インタビュー
[gamescom]「FFXIV:紅蓮のリベレーター」,吉田直樹氏と石川夏子氏への合同インタビューを掲載。パッチ4.0のストーリーを振り返ってもらった
※インタビューの趣旨上,ストーリーやコンテンツのネタバレを含みます
――紅蓮のリベレーターがリリースされてから2か月ほど経ちましたが,プレイヤーの反響はいかがでしょうか。
吉田直樹氏(以下,吉田氏):
想像していたよりも高い評価を世界中からいただきました。この4年間で一番盛り上がっているという手応えを感じています。驚いたのと同時に,とても嬉しく思っています。
――今回のメインシナリオは,すべて石川さんが手がけられたのでしょうか。
石川夏子氏(以下,石川氏):
メインシナリオは私と織田(※世界設定/メインシナリオライターの織田万里氏)の2人で担当してます。ざっくりといえば,織田がアラミゴを,私が東方をといった感じです。
――4.0でシナリオが綺麗に完結しますが,光の戦士達は今後どこに向かうのでしょうか。
石川氏:
今回は帝国から祖国を奪還するという物語だったので,ちゃんと4.0の中で奪還まで到達させたいと思っていました。ですので,書きたいと思ったところまで書けたのは良かったと思います。今後は,分かりやすい伏線として残っているものだったり,伏線に思われていないようなところも実は伏線だったりといった感じで物語が続いていくので,どうぞ楽しみにしていてください。
――今回の4.0の中で思い入れのあるシーンはありますか。
石川氏:
アジムステップでの終節の合戦が終了したあと,別れのシーンです。あのシーンは,クエストの実装を担当者が,シリナが手を振るすばらしい絵を作ってくれて感動したというのと,あのクエスト自体,万感の思いを込めて書いたところでもあるので,思い入れが深いです。
吉田氏:
終節の合戦は,シナリオとバトルが噛み合いつつも展開が二転三転するという流れを,MMORPGというよりは,RPGの王道として作れている場所だと思っています。あの一連の流れは,シナリオチームと開発チームが一緒になって作り上げた成果として,僕自身いちプレイヤーとしてもすごいと感じました。
開発者として思い入れがあるのは,ヨツユの初登場シーンです。あそこは何度もリテイクしたカットシーンで,最初はとても平坦なシーンになってしまっていたのです。
石川氏:
キセルがあまり目立っていなかったんですよね。なので,キセルのイメージをもっと強くといった感じで。
吉田氏:
カット割りもヨツユの表情煽りなどもなく,淡々と登場して淡々としゃべっていたので「何も演出されていないに近いなあ……」と,かなり細かく指定を出し,上がってきた修正にも張り付きチェックしていました。
――紅蓮のリベレーターの中でお気に入りのキャラクターはいますか。
吉田氏:
サドゥです。チェックの時からサドゥは良いなって思っていました。主義主張に対して筋がキチンと通っていて,気持ちいいんですよね。誰かに媚びているわけでもないし,かと言って実は優しくないわけじゃない。自分の部族に対する思いも強いし,他人がどう見るかという部分に対しても理解していて,あえてそれを押し付けない。加えて,田中理恵さんの……あえて言わせていただきたいイケメンボイスも素晴らしかったです。
もうひとりメ・ナーゴも好きですね。辛いところは辛い,頑張るところは頑張るっていう,裏表のないキャラで応援したくなりますし,織田のほうで感情移入しやすいストレートなキャラにしてくれました。
石川氏:
私はナマズオですね。ナマズオにあの足音を付けようと思ったSE担当は素晴らしいと思いました。つねに開いてる目なんかも噛み合って,ナマズオという奇跡的なマスコットキャラクターが生まれているあたりが面白いですよね。
ゼノスもすごく思い入れがあります。実は私と織田の書いた台本の,演技づけの参考用に書かれた注釈を見ると,私たちがゼノスをどう思っているのか,すごく分かりやすく表れていて。それを,どこかで暴露したいと思っています。ただ,リベレーターのリリースからまだ2か月なので,ボスの風格を保ってほしいということで,そのあたりの掘り下げはしないでいる感じです。
吉田氏:
ゼノスはまだダメ!(笑)
――「次元の狭間オメガ」にはFFVの要素がたくさんありましたが,プレイヤーの反応はいかがでしたか。
吉田氏:
FFXIVのデザインとはかけ離れたアルファという可愛らしいチョコボが登場する意外性から始まり,バトルの締めまで非常にすごく好評をいただけたレイドスタートになったと思います。FFVをフィーチャーしたバトルの再現度や,FFVが好きな人達をくすぐる数々の技名など,FF愛に溢れて作ったという感じが出せたので良かったと思います。とくにエクスデスからネオになるところは,「がんばってコストかけてくれたなぁ」という感想もいただけましたので,思い切ってやれたなと思っています。
エクスデスのモデル自体は「ディシディア」チームにハイクオリティのモデルがあり,動きはFFXIV側で制作しましたが,モデルはそのままディシディアのものを使わせてもらいました。そのぶんのコストをネオの制作に回したりと,うまくコスト配分もやれたと思います。まさかのミドガルズオルムまで登場しましたし(笑)
石川氏:
今回,不思議なダンジョン風のチョコボのデザインをお借りしているんですけど,それを描かれている板鼻さん(※板鼻利幸氏)にもFFXIVをプレイしていただけて。続きを頑張らきゃ,という気持ちでいっぱいです。
――レイドダンジョンとしてはこれまでのレイドシリーズと比較して,最も早く突破されましたが,この短時間で突破されるというのは予想されていましたか。
吉田氏:
ほぼ想定通りでした。とくにクリアのワールドファースト争いをしている上位5チームくらいは,すでに別格のうまさと連携を持っていますので,あまり「早く突破されすぎだな」とか,「これまでと比較して簡単すぎたかな」とは思っていないです。今回は,4.0によってジョブアクションだけでなく,バトルシステムにも大きく手が入ったため,慣れるまでの時間に個人差が大きくなります。それを踏まえてのバランス取りでしたが,とてもうまくいったと感じています。
――紅蓮のリベレーターでPvPがリニューアルされましたが,プレイヤーの反応はどうでしたか。
吉田氏:
今まで,とくにザ・フィーストなどの少人数PvPが複雑すぎて手が出せなかったという人達にすごく好評です。逆に,ランカーとしてPvPをコアに遊んでいた人達からは,人が増えたこともあり,リニューアルの方向性は支持するけど,もう少しだけ複雑さや,プレイヤースキルの生かしどころを増やしてほしいというフィードバックをいただいています。
まもなく4.06aというパッチでPvPアクションに多くの調整が入りますが,これからも個人スキル差をどこまで出すか,さらにPvPアクションの数そのものを増やすのかなど,しっかり議論と調整を行っていくつもりです。とくに北米と欧州ではPvPコミュニティがかなり大きくなってきており,地道な努力がより強く実になりつつあると感じています。
パッチ4.1で新しく実装するPvPコンテンツは,2勢力に分かれていろいろな兵器も登場するという今までにないものになっていますので,楽しみにしていてください。
――冒険録(ジャンプポーション)の利用率はどうですか。
吉田氏:
みなさんが思われているほどは使われていないです。新規の方は,それがあるという安心感でプレイを始め,結局そのまま使わずにプレイを続けてくださっているケースが多いです。レベル50で休止していた方が,復帰して60までジョブレベルブーストするというケースはあり,それが一番多いかなという感じです。メディアツアーなどでもお伝えしましたが,「ショートカットやブーストが選択肢として存在している」という安心感が大切です。使われた方に対してはしっかり機能はしており,ショートカットやブーストという試み自体はうまくいったかなと思っています。
すごいなあ,と思うのは幻想薬の売り上げですね(笑)。拡張が来ると種族を変えて心機一転する人も多いと改めて感じました。アウラが人気になって,アウラに幻想した方が非常に多かったです。
石川氏:
紅蓮のリベレーターのメインシナリオはNPCとの女子パーティで進んでいくか所があるのですが,女子会をしたいから自分も女の子にするとか,シナリオに合わせて性別を変えてくれる方も結構いらっしゃるようでした。
――一部のジョブクエストやクラスクエストでは,旧FFXIVのストーリーが絡んでいましたが,旧FFXIVを知らない人のために,過去の映像を公開するといった予定はありますか。
石川氏:
ストーリーだけで言えば,今販売されている設定資料本(Encyclopaedia Eorzea 〜The World of FINAL FANTASY XIV〜)がまとまっているので,そちらを見ていただくのが分かりやすいかなと思っています。
吉田氏:
僕がFFXIVを担当することになってから作った「第七霊災編」というストーリーだったら,終始一貫して筋を通してあるので,なんらかの形で再現可能ではあるかなと思います。しかしその一方で,当時のメインクエストはほとんど進んでいなかったことと,過去視が分かりにくく伏線が機能していないなど,かなり曖昧な状態だったため,新生までまったくアップデートせずにそのままとしました。こちらはもう今からでは無理だと思われます。
ただし,そのなかでも,新生以降もキーになるキャラクターが絡んでいるものは,今までもそうですが,これからもなんとか回収していこうと考えています。
石川氏:
できるだけ回収したいという思いと,それをするにはゼロから説明しなきゃいけないという難しさがあり,その兼ね合いがうまくいったものだけ,どうにか回収しています。では残りをどうするのかというのは,今残っている課題の1つですね。
――最後に,次に実装される超高難度コンテンツについて教えてください
吉田氏:
とにかく難しいです……とだけ(笑)。もちろん,それをやらないと何かが進まないとか,専用のお話があるわけではないです。チャレンジ用のコンテンツとして挑んでいただければと思います。
――ありがとうございました。
「ファイナルファンタジーXIV」公式サイト
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