プレイレポート
怪異を目の当たりにしても,あなたは科学を信じることができるか。都市伝説ホラー「真 流行り神2」のインプレッションをお届け
関連記事:「真 流行り神2」は,旧作の魅力を取り戻すことができるのか。シリーズの生みの親である新川宗平社長に,その意気込みを聞いてみた
「真 流行り神2」公式サイト
原点回帰ではなく,“本来”の路線に戻しただけ
はじめに「流行り神」シリーズの基本的な情報をおさらいしておこう。流行り神(以下,旧作)は,「チェーンメール」や「客の消えるブティック」など,現実世界で伝播されている都市伝説にちなんだ事件が展開されていく作品だ。
プレイヤーは,警察組織に所属する刑事として,ほかの部署では扱わない“オカルト”絡みの案件を主に請け負うことになるのだが,このシリーズでは必ずしもオカルト一辺倒のストーリーが展開されるわけではない。
最終的には,その事件が「人の手によるものなのか」それとも「科学では解明できない超常現象によるものなのか」を,プレイヤー自らが判断して,捜査を進めていくことになるわけだ。
もう少しゲーム的な説明を加えるならば,本作には1つのストーリーに,「オカルトルート」と「科学ルート」という2つの分岐が用意されており,その分岐点に差し掛かるまでの展開を踏まえて,どちらのルートに進むかをプレイヤーが決めるといった流れになっている。
これは,流行り神シリーズの基本コンセプトでもあるわけだが,実は登場人物や舞台を一新した前作「真 流行り神」では,このオカルト/科学ルートの分岐が存在せず,シリーズの代名詞ともいえる“都市伝説”という部分でさえ,「ブラインドマン」という現実世界では伝播されていない作り話がベースになっていた。
これに対して,シリーズファンがどのように感じ,評価したのかは想像に難くないはず。基本コンセプトのほとんどが失われてしまった前作は,もはや旧作からのファンが知っている流行り神ではなかったのだ。
それゆえ,原点回帰を目指す本作では,実在する都市伝説を題材にしたストーリーや,オカルト/科学ルート分岐など,旧作にあったすべての要素が復活しているのである。
要するに,真 流行り神2でいう原点回帰とは“評価の高かった本来の路線に戻す”ことなのだ。
オムニバス形式の復活により,キャラクターの魅力が立つ作品に
「ブラインドマン」事件を時間軸に,さまざまな物語が展開されていた前作に対して,本作では旧作で採用されていた1話完結型のオムニバス形式で話が進んでいく。
ストーリーは全5話となっており,第1話の「◯◯女編」では,雨の日に小学生を引きずり回す「ヒキコさん」,ピアスをしている人の耳を食いちぎる「カオルさん」,身体の一部を奪っていく「カシマさん」など,都市伝説界隈における豪華な顔ぶれを1つの話にまとめるという,アクセル全開なスタートを切っている。
怖さの見せ方でも,とりあえずエグいものを見せておこうという印象が強かった前作とは違い,都市伝説という下敷きをうまく活かした,じわりとくる恐怖を感じられる。
本作の主人公は,前作から引き続き北條紗希(ほうじょう さき)が担うことになるが,階級は巡査から巡査長になっており,所属も「S県警C村分署」から「G県警察本部刑事部捜査第一課」へと異動している。これに伴い,紗希以外の登場人物は一新されているので,前作を知らなくても問題はない。
その人物達も個性豊かであり,オカルトに関する考え方もそれぞれだ。とくに,紗希の相棒となる愛染刹那(あいぜん せな)は,ヤンキーのような風貌と言動に反して,紗希の考えをしっかり受け入れてくれる柔軟さと優しさを持っており,いざとなれば身体を張って物事に立ち向かおうとする姿勢は,旧作でいう小暮宗一郎に重なる部分がある。
オカルトと科学の真ん中に立たされる紗希の相棒としては,理想的な人物といえるだろう。
そのほかにも,オカルトを真っ向から否定するインテリ刑事の新美心太朗(にいみ しんたろう)や,科捜研のトップにして由緒ある神社の家系でもあり,両面からアドバイスしてくれる如月蜜子(きさらぎ みつこ)など,G県警本部にはさまざまな人物が所属している。彼らとのやり取りは,事件に対するプレイヤーの考え方に多少なりとも影響を与えてくれるのだ。
こういった登場人物達との関わり方にも旧作らしさを感じることができ,前作のようにストーリーによって登場人物の役割りが変わることもないので,感情移入がしやすい。ストーリーの構成や登場人物のパーソナリティから見ても,前作の不満点は徹底的に潰してきた感じが伝わってくる。
紗希が成長したことで「ライアーズアート」は必殺武器に昇華
オカルト/科学ルートの分岐や,捜査方針を決める「セルフクエスチョン」,事件の真相を洗い出す「推理ロジック」など,旧作にあったシステムに大きな変更は加えられていないので,旧作ファンはすんなりと入れるはずだ。
とくに,分岐地点でのやり直しをするのに便利な「分岐ツリー」は,ちょっと道を踏み外すとバッドエンドに転げ落ちていく本作において,頼りになるシステムである。
また,前作で新たに登場した,嘘を嘘で見破る紗希の得意技「ライアーズアート」についても,選択肢にある文章と実際に紗希が投げかけるセリフの整合性がちゃんと取れており,プレイヤーの意図していない展開になることが少なくなった印象だ。
また,ライアーズアートを仕掛けるタイミングも絶妙で,「なぜここで?」という不自然さは感じられなくなった。
実は本編でも,以前は自分が未熟だったせいで,ライアーズアートをうまく使いこなせていなかったと,紗希から語られるシーンがあり,S県警からG県警察本部に移るこの2年間で,相当な磨きをかけてきたようだ。前作から引き継がれる要素となるライズアートだが,本作では,「理不尽で面倒なシステム」ではなく,ここぞという時に使いたい武器へ昇華したといっていいだろう。
シリーズファンが遊びたかった流行り神の新作
とくに旧作1,2が好きという人にとっては,シリーズの生みの親である新川宗平氏が再びシナリオ原案を担当するということで,本作に対する期待も相当高いはず。
それに応えられるだけの作品になっているかどうかを最終的に判断するのは,プレイヤー自身であるわけだが,少なくともその1人にカウントされる筆者には,旧 流行り神と同じ感覚で楽しめた。気になる人は,ぜひともその目で確かめてみてほしい。
「真 流行り神2」公式サイト
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(C) 2016 Nippon Ichi Software, Inc.
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