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  • 任天堂
  • 発売日:2017/02/02
  • 価格:基本プレイ無料+アイテム課金
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「ファイアーエムブレム ヒーローズ」のコンセプトは“スタンドバイミー”。開発者インタビューで明かされたファイアーエムブレムシリーズの新たな挑戦
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印刷2017/02/01 00:00

インタビュー

「ファイアーエムブレム ヒーローズ」のコンセプトは“スタンドバイミー”。開発者インタビューで明かされたファイアーエムブレムシリーズの新たな挑戦

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 任天堂が2017年2月2日にリリース予定の「ファイアーエムブレム ヒーローズ」iOS / Android,以下「ヒーローズ」)は,シミュレーションRPGとしての戦略性とスマートフォンならではの手軽さを融合したファイアーエムブレム(以下,FE)シリーズの最新作だ。

 こちらの記事でもお伝えしたとおり,本作では1画面におさまる8×6マスのマップで,コンパクトでありながら奥深い戦略性を持ったスマートフォンならではの戦いを体感できる。そんな本作の配信に先駆け,開発ディレクターを務める任天堂の松下慎吾氏と,インテリジェントシステムズの前田耕平氏にインタビューをする機会を得られたので,本稿ではその模様をお伝えしよう。

 スマートフォン向けに最適化された本作の開発経緯や,シリーズファンであれば気になるシステムについて詳しく話を聞いたので,プレイレポートでゲームの基本をチェックしつつ,本稿にも目をとおしてほしい。

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「ファイアーエムブレム ヒーローズ」公式サイト



8×6マスに詰め込まれたこだわり

ゆずれなかったのは手軽さと戦略性の両立


インテリジェントシステムズ
企画開発部 企画開発二課 課長
前田耕平氏
画像集 No.005のサムネイル画像 / 「ファイアーエムブレム ヒーローズ」のコンセプトは“スタンドバイミー”。開発者インタビューで明かされたファイアーエムブレムシリーズの新たな挑戦
4Gamer:
 本日はよろしくお願いいたします。先日のファイアーエムブレム Directで「ファイアーエムブレム ヒーローズ」が発表されて以来,シリーズファンの期待が高まっているのをヒシヒシと感じています。今回のインタビューでは,開発に至るまでの経緯や細かなシステム部分についてお聞きしていきたいのですが,まずは自己紹介を兼ねて,お2人の本作における立ち位置を教えてください。

前田耕平氏(以下,前田氏):
 インテリジェントシステムズはゲーム開発を担当しておりまして,私はその開発現場をとりまとめるディレクターを務めています。

松下慎吾氏(以下,松下氏):
 スマートフォン向けのタイトルはDeNAさんと協業しながら制作しておりますので,僕自身は任天堂サイドのディレクターとして,インテリジェントシステムズさんとDeNAさんの間を取り持ち,ゴールへと導くポジションです。開発現場を仕切っていた前田さんが一番苦労されたかと思います。

前田氏:
 いやいや,そんな……(笑)。
 我々は,任天堂さんにお声がけいただく前からスマートフォン向けの開発にも挑戦したいと考えていまして,FEを作ってきたチームで完全新作を作る心持ちで開発を進めてきました。それが今回こうしてリリースできることとなり,チームとしてもうれしく思っています。

4Gamer:
 以前からスマートフォン向けのFE開発への挑戦を考えていたとのことですが,実際に開発へいたるまで,どういった経緯があったのでしょうか。

前田氏:
 両社それぞれで経緯は違うかもしれませんが,インテリジェントシステムズのほうでは,FEをスマートフォンで展開したいという希望が以前からありまして,何年も前から研究開発をしていました。その研究の過程で,任天堂さんからお話をいただきました。

松下氏:
 任天堂サイドの経緯を説明すると,みなさんに弊社がスマートフォン向けのゲームをリリースしますと公表させていただくのと近いタイミングで,社内にスマートフォン向けの部署が設立されました。その部署の設立後,スマートフォン向けに展開するソフトのラインナップにFEが加わったのがすべての始まりになるかと思います。

4Gamer:
 松下さんは,どういった流れで開発に参加されたのですか。

任天堂
企画制作本部 企画制作部
スマートデバイスプロダクショングループ
松下慎吾氏
画像集 No.002のサムネイル画像 / 「ファイアーエムブレム ヒーローズ」のコンセプトは“スタンドバイミー”。開発者インタビューで明かされたファイアーエムブレムシリーズの新たな挑戦
松下氏:
 コンシューマ機向けのFEを継続開発しながら,スマートフォン向けにもシッカリとしたものを作っていくという社内の方針がありまして,それを実現するためにスマートフォン向けのFEでは新しくディレクターを立てることになりました。そこで「ファイアーエムブレム覚醒」(以下,「覚醒」)と「ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国」(以下,「if」)のディレクターを務めた横田(横田弦紀氏)とよく一緒に仕事をしていた僕が指名されたという流れです。

4Gamer:
 コンシューマ機向けではニンテンドー3DSの「ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王」と,Nintendo Switch向けにもシリーズの完全新作を開発中と発表されていましたね。

松下氏:
 ええ。その開発を継続していただかなければならない中でしたが,スマートフォン向けのFEともなれば,インテリジェントシステムズさんの開発チームが本気で取り組まなければ,お客様が満足するものはできないという思いも同時にありました。
 とはいえ,両軸の開発を進めるとなると,どちらかを優先しなければならず,まずは「スマートフォンで遊べるFEを作りましょう」とお声がけしたんです。

4Gamer:
 そういった経緯だったのですね。FEシリーズといえば,任天堂ハードとともにさまざまなチャレンジをされてきましたが,本作ではどのような“挑戦”をされましたか。

前田氏:
 スマートフォンならではの手軽さと,FEシリーズが持つ戦略性の両方を実現するのが,今回のチャレンジでした。片手で操作でき,短時間で戦いが完結して通勤通学時でも遊びやすい,スマートフォンならではの利点を活かしたプレイフィールを目指しました。

松下氏:
 コンテンツとしての目標は前田さんがおっしゃったとおりで,間口は広くするけれども,同時に奥深さも作りたいと考えていました。
 また,スマートフォンでリリースすることで,現役のファンの方のみならず,過去に遊んでくださった方や,シリーズを遊んだことがない方など,多種多様なお客様にリーチすることができると考えています。そんなさまざまな層の方々に喜んでもらえるものを作るということが,これまでよりも強く意識したポイントです。

4Gamer:
 間口の広さというところでいくと,戦いの舞台となる8×6マスのマップはシミュレーションRPGに不慣れな人でも,1画面で完結しているからこそ理解がしやすく,遊びやすい印象を受けました。マップの大きさは,最初からこの小さなサイズだったんですか。

松下氏:
 はい,そうです。初期段階からマップを小さくすることが決まっていました。本作の開発は「小さなマップでどれだけファイアーエムブレムになるか」を見定めるところから始まっています。

4Gamer:
 なぜスクロールさせない1画面で完結するマップにこだわったのでしょう。

前田氏:
 まずスクロールを前提とした作りにすると,ユニットを移動させる操作とマップをスクロールさせる動作が混在してしまい,遊びやすさが損なわれてしまいます。それに,それぞれの操作を覚えるアクションによってハードルが1段階上がってしまうんです。

松下氏:
 誤操作させないことをとくに重視していて,これまでさまざまなパターンでテストを重ねてきました。開発当初は4インチサイズのスマートフォンが多かった時期で,すごく悩ましかったんですよね。最初はマス目を大きくとって,今よりも小さなマップにしていたこともありましたし,大きすぎると誤操作が起きやすくなる。こういった試行錯誤の結果,行き着いたのがこの8×6マスでした。

4Gamer:
 今の形はインテリジェントシステムズが培ったノウハウによって導き出された絶妙なバランスということなんですね。

松下氏:
 インテリジェントシステムズさんは,小さなマップが登場する「ファミコンウォーズ」シリーズの開発もされた実績がありますので,コンパクトかつ奥深い戦略性を持ったスマートフォン向けのシミュレーションRPGを作れるはずだと確信していました。小さなマップにすべてを集約するのはとても大変なことですが,マップを攻略する楽しさをやはり大切にしたかったんです。

4Gamer:
 マップが小さくなったぶん簡単になったと思われがちですが,行動範囲が限られているからバトル展開がスピーディで,1マスの価値が非常に高くなっていますよね。実際に遊んでみて,一手ごとの判断力が非常に問われるゲームバランスで,サクサク進みつつも攻略のしがいがあるマップだと感じました。

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リリース時に参戦する英雄は約100人

ユニットをとことん育て,愛してほしい


4Gamer:
 リリース時の段階ですべてのタイトル,英雄を網羅するのはボリューム的に難しいところかと思いますが,現状で実装されているのは何タイトルほどですか?

松下氏:
 リリースの時点では,「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」「ファイアーエムブレム 紋章の謎」,少し飛んで「ファイアーエムブレム 封印の剣」「ファイアーエムブレム 烈火の剣」,またすこし飛んで「ファイアーエムブレム覚醒」「ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国」の6タイトルですね。

4Gamer:
 少し飛ぶところもあるんですね。

松下氏:
 そうですね。例えば,「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」は心待ちにしてくださっているファンの方が多いタイトルだと感じています。リリース時は6タイトルに登場した英雄が参戦しますが,今後はそういったファンの方が心待ちにされているタイトルもフォローしていきたいです。

4Gamer:
 コラボ作品とはなりますが,一部のファンの間では「幻影異聞録♯FE」が参戦するのか話題になっていました。

松下氏:
 なるほど……「幻影異聞録♯FE」は世界観設定が被るところもあって,悩ましいですね。仮に参戦することになったら,システムの大幅な改修が必要になりそうな気がします。

4Gamer:
 では,参戦する英雄の人数は?

前田氏:
 100人弱です。

松下氏:
 リリース時は100人弱ではありますが,サービスイン後もユニットを追加していく流れになるので,徐々に人数は増えていきます。

4Gamer:
 100人……! これだけの英雄を登場させたうえで,1つのタイトルにまとめるとなると,世界観作りが大変そうですね。

前田氏:
 まずコンセプトとしてシリーズの英雄達が登場するオールスターものにすることが決まっていて,それを満たす世界観を構築していきました。

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アルフォンス
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シャロン
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アンナ
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ヴェロニカ
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謎の男

ヒーローズの世界には,あらゆる異界へと通じる“異界の扉”が存在する。敵国の皇女ヴェロニカがその扉を利用し,異界の英雄達を支配下におさめ,アルフォンス達の住むアスク王国を滅ぼそうと画策している。主人公は歴戦の英雄達の力を借りることのできる「召喚師」として,滅亡の危機に瀕するアスク王国を救う果てない戦いに身を投じていく――というのが,本作の世界観設定だ。


4Gamer:
 「覚醒」などで登場した特定の英雄の子供は,参戦するのでしょうか。

前田氏:
 リリース時であれば,「覚醒」からルキナが参戦しています。もしかして,ゲーム内で“結婚”のシステムがあるか,否かということも気になっていますか。

4Gamer:
 はい,とても。「覚醒」「if」からシリーズに触れたファンの方だと,結婚をできるか,できないかも気になるポイントなのではないかと。

前田氏:
 現状ではその要素はないですね。今後のアップデートで実装されればあるいは……越えなければならない壁が多いので難しいところかと思います。

4Gamer:
 では,支援会話も……。

前田氏:
 お察しのとおり,ユニット間の支援会話はありません。その代わりに,プレイヤーと英雄とのやりとりを会話やボイスで楽しんでいただいたり,お気に入りのユニットを上限まで育てると絆が結ばれ,特別なイベントが発生したりするようになっています。星4,5まで育てると,ステータス画面で再生されるボイスの種類も増えるので,お気に入りのユニットをぜひ育ててほしいですね。

4Gamer:
 好きなユニットなら育てておいて損はないということですね。

前田氏:
 FEのいいところは,ゲームをとおしてユニットをすごく好きになってもらえることだと思うんです。だからこそ本作は,好きになったユニットをとことん育てて,愛せる形にしたいと考えたんです。

4Gamer:
 シリーズのファンはユニットに対する思い入れが強く,愛が深いですよね。

松下氏:
 そうなんです。それが,どのレアリティのユニットであっても星5まで育成でき,強くすることができるというシステムにつながっていきます。

リフ
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前田氏:
 例えば,星2のリフがどんな手を使っても星3,4のユニットにはかないませんとなると,リフが好きなプレイヤーさんはガッカリしてしまいます。だったらどんなユニットも星5まで成長できる形にすべきだと感じたんです。

4Gamer:
 愛を持って育てれば,どんなユニットも強くなれるということですよね。

松下氏:
 こういったシステムは,これまでシリーズを手がけてきた人達だからこそ出てくるアイデアだと感じています。これがスマートフォン向けにリリースする観点だけで作ってしまうと「このユニットは強いからこういう立ち位置で」と,プレイヤーに押しつけてしまうことになる。だからこそ,ユニットへの愛が形になるこのシステムはFEシリーズらしさを出すためには必要な部分だと感じていました。

4Gamer:
 ところで,お2人には思い入れのあるユニットはいますか。

前田氏:
 タイトルごとに思い入れのあるユニットがいまして……少々お待ちください。

松下氏:
 好きなユニットはたくさんいますが,思い入れというところでは「覚醒」のウードですね。開発に携わっていた友人にウードに似ていると言われて,それが外見なのかキャラクター性なのか気になるところではありますが,それ以来親近感が湧いてしまい,「if」でもオーディンを愛用するようになりました。あとは義に厚く,義に散っていくエルトシャンが好きです。「聖戦の系譜」では,登場時間が短いうえに仲間にはならないですが,非常に印象的で好きなユニットですね。

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ウード
※英雄総選挙投票ページより
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オーディン
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エルトシャン

前田氏:
 それぞれのタイトルに思い入れがあって,なかなか選べないですね。今作の中であれば,変わった性格のシャロンがとても印象的で好きです。

松下氏:
 シャロンいいですね。

4Gamer:
 変わった性格というのが気になります。

松下氏:
 天然といいますか,大変な状況下に置かれていてもあっけらかんとしていて,物語上でもムードメーカーのような存在になっています。僕は星5に育てて闘技場に出そうと思っています。

4Gamer:
 なるほど。キャラクターへの思い入れといえば,男女それぞれの1位を決める英雄総選挙が現在開催されていますが,ファンからの反響はいかがですか。

前田氏:
 国内のみならず海外の方々も熱心に参加してくださっていて,うれしい気持ちでいっぱいです。スマートフォン向けタイトルの良さは,こういった人気投票などでお客様のご要望を汲み取れることだ思います。みなさんの声を聞きながら今後もユニットを追加していきたいと考えています。

ドルカス
※英雄総選挙投票ページより
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松下氏:
 中間発表で男性編の18位にランクインしたドルカスは想定外でした。リリース時のユニットリストにはいないので,結果次第ではドルカスを作らねばならないなと……僕の好きなウードを超えてしまって,少し複雑な心境です(笑)。

4Gamer:
 たしかにドルカスには驚きました。ネット上での人気投票は何かと想定外のことが起こりますよね。

松下氏:
 一方で予想していたことではあったのですが,みなさんの票が誰か1人に集中することなく分散しているんですよね。中間発表の1位はリンですが,パーセンテージ自体はあまり高くないんです。ちなみに,タイトルでとくに票を集めていたのは「覚醒」でしたが,キャラクター自体は1位になっていません。

4Gamer:
 プレイヤーそれぞれに好きなユニットがいて,どのユニットも分け隔てなく愛されているということですよね。「覚醒」が票を集めているということは,投票に参加しているのは若い層が多いのでしょうか。

松下氏:
 20〜30代の方が多い印象ですね。ただ,もしかするとネットと相性のいい世代が多く投票してくださっていて,こういった結果になっているのではと感じています。
 あと,日本だと「聖戦の系譜」がかなりの割合を占めていて,「覚醒」や「if」は低めになっています。国によって発売されたタイトルが違うこともあり,海外からの票は国ごとに傾向が異なっています。

※英雄総選挙のランキングは,インタビュー時点での中間結果を元にしています。


ユニットをロストさせるシステムはアリ? ナシ?


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4Gamer:
 「仲間との出会いと別れ」はシリーズの変わらぬ特徴であり,ユニットをロストするという要素は一手ごとの判断力が問われるシミュレーションRPGの戦略性をより際立たせる要素だと感じています。しかし今作では,戦いに敗れても“ユニットをロストしない”カジュアルモードに近いシステムになっていますよね。

前田氏:
 リセットを前提としたプレイが可能なコンシューマ機とは異なり,スマートフォンではリセットができません。プレイヤーがユニットをロストして,やり直しのきかない状態になってしまわないよう,今作ではステージをクリアしたらユニットが戻ってくるカジュアルモードに近い形にしました。これは賛否両論あるところで,開発の過程でも議論になりました。

松下氏:
 議論の過程で,ロストするシステムを活かす方向性ももちろん検討していて,例えば,戦闘で倒れたユニットを入院させてロストに近いペナルティを付けよう,とか。

前田氏:
 ああ,ありましたね。倒されると全治2週間の入院となって,リアルタイムで2週間経たないと復帰しない案が。

4Gamer:
 入院!? それはユニークなアイデアですね。

前田氏:
 ただ,これを実際にやってみると,一軍のユニットが全治2週間になってしまったときに,復帰するまで遊ぶのをやめさせる状態になってしまい,お客様にストレスを与えてしまうんですよね。

4Gamer:
 入院時間をアイテムの使用で時短する方法も考えられそうですが。

前田氏:
 はい。ただ,アイテムで全治2週間の負傷を回復させて,時短出来るようにすると,アイテムを持っていない人はリアルタイムで待たなければならなくなり,そこでもストレスを感じさせてしまうなと。

松下氏:
 さまざまな面を考慮しながらお客様の遊びやすさを重視するならば,遊び手にとって一番ストレスがない作りにすべきだと気付きました。そこから,ステージをクリアしたら素直にユニットが戻ってくる今の形に落ちついたんです。

4Gamer:
 つまり,ゲーム上でユニットとの“別れ”はないということですか。

前田氏:
 プレイヤーが選ばない限りはないです。システムとしては英雄を異界へ帰す「送還」が今作におけるユニットとの別れになり,ここで別れを選ぶことで,ユニットの“覚醒”に必要な“英雄の翼”を得られますが,送還を行うか否かはプレイヤー次第です。

松下氏:
 これは異界に帰すものであって,決して強制送還ではありません(笑)。

4Gamer:
 戦いでユニットをロストすることがなくなったので,お気に入りのユニットをパーティに入れやすくなりましたが,4人編成って選択肢がかなり限られてくるので悩ましいですね。ファンであればセットで入れておきたいサジ,マジ,バーツや,パオラ,カチュア,エスト“ペガサス三姉妹”を選んでしまったら,あっという間に残りの枠が1つになってしまうという……。

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松下氏:
 残りの1枠にミネルバを入れるか,シーダを入れるかでもまた悩みそうですね。

一同(笑)

前田氏:
 後半のマップになってきますと,攻略するにはペガサスナイト部隊がいいとか,逆にアーマーナイト部隊がいいといった傾向が出てきますので,場合によってはマップに応じたパーティを組んでいただくといいかもしれません。

4Gamer:
 攻略的な話になりますが,ユニットはバランスよく育てたほうがいいのでしょうか。

前田氏:
 一長一短ではありますね。選択肢が増えるという点ではいいかもしれません。

松下氏:
 ミッションのお題や難度の高いマップに対処するには,使えるユニットが多いに越したことはありません。ただ,お気に入りのユニットを強くして先に進みたい,闘技場のスコアを稼ぎたいといった,お客様のプレイスタイルに合わせて育成していただくのが一番だと思います。

4Gamer:
 難度の高いマップといえば,ストーリーマップや闘技場のほかに,期間限定のスペシャルマップも用意されていますね。このコンテンツはどれくらいの頻度で更新されるのでしょうか。

ナバール
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松下氏:
 スペシャルマップにはいくつかのタイプがありまして,常設されている“英雄戦”は毎日ラインナップが変更になるほか,ファイアーエムブレム Directでご紹介したナバールのマップのように,より強力な敵が登場する“大英雄戦”も月2回の頻度で開催を予定しています。
 またそれらとは別に,息抜きでプレイしていただくキャンペーンマップも用意しておりまして,そちらは適宜タイミングを見て追加していきます。開発の後半で,インテリジェントシステムズさんにスペシャルマップをたくさん作っていただいたおかげで,こういったゲーム内イベントが盛りだくさんになりました。

前田氏:
 松下さんが説明されたとおり,大英雄戦は非常に難しいマップとなっていまして,一番難度の高いものだと,最大まで育てた星5のユニットを4人揃えても力押しで戦うだけでは負けてしまうぐらいです。ユニットのレベルだけではなく,敵に合わせた編成や戦略,一手ごとの戦況の見極めといった,プレイヤーの手腕が試されるものになっています。


ユニットの補填のしやすさを重視した英雄召喚

シリーズおなじみの三すくみの効力がより強力に


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4Gamer:
 スマートフォン向けのタイトルは,基本プレイ無料の形をとることが主流となっていますが,最近では「スーパーマリオ ラン」を皮切りに買い切り型でのアプローチも増えてきたように感じています。本作のマネタイズはどのようにして決定されたのでしょうか。

松下氏:
 実のところ「スーパーマリオ ラン」よりも先に開発をしていたタイトルであり,開発初期の段階から基本プレイ無料にすると定めていました。
 というのも,今回大事にしたかったのは属性の異なるさまざまな層の方に遊んでもらうことです。しかし,FEシリーズは作品としての面白さはあれど,マリオやポケモンのように老若男女問わず周知されているタイトルに比べれば,認知度は低いと感じています。そういった現状を鑑みて,広く遊んでいただくならば基本プレイ無料で,誰もがお試しで遊びやすい環境を目指しました。

4Gamer:
 マネタイズありきというよりも,さまざまな層へアプローチするためにハードルを下げたかったということですね。

松下氏:
 あとは,1人でも多くの英雄を登場させたかったのも理由の1つです。総選挙に出ているだけでも英雄の数は約790人います。ファンのみなさんが1位のリンを好きかというと決してそうではなくて,リフを好きな人もいるし,ルキナを好きな人ももちろんいます。それであれば,みなさんが愛している英雄を1人でも多く登場させるために,それらを提供しやすい仕組みを採用する必要がありました。
 知らないユニットが仲間になれば,その英雄を知っていただくことでシリーズにより興味を持っていただくきっかけになりますし,好きな英雄を召喚できれば喜びを感じられる。それらの事柄を踏まえたうえで,お客様にとってよい形を模索するのに時間がかかりました。

4Gamer:
 赤,青,緑,無色の属性からユニットを選べる召喚の仕組みは面白いですよね。自分の戦力として足りない属性のユニットをこのシステムによって補填しやすくなるといいますか。

松下氏:
 さまざまなマップを攻略していただくには,ユニットの補填のしやすさが重要となりますので,属性を選べるシステムを採用しています。加えて,今作では赤,青,緑の属性による三すくみの効力を強めていて,過去作よりも強く影響が出るようにしています。具体的に言うと,過去作であれば三すくみでダメージの直接的な増減はありませんでしたが,今作では攻撃と防御に影響が出るようになっています。

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前田氏:
 これほどのダメージ増減が出るのは初めてで,20%ほど増減するようになっています。

松下氏:
 その三すくみの効力を高めたことで,小さなマップであってもシミュレーションゲームのピリッとした部分を出せていると思います。バランスのいい構成やユニットごとの攻略のしやすさといったものがどうしても出てきてしまうので,そういったユニット編成のしやすさを考慮して属性を選べる形は必要不可欠だったんです。

4Gamer:
 ユニットの種類が偏ってしまうと,攻略が極めて難しくなる可能性もありますよね。ところで,以前スマートデバイス向けのアプリと,コンシューマ機との連動を発表されていましたが,本作でもそういった連動をされる予定はありますか。

松下氏:
 まだまだこれから考えるところです。新作FEチームとも相談しながらいろいろアイデアを練っていきたいと思います。

4Gamer:
 Nintendo Switch版の最新作は先日発表されたばかりですもんね。

松下氏:
 直接的な連動ではありませんが,「ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王」が発表されましたので,発売に合わせて「ヒーローズ」のほうでイベントを開催したいと思っています。ぜひ楽しみにしていてください。

4Gamer:
 そういったイベントをとおして,コンシューマ機で発売される,もしくは過去に発売された作品に触れてもらえるといいですね。ちょうどバーチャルコンソールで配信されているタイトルもありますし。

前田氏:
 そういった流れになったらうれしいですね。FEの良さはこのユニットがカワイイ,カッコイイといったきっかけから育成をはじめ,バトルや会話などで,だんだんと愛着を感じてもらえることだと思っています。まずは「ヒーローズ」で英雄達を知ってもらい,関連するシリーズの作品にも触れていただきたいですね。

4Gamer:
 インタビューのまとめとしてぜひお聞きしたいのですが,「覚醒」は集大成,「if」はプレイヤーが掴むもしもの未来がテーマとなっていましたが,「ヒーローズ」を一言で表すと?

前田氏:
 なるほど,そうきましたか(笑)。

松下氏:
 じつは考えてきました。“スタンドバイミー”つねにそばにあるファイアーエムブレムです。

4Gamer:
 ステキですね。スマートフォンは生活に密接したデバイスだからこそ,プレイヤーのそばにつねにあり続けられるものですし。

前田氏:
 ああ確かに,“スタンドバイミー”はコンセプトとも合致していますね。

松下氏:
 つねにお客様のそばにあるFEをコンセプトに開発を進めていたというのが理由の1つであるのと同時に,「覚醒」や「if」といったタイトルは,時間があいてからのご提供となりファンの方をお待たせしてしまいました。「ヒーローズ」では定期的にアップデートを行っていきますので,お客様を長くお待たせすることなく今までのFEをより身近に感じていただきたいです。

4Gamer:
 それでは最後に,本作の配信を心待ちにしているファンへ向けて一言ずつコメントをお願いします。

前田氏:
 スマートフォンで遊べる初めてのFEとして,いつでも遊べる,なおかつFEの面白さを体感できるものを目指して開発いたしましたので,ぜひ一度遊んでいただければと思います。

松下氏:
 ハードルが高いイメージのあるシミュレーションゲームを,本作で親しみやすい形に出来たと感じています。これからFEを知っていただく方にはもちろん,シリーズファンの期待を裏切らないものにもなっていると思いますので,安心して2月2日にダウンロードしていただきたいです。とっつきにくいジャンルだと敬遠されている方がいらしたら,ちょっとだけお時間をください。基本プレイ無料なので少しの時間でも試していただけたら,僕らはとてもうれしいです。

4Gamer:
 ありがとうございました。

「ファイアーエムブレム ヒーローズ」公式サイト


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