インタビュー
スマホ向けアクションRPG「蒼空のリベラシオン」インタビュー。格ゲーに倣ったアクション性とネトゲライクなコミュニティで「日本人総コアゲーマー化計画」を実現!?
大きな特徴となるのは,敵を空中に浮かせて攻撃を重ねていく「空中コンボ」。一撃あたりのダメージ量やプレイヤー間の連携をきちんと考えることで,とんでもないダメージを叩き出すことが可能で,プレイヤースキルが重視される仕様となっている。
今回4Gamerでは,「蒼空のリベラシオン」を開発したプレイハートのプロデューサーである福里 済氏とディレクターの福里 隆氏,そして運営ディレクターを務めるセガゲームスの五條隆将氏に話を聞いた。
「蒼空のリベラシオン」公式サイト
兄弟で企画開発を進めたアクションRPG
オンラインゲーム運営のベテランがサポート
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは皆さんの自己紹介をお願いします。
福里 隆氏:
僕ら二人は兄弟なのですが,小中学生の頃からずっとゲームを遊んでおり,その頃から「一緒にゲームを作りたい」という意識を持っていました。そして僕自身,20歳くらいから約4年間,コンシューマゲームの開発に3Dグラフィックスのデザイナーとして携わり,その会社から独立して,現在は代表取締役を務める兄とともにプレイハートを設立したんです。
福里 済氏:
僕も,もともとはデザイナーを目指していたのですが,最初に入社したのはサーバー管理などを行うシステム系の会社でした。それからフリーランスに転向して,世界的に知られているとある企業のサイト制作などを手がけていたんですが,2010年頃に「絵が描けて,サーバー周りのことが分かるならゲームを作れるだろう」と考え,2011年に弟と一緒に起業しました。
4Gamer:
子どもの頃に思い描いていたことが実現した形ですね。
福里 済氏:
それからプレイハートとして,スマートフォンアプリを2タイトル作りました。そして2014年の9月頃から新作を作ろうと考えていたところ,ご縁があってセガゲームスさんに企画を持ち込むことになったんです。
4Gamer:
それが「蒼空のリベラシオン」ですか。
福里 済氏:
そうです。「蒼空のリベラシオン」は,もともと弟が作りたがっていたアクション性の高いゲームで,セガゲームスさんに簡単なプロトタイプのようなものをお見せしたところ,「一緒にやりましょう」と言っていただけたんです。
4Gamer:
なるほど。開発がプレイハートで,運営はセガゲームスが担当するということですね。
福里 済氏:
そうですね。
4Gamer:
続いて五條さんも自己紹介をお願いします。
私はもともとWebデザインや開発の仕事に携わっていたのですが,プレイしていたMMORPGの運営に関わりたいと思ってGMに応募したのがゲーム業界に入ったきっかけです。採用はGMではなくWeb担当だったのですが,その後,いくつかのMMORPGの運営やプロデューサーなどを経験させてもらいました。
そして今回,「蒼空のリベラシオン」をリリースするにあたり,縁があって運営ディレクターを務めることになりました。
福里 済氏:
五條さんは,企画の最初の頃にはいなかったんですよね。
福里 隆氏:
「蒼空のリベラシオン」は,一般的なスマートフォンゲームよりもオンラインゲーム要素が多く入っているんですね。そのため,MMORPGの運営を経験している人の力を借りようということになり,五條さんが抜擢されたと聞いています。
4Gamer:
なるほど。
福里 済氏:
そうですね。フレンド機能あたりはオンラインゲームらしいと思います。というのも,本作におけるフレンド機能は,ログイン状況が把握できるくらいで,一般的なスマートフォンゲームによくあるような“非同期のお助け役”ではないんです。そのため,フレンド登録するだけはほとんど恩恵を受けられません。
福里 隆氏:
つまり,本当に意気投合しないと,フレンドにはならないと想定しています。
4Gamer:
そういったMMORPG的な部分があるから,五條さんが起用されたわけですね。五條さんはいつ頃から「蒼空のリベラシオン」のチームに参加したのでしょうか。
五條氏:
2015年5月頃です。ただ最初はどんなゲームなのか勉強する必要がありましたから,本格的にいろいろやり始めたのは,もう少しあとですね。
格闘ゲームに近い?
理論的にコンボを組み立てるとより爽快に
4Gamer:
それでは,「蒼空のリベラシオン」がどんなゲームなのか教えてください。
福里 隆氏:
平たく言えば,4人で共闘できる1ラインのベルトスクロール式2DアクションRPGです。その中で本作は,キャラクターを動かして攻撃をつなげていく「コンボ感」を重視しました。
例えば,敵を空中に浮かしてコンボをつなげていくと,その分だけ敵に重力がかかっていって落ちやすくなり,最終的には落下するなど,こだわっている部分はかなり突き詰めました。
4Gamer:
無限コンボができない,というわけですね。「コンボ感」を重視したタイトルは珍しい気がするのですが,そこにこだわった理由はなんなのでしょうか。
福里 隆氏:
僕自身,アーケードやコンシューマの格闘ゲームが大好きで,同じような人にも納得してもらえるものにしたかった,というのが大きいですね。
4Gamer:
なるほど。ちなみにどんなタイトルがお好きなんでしょうか。
福里 隆氏:
いろいろありますが,とくに好きなのはアークシステムワークスさんの「BLAZBLUE(ブレイブルー)」シリーズや,カプコンさんの「MARVEL VS. CAPCOM」シリーズです。「MARVEL VS. CAPCOM」シリーズは学生の頃,同級生と一緒にコンボ研究のサイトを作るほどハマりました。
福里 済氏:
ちなみに,その同級生はプレイハートのスタッフで,一時は「毎回どこかに集まるのも面倒」という理由から,3人で同じ家に住んでいたこともありました(笑)。
4Gamer:
一緒に住むほどとは……。では,もともと格ゲー好きということもあって「蒼空のリベラシオン」はコンボにフィーチャーしたと。
福里 隆氏:
はい。スマートフォン向けのアクションゲームにも,格ゲーっぽさをセールスポイントにしているタイトルがいくつかありますが,僕はそれらをプレイして「何か違うな」と感じていました。と言うのも,そういったタイトルの多くは,ダメージ量に応じてコンボをつなげられるかが決まる──つまり,キャラクターを強くすればどんどんコンボがつながるので,コンボをつなげるために深く考える必要がないのです。
4Gamer:
プレイヤースキルよりも,キャラクター性能に依存しているタイプですね。
福里 隆氏:
僕からすると,その状況はどうにも消化不良でした。そこで自分が遊びたいと思えるような,コンボメインのスマートフォン向けアクションゲームを作ろうと思いました。さきほどお話した,殴れば殴るほど重力係数がかかって敵が浮きにくくなっていく仕様などは,そうしたこだわりの一つです。
4Gamer:
つまり,きちんと考える必要があるんですね。
福里 済氏:
そのとおりです。ベルトスクロール式の2Dアクションではありますが,その中で繰り広げられるコンボの感覚は,格ゲーに近いものになっています。
しかしそれだけだと,4人で一緒に遊べる部分の意味が薄くなってしまいます。そこでセガゲームさんスのスタッフと協議を重ね,芯となる部分を突き詰めていった結果,ようやく今の形になったわけです。
福里 隆氏:
具体的には,MMORPGのようにヒーラーやタンク,バッファーなど,キャラクターに職業の概念を持たせました。その中には,コンボをつなぎやすくする職業もあって,コイツがいないとあまりコンボがつながらず,ほかの職業の強力なスキルを活かしきれないこともあります。さらにリリース後のアップデートでは,ヘイトを管理する職業も追加する予定です。
このように,いろんな役割の職業があり,パーティ内でそれぞれのプレイヤーが役割をまっとうすることで,より効率的に楽しく遊べるというわけです。
4Gamer:
ゲームシステムの話で言うと,先日開催された「セガネットワークス感謝祭2015」のステージでは,「ブレイクゲージ」というシステムも紹介されていましたね。
福里 隆氏:
ブレイクゲージは,ボス戦で重要になるシステムです。ボスは通常時,どれだけ殴ってものけぞったりすることはないのですが(いわゆるスーパーアーマー状態),ブレイクゲージがゼロになると,ボスを浮かせられるようになります。これによりコンボがつながって大きなダメージを与えられるのです。
つまり,ゲージのブレイク前は防御と回避が,ブレイク後は攻撃が中心となるので,ブレイク前後で各職業のやることがガラっと変わります。
福里 済氏:
そのため,ボス戦はかなり緩急のあるプレイフィールになっていると思います。
4Gamer:
事前に触らせてもらったプレイアブルバージョンでは,扇のようなユーザーインタフェースが表示されて,指先で狙いを定めるという「遊撃士」の操作感がとくに独特だと感じました。
福里 隆氏:
「エイムモード」のことですね。もともと遊撃士は,敵に大ダメージを与えたり,ボスのブレイクダメージを効率的に削ったりできるという役割です。その分,打たれ弱いんですけど。
ボスの中には,ブレイクゲージを通常の3倍くらい削れる“弱点”があるものもいるのですが,額など普通の攻撃では届かない場所にあることが多いんですね。そんなとき,遊撃士のエイムモードであれば弱点を狙い撃ちできるというわけです。
福里 済氏:
感謝祭のステージでは,少し大きめの赤いドラゴンとのバトルを披露したのですが,あれの倍くらいのサイズになるボスもいるんですよ。
福里 隆氏:
PVにもチラチラ出ているんですけれど,遊撃士でないと弱点に攻撃が届かないんです。またお話ししたとおり,コンボをつなげるほど重力係数が掛かって敵が浮かなくなるのですが,そこに与えたダメージの量は影響しません。したがって一撃のダメージが大きい遊撃士は,コンボ中,より効率的にダメージを与えられるというわけです。
4Gamer:
ということは,なるべく攻撃回数が少なく,威力の高い攻撃を重ねたほうがいいということでしょうか。
福里 隆氏:
それが一概にそうとも言えないんですよ。というのも本作は,コンボで攻撃が1ヒットするごとに,画面右の「アタック係数」が1%ずつ上がっていきます。そしてコンボ中,100ヒットを達成してアタック係数を100%にすればプレイヤー全員の攻撃力が2倍になるんです。
4Gamer:
2倍は大きいですね。
福里 隆氏:
とくに主人公・ロランは,多段ヒットする必殺技を多く持っているため,アタック係数を非常に上げやすいキャラクターです。そのため,攻撃の順番を考えつつ遊撃士のような職業とうまく組み合わせると,より効率的にダメージを与えられるというわけです。
4Gamer:
プレイヤーは,そういったテクニックを試行錯誤しながら探し出していくと。
福里 隆氏:
はい。重力係数の上がり方については,いずれ詳細を公開するつもりですが,やはり最初は伏せておきたいと思っています。ヒントを出すとすれば,最初のうちはコンボ中にどの技を使うと効率的にダメージを与えられるのか,という点を意識するといいかもしれません。
福里 済氏:
また通常攻撃は最大で3連撃ですが,各攻撃時にはディレイをかけられたりもするんです。状況によっては,うまく攻撃を遅らせることで必殺技のクールタイムにタイミングを合わせ,より効率的にダメージを与えられることもありますね。
福里 隆氏:
あと,コンボ中に各キャラクターが1回だけ使える特殊技として,コンボを継続させつつ重力係数を無視して一定の高さまで敵を打ち上げられる“地面バウンド”や,状況次第でコンボをつなげやすくする“空中張付け”などを用意する予定です。すぐに思いつくところだと,特殊技を重力係数が増えたコンボの後半に使うと,よりコンボをつなげられますよね。
4Gamer:
かなり遊びの幅が広そうですね。
福里 隆氏:
さらにロランの4つ目の必殺技は,敵を空中に打ち上げてから地面に叩きつけバウンドさせるというものですが,実は“地面バウンド”や“空中張付け”といった特殊技は,1コンボ中に1度しか効果がないんです。あえてバウンド前にほかのキャラクターの攻撃を当てて,地面に落さないようにし,コンボを続けるのが難しくなったところで“地面バウンド”を決めるというテクニックもあります。
福里 済氏:
ほかにも“ダウン追い打ち属性”というものがあります。本作では基本的にダウンしている敵には通常攻撃が当たらないのですが,「軽戦士」はダウン中の敵にも当てられる技を豊富に持っているので,うまく活用することでプレイの幅が広がると思います。
ロラン |
リベラ |
MORPGのようなロビーを用意
フリーチャットで作戦会議や反省会を行える
4Gamer:
それでは,最初にお話しにあがったフレンド機能について教えてください。スマートフォンゲームのフレンド機能といえば,“緩いつながり”が特徴のひとつだと思うのですが,なぜMMORPGのような“濃いつながり”にしようと思ったのでしょうか。
福里 隆氏:
昨今は協力プレイに重きをおいたタイトルが多数登場しており,“濃いつながり”の需要が高まってきていると思ったからです。
本作のフレンド機能は,友達登録したからといってポイントがもらえるようなお得な機能はなく,マルチプレイに誘ったり,ロビーでひたすらチャットしたりするためのものです。そのため,好きなように文字を入力できたり,その場の感情を簡単に表現できるエモーションが行えたりと,ロビーの機能もMMORPGライクにしています。
4Gamer:
ということは,MMORPGのように不特定多数のプレイヤーがロビーに大勢集まるのでしょうか。
福里 隆氏:
いえ,そうした街のようなものはなく,あるプレイヤーがクエストを受託すると,そこに本人を含めて最大4人が入れるロビーが作られるという形です。MMORPGというよりも,MORPGに近いですね。
また,ほとんどのスマホゲーでは,クエストを終えたあとは自動でパーティが解散しますが,本作ではクエスト終了後に再び全員が同じ場所に帰ってきます。そのため,連続でクエストに挑戦したり,作戦を練り直したりすることが容易にできるようになっています。
4Gamer:
あるようでなかなか見かけない機能ですね。ロビーには,フレンドを招待することはできるんでしょうか。
福里 隆氏:
もちろんできます。ロビーでのフリーチャット以外に,いつでも行えるフレンド同士の個別チャットがあるので,すぐにフレンドを招待することができます。
現状では,ロビーに入れるのは4人までにする予定なのですが,もし需要があれば,たくさんの人が集まれるようなロビーを作ることも検討したいですね。
4Gamer:
MMORPGだと,育成したキャラクターを他人に自慢するという楽しみ方もありますが,大人数ロビーではそういったこともできそうですね。
そうですね。いつもロビーの同じ場所にいる人を見て,「あの人,いつもあそこにいるけど,何者!?」みたいな感じで,話題になることもあるかもしれません(笑)。
福里 済氏:
僕は,フリーランス時代に2台のPCを使って,片方で仕事をしつつ,もう片方でMMORPGをやっていたので,「20日間連続で同じ場所におる」「中の人はGMに違いない」って,GMの別キャラと勘違いされたこともありましたよ(笑)。
福里 隆氏:
その話はともかく(笑),クエストに行かなくともロビーにいるだけで楽しいという人もいると思うんですよ。今,オンラインゲームの舞台がPCからスマートフォンに移り,そういう人達の居場所がなくなっている印象ですし,もしたくさんの人が集まれるようなロビーを実装できれば,「蒼空のリベラシオン」がその受け皿になれたらいいなとは思いますね。
4Gamer:
なるほど。現状ではMORPGのような作りということですが,フレンドが一人もログインしていないときは,ソロプレイ以外の選択肢はあるのでしょうか。
福里 隆氏:
その場合は,ランダムに選ばれたプレイヤーのロビーに入るマッチング機能などがありますので,簡単にフレンド以外のプレイヤーと一緒に遊ぶことができます。ゲームを始めたばかりでフレンドがいない場合は,マッチング機能を使っていろんなプレイヤーと遊び,意気投合した人同士がフレンドになっていくことを想定しています。
4Gamer:
事前に拝見したバージョンでは,クエスト内のバトルが1ラインに対し,ロビーは奥行きのある作りとなっていましたが,何か意図があるのでしょうか。
福里 隆氏:
バトル部分で奥行きを作らなかったのは,左右だけでなく前後に動いて敵の攻撃を避けることになり,複雑すぎるゲームになる恐れがあったからです。
その一方で,ロビーを1ラインにしてしまうと,吹き出しやキャラが重なって表示が見づらくなってしまうので,開発にちょっと無理を言って奥行きを付けてもらいました。
4Gamer:
難しいとは思いつつも,バトルにも奥行きがあったほうが面白そうだなと,ついつい考えてしまいますね。
福里 隆氏:
確かにそういった意見が出てくることは予想していました。僕自身,アクションゲームが大好きですから,ジャンプやカウンター,ガードなんかがあったらいいなと思ったこともありましたし。
福里 済氏:
ただ,それをやってしまうと,付いて来られないプレイヤーが絶対出てきちゃうんですよね。
福里 隆氏:
そうなんですよね。そんなことを考えながら,物理ボタンのないスマートフォンでプレイすることを前提に,もっとも見せたい部分はどこなのか考えた結果が現在の形です。どちらかと言うと,僕は何でもかんでも入れたがるタイプなので,4Gamerさんのおっしゃりたいことはすごく分かります(笑)。
プレイアブルバージョンの反響は概ね好評
リリース後の評価の高まりに期待
4Gamer:
4人で遊んだ際の役割を明確にしたほうが良いというのは,セガゲームスからの提案だったとのことですが,それ以外にゲームの内容に関して具体的な提案はありましたか。
福里 隆氏:
セガゲームスさんからの提案は,大枠の方向性に関するものですね。具体的なものはほとんどありません。僕達が作ったものをセガゲームスさんが確認して,課題が見つかればそれを僕達が解決するという流れが多いです。
福里 済氏:
我々が意図するところは,セガゲームスさんがきちんと汲んでくれているので,非常にやりやすいですね。ただ,僕らは結構こだわりが強いので,セガゲームスさんから意見をもらった場合でも,ゲームの内容にそぐわないようであれば,あっさり断ってしまいますね(笑)。
福里 隆氏:
ただ,我々は運営面に関する知識がほとんどないので,五條さんからさまざまな提案をもらっています。イベントをどうするか,トラブルが生じた場合の補填はどうするかといった部分は,五條さんに頼り切っていますね。
4Gamer:
そんな五條さんは,プレイアブルバージョンが出展された感謝祭に登壇していましたね。手応えはどうですか。
五條氏:
プレイした人にアンケートを取ったところ,好意的な意見が多く,正直ホッとしました。
福里 隆氏:
このゲームは,攻撃ボタンと必殺ボタンを組み合わせてさまざまな連携を作っていくのですが,プレイアブル出展した際には,チュートリアルがなかったためか,攻撃ボタンを連打しているだけの人が多かったようです。それでこれだけの評価を頂けたということは,おそらくきちんとした操作方法を伝えることができれば,かなり高い満足度を実現できるように思います。
4Gamer:
本番バージョンでは,チュートリアルで操作説明を行うんですよね?
福里 隆氏:
そうですね。ゲーム本編にはきちんとチュートリアルがあるので,そこは問題ないと思っています。あとは4Gamerさんがおっしゃられたように,バトルシーンでの奥行き,ジャンプやガードなどの要素が欲しいという意見が出てくることも予想しています。
福里 済氏:
そこに関しては,マルチプレイを体験することで,奥行き,ジャンプ,ガードなどがない意味を理解してもらえると思います。
福里 隆氏:
職業の中には,味方を守ることに特化したものもいるので,その役割を明確にするために,ほかの職業はガードができなかったりします。ただ,どの職業でもグッと前方へ踏み込んだり,素早くバックステップしたりという回避行動はできます。
福里 済氏:
あとジャンプを入れると,バランス調整が難しくなるんですよ。
4Gamer:
では,今後もジャンプを実装することはないでしょうか。
いえ,今後の状況次第で検討する予定です。というのも,「蒼空のリベラシオン」は新規IPですから,たくさんの人に遊んでもらえるように,あまり複雑な印象を与えないようにしたいと思っています。先々の話として,基本的な操作が浸透した頃に,新しいシステムを入れるのはアリかもしれませんね。
福里 済氏:
個人的には,投げ技を使える職業が欲しいですね。
福里 隆氏:
投げ技,つまりはロック系の技ですが,無限コンボを生む可能性があるのでデリケートな部分なんですよね……。投げ技は重力が関係ないことが多いので,パッと思いつくだけでも,投げ技職を4人そろえればずっと投げ続けられそうですし。
4Gamer:
投げ技は魅力的ですね。もし実装されるとすれば,上位職のようなものでしょうか。
福里 隆氏:
現状,上位職は考えていません。あくまでも横並びの職業を増やしていく予定です。例えば「遊撃士」は弓を使う遠距離攻撃型の職業ですが,それとはプレイフィールの異なる銃器を使う職業を追加していく,といったイメージです。
技の育成やアクセサリーの装備でプレイフィールが変化
4Gamer:
それでは,ゲームに関していくつか教えてください。キャラクターの成長要素はあるのでしょうか。
福里 隆氏:
キャラクターごとのベースレベルと,持っている技ごとのスキルレベルがあります。ベースレベルはクエストをこなして経験値を得ることで上がっていき,スキルレベルはベースレベルが一定に達するとアップグレードが可能になります。スキルのアップグレードは専用のアイテムが必要になりますので,クエストを周回してそれらのアイテムを集めていくというイメージです。そのほか,ベースレベルが上がると新しいアビリティが開放されたりもします。
福里 済氏:
それと,同じ技でもキャラクターによって少し性能が変わる場合もあります。
福里 隆氏:
またクエストでは,使用することで一定量の経験値が得られる「ソウルクリスタル」を入手できます。手に入れたばかりのキャラクターはなかなか戦闘に連れて行きにくいので,ソウルクリスタルをうまく使うことでスムーズな育成が行えます。
4Gamer:
キャラクターの入手方法は,どういった形なのでしょうか。
福里 隆氏:
ストーリーを進めていくことで仲間になることもありますし,ガチャで強力なキャラクターを入手することもできます。
4Gamer:
キャラクターに装備させられるアイテムはどうでしょう。
武器や防具といったものはないですが,ゲーム内のドロップやイベントの報酬として,「アーティファクト」と呼ばれるアクセサリーを用意する予定です。アーティファクトの効果は,単純にパラメータが強化されるものをはじめ,クールタイムの短縮や技のキャンセルなど,操作感に変化を及ぼすものが存在します。
4Gamer:
アーティファクトはガチャで手に入らないんでしょうか。
福里 隆氏:
今のところ,ガチャで手に入るのはキャラクターのみで,それ以外のガチャは考えていません。
4Gamer:
ところで,キャラクターにはボイスが入っていて,声優陣も非常に豪華ですけれども,選定の基準を教えてもらえますか。
福里 済氏:
非常に単純ですが,ストーリーに登場するキャラクターにマッチする人を探しました。
福里 隆氏:
企画書自体は2014年末にできていたのですが,すでにキャストを記載していたんです。とくに大塚明夫さんにはぜひ出演してもらいたいと,ずっとラブコールを送り続けて,ようやく実現しました。
スマートフォンゲームのオリジナルキャラクターで,大塚さんが出演するケースは全然聞いたことがないので,個人的にもワクワクしています。
福里 済氏:
フルボイスではないのですが,スマートフォンゲームとしては,ボイス量は多いほうだと思います。
福里 隆氏:
ほかにも,主人公の前にたびたび立ちふさがる“三バカトリオ”がいるんですが,リーダーの女性キャラ「マチルダ」には沢城みゆきさんを,脇の2人には柿原徹也さんと木村 昴さんを起用しています。
今のところ,このトリオの露出はあまり多くないですが,相当いいキャラになっているので,もっと活躍の場を増やしたいと思っています。
プレイヤーコミュニティを中心に
さまざまな施策を投入予定
4Gamer:
お話を聞いていると,導入部分は比較的入りやすいのに,やり込んでいくと奥が深いという印象を受けます。
福里 済氏:
弟はゲームとゲーマーの地位を上げようと,導入をライトにして人をたくさん集め,だんだんコアゲーマーに仕立てていくという野望を抱いているんですよ。名付けて「日本人総コアゲーマー化計画」(笑)。
4Gamer:
え?(笑)
福里 隆氏:
プレイハートの企業理念でもあります(笑)。でも確かに,マルチプレイをやり込んでいくと,アリ地獄のようにハマり込んで,いつの間にかコアゲーマーになっている,というようなゲームを目指しています。
福里 済氏:
また各クエストには,掲示板が設置されており,コメントとゲーム内で撮影した動画を載せられます。「1分でクリアした」「300コンボいった」「ボスのここに気をつけたほうがいい」といったやり取りで盛り上がってほしいですね。
4Gamer:
掲示板を内包しているあたりもオンラインゲームっぽいですね。最近のスマートフォンゲームはコア化しつつあると言われていますが,コアすぎて人が集まらない例もありますよね。
そうですね。今回の企画では,コアとカジュアルのせめぎ合いに苦労しました。
福里 済氏:
キャラクターを可愛らしくしたのも,できるだけカジュアルにするためです。まだまだ試行錯誤中ですが,かなり良い感じにまとまってきたと思います。
4Gamer:
見た目はカジュアルに,中身はコアに,という感じですね。ゲームの内容についていろいろうかがってきましたが,五條さんは「蒼空のリベラシオン」をどのように世間に認知させ,サービスを提供していくのでしょうか。
五條氏:
まずは日本人総コアゲーマー化計画に沿った展開をしていきたいですね。コアな人は,よりコアに楽しめるようにし,そこまでうまくない人には上達するヒントを与えてフォローする。動画の投稿なんかは,投稿者の腕を披露する場が閲覧者のヒントにもなるので,まさに両者を満たす施策だと思いますね。そういった良い循環を作りたいです。
福里 済氏:
コミュニティの中で,師匠と呼ばれるような存在が出てくると嬉しいですよね。僕自身はゲームを通じたコミュニケーションに重点をおいていますから。
五條氏:
運営の部分では,将来的に大会を開催したいと思っています。どちらかと言えばコア寄りの施策になってしまうのですが,やり込んだプレイヤーが活躍できる場を作ることは,ゲームを発展させるうえで重要だと思っているので。
4Gamer:
本作のゲーム性で大会を行うとすれば,種目はタイムアタックでしょうか。
そうですね。ソロ部門とマルチ部門に分けて,いろいろな人が活躍できる場を設けたいですね。
福里 隆氏:
大会以外にも,何か面白いことができないか,五條さんとはいろいろと相談しています。
4Gamer:
具体的には,どういったものがあるのでしょうか。
福里 済氏:
アイデアは結構あるのですが,ここで公表して表面だけ真似されたら困るので秘密です(笑)。
五條氏:
おそらくサービスを続けていく中で,プレイヤーの間で新しい遊びが登場するでしょうから,そういったものも取り入れていきたいですね。
4Gamer:
タイムアタックだけでなく,相手の動きによってこちら側に影響が出るような対戦要素があると面白そうですよね。
福里 済氏:
実はそれも考えてはいます。もちろん,キャラクター同士が殴り合うようなものにはなりませんけど(笑)。
福里 隆氏:
そもそもの設計が,直接殴り合うようなコンテンツに向いていないですからね。
五條氏:
私の経験上,そういうコンテンツはどうしてもゲーム内やコミュニティがギスギスしてしまうので,あくまでもプレイヤーのテクニックを競い合う形にしたいと思っています。
4Gamer:
そのほか,今教えてもらえる運営上の施策などはありますか。
私の運営ポリシーは,プレイヤーの皆さんの声をたくさん聞くというスタイルなので,「蒼空のリベラシオン」でもそれを実践したいです。「運営は,このゲームのこと分かってないんじゃないか」と思われることがないよう,きちんとプレイヤーの声に耳を傾けて,それに答えていくという,キャッチボールができる関係を構築したいですね。
4Gamer:
最近では,動画などを通じて運営開発チームがプロモーションを行ったり,プレイヤーとコミュニケーションを図ったりするケースが増えていますが,本作でも何か施策を検討されているのでしょうか。
五條氏:
現状ですと,動画プラットフォームで定期的な番組配信を検討している段階です。
福里 済氏:
運営面は,長いキャリアを持った五條さんに全幅の信頼を置いています。いくら良いゲームを作っても運営面をおろそかにしては,本当の意味で良いゲームとは言えませんからね。
五條氏:
良い意味で二人とは意見をぶつけ合っていますし,今後もそれを続けていきます。
4Gamer:
最後に「蒼空のリベラシオン」に期待する人に向けて,メッセージをお願いします。
福里 隆氏:
最近では,かつてゲームが大好きだったのに,いつの間にかゲーム機を起動することすら億劫になってしまった人が増えているように思います。僕としては,そういった人達にこそ,気軽に,そしてガッツリ遊べる「蒼空のリベラシオン」で,ゲームの楽しさをあらためて体験してほしいと思っています。ぜひご期待ください!
福里 済氏:
「蒼空のリベラシオン」は,アクションゲームと格闘ゲームの要素をふんだんに取り入れ,こだわりぬいたゲームです。一見すると似たゲームを思い出す人もいると思うかもしれませんが,中身は全然違いますので,配信されたあかつきには,ぜひ一度遊んでみてください。
五條氏:
スマートフォン向けのアクションRPGはこれまでにもたくさんありましたが,本作に触ってみると,作り手の強いこだわりが感じられると思います。そろそろ配信のスケジュールも決まってくるかと思いますので,ぜひご期待ください。
4Gamer:
本日は,ありがとうございました。
「蒼空のリベラシオン」公式サイト
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