連載
結のほえほえゲーム演説:第15回「『カルドセプト リボルト』,スタバでキャラメルマキアートを頼むより困難な呪文」
私は小さな頃から,ボードゲームが大好きでした。
ボードゲームといえば,家族や友人とワイワイ楽しむパーティーにうってつけですよね。例えば,人生ゲーム,モノポリー,「桃太郎電鉄」など……。
ゲームを愛する4Gamer読者の皆さんにお聞きします。
和気あいあいとした雰囲気の中,戦略を練り,本気で勝ちを狙いに行った結果,「あれ? もしかして……。私,空気読めてない?」と困惑した経験はありませんか?
みんなとワイワイ遊ぶのもいいけれど,CPUの思考のアナを探し,手段を選ばず全力で倒すことに快感を覚えた経験はありませんか?
そんな経験をしたことのあるアナタは,「カルドセプト」シリーズに,今なら発売されたばかりの最新作「カルドセプト リボルト」に出会うべきです。
ボードゲームは,運を天に任せるゲームではありません。
運の要素をかいくぐって戦略で勝利を手にすることもできる,そんな極上の娯楽といっても過言ではないのです。
「最強」が存在しないバランスで戦うゲーム
カルドセプトは,カードで戦うボードゲームです。
カードは400種類以上。この中に,それさえ手に入れておけばどんな時でも勝てる,というカードは存在しません。この“最強が無いバランス”が絶妙なのです。
カードを集めては「どんなブックを作ろう?」と試行錯誤し,自分だけの戦略を探し出すのです。
ブックを眺めながら新たなカードの組み合わせを閃いた瞬間の高揚感といったら……。対戦相手の戦い方を見て「そんな使い方あるのか!」とゾッとさせられる瞬間もあるんですけどね。
対戦中,対戦相手の手札は常にすべて見えているので,お互いの戦い方の違いが分かりすいことも特徴です。セプターの数だけブックがあり,戦いの度にそれぞれの思惑に出会うことでしょう。
クエストのストーリーでは,個性的なキャラクター達がたくさん登場するのですが,それぞれの戦い方は,キャラクター達のパーソナリティーを自然に彷彿させます。真面目なキャラクターは地道に自領地の連鎖を重視したり,攻撃的なキャラクターは積極的に敵領地に侵略してきたり……。
もちろん対人戦のブックや戦い方にも,驚くほど性格が出るのです。
そして,カルドセプトの最大の特徴は,スゴロクゲームなのに,理不尽さにイライラする瞬間が存在しないことです。
最後の最後まで大逆転への道が残されている可能性があり,思考停止する暇なんてありません。負けていても“捨てゲー”にならず,勝っていてもゲーム終了まで一切の油断ができないのです。
大逆転への道は運だけでは決して切り拓けません。
サイコロの目やカードの引きに期待するだけではなく,どんな戦略が残されているかを考え抜くのです。
だからこそ,勝っても負けても「こんなの運じゃないか!」と理不尽な思いをすることがなく,一戦一戦,時間をかけて,全力で試行錯誤できる。それがカルドセプトなのです。
初心者セプターにおススメブック
さて,これからカルドセプト リボルトを始めようという方もいらっしゃるかもしれないので,「だれでも対戦『ビギナー』」(ルールはマップ「シンプルサークル」拡張パックなし)で,個人的に戦いやすかったブックを紹介させていただきます。
クエストではAIキャラクターと戦えていたけど,対人戦ではなかなか勝てない! という方にオススメです。
もちろんブックは肌に合う,合わないがあるので,あくまで個人的な一例として捉えていただければと思います。
初心者は相性の良い属性,水風もしくは火地で組むといいでしょう。クリーチャー20枚,アイテム10〜15枚,スペル15〜20枚。くらいのバランスがオススメです。
急いで連鎖を作り,成長させながら,常に防御を意識するブックです。
序盤は,G・ノーチラスなどのHPが高いクリーチャー,ナイトなどの攻防のバランスがとれたクリーチャーが置きやすいです。チャージステップ,マジカルリープを組み合わせて連鎖を作りましょう。属性が合っていなくても,とりあえずクリーチャーを置き,ウォーターシフトなどを使って,あとから属性を合わせるのも手です。
侵略されたくないクリーチャーは,ファットボディでMHPを上げて強化すると安心です。反撃できるSTを残しておきたければ,ドミナントグロースあたりが良いでしょう。ただしエグザイルにはご注意を。
対人戦においてアイテムは非常に重要です。
水風ブックではストームシールドは頼れる防具。後半になるにつれ,なるべく多く確保したいです。
対戦相手のアイテムが邪魔なときは,シャッターがベターですが,対戦相手のアイテムに同種類が多い場合は,メタモルフォシスで邪魔なアイテムを一気にホーリーワード6に変えることで,攻めるチャンスが作れます。
初心者でもつなげやすいスペルカードのコンボは,クインセッテンスからホーリーバニッシュで対戦相手のクリーチャーを手札に戻す,などでしょうか。
バーニングヘイル,フリーズサイクロンからスウォームで一掃する,などのコンボも決まると気持ちが良いです。
足止め系クリーチャー,ケルピーは言わばロマンですね。
成長させた水領地にクリーチャー交換で登場させましょう。
足止めされるたびに対戦相手がバトルを仕掛けてきた場合,防御に自信がなければ,パシフィズムを使うのもアリです。目標魔力が近ければ逃げ切りましょう。
クリーチャー同士のバトルは,対戦相手のアイテムの有無を記憶して,合計数値(ST,HP)を計算することがカギになります。仕掛けるべきか否か,力を使い切るか否か,高度な読み合いが発生します。
麻雀で例えるなら,オーラスでイッチャをまくれる点数を計算し,相手の捨て牌を見ながら勝負をかけるタイミングを探る……そんなところでしょうか。
麻雀もカルドセプトも,これらが正確にできるようになればなるほど強くなりますね。
楽曲
「カルドセプト セカンド」から楽曲を担当されているのは,皆さんご存知の伊藤賢治さん。今作でも素晴らしい楽曲がカルドの世界を彩ります。
カルドセプトの対戦は1時間近くかかることもザラです。
長い戦いの中で,戦況の変化によって,不思議と楽曲の聴こえ方が変わってくるのです。
勝っているけれど,逃げ切れるか不安なとき。
負けているけれど,勝機を見出せそうなとき。
心臓の鼓動を煽るように,乱れる呼吸に寄り添うように,あらゆる戦況において「戦っている自分のための曲」になるのです。
対戦BGMの中では「麗しき戦士」が一番好きです。Cメロからループにつながる美しさがたまらないですね。
そして,セカンド,サーガに続き,リボルトのメインテーマの繊細で壮大な世界といったら……。
伊藤賢治さんといえばバトル曲が有名ですが,それらには戦いに挑む決意,覚悟がこめられているからこそ美しいのだと思っています。そしてカルドセプトのメインテーマは,そんなバトル曲に負けないほどに,決意だけでなく,哀愁すら感じられるような楽曲になっています。
バトル曲のような表面に熱さがある楽曲とは違う,内側にこめられた熱さのある楽曲,ソフトを起動させるとタイトルロゴなどに挟まれず,いきなり流れるのも最高です。
ショートキャラメルマキアートオランジュモカノンモカエクストラホイップエクストラソース
最後に,正直に告白をします。
カルドセプト セカンドから15年以上カルドセプトで遊んでいる私でも,カルドセプト リボルトの対人戦で歯が立たないことはしょっちゅうです。
「地単ブックでウッドフォークで拠点作り,ホーリーワードは複数枚」
「水風ブックでファットボディHP強化,ケルピー変更,防魔付けは鉄板」
こんなセプター同士の他愛もない日常会話だって,初心者セプターからしてみれば「一体何の呪文だよ……」と思うことでしょう。まるでスタバで何やら複雑な注文をしているOLのようです。
カルドセプトにおいて「簡単だよ! スゴロクだよ! カードだよ!」とハードルを下げることはまったくの無意味。ハッキリ言ってハードルは高いでしょう。
だからこそ,その呪文が唱えられるようになってからの楽しさはとんでもないことになるのです。
さあ,今日から君もセプターだ!
最近プレイしているゲーム(2016/7/23)
PlayStation 4:「GUILTY GEAR Xrd -REVELATOR-」
PlayStation 4:「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」
PlayStation Vita:「喧嘩番長 乙女」
ニンテンドー3DS:「逆転裁判6」
ニンテンドー3DS:「カルドセプト リボルト」
iOS:「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」
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