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「リネージュM」プロデューサーインタビュー。古き良きMMORPGの魅力と,それを2019年に日本で広めることの難しさとは
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印刷2019/10/23 17:00

インタビュー

「リネージュM」プロデューサーインタビュー。古き良きMMORPGの魅力と,それを2019年に日本で広めることの難しさとは

画像(015)「リネージュM」プロデューサーインタビュー。古き良きMMORPGの魅力と,それを2019年に日本で広めることの難しさとは
 エヌシージャパンがサービス中のMMORPG「リネージュM」iOS / Android)は,2002年(韓国では1998年)に登場したPC向けMMORPG「リネージュ」の各種システムを,極力そのままの形でスマホで遊べるように作られたタイトルである。

 PC版リネージュが登場した頃のMMORPGは,良くいえば自由度が高い,悪くいえば不親切なジャンルであった。それが時代の流れともに遊びやすくなってきているが,その一方で,良くも悪くも尖った部分に欠けていると感じているファンもいるかもしれない。
 そういったなか,昔ながらのスタイルを貫くリネージュMは,かなり珍しいゲームとなっている。しかも,先日のインタビュー記事などでも紹介しているとおり,海外では非常に大きな成功を収めているのだ。

 では,この日本はどうなのだろうか。
 今回はリネージュMを日本で展開するエヌシージャパンのプロデューサー2名に,日本運営チームの視点での所感などを聞いてきた。MMORPG本来の魅力にいまいちど向き合う内容となっているので,リネージュMの経験者だけでなく,このジャンルに少なからずハマったことのある人は,ぜひ目を通してほしい。

右から「リネージュM」プロジェクトプロデューサー 大河内卓哉氏,「リネージュM」運営プロデューサー 川南 巌氏
画像(001)「リネージュM」プロデューサーインタビュー。古き良きMMORPGの魅力と,それを2019年に日本で広めることの難しさとは


昔から変わらないリネージュ

MMORPGが遊びやすくなるなか特異性を持つに至る


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 リネージュMは2名のプロデューサーが参加していますが,お二人に同時に話を聞くのは今回が初めてです。あらためての自己紹介と,お二人が業務をどのように分担されているのかを教えてください。

川南 巌氏(以下,川南氏):
 運営プロデューサーの川南です。
 エヌシージャパンに入社したのは今から約15年前で,長らくPC版リネージュに携わった経験を買われて,リネージュMの運営プロデューサーに就任しました。大河内との分担に関してですが,私はどちらかというと,社内の運営チームやローカライズチームなどの現場周りを見ることが多いですね。

大河内卓哉氏(以下,大河内氏):
 私は今から約2年前より,社内のモバイルゲームの開発スタジオであるLIONSHIP STUDIOで働いていた経緯で,リネージュMに関わることになりました。現在はプロジェクトプロデューサーとして,開発元である韓国NCSOFTとの交渉や,社内の他部署との連携などを主に行っています。

4Gamer:
 大河内さんはエヌシージャパンに入られる前も,ゲーム業界でさまざまな活動をされてきたとのことですが,そういった視点で見たリネージュMに対する第一印象はいかがでしたか?

画像(002)「リネージュM」プロデューサーインタビュー。古き良きMMORPGの魅力と,それを2019年に日本で広めることの難しさとは
大河内氏:
 最初にリネージュMのことを知ったのは,韓国での配信が行われた直後でした。このまえの4Gamerさんのインタビュー記事でも紹介されていますが,韓国におけるリネージュMの人気は想像を絶するもので,その盛り上がりを見て驚くのと同時に,これを日本で展開することに対し,色々な意味でプレッシャーを感じました。

 なにしろグラフィックスはノスタルジーを感じる2Dグラフィックスですし,コンテンツもPvPにフォーカスしています。マーケッター的な視点での第一印象は,「このままの形で日本で出すのは難しいかな……」というものでしたね。

4Gamer:
 やはり,そう思われましたか。

大河内氏:
 ですが,実際に韓国サーバーでしばらくプレイを行ったところ,リネージュMでしか持ち得ない魅力がたくさんあることに気付きました。

4Gamer:
 大河内さんから見たリネージュMの魅力について,あらためて説明していただけますか。

大河内氏:
 リネージュMの面白さを端的に言いますと,ゲームシステムの制約が少ないことによる,オンラインゲームとしての圧倒的な自由度の高さにあります。たとえば誰かを助けたいとか,許せないとか,そしてエゴとか。こういったプレイヤーの感情を,ゲーム内の行動としてストレートに示せるんです。これを実行できるMMORPGって,昨今そう多くないと思うんですよ。

4Gamer:
 なるほど。

大河内氏:
 2019年現在における多くのMMORPGは,誰でも楽しめるように各種システムやバランスが調整されています。その結果,とても遊びやすいのですが,一方でゲーム開発者が設定した導線から外れにくいという側面もあります。しかしリネージュMは,そういった強制的な導線が意図的に作られていないんです。

4Gamer:
 リネージュに限らず初期のMMORPGは,導線どころかチュートリアルすらなかったですし,手探りで進めるしかなかったですよね。

大河内氏:
 そういったゲームは,一般的には受け入れられませんよね。各社がユーザー動向や趣向としてのマーケティングなどを研究し,サービス中のMMORPGも方向転換を強いられるか,あるいは市場から消えていきました。
 そして時代が流れ,今ある大半のMMORPGはストレスフリーで遊べます。でも,その代わりに,心に刻み込まれるようなゲーム体験も得にくくなっているように感じています。

4Gamer:
 遊びやすくなったからこそMMORPGが広まったわけですし,それ自体は歓迎するべきことだと思います。ただ,そういうタイトルばかりというのは,物足りなさを感じることがありますね。

川南氏:
 そこなんです。要は,現在のMMORPGジャンルは多様性がないんですよ。
 各レベル帯で挑戦するインスタンスダンジョンやアップグレードする装備などがガチガチに決まっていて,誰が遊んでも似たようなゲーム体験になってしまうことに息苦しさを感じている人もいると思うんです。でも,そういった人が他のMMORPGを見渡しても,選択肢がどうしても少ない。

 そういったなかリネージュMは,もう愚直といっていいほど昔から変わっていません。その結果,スマホ向けMMORPGでオンリーワンといえる存在になりつつあります。リネージュシリーズは何も変わっていないのですが,MMORPGのあり方が大きく変わった結果,特異性を持つに至ったとでもいいますか。


ドロドロしているからこそMMORPGは面白い


4Gamer:
 しかも,そんなリネージュMが韓国や台湾ではセールスランキングで圧倒的な成功を収めていますからね。

 他方で,2019年の日本においてリネージュMの魅力を伝えるのはとても大変そうに見えるのですが,正式サービス開始から5か月弱が経過したいま,そのあたりの手応えなどはいかがでしょうか。

大河内氏:
 いや,本当におっしゃるとおりで。
 リネージュMという,現代において非常に貴重となったゲームの魅力をどのようにして伝えるのかが,一番の課題ですね。

川南氏:
画像(003)「リネージュM」プロデューサーインタビュー。古き良きMMORPGの魅力と,それを2019年に日本で広めることの難しさとは
 そもそものゲーム設計が,何年もかけて遊ぶことを前提に作られているんですよね。
 私みたいにリネージュのテンポに慣れている人だと,「3か月後くらいにこれくらいの強さになるだろう」「このアイテムは1年後に化けるかもしれないから大事に取っておこう」などの予測を立てて,一歩ずつ進めるのが面白いんですが。言い方を変えると短期間で得られるインセンティブが明確ではないため,今の若い人のプレイスタイルにそぐわない部分があるでしょう。

大河内氏:
 極端な話,チュートリアルが分かりにくかったらアプリをアンインストールしてしまいますからね。

4Gamer:
 個人的に,リネージュMの魅力を広めるのが難しい理由がもうひとつあると思っています。このゲームがとくに大切しているコミュニティに関して,悲喜こもごものエピソードの数々を,日本運営チームが大っぴらには紹介できないという部分です。

川南氏:
 やっぱりバズるエピソードって,どうしてもゴシップ寄りになりがちなんですよ。いち個人としては強烈に面白いのですが,センシティブな内容に心がえぐられてしまう人もいるわけで。運営会社としては,それをやってはいけないという自覚があります。

4Gamer:
 しかし困ったことに,MMORPGで本当に面白いエピソードは大抵,何かしらの形でコミュニティが深く関わっているんですよね。

川南氏:
 そうなんですよね……。

4Gamer:
 あくまでも仮の話だと前置きしますけど,攻城戦でトップを走るような血盟の君主が,ある日突然裏切って,仲間を皆殺しにしたうえでサーバー内に1個存在するかしないかのレアアイテムを持ち逃げしちゃうエピソードとか。こんな話,プレイヤーにとって興味深いに決まってるじゃないですか。

大河内氏川南氏:(笑)。

4Gamer:
 そのほかにも,長年リネージュを遊んでいる有名プレイヤーが大病を患ったことを知った当時のコアプレイヤーたちが,血盟の敵味方とか関係なく集まって盛大なオフ会を開催して語り合うとか。
 私は仮想世界のMMORPGといえども,心血を注ぎ込めばそれは人生の一部と呼ぶにふさわしい意味を持つと信じていますが,そういうことを再認識させられるわけです。こういうエピソードの数々を運営会社が大っぴらに紹介できないというのが,なんとももどかしいです。

川南氏:
 個人的には,その気持ちはとても共感できます。
 あるいは,ヒロイックなエピソードなら比較的紹介しやすいかもしれませんが。

4Gamer:
 ヒロイックですか。それなら,各サーバーの有名な血盟主を集めての対談などはどうでしょう?

大河内氏:
 有名なプレイヤーや血盟にスポットを当てるのは,また別の意味で難しさがあるかもしれません。
 攻城戦で強力なプレイヤーや血盟がいたとして,それを保持し続けるためには並大抵ではない努力を行っているものです。それを公式が誘導して簡単に紹介してしまうというのも,いかがかと。

川南氏:
 カードゲームで考えると分かりやすいですが,手札の中身は絶対に明かせないじゃないですか。リネージュMの攻城戦でも,メンバーの数や陣形,組んでいる同盟などの情報を明かさないほうが戦いの選択肢が増えるはずです。サーバー内のトップを走るような血盟は,たいてい何らかの切り札を持っているので,少なくとも現在進行形の戦術は紹介しにくいと考えています。

4Gamer:
 なるほど……。

川南氏:
 PC版リネージュの頃から,攻城戦などで突出したプレイヤーは手札を隠す文化のようなものがありますね。そこをオープンにしたうえでサーバーを牛耳っている血盟は,今までもそれほど多くなかったと思います。

大河内氏:
 面白いことに,海外サーバーだと大きな成果を出した人は自慢することが多いのです。それに影響を受けた他の人もアクションを起こして,いっそう盛り上がる展開も珍しくはないです。ただ,日本では,自分の利益を最優先することで,こういった連鎖が生じにくい傾向にありますね。日本でリネージュMを広めることが難しい理由のひとつです。

川南氏:
 ちなみに韓国は人との戦いが根源にあるというか,PvPに関しても殴られたら殴り返すのが基本です。たとえ1対1で負けた場合も泣き寝入りすることなく,仲間に助太刀をお願いしてリベンジにいくことも多いと聞いています。これは年齢とかリアルでの立場とかに関係なく,共通するスタイルといえます。

4Gamer:
 なんというか,ものすごく腑に落ちる感じがします。

大河内氏:
 リネージュのPvPは,もしやられても各種コミュニティを利用して大勢を集めることでリベンジできる仕組みになっているんです。ですので,最初は些細なPKだったのがどんどん膨れあがって,サーバー全体を巻き込むほどのPvPに発展することもあります。その点,日本のプレイヤーは,比較的お行儀が良い方が多い印象ですね。

画像(004)「リネージュM」プロデューサーインタビュー。古き良きMMORPGの魅力と,それを2019年に日本で広めることの難しさとは


9月に実装された攻城戦の反響は?


4Gamer:
 攻城戦に関する質問を続けさせてください。
 9月8日に攻城戦が実装されてから,約1か月半が経過しました。各サーバーの支配状況や,プレイヤーの反響はいかがでしょうか。

川南氏:
 攻城戦はリネージュMのメインコンテンツのひとつで,その期待どおりの盛り上がりを見せていますよ。

 現在は実装から間もないこともあり,海外情報などで予習を行い,大人数を集めた血盟が各サーバーで頭ひとつ抜けている状況です。攻城戦における戦術も,数を集めて真正面からワーッとぶつかるような感じで,比較的シンプルです。
 これがもう少し時間が経つと参加者が慣れて,戦術を追求しないと勝てなくなったり,サーバーごとに異なる展開が出てきたりと,より面白くなりそうです。

画像(005)「リネージュM」プロデューサーインタビュー。古き良きMMORPGの魅力と,それを2019年に日本で広めることの難しさとは

4Gamer:
 攻城戦における具体的な戦術には,どういったものがありますか。

大河内氏:
 たくさんありますが,そうですね……。
 攻城戦におけるポイントのひとつが「城門」で,ここを破るのが攻撃側にとっての大きな課題になります。そこで攻撃側の血盟リーダーが戦場を俯瞰しながら,軍勢を左右に振って防衛側をおびきよせたり,右へ行くと見せかけて左から殺到したり,さまざまな采配を振るうようになっていますね。

4Gamer:
 リネージュMのクラシックなグラフィックスで,そこまでの采配が振れることに驚く未経験者もいそうです。

川南氏:
 むしろ,あのクラシックなグラフィックスだからこそ,広範囲を俯瞰して戦術を繰り出せるんですよ。仮にフル3Dによる美麗なグラフィックスを誇るようなMMORPGだと,数百名のキャラを同時に描画するのはスペック的に厳しいですからね。

画像(006)「リネージュM」プロデューサーインタビュー。古き良きMMORPGの魅力と,それを2019年に日本で広めることの難しさとは

大河内氏:
 攻城戦ならではの魅力として,ぜひ紹介したいのが,ゲーム内でPvPが始まる前にもさまざまな展開がある部分です。差し支えのない範囲で紹介すると,傭兵システムなんかはユニークですよ。

 リネージュMの傭兵システムは,攻城戦におけるキル数や与えたダメージなどに応じて貢献度が計算され,これをもとにゲーム内通貨やダイヤ(有料ポイント)といった報酬が支払われます。貢献しないことには報酬がもらえないので,傭兵も必死です。
 そして雇い主は,この報酬額を任意で設定できます。そのため傭兵側は,血盟の顔ぶれや報酬額などを見比べながら,どこに参戦するのかを選ぶわけです。

4Gamer:
 いかにも傭兵らしいロールプレイですね。

大河内氏:
 普通に考えると,勝率が高いほうに参加するのが自然でしょう。
 しかし,ここで新参の血盟があらわれて,「敵対血盟の10倍の報酬を出すから,うちに傭兵に来てくれ!」と名乗りを上げたらどうでしょうか。一攫千金目当ての猛者が集まって,下馬評をひっくり返すことも起こりえます。

4Gamer:
 おぉ。

大河内氏:
 金銭的なメリット以外で傭兵が動くこともあります。
 普段からPK行為や狩場の独占などを行っている血盟が,攻城戦を行うケースを考えてみてください。傭兵だって人間なので,肩入れするのは抵抗があるでしょう。逆に,報酬を度外視で敵対血盟に助太刀する人もいるかもしれません。

川南氏:
 リネージュMは,普段のゲームプレイにおいても,さまざまな場面で他プレイヤーと関わるように設計されています。こういった環境で行われる攻城戦は独立したコンテンツではなく,普段の活動やコミュニティの延長線上にあるわけです。

4Gamer:
 仮に気に入らない血盟があったとして,傭兵として申請だけ行って参加しなかったり,途中で裏切ったりすることもあるのでしょうか。

大河内氏:
 もちろん,ありますよ。それどころかスパイ用のキャラを育成して,敵対血盟に潜り込ませることも珍しくないでしょう。
 海外サーバーでは,スパイ対策としてリアルで見知っている人しか血盟に登録させず,攻城戦のたびに多数の傭兵を募る方法で城を守り続けている血盟も実在していますね。

4Gamer:
 大規模PvPと聞いてスポーツライクでフェアな内容を思い浮かべる人もいるでしょうけど,リネージュMの攻城戦は,それとは真逆の内容のようですね。

大河内氏:
 ええ。このようにドロドロした展開が繰り広げられ,しかも一過性ではなく歴史として積み重なっていくのが,リネージュMの攻城戦なんです。

 そういえば,歴史という観点において今回はひとつの挑戦を行っています。すべてのサーバーで開催されている攻城戦の戦績を記録し,公式サイト上でもそれを閲覧できるようにしているんです。

「攻城戦結果」ページ(※リネージュM公式サイト内)


4Gamer:
 戦績,ですか。

大河内氏:
 囲碁や将棋における有名な対局って,ものすごく昔の棋譜も当たり前のように残っていて,今も語り継がれています。高校野球の甲子園なども同様です。こういった展開を,リネージュMでも行いたいんですよ。

 攻城戦の記録を逐次残しておけば,たとえば長期にわたって政権をキープしていた血盟が敗れる瞬間なども瞭然となります。また,引退したプレイヤーが当時のことを振り返ったり,知人に対して「俺,この血盟にいたんだよね」と語ったりできるでしょう。こうやって“指を差せる場所”があるのって,ステキだと思いませんか?

4Gamer:
 それはとてもいいですね!
 日本のMMORPGで,コミュニティ主導による本格的な大規模PvPが初めて行われたのは,「Ultima Online」の「Yamato大戦」(大和大戦)というのが定説で,これは今も語り草になっています。私はこの現場にいたのですが,そういう話題を時折見ると,とても感慨深くなります。

大河内氏:
 そうやって,歴史が伝説として語り継がれていくんですよね。
 こういった記録を残すことは地道な作業ではありますが,リネージュMの攻城戦が今後,5年,10年先まで続くコンテンツになるように,長期的に見て必要なことを行っていきます。

川南氏:
 先ほど,コミュニティなどのエピソードをオフィシャルが紹介しにくいという話がありましたが,これは逆に,オフィシャルだからこそできる活動ともいえますね。

4Gamer:
 そういったオフィシャルな記録に対して,大っぴらにはできない裏のエピソードを,プレイヤーが別の場で語り継いでくれるともっと楽しそうですね。「ここで血盟主が裏切って,装備を持ち逃げしたから血盟が崩壊したんだぜ」とか。

川南氏:
 そのエピソード,妙にこだわりますね(笑)。

大河内氏:
 攻城戦で大きな動きがあるときは,その背景に人の歴史やドラマがあるものです。公式サイトの記録だけではそこまでカバーできないので,熱心なファンが何かしらの方法で補完してくれると,運営チームとして冥利に尽きますね。

画像(007)「リネージュM」プロデューサーインタビュー。古き良きMMORPGの魅力と,それを2019年に日本で広めることの難しさとは

川南氏:
 それと,攻城戦関連では,開催時間の変更について多数の要望をいただいています。PC版リネージュでも,同様の要望をいただいて,攻城戦の時間が変更された経緯もあります。
 現在,この点について開発側と調整を行っておりまして,近日中に何かしらのご案内ができるのではないかと思っています。


経験値稼ぎにおける試行錯誤そのものがコンテンツ


4Gamer:
 話は変わりますが,リネージュMってキャラクターレベル40〜45を境に,経験値稼ぎのハードルが一気に高くなりますよね。このゲームバランスは,どういったコンセプトで設計されているのでしょうか。

川南氏:
 確かに,メインクエストに沿って普通にプレイを行った場合,レベル40強まではサクサク進められますが,そこから先が手ごわくなる経験値テーブルですね。

大河内氏:
画像(008)「リネージュM」プロデューサーインタビュー。古き良きMMORPGの魅力と,それを2019年に日本で広めることの難しさとは
 私は,そのタイミングからがリネージュMの本番だと考えています。
 経験値効率の良いモンスターや放置狩りに適した狩場を探したり,ポーションの消費量が多くないエリアに戻って乱獲したり,さまざまな方法を模索する必要があります。それらを試行錯誤するプロセス自体が,ある意味,リネージュMにおけるメインコンテンツといえるんですよ。

4Gamer:
 レベル上げがキツくなるのは事実ですが,単調作業の繰り返しを強いられる意味ではないと。

大河内氏:
 そのとおりです。
 そしてこのプロセスでも,再三申し上げているゲーム内のコミュニティが深く関わっています。

 ウマい狩場には多くの人が集まりますが,無尽蔵の広さではないです。またリポップ時間も短くないので,強力な血盟がその気になれば,狩場の独占も不可能ではありません。極端になると,そのウマい狩場に部外者がテレポートしてきた瞬間,PKで排除するケースもありますよ。

4Gamer:
 なかなか血の気が多いですね。

川南氏:
 思わずそうしたくなるほど魅力的な狩場もあるんです。先ほど経験値稼ぎがキツくなる話をしましたが,それによって,このようなプレイスタイルの広がりも生まれたということでしょうか。
 ちなみに海外では,各サーバーでどの血盟が狩場を独占しているかという情報を,専門にまとめるようなファンサイトもありますよ。

大河内氏:
 そうやって狩場を独占したうえで,「ここで狩りをしたければウチの血盟に入れ!」と全体チャットで宣言する血盟もいます。そしてこれに直面したプレイヤーは,いくつかの選択肢があります。

 まずは,敵対する勢力がいなくて,それほどウマくはないけど安全な狩場で経験値を稼ぐことです。狩場を独占する血盟が24時間フルタイムで活動しているとは限らないので,上記のファンサイトを見ながら時間帯を考えることも,ゲームとしてひとつの“攻略”といえるでしょう。

 あるいは別の選択肢として,ほかのプレイヤーと協力して,狩場を独占する血盟に挑む方法もあります。「あいつら許せないから倒そうぜ!」と募り,そこから大規模PvPに発生するケースも海外サーバーではよくありますよ。

4Gamer:
 そういうの,いいですねぇ。

川南氏:
 日本ではまだまだ正式サービスが始まったばかりということもあり,比較的プレイマナーを重視する人が多い印象ですが。しかし,血の気が多い血盟がアグレッシブに活動すれば,それだけでサーバー内の空気を一変させることも可能でもあります。


一定量のバフがキープされる「ドラゴンの宝玉」が近日中に販売予定


4Gamer:
 もっと色々な話を聞きたいのですが,今後のアップデート予定についてもご紹介いただけますか。

大河内氏:
 このインタビュー記事が掲載される頃には公式サイトでも紹介する予定ですが,先日のインタビューでもNCSOFTのスタッフが述べていた「竜玉」を,日本サーバーでも正式に実装します。この正式名称は「ドラゴンの宝玉」で,近日中のアップデートでの実装に向けて最終調整中です。

ドラゴンの宝玉の詳細データは公式サイトを参照
画像(009)「リネージュM」プロデューサーインタビュー。古き良きMMORPGの魅力と,それを2019年に日本で広めることの難しさとは

公式サイト内の告知ページ


4Gamer:
 詳細データは公式サイトでも紹介されるでしょうし,プレイヤーの体感レベルのメリットなどを教えてください。

川南氏:
 ちょっと複雑なので,背景から説明しますね。
 リネージュMのプレイヤーキャラは,常に「アインハザードの祝福」というバフが掛かっています(※公式サイト内の紹介ページ)。獲得する経験値やゲーム内通貨である「アデナ」の上昇,アイテム獲得の底上げなどが行われる効果があるのですが,残量が数値で示されていて,狩りを通じて経験値を獲得することで少しずつ減少します。

4Gamer:
 一般的なMMORPGにおける,ログアウト時に蓄積される経験値ボーナスに近いイメージでしょうか。

川南氏:
画像(010)「リネージュM」プロデューサーインタビュー。古き良きMMORPGの魅力と,それを2019年に日本で広めることの難しさとは
 ものすごくざっくり言うとそうなんですが,アインハザードの祝福は,その残量によって効果が3段階に変化します。最高の段階では経験値獲得率が「700%」になるなど,かなりの効果があります。

 実際のゲームプレイでは,レベルがある程度に達したキャラは,アクティブに活動しているとアインハザードの祝福がみるみる減少していきます。もっとも低い段階だと,一部アイテムのドロップが取得できなくなるというシステムなので,これはなんとしても避けたいわけです。

画像(011)「リネージュM」プロデューサーインタビュー。古き良きMMORPGの魅力と,それを2019年に日本で広めることの難しさとは

大河内氏:
 で,ドラゴンの宝玉を購入すると,30日間,アインハザードの祝福の1〜200の効果が常時キープされます。201以上の3段階目は今までどおりですが,大多数を占めるミドルクラスのプレイヤーにとっての選択肢となり得る,非常にコストパフォーマンスが高いアイテムです。

4Gamer:
 ビジネスモデルの話は嫌がる人もいるかもしれませんが,「基本プレイ無料+アイテム課金」を採用している以上,どこかで向き合う必要がありますからね。

大河内氏:
 そうですね。海外サーバーではドラゴンの宝玉の評判はとても良いので,興味を持たれた方は公式サイトで詳細データを確認していただけると。

川南氏:
画像(016)「リネージュM」プロデューサーインタビュー。古き良きMMORPGの魅力と,それを2019年に日本で広めることの難しさとは
 ドラゴンの宝玉は,プレイヤーからの強い要望を受け,日本運営チームと開発チームが協力して,予定より数か月の前倒しで実装するべく調整を進めています。

 日本運営チームにおきましても,ドラゴンの宝玉の実装はリネージュMにおいてのリスタートのタイミングと捉えており,販売開始時は特別パッケージとして,リネージュMサービス開始時の象徴的なキャラクターでもある,「リズ」の変身カード同梱版をお値段据え置きで提供する予定です。これを機にリネージュMを初める方にもお勧めできる変身カードなので,ぜひご検討ください。

4Gamer:
 それでは続いて,新職業の「銃士」が2019年内に実装だとアナウンスされていますが,こちらの開発状況はどのようになっていますか。

画像(012)「リネージュM」プロデューサーインタビュー。古き良きMMORPGの魅力と,それを2019年に日本で広めることの難しさとは

大河内氏:
 現在,国内のテストサーバーで検証を進行する段階です。うまく動くようになったら,リネージュMの公式生番組でぜひ紹介したいですね。

4Gamer:
 銃士はサポート向けの職業だそうですが,具体的にどういったプレイスタイルなのでしょうか?

川南氏:
 遠距離攻撃で戦いつつ,バフやデバフも得意という,地味だけど強力な職業ですね。
 銃士がもっとも活躍するのは攻城戦です。現在は城門を守っている騎士に,被ダメージを軽減する「イミュントゥハーム」というバフを掛けるとかなりタフになるのですが,銃士はこれを無効化できるんです。
 攻城戦の基本システムを理解した血盟が,より進んだ戦術を繰り出すことを模索するときも,きっと重宝すると思いますよ。

4Gamer:
 日本サーバーにおける各種仕様は韓国サーバーと異なるそうですが,カルチャライズのスタンスをあらためて確認させてください

大河内氏:
 これまでも述べたように,海外サーバーと日本サーバーは文化もプレイ環境も大きく違います。そのため,コンテンツ単位でバランス調整や実装時期の順番などを細かく調整しています。

 ちなみに「オリム」というパーティプレイ専用のダンジョンは,海外サーバーでは正式サービス開始から2年後に実装されています。しかし,パーティプレイは日本のプレイヤーと相性が良いと判断した結果,正式サービス開始時点で実装しているんです。ぜひ,高難度のダンジョンにも挑戦していただければと存じます。

川南氏:
 ちなみにインスタンスダンジョンに関してですが,プレイヤーからの要望が多い「傲慢の塔」の上位階層も,10月末頃から段階的に実装を行う予定です。

 そのほかには,リネージュMのメインコンテンツである攻城戦も無事に実施した現在は,中長期のアップデート計画として今後の日本サーバーをどうするか,より本格的な検討を行う段階に入っています。

4Gamer:
 それは興味深い話ですね。

川南氏:
 今までの日本サーバーは,海外サーバーで実装された各種システムやコンテンツに対し,日本向けの調整を行うスタンスでした。しかし,それだけでは日本のプレイスタイルに対応しきれないと考えています。

 あくまでも例ですけど,ハクスラやトレハン的な楽しみをもっと追求したり,全100階くらいのダンジョンにソロプレイで挑戦したりと,最初から日本向けを想定した,まったく新しいコンテンツの開発に着手する予定です。

4Gamer:
 そこまで行われるとは,ちょっと予想外です。

大河内氏:
 リネージュMはタイトル名に「M」を冠していますが,リネージュシリーズの亜流ではなく,ナンバリング作の認識でサービスを行っています。そしてもちろん,これからもリネージュの歴史は続いていきます。それを前提に,攻城戦の記録を取るなど,末永く盛り上がるために何が必要なのかを長期的な視点で考えています。

 現在のMMORPGにおいてリネージュMはあまりにも独特で,その魅力を広めるのに苦労している部分は確かにあります。しかし,オンリーワンのMMORPGであることは間違いないです。
 ですので,もし興味を持ったら気軽にプレイしてほしいですし,また安心して友達を誘ってほしいですね。リネージュMで育んだ人と人をつなぐコミュニティが,これから5年,10年と続くことを願います。

 今後も,日本運営チームとNCSOFT開発チームの協力体制を強化して,よりよい環境を提供できればと考えていますので,楽しみにしていただければと思います。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

画像(013)「リネージュM」プロデューサーインタビュー。古き良きMMORPGの魅力と,それを2019年に日本で広めることの難しさとは
 
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 エヌシージャパンのスマホ向けMMORPG「リネージュM」は,韓国ではとくに高い人気を誇っている。2017年6月に配信を開始してから現在に至るまで,現地のセールスランキングで,ほぼ首位をキープし続けているそうだ。今回は韓国NCSOFTを訪問し,リネージュIPの底力についてあらためて聞いたので紹介しよう。

[2019/10/08 17:00]

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