企画記事
「いただきストリート DQ&FF 30th ANNIVERSARY」特別企画 [前編]ドが付くほどの初心者がストリートでいただきたい件
筆者にとっては待望の最新作だが,「株」や「増資」といった単語が飛び交うため,「いただきストリート」(以下,「いたスト」)シリーズに苦手意識を持っている人が多いようだ。筆者の友人も「名前は知ってるけど,やったことはない」とのこと。
かくいう筆者もシリーズ初期の頃は同じ印象を抱いていたので,その食わず嫌いは理解できる。しかし,それはもったいない! ダイス運が大半を占めるボードゲーム界において,これほど不運に立ち向かえるゲームも珍しいからだ。
しかも,最新作ではオンライン対戦もできてしまう。ランクAのNPCですらヤバいのに,年季の入った「いたスト」プレイヤーはどんなえげつない戦略で攻めてくるのか? 武者震いが止まらないぜ……。嗚呼,この思いを伝えたい。あわよくばオンラインで遊ぶ相手を増やしたい。
そこで,「いたスト」人口の拡大のため,さらに「オンラインデビューしてみたいけど,そこそこ戦えるようになってからじゃないと……」という初心者のために特別企画を用意しました!
とはいえ,「いたスト DQ&FF」はゲーム内でも丁寧にルールを解説してくれるし,公式サイトには解説動画も用意されている。
そこで,本稿では「とりあえずルールを覚えた人」と「上級プレイヤー」の間を埋める耳寄りな情報をお届けしたいと思う。実際にゲームを進めながら,初心者が陥りやすいワナを解説していこう。
「いただきストリート ドラゴンクエスト&ファイナルファンタジー 30th ANNIVERSARY」公式サイト
ムダな節約,していませんか?
ゲームがスタートしたら,まずはマップをグルリと観察してほしい。高い店,安い店が混在していることが分かるだろう。
高い店の購入は所持金の少ない序盤には痛い出費だが,買い物料(ライバルが止まったときに,こちらに入ってくる収入)も大きいため,狙いたくなるところ。運良く誰よりも先に高い店に止まったら,「このエリアを独占しよう!」と思いがちだ。
そこまではいい。しかし,「このエリアを独占したいから,ちょっと節約しよう」と考え始めるのは危険信号だ。さらに「お金を温存したいから,独占したいエリア以外の店は買わない」となると,“ストリートでいただけないBOY”が誕生する。
初心者にありがちな残念ポイント その1。「1周目から謎の節約」である。
言うまでもなく,どこのマスに止まるかはダイスの目にかかっている。どんなにエリアを狙っていても,そこに止まれなければ何の意味もない。最低でも1周して,2店舗以上確保できたエリアに狙いを定めるべきだ。
「高い店があるから」という理由で,まだ止まってもいないエリアを狙おうとするのは時期尚早。「いたスト」は序盤のダイスの目によって,進めるべき展開も変わってくる。「自分はこうしたい」という戦略が頭にあっても,まずは“流れに合わせる”ことが大事だ。
冒頭,「不運に立ち向かえるゲーム」と書いたが,序盤はそれが顕著に出る。極端な話,ダイスの目が1ばかり出続ければ,エリアの独占がしやすくなる。
それでは,6が出続けると不運なのかと言うとそうでもない。周回ごとに賞金を獲得できるので,早く回るに越したことはない。ダイスの目が良すぎて(大きい数字が出る),同じエリアの店を買えないときは,株で稼げばいい。自分が置かれた状況によって,戦略を変えるのが「いたスト」の醍醐味だ。
2店舗以上確保できたエリアがあったとする。同じエリアの店舗をさらに買うため,そのほかのエリアの店は買わずにお金を温存しよう。実は,この考え方もマズい。
店を買えるときは,エリアにとらわれずにどんどん買おう。「いたスト」は所有している店の数がモノを言う。その理由は大きく3つある。
第1の理由は「自分の店に止まれば,所有している全店を増資対象として選択できること」。独占エリアができたとしても,その店にピタリと止まれる確率はあまり高くない。独占エリアの手前でダイスを振って大きい数字が出たら,もう1周しないと戻ってこられず,増資できなくなってしまう。
しかし,マップに点々と自分の店があれば,どこかに止まれる確率が高くなる。「本命の店に増資するための店」を持っておくことも大事なのだ。
さらに当たり前ではあるが,自分の店に止まったときは買い物料を払わなくていい。ほかのプレイヤーの店は,金額の大小の差はあれど「お金を奪われるマス」なので,安全地帯をより多く持つことは地味ながら重要だ。
第2の理由は「ライバルの成長を防げること」。店の数には限りがあるため,こちらが多くの店を所有していれば,その分,ライバルは店を増やせず,勢力を拡大しにくくなる。そもそもライバルに店を買わせなければいいというわけで,まさに「攻撃は最大の防御」だ。
第3の理由は「チャンスカードの存在」だ。
名称こそ“チャンス”とあるが,実際には逆効果のカードも多い。なかでも,強制的に店を手放さなければいけないカード(カードNo.18,24,74)は要注意。エリアを独占できたものの,そのほかに店を持っていない。そんな状況でこうしたカードを引くと,目も当てられない。これは怖い。
こうした悲劇を防ぐためにも,独占を狙うエリアだけでなく,全体的に店をキープしておくべきだ。「いたスト」における基本的な戦術と言ってもいい。
高い店をあきらめれば,安い店を2〜3つ買えることもあるので,所持金の少ない序盤はあえて高い店を避けるのも有効だ。
おかしな言葉だが,「ムダな節約」はしないことだ。「いたスト」は総資産がモノを言うゲームであり,「店を買うこと」は「お金が減ること」ではない。「お金と店を等価交換。店という形で所有している」と考えよう。
株の売買の始まり,“最もツイてるヤツ”を見極める
マップを1周して賞金を得ると,「何に使おうかな……」と夢が広がる。現金の使いみちとしては,「まだ持ち主がいない店を買う」か「株を買う」か。どちらかになるだろう。2周目はまだ持ち主がいない店もそこそこ残っているから,それを買うためにとっておく,という人もいるだろう。
これが初心者にありがちな残念ポイント その2。「貯金を優先して,株を買わない」。「いたスト」において,ただ現金を持ち歩くことほど愚かなことはない。とりあえず,何らかの株を買うべきだ。賞金をもらった直後に99株買って,次のターンで全部売ったっていい。
買ったときに株価が上昇するから,わずかばかりでも儲けが出る。株を買える機会は少ないが,売ることはいつでもできる。ここが大事なポイントだ。
株について覚えておくべきことは,基本的に2つ。「10株買い」と「9株売り」だ。
株は10株以上の売買で株価が上下する。つまり,株価を上げたくて株を買う場合は10株以上,株価を下げずに売りたいときは9株以下にするというわけだ。
ただし,10株以上買っても株価が上がらないことがある。これには「株価変動率」が影響している。10株以上の売買で株価変動率は7%増減するが,ゲーム開始時の株価変動率も含め,ゲーム内でプレイヤーが確認することはできない。初心者には複雑な仕組みなので,ひとまず忘れてもいいだろう。
戦術として,株価を下げる目的の「10株売り」もある。ライバルに目標金額を達成されてしまったとき,相手が保有している株を自分も持っていたとしよう。ライバルが「ぎんこう城」に着くまでの間に,毎ターン10株ずつ売っていくことで,ライバルの総資産を削れるのだ。
もちろん,自分の総資産もダメージを受けるが,もしライバルが500株持っていたら,株価を1G下げれば総資産は500G削られる。ただ,実際には目標金額達成直後に株を全売却されることが多いけれども。
さて,そんな株事情だが,2〜3周目の時点で同一エリア内に3店舗以上所有しているライバルがいたり,そのエリアの株を買い始めていたりしたら,さっそく便乗させてもらおう。こちらも同エリアの株に全額プッシュしていくのだ。
これを,いたスト用語で「相乗り」と呼ぶ。ライバルが成長させようとしているのが確実なのだから,こちらもその株を買っておけば,あとは放っておいても総資産が増えていくというわけだ。なかなかのコバンザメ戦法だが,株とは数の暴力。「いたスト」における火力そのものなのだ。
相乗りの対抗策として,ライバルがその株を一気に全売却して,該当エリアに見切りをつける場合もある。これをされると,下がった株価がこちらに跳ね返ってくる。もちろん,大損だ。
しかし,同一エリアで3店舗以上所有しているのに,そのエリアの株を買わないというのは得策ではない。これが2店舗になると,複数のエリアで達成していることもあり,エリアを見切りやすくなる。ライバルがどのエリアを重視しているのか,常に観察するのが大事だ。
「いたスト」における主力攻撃,インサイダー取引
株を理解したところで,いよいよ店の「増資」を考えよう。
増資とは,店の「買い物料」を増やすための仕組み。しかし,“裏の顔”もある。それが株持ち増資,通称「インサイダー取引」だ。
店を所有しているエリアの株を大量に買い込み,それから増資をすると,意図的に株価を上昇させられる。当然,株の数が多ければ多いほど,利益も大きくなる。現実の世界では証券取引法違反になるインサイダー取引だが,「いたスト」では合法。むしろ,オーソドックスな戦略と言ってもいい。
これがウマすぎるため,基本的には株を持っていないエリアで増資を行うべきではない。ただし,あまりにも安すぎる店の場合は「5倍買い」されてしまう可能性があるので,店を守るために増資したほうがいいケースもある。
5倍買いとは,その名のとおり,店の価格の5倍の金額によって,強制的に買い取る行為だが,買い取られる側はもちろん,買い取る側にもリスクがある。
これが,初心者にありがちな残念ポイント その3。「安易な5倍買いは破滅を呼ぶ」を肝に銘じてほしい。
5倍買いによって同一エリアの店舗数が増えれば,増資金額の上限も上がり,独占に近付く(または独占状態になる)。確かに出費は痛いが,長期的に見れば有利なことばかり。そう思いがちだ。
しかし,その“長期的”に注意してほしい。目標金額が1万G程度のマップでは,そんなことをしているうちに誰かがゴールしてしまうかもしれない。
ここで,そろそろゲームも終盤を迎えつつある。偉そうに解説してきた筆者はどんな状況かというと……。
ダントツのドベである。しかも,5倍買いによって,エリアの独占を達成したはいいが,ライバル2人が目標金額に到達している。このままではゲームセットを待つしかない。
すべてが遅すぎた。そんな代表的な例である。悪いお手本として,わざとやったんだからね。か,勘違いしないでよね!
しかし,最後まであきらめてはいけない。このエリアは独占するまで地道に株価を吊り上げてきたのだ。
資金難から株を切り売りしたことで,持ち株が少ない(79株)が,それでも増資によって株価が13Gも上昇している。
先ほど少しだけ触れた株価変動率だが,株価上昇回数が多い株は株価変動率が高くなっている。つまり,序盤からコツコツと株価上昇回数を稼ぎ,株を大量に保有してからの999G増資が決まれば,株価の上がり幅が大きくなるのだ。
ライバルに総資産の差をつけて安心していた終盤,急に巻き返されてしまうことがある。「いたスト」がうまい人は地道に株を育てて,虎視眈々と爆発のときを待っているのだ!
あとは買い物料が大きい(2352G)の店に誰かが止まれば,大逆転が狙えるが……。
終盤,総資産を5233Gから8351Gまで伸ばしたことで,あの状況からハッサンを追い抜いて3位に浮上した。これは,1周以内の出来事である。あと1周あれば……。いや,1周早く仕掛けが完了していれば,勝てたかもしれない。
とはいえ,この1周で生まれる差こそが,「いたスト」のうまい人と初心者の差でもある。
さて,いかがだっただろうか。「いたスト」を知っているようで,実はちゃんと分かっていなかった人の助けになったのであれば幸いだ。
ただし,これだけで終わりになるほど,「いたスト」道は甘くない。何事もちょっと自信が生まれたくらいの時期が,最も危ないのだ。次回,「中級者になったつもりが,いつの間にかストリートでいただかれていた件」でまたお会いしよう。お楽しみに!
「いただきストリート ドラゴンクエスト&ファイナルファンタジー 30th ANNIVERSARY」公式サイト
- 関連タイトル:
いただきストリート ドラゴンクエスト&ファイナルファンタジー 30th ANNIVERSARY
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(C) 2017 ARMOR PROJECT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
DRAGON QUEST characters: (C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX
FINAL FANTASY characters: (C) SQUARE ENIX
CHARACTER ILLUSTRATION:SHIRO AMANO
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