。プレイヤーは何者でもない一市民となり、脅威に怯えながら日々を過ごすことになる。これはハッピーエンドを目指す物語ではない。いつか必ず訪れる死までの、過酷で孤独な生存記録である。
人間界のゲームに心奪われた魔王・赤城朱音(あかしろ あかね)。目つきも口調も悪いが実はお嬢様な龍恩寺凛(りゅうおんじ りん)。ボードゲームとミニチュアが大好きな天然ギャル・新山穂香(にいやま ほのか)。――そこは私立四亀学園。放課後の空き教室には,今日も3人の姿があった。
自称魔王さまは窓の外をぼーっと眺めてなにしてんだ?
来たときからこうなんだよね。話しかけても「人はいずれゾンビになる」しか返ってこないの。
村で見かける意味深なNPCか?
2人とも来たか。まあ座れ。今日はのう、命について語ろうと思う。
いやいやいや、テーマが重い。
朱音ちゃんなにかあったの?
「Project Zomboid」をひっさしぶりに遊んだのじゃが、それからずっと命の儚さが胸に……。
って、ゲームかよ!
通常運転だったね。
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「Project Zomboid」は、ゾンビだらけの終末世界で生き延びるサバイバルゲームじゃ。まぁ、正しくは“生き延びる”ではなく、“いかに死ぬか”じゃがな。
ゾンビゲーって普通、生き残りを目指すよな。なんで、いかに死ぬかなんだ?
このゲームのプレイヤーキャラは必ず死ぬからじゃ。いつか、どこかで、絶対にな。
だから散るまでのドラマが重要ってか?
そんなとこじゃ。なんせ、このゲームには勝利条件はおろかストーリーもエンディングもないからのう。
へ〜、ゲームとしての明確なゴールがないんだ。
で、達観顔の魔王さまはどれぐらい生きれたんだ?
初回プレイは7分ぐらいじゃったな。
はやっ。
スポーンしてすぐにゾンビが家に入ってきてのう。慌てて窓を突き破って外に出たら、大通りにいたゾンビの大群に捕まったのじゃ。今思えば、やってはいけないことしかしてなかったわい。
ホラー映画で真っ先に死ぬ人の動きだ。
観客に「行くな行くな」って言われるやつな。
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でも、画面を見た感じそんなに難しそうなゲームに見えないけど?
たしかに地味系だな。サバイバル感のないサッパリとした感じっつーか。
見た目で侮るなかれじゃ。サバイバルものとしての描写やシステムは、他に類を見ぬほどにやたら細かい。知れば知るほどそのギャップに舌を巻くぞい。
細かいって、どのくらい?
例えば、腕をガラスで切ったとするじゃろ。そしたら傷口に残った破片をピンセットで取り出してから包帯を巻かねばならん。ひどい裂傷ならば縫合も必要じゃな。
回復アイテムを使って終わりじゃなくて、傷の状態に合わせた処置が必要ってこと?
うむ! しかも、ただ包帯を巻いただけでもダメでな。汚れたら都度交換せねば創傷感染が起きてしまう。傷口のアルコール消毒や包帯の滅菌もしておきたいところじゃな。
えっ、そこまで……。
それに、汗をふかずに放置すれば風邪を引くし、重量オーバー状態で活動すれば筋肉を痛めてしまう。
ゾンビ以前に、管理能力を試されるやつだ。
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それとな……このゲーム、メンタルも壊れるのじゃ。
精神状態によってパフォーマンスが落ちちゃう的な? 珍しいね。
そうじゃ〜。パニック、退屈、悲しみ、ストレス……そうした精神的負荷が身体的なデバフを引き起こすようになっておる。
外に出てゾンビに囲まれたらパニックになるし、かといって引きこもると退屈すると。じゃあ、どうすりゃあいいんだ?
ゾンビをぶっ飛ばしつつ、本を読んで発散すればいいのじゃ。あとは、お薬を飲んで緩和するとか、スイーツを食べて気分をアゲるとかかのう。
わかる〜。アタシも嫌なことあった日は糖分摂取してふて寝してる。
およ? よく見ると、食べ物にカロリーと栄養価が書いてあるけど、これって?
キャラの体重増加に関わってくるのじゃ。そうじゃのう、凛のように高カロリー食をむさぼって引きこもっておれば、あっという間に肥満キャラの完成じゃ。
アタシは太ってねぇし。ティーンエイジャーの代謝なめんなし!
ふふっ。このゲームは人間のリアルな弱さまで数値にしてるんだねぇ。ここまで細かいなんて、お見それしました!
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ってことはだ。極論、キャラのケアを怠らなければそれなりに長生きできるってことだろ。
それはそうじゃが、一番は対ゾンビ戦においてノーダメージを貫く、これに限る。
ゾンビの攻撃を食らったらどうなるの……?
確率でゾンビウイルスに感染し、数日のうちに死を迎えるのじゃ。
噛まれてすぐ、ではないんだね。
うむ。最初は体の小さな異変から始まり、徐々に気分が悪くなって、人間を食べたくなってきたらもうアカンって感じじゃな。
じわじわとゾンビになっていくってのも、なんかリアルだな。治療はできないのか?
無理じゃな。治療可能にするMODもあるが、バニラで遊ぶなら噛まれない、引っかかれない立ち回りができなければ長生きできぬ。
おっふ、シビアだな。
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じゃがな、死んだからといってゲームが終わるわけではない。新しいキャラを作り直して、同じ世界でサバイバルを続けられるのじゃ。
それって生前に集めた物資とか、拠点はどうなるんだ? 全リセットだったら、さすがに心が折れるぞ。
前のキャラはゾンビになって闊歩しとるから、見つけて倒せば持ちものは回収できるぞい。拠点は残っておるし、キャラが変わっても大抵のものは引き継げるのじゃ。
じゃあ、死んでもそんなにデメリットは……?
あるぞ。キャラの能力や特性は引き継げない仕様じゃから、本やらトレーニングやらで伸ばしたステータスはおじゃんになるのじゃ。
わー、長く生き延びるほどキャラをロストしたときの喪失感がやばそうだな。
でも、物資とノウハウは残るからリカバリーはしやすいんじゃないかな。
そこが肝じゃ。死ぬたびに“なにが悪かったか”を学ぶのがこのゲームの醍醐味じゃ。物音を立てすぎた、無理して夜に出歩いた、身体のケアを怠った――そういう失敗が次の生に効いてくる。
死そのものが教科書ってことか。
だから初心者は何度も死ぬ。この世界での生き方を知らん人間から先に死んでいくのよ。
初見殺しだわねぇ。
このあっけない感じがまた後を引いてのう、ワシを寝不足にしよるんじゃ。
やめどきが分からなくなるやつだね!
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さて、ここからが本題でな。2024年末に、Build 42というアップデートが来たのじゃ。
どれどれ……マップがさらに広がって地下エリアと高層ビルが追加。クラフトシステムの拡張、農作物の増加、生きた動物も実装だって。
動物を飼えたら最高かも!
飼えるぞ。家畜を育てる畜産に鉄を鋳造する鍛冶――自分の手で文明を再建する遊びが入った感じじゃな。
ゾンビから逃げるゲームなのに、開拓者っぽくなってきたな。
ただ、この Build 42は2026年現在でも「Unstable」、つまりベータ扱いじゃ。
まだ正式じゃないのか。
そもそも、このゲーム自体まだアーリーアクセスというのもあるしな。
えっと、アーリーアクセスが2013年に始まってるから……。
もう13年になるのう。
「7 Days to Die」より長いじゃねぇか!
アーリーご長寿だ〜!
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それゆえ、ビルドの更新が入るたびに仕様が大きく変わることもあってな……。学習コストがちょい高めなのはネックかもしれんのう。
心機一転って思えばいいんじゃね?
まぁまぁ、せっかくじゃしワシのサーバーでマルチプレイをやろうず!
いいね〜! もしかしてだけど、サーバー設定でゲームの難度を調整できたりする?
もちのろんじゃ。細かく設定をいじれるぞ。
ゾンビの数、集団の大きさ、アイテムの落ちにくさ、時間の進み方、etc……項目めっちゃくちゃ多いな!
激辛にして修羅な世界も作れるし、激甘にして街を散歩する遊びもできるのじゃ。
どうせならゾンビの数最大、夜の暗さ暗黒、戦利品は非常に希少の設定でやってみたいな。
開幕5秒で全滅する設定持ってくんなよ。
だってそれくらいヒリヒリしないと。ねぇ、朱音ちゃん。
うむ。ワシらのジェットストリームゾンビアタック戦法なら、きっと勝つるのじゃ!
ゾンビ相手にゾンビ戦法すなー!



















