プレイレポート
変わり種から本格派まで。アーリーアクセスで遊べるローグライクのインディーズゲームから,期待作をピックアップ!
しかし,最近ではアクションやシミュレーションなど,さまざまなジャンルにローグライクの特徴を盛り込んだ作品が登場。とくにインディーズでは定番ジャンルの一つとして,多くの作品が開発されているのは,読者諸兄もご存じのとおりだ。
今回はそんなローグライクの中から,Steamのアーリーアクセスで遊べる期待作を紹介していこう。
<紹介タイトル>
- Dead Cells(PC)
- Starr Mazer: DSP(PC/Mac)
- Black Ice(PC/Mac)
- For the King(PC/Mac)
- Caves of Qud(PC/Mac)
- Streets Of Rogue(PC/Mac)
死を繰り返しつつ,迷宮で戦うローグライクアクション「Dead Cells」
ローグライクの横スクロールアクションゲーム。アメーバに取り憑かれた戦士の死体を操作し,謎の迷宮に挑んでいく。高難度のバトルとドロップ品のランダム生成,2つの面白さにフォーカスしているのが特徴だ。敵の攻撃力が高く,手持ちの回復薬を使えるのは1ステージに3回までという制限付き。加えて,死ぬとアイテムが失われて最初からやり直しになるパーマネントデス(永遠の死)を採用するため,バトルには常に緊張感が走る。ローリングで敵の攻撃を回避しつつ,慎重に戦わなければならないのだ。
武器やスキルは迷宮で手に入れ,それぞれ2つずつ装備できる。ローグライクだけに,マップ構造や落ちている武器・スキルはランダムなので,毎回異なる展開を楽しめる。武器には,スタンダードな剣や自動照準のムチ,遠距離攻撃の弓矢など,さまざまなものがある。スキルは1回使うとリキャストの時間が過ぎるまで再使用できないが,設置砲台や周囲を巻き込む手榴弾など,総じて強力な効果を持つ。
武器やスキルにはランダムでオプションが付与されるので,手に入れた装備を組み合わせ,うまくシナジー効果を発揮できると爽快だ。
例えば,「出血状態の敵を倒すと,周囲にいる敵も出血状態になる」オプションを持つスキルと,敵を出血させる投げナイフを組み合わせれば,群れている敵がどんどん出血状態になっていく。
また,床にノコギリを敷き詰めるスキルに「トドメを刺すと,敵に襲いかかる凶暴な虫を呼び出す」オプションが付けば,ノコギリで刻まれた敵が倒れるたびに次々と虫が湧いてきて阿鼻叫喚の地獄絵図になる……といった具合。武器やスキルを手に入れるたびに,どんなオプションが付いているのか確かめるのが楽しみになってくるのだ。
難度が高めなうえ,せっかく手に入れた装備もゲームオーバーになると失われる。しかし,敵から武器やスキルの「設計図」を手に入れ,「Cells」という通貨を注ぎ込んでアンロックすると,次のゲームからその武器が出現するようになる。死にまくっていても,いつかはパワーアップできるところも魅力なのだ。
本作は精力的なアップデートが続けられており,武器やスキルが増え続けている。加えて,能力値の仕様にも変更が加えられた。本作では迷宮で手に入れたアイテムを使い,そのプレイに限って能力を上げられる仕組みがある。これまではライフを上げる「Health」と,攻撃力を上昇させる「Strength」,スキルのクールダウンが速くなる「Skills」の3つがあったが,パーマネントデスの性質上,どうしてもHealthの一択になりがちだった。
しかし,アップデート後は,敵を倒したあとに攻撃力が上がる「Brutality」,スキルのクールダウンを短縮する「Tactics」,盾で攻撃を防ぐと攻撃力が上がる「Survival」の3つに変更。さらにどの能力を上げても,ある程度ライフが上昇するようになっている。また,武器とスキルもこれらの3属性に分類され,Brutalityを上げればBrutality属性の武器やスキルのダメージも上がる……というように戦略性が増している。現時点でも完成度は高いが,今後のアップデートにも期待大だ。
「Dead Cells」公式サイト
「Dead Cells」Steamプロダクトページ
ランダム生成されたパイロットが鍵になるローグライクシューティング「Starr Mazer: DSP」
横スクロールシューティングにローグライクの要素を取り入れた意欲作が「Starr Mazer: DSP」だ。敵を倒してスコアを稼ぎ,全滅したらスコアを払って新しいパイロットを雇っていく……というのがゲームの流れ。ユニークなのが,プレイするたびにパイロットがランダム生成されるという点だ。メインショット,オプション武器,移動速度,被弾した際の生き残りやすさ,カーボマイト(パワーアップアイテム)を回収できる範囲,そしてパイロットの名前と顔がランダムで組み合わさるため,遊ぶたびに展開が変化する。
高価なパイロットほど武器が強力で移動も速い。加えて,一風変わったシステムにより,被弾時に生き残る確率も高くなる。画面左上にあるゲージでは黄色いラインが左右に動いており,このラインがゲージ内の緑色のゾーンにある時なら,被弾してもやられてしまうことはないのだ。
テクニックで何とかなるものではなく,あくまで運頼みのシステムだが,高価なパイロットほどその面積が広く,中にはゲージすべてが安全ゾーンになっている(=1回は被弾しても決してやられない)者もいる。安いパイロットだと安全ゾーンが狭いが,やられても運良く助かった……なんてこともあり,プレイにアクセントを加えてくれる。
どうせなら強力なパイロットでガンガン戦いたいが,地獄の沙汰も金(スコア)次第。基本的に高性能のパイロットを手に入れるには高額が必要になるため,積極的に敵を撃墜していかなければならない。
ここでポイントとなるのがカーボマイトによるスコア稼ぎ。ひと言で言えば「ライデンファイターズJET」の勲章システムを思わせるフィーチャーだ。自機に吸い寄せられたカーボマイトをあえて取らずにおき,うまく誘導してほかのカーボマイトと融合させるとサイズが大きくなって,得られるスコアもアップするのである。
しかし,稼ぎに集中するとそのぶんリスクも増える。大金でパイロットを雇っても,無理をしすぎてあっさりやられてしまっては元も子もない。そこでもう1つの方法として挙げられるのが,安いパイロットでひたすら稼ぐことだ。もちろん性能もそれなりだが,繰り返しプレイしていれば,敵の攻撃パターンも覚えられる。稼いだスコアが次のプレイの元手になるため,ついついやめどきを見失うというわけだ。
「Starr Mazer: DSP」公式サイト
「Starr Mazer: DSP」Steamプロダクトページ
ネオンの電脳空間が美しいローグライクFPS「Black Ice」
FPSにしてRPG,しかもローグライクという変わり種が「Black Ice」。プレイヤーは電脳空間を駆けるカウボーイとなり,無数のサーバーをハッキングしていくのだ。
このゲームについては,公式サイトに掲げられている「ボーダーランズ・ミーツ・トロン」というコピーが内容を雄弁に語っているだろう。本作の電脳空間は,暗闇に輝くネオンのような構造物として表現されている。SF映画「トロン」を思わせるビジュアルで,2017年の今見ると,かえって新鮮だ。
それぞれの建物は企業のサーバーで,プレイヤーはこれをハッキングしていく。もちろんサーバーも黙っているわけもなく,ローポリゴンな怪物,すなわち防衛プログラムを繰り出してくる。サーバーから離れすぎないようにしつつ,ショットガンっぽい武器や地雷っぽい武器(電脳空間での戦いなので,本物の銃器ではない)で防衛プログラムどもを倒していき,一定時間耐えるとハッキング成功となって,ご褒美の装備品が手に入る。
装備品にはランダムでオプションが付与されており,これが本作のローグライク要素となる。FPSによる戦闘とランダムオプションのアイテム,これはまさに「ボーダーランズ」だ。「ボーダーランズ」では,キャラクターのスキルはあらかじめ決まっていたが,本作では自由にスキルを構成できる。ペットを呼び出す装備を揃えて,たくさんのペットと共に行動してもいいし,ハッキング速度をアップさせることに血道を上げてもいい。
また,ダッシュやジャンプといった移動方法すら装備扱いになっており,瞬間移動やホバリングなど,さまざまなタイプが存在する。さらに,オプション付きのものが手に入る場合があり,カスタマイズの幅はかなり広い。ほかにも,複数のサーバーを同時にハッキングし,出てきた防衛プログラムを同士討ちさせて漁夫の利を得るといった戦い方も可能なのが面白い。
「Black Ice」公式サイト
「Black Ice」Steamプロダクトページ
複数の冒険者を操作してクエストをこなしていくボードゲーム風ローグライク「For the King」
「For the King」は,ボードゲームを思わせるビジュアルが特徴的なシミュレーションRPGだ。ヘックスで構成されたマップ上で3人の冒険者をコマのように動かし,次々に出現するモンスターを倒しつつ,クエストをこなしていく。
本作の特徴は,3人でパーティを組んで行動するのではなく,それぞれを別々に動かすところにある。1人は探索に赴き,もう1人はダメージを受けたので街へ戻り,最後の1人はモンスターを倒しに行く……なんてことも可能だ。そのうえで,互いに連携させることで冒険を有利に進められる。
その最も顕著な例が戦闘だ。マップ上で敵と冒険者が同じヘックスに入るとターン制のバトルが発生するのだが,一定範囲内に仲間がいれば一緒に戦うことができる。もちろん,これはモンスターも同様。敵味方の配置によっては孤立したモンスターを3人で袋叩きにできるし,その逆が起こることもある。マップの構造やモンスターが沸いてくる位置はランダムなので,遊ぶたびにゲームの展開が変化するというわけだ。
戦闘で手に入れたゴールドやアイテムは,その戦いに参加したキャラクターで分配できる。逆に言えば,戦闘が起こったヘックスから遠くにいた者は分け前に預かれない。もし受け渡しをする場合はどこかで合流しなければならないのだが,1ターンに何ヘックス移動できるかはランダムで,途中でモンスターが沸いてくることもある。このあたりは,ボードゲームのようなマップで単独行動を取りつつも連携するという本作のコンセプトが現れており,独特の面白みを生み出している。
ゲーム内の時間が経つと「Chaos」ゲージが溜まってモンスターが強化されるが,メインクエストをこなすとリセットされるため,互いに助け合いながら迅速に行動したいところだ。
初期状態で使える冒険者は,HPの高いタンク役「Blacksmith」,範囲攻撃などの魔法を使う「Scholar」,回避力の高い「Hunter」,楽器で仲間をサポートする「Minstrel」の4種。ゲーム内で「Lore」を手に入れると,罠解除が得意な「Trapper」,街の周囲で行動を終えるとゴールドが手に入る「Busker」,ターンを終えた際,回復などに使うハーブがもらえるうえ,全体回復の能力を持つ「Herbalist」といった面々をアンロックできる。
罠解除はダンジョンで宝箱を手に入れるのに役立つし,ゴールドやハーブは合流すればシェアできる。単に「強い」キャラクターではなく,仲間との連携が面白い能力を持っているのが本作らしい。本作は最大3人でのマルチプレイが可能。ユニークなゲームデザインと協力要素で,今後が楽しみなタイトルだ。
「For the King」公式サイト
「For the King」Steamプロダクトページ
8ビット感あふれるグラフィックスの荒野を生き抜くローグライクRPG「Caves of Qud」
初期の「ウルティマ」を思わせる,8ビット感あふれる画面が印象的なのが本格派のローグライクRPG「Caves of Qud」。見た目からはちょっと分からないが,本作のテーマは文明が滅んだあとのポストアポカリプス世界。プレイヤーは自分の分身となるキャラクターを作成し,ランダム生成されるマップを冒険するのだ。
独特のキャラクタークリエイトは,最初こそ面食らうものの,理解すると面白い。本作の世界には純粋な人間と身体が変異したミュータントがいて,プレイヤーはそのどちらかを選ぶことができる。人間はミュータントのような特殊能力こそないものの,パラメータが高く,最初から良いハイテク装備を持っている。
ミュータントにした場合,身体にどんな変異があるかを選べるのだが,これがいろいろあって面白い。例えば「Flaming Hands」だと手が常時燃えており,火球で遠距離攻撃できるが,グローブ類を装備できない。「Multiple Arms」なら,余分に腕が生えており,装備できるアイテム数が増えるうえ,たまに追加攻撃も出る。「Wings」は飛行できるが,羽根が邪魔になってバックパック系アイテムは装備できない……といった具合。組み合わせによっては副作用だらけのとんでもないキャラクターができてしまうため,最初のうちは人間で遊ぶのが安全だろう。
システムをある程度理解できたら,自分なりのバトルプランを立てつつ変異を選んでみよう。多脚で高速移動しつつ,身体から催眠ガスを出し,敵に粘液を吐きかけたあとに角で流血させるなど,美男美女揃いのJRPGにはあり得ないようなキャラクターを作れる。レベルアップするごとに無作為の変異が得られる「Unstable Genome」や,キャラクターのランダム作成などで,さらにギャンブル性を加えてみるのも面白いだろう。
難度が高めなうえに日本語版が存在せず,ゲーム内に登場する歴史書の類がかなり長文だったりと,ハードルはやや高い。最初はワケも分からず死にまくるだろうが,そのぶん遊び応えはある。インディーズゲームらしい尖ったタイトルと言えるだろう。
「Caves of Qud」公式サイト
「Caves of Qud」Steamプロダクトページ
ストリートの悪をさまざまな手段で懲らしめるローグライクアクションRPG「Streets Of Rogue」
「Streets Of Rogue」は,現代社会を舞台としたローグライクアクションRPG。ステージ制になっており,ランダム生成されるマップ上に配置されるミッションをクリアすると,次のステージに行ける。23種類あるキャラクターはそれぞれ得意分野が異なっており,同じミッションであっても解法が異なるのがポイントだ。
例えば「建物の中に保管されているアイテムを取り返す」というミッションがあったとしよう。盗みに長けた「Thief」なら,初期装備のガラス切りで窓を開けて潜入し,金庫からアイテムを取り出して脱出すればいい。「Gangstar」だと,通常より多い3人のNPCを仲間に加えられるうえ,仲間を呼び出せる携帯を持っているので,一緒に突入するのも手だ。
また,「Gorilla」は文字どおりのゴリラなので人間と会話ができず,Gangstarのような仲間作りは不可能。その代わり,パワーは有り余っているので正面から乱入し,襲ってきた敵を次々とぶっ飛ばしてやればいい。建物にコンピュータがあるなら「Hacker」の出番。空気循環システムをハッキングして毒ガスを流し込んでしまおう。
ミッションはランダムで用意されるが,一度選んだキャラクターは途中で変更できないので,その都度アドリブを利かせていかなければならない。
プレイ中に条件を満たすと,新たなキャラクターがアンロックされ,本人の能力値は最低クラスだが他人の身体に乗り移れる「Shapeshifter」や,敵の死体を食べると回復できる「Cannibal」,ダッシュで壁をぶち破れるが機械類は使えない「Jock」など,極端なキャラクターが目白押しなので,繰り返し遊びたくなるのだ。
「Streets Of Rogue」公式サイト
「Streets Of Rogue」Steamプロダクトページ
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Starr Mazer: DSP
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