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「FIRE PRO WRESTLING WORLD」が新日本プロレスとがっちりタッグ! 所属選手が実名登場&ストーリーモード搭載のコラボを発表。PS4版の発売は2018年夏に
「FIRE PRO WRESTLING WORLD」公式サイト
この発表は,2018年1月3日にディファ有明で開催された新日本プロレスのイベント「大プロレス祭り 2018」の冒頭に行われたもので,新日本プロレス年間最大のビッグマッチである東京ドーム大会「レッスルキングダム12」の前日に開催されたイベントだっただけに,会場には多くのプロレスファンが駆けつけて熱気が渦巻いていた。
司会を担当したアナウンサーの村田晴郎氏が,「まずはこちらをご覧ください」と述べると,真壁刀義選手が登場する映像が上映された。そして,新日本プロレスの選手達がゲームの中に実名で登場することが明らかになると,場内からは大きな拍手と歓声が湧き上がった。
続いて,ゲストとして新日本プロレスの真壁選手とKUSHIDA選手がリングに登場。KUSHIDA選手は「プロレスを見始めたきっかけは,ファイヤープロレスリングと言っても過言ではない」と熱くコメントし,コラボへの並々ならぬ意欲を表明した。真壁選手は「やったことあるに決まってるだろ。ハリケーン力丸だろ! あとビクトリー武蔵だろ!」と,自身の師匠筋をファイプロネームで紹介して場内の笑いを誘った。
真壁刀義選手 |
KUSHIDA選手 |
ここで,ファイプロワールド総監督の松本朋幸氏と開発ディレクターの田村季章氏がリングへ呼び込まれ,コラボの詳細が説明された。
まず,ゲームを知らないプロレスファンに向けて「ファイプロとはリング上での戦いをすべて再現するプロレスゲームである」という説明が行われると,これに対してKUSHIDA選手は,「(一撃で試合が決まる)クリティカルや電流爆破デスマッチなど,(プロレスの歴史と同期して)進化してきたファイプロシリーズだったが,ついにオンラインで世界とつながる。すごい時代になった」と興奮した様子を見せた。
マイクを託された松本氏は続いて,「ファイプロの長い歴史の中で,ついに実名男子選手を登場させる夢が叶えられました」と,今回のコラボがシリーズにおける歴史的な転換点であることを強調した。
さらに松本氏は,新日本プロレスの新人選手となって団体最高峰であるIWGPチャンピオンを目指す「ストーリーモード」の搭載を発表した。「2017年の戦いをそのまま再現しようと思っています」と言うだけに,実際のリングで起きた出来事を選手の視点で追体験できる内容になるようだ。そして,ほかにもいろんな仕掛けを考えているので楽しみにしてください,と述べた。
Steamで発売中のPC版に続き,未発表だったPlayStation 4版の発売時期が2018年夏になることも合わせて明らかにされ,「おそらくG1 CLIMAX(新日本プロレス最強のレスラーを決める真夏のシングルリーグ戦)のあたりになると思います」(松本氏)とのことだ。この発表に対して,場内からは大きな拍手が湧き上がった。新日本プロレスにとって久々のコンシューマ機進出となるだけに,ファンにとっても歓迎すべき話だったようだ。
ヘビー級vs.ジュニアヘビー級のシングルマッチと,現実の新日本プロレスではなかなか見られないマッチアップとなったこの試合。細かなサブミッションでダメージを積み重ねていくKUSHIDA選手と,荒ぶるパワーで大きな一撃を狙う真壁選手という,本人そのままの色合いがゲームでも再現され,会場からは大きな歓声が送られていた。
試合後,特製のチャンピオンベルトが手渡されると,初代ファイプロワールドの王者に輝いた喜びを爆発させたKUSHIDA選手は,「ゲームがプロレスを知るきっかけになると思いますので,ぜひ遊んでください」と締めた。
「ひとつ! 貴重なお時間をいただき,皆様ありがとうございました。ふたつ! 新日本プロレス様,コラボいただき,ありがとうございました。3つ! とくにありません(会場笑&拍手)。……と言いたいところですが,今日はファイプロを作り続けて20年,ファイプロ一筋にがんばってきた開発ディレクターの田村にひと言もらってもよろしいですか?」と,師匠ともいえる田村氏にマイクを渡すという熱い心意気を見せた。
暖かな拍手が鳴り響く中,マイクを取った田村氏は「長年ファイプロを作ってきましたが,まさか新日本プロレスとこんな大きなコラボをすることになるとは夢にも思っていませんでした。開発スタッフ一同,たいへん興奮しております。その気持ちをゲーム開発にぶつけて,皆さんが楽しんでいただけるモノを作っていきますので,ぜひ応援よろしくお願いします」と,実直に挨拶した。
そして,松本氏の掛け声にあわせて「ファイプロ」「ワールド!」との掛け声で,発表を締めくくったのだ。
以下,登壇者に対する合同インタビューの模様を紹介して,本稿を終わりたい。
バックステージコメントではKUSHIDA選手がコラボ技を考案することを宣言
――ファイプロワールドと新日本プロレスのコラボに期待することはなんでしょう。
真壁刀義選手(以下,真壁選手):
冗談抜きで,俺とKUSHIDAがリング上で夢中になったくらい,このファイプロワールドはメチャクチャ面白いから。俺達,プロのレスラーだよ? そのプロのレスラーさえも夢中になるくらい面白いから,ファンのみんな,プロレスを知らない人でも,グループで遊んだらメチャメチャ面白くなると思うよ。大技が決まったときの爽快感,勝ったときの喜び……いろんなプロレスの醍醐味が味わえるから,こぞって競ってもらいたいね。俺達は,ガキの頃から(ファイプロを)やっているから,分かるんだ。おもしれーんだわ。ホントに。今回,俺とKUSHIDAの名前が実名で出ているんだよね? これ,最高じゃない! 最高に栄誉なことだし,嬉しいよね。だから,みんなでこぞって競って楽しんでもらいたいよね。
KUSHIDA選手:
初代ファイプロ王者として(真壁選手「なんつったコノヤロー!」),現役プロレスラーの中にもファイプロユーザーが隠れていると思いますし,ひょっとしたらファイプロがきっかけでレスラーになった人もいると思いますので,僕よりファイプロが強いというレスラーは,ぜひ名乗りを上げてください。団体の垣根を超えて挑戦を受け,ファイプロワールドの普及に務めたいと思います。僕が実際そうだったように,ゲームはプロレスを知るための窓口になり得るので,これからの広がりに期待してください。
真壁選手:
(報道陣に向かって)これ,皆さんやったことあるでしょ? やっぱ楽しいよね。 俺達はリングに上って相手を倒すために鍛えているけど,ゲームだと夢中になるんだよ。
KUSHIDA選手:
うん,たまらないですね。あとは入場コスチュームとかも再現してもらえたら,より嬉しいですね。
真壁選手:
ちょっと質問があります,今日俺はKUSHIDAのヤローに負けましたけど,これ,リベンジマッチの機会はありますよね?
松本朋幸氏(以下,松本氏):
それはぜひ,やりましょう。
真壁選手:
よーし分かりました。おいKUSHIDA,覚悟しておけよコノヤロー!
――ストーリーモードがあることが発表されましたが,おふたりはどんなストーリーを体験したいですか。
真壁選手:
(従来のファイプロでいう)チャンピオンロードだよね。だったら明らかに,俺はチャンピオンになる男だよ。そう自分で信じてがんばりたいです。もう1つありました,ハリケーン力丸を倒したいです。
KUSHIDA選手:
僕は,道場のストーリーがあったらより面白いと思いますね。ヤングライオン(若手選手の総称)の切磋琢磨している姿とか,コーチの厳しい言葉とか。プロレスに限らずですけど,人生における悟りがあったり,学べることというのは道場に詰まっていると思うので,そういった部分を充実させてもらえると,ゲームにより深みが増すんじゃないかと思います。
――ファンに,自分をどのように使ってほしいというリクエストはありますか。
真壁選手:
やっぱりあれだよね,真壁刀義を使って勝ち上がってもらいたいよね。世界レベルで。それで,「やっぱり真壁は強いな」って喜んでいるファンに,「いやいや,オメーが強えんだよ」ってカッコつけたいですね。
KUSHIDA選手:
僕は,実際のリングではあり得ないような対戦カードで楽しんでほしいです。階級を超えた試合とか。あと,技の設定が自由だと思いますので,「KUSHIDAにはこんな技が似合うんじゃないかな」という感じで。僕も,ファイプロワールドと連動した新技を開発したいなと思っております。
松本氏:
本当ですか。ぜひぜひ。
KUSHIDA選手:
春先くらいまでに考えて,それを道場で披露しますので,ゲームに反映してください。
松本氏:
もう,絶対にやります。
KUSHIDA選手:
よろしくお願いします。
松本氏と田村氏に今回のコラボについて直撃
――会場はかなり盛り上がりましたね。
松本氏:
いや,正直なところお客さんの反応を見ている余裕がなくて。盛り上がっっていたんですね。
――新発表のたびに,会場のあちこちから「おおーっ」という声が上がっていました。
松本氏:
よかったよかった。ファイプロを知らないファンの人が多いでしょうから,不安でした。
田村季章氏(以下,田村氏):
新日本のリングに上がれたことがビックリです。まさか,こんな日が来るとは。
――今回のコラボが決まるまでの経緯を聞かせてください。
松本氏:
Steam版をリリースして数か月経過した時点で,国内の売上が想定していたより伸びなかったんです。これは,PCでゲームを遊ぶことに対するハードルの高さもあったと思いますし,それ以上に「プロレスファンに対してのアピールが足りていないんじゃないか」とすごく思ったんです。
ファイプロをより多くの人に知ってもらい,遊んでもらうためには,もう1つ仕掛けがなくてはならない。そのときにふと,以前からの面識のあった新日本プロレスの阿部 猛さん(ビジネス開発部次長)の顔が浮かんだんです。まずは阿部さんに相談してみようというところで,夜の街で密談をしたわけなんですけど,話を切り出せなくて,1時間くらいモジモジしていました。
――モジモジですか。
松本氏:
ええ。心境としては,これから恋の告白をする乙女でしたね。それから思いきって「ファイプロと新日本さんがコラボできたら面白いと思いませんか?」と切り出したところ,阿部さんからも「実は僕も同じことを思っていたんですよ」と熱い返事をいただきまして。
――両想いだったんですね。
松本氏:
そうなんです。そこからはもうトントン拍子に話が進みました。会社と会社のビジネスですから,もちろんいろいろな手続きを踏む必要はありますけれど,なにしろ阿部さんはじめスタッフの皆さんが非常に協力的で,やりやすかったです。
――コラボをすることが決まってからは,どのように内容を詰めていったのでしょうか。
松本氏:
こちらから新日本プロレスに「こんな感じでどうでしょか」と提案させていただいたものが,今回発表した内容そのままです。実はコラボが決まる以前からストーリーモードを作りたいという話はしていたんです。ただ,架空の選手しかいないのにストーリーもへったくれもないだろうとなっていたんですね。
今回,実名選手ならストーリーモードができる,ということで相談したところ,こちらも即オーケーをいただきました。「もちろん新日本プロレスのレスラーになれるんだったら,IWGP王者を目指すよな」というストレートな思いが,そのまま企画になっています。
――最終目標としてIWGPのチャンピオンをがあり,そこにたどり着くまでに,新日本プロレスの選手達がライバルとして立ちはだかるわけですね。
松本氏:
はい。ゲームの進め方によって,プレイヤーがどのユニットに入るか途中で分岐していくんです。正統派な戦い方なら新日本プロレス本体に,ヒール寄りならロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンに,といった具合です。
――それは楽しみです。選手はどのくらい登場するのでしょうか。
松本氏:
開発の進行具合にもよりますが,新日本プロレス所属な主要な選手は確実に登場してもらいます。ヤングライオンは難しいかもしれません。全員とはいかないのですが,“新日本プロレスの選手が実名で登場するゲームだ”と思って買ったのに「●●がいない」,みたいなことには絶対にしたくないと。
――販売方法は「新日本プロレスDLC」という感じでしょうか。
松本氏:
そうですね。Steam版に関しては,1つのDLCを購入すると実名選手がレスラーセレクト欄に登場して,ストーリーモードが追加されます。再現する部分としては,名前,容姿,技セット,パラメーターです。ここは,高山善廣選手のDLC(関連記事)をイメージしていただけると伝わりやすいかもしれません。
田村氏:
補足なんですが,今回のイベントでは入場曲として実際に使用されているものを使っていましたが,DLCには含まれません。そこはオフィシャルの入場曲CDを購入して,カスタムサウンドトラック機能で設定してほしいと思っています。
――実名選手を制作する上で,ここは外せないというポイントはありましたか。
田村氏:
顔だったり技だったり必要不可欠なモノがいくつかあるという認識はしています。それらを含めて,これから作っていくという作業になります。
――まず作ってみたい,という選手はいますか。
田村氏:
制作過程のことを脇に置くなら,田口選手の技を作ってみたいですね。というのも,「どどん」を始めとした田口選手の技は,追加技のリストアップでいつも当落線上ギリギリなんです。実名である以上,そこは再現必須ですからね。
――ギタるアピールや,ケツイェが再現されることを期待しています。道場のコーチ役としてスーパーストロングマシン選手もぜひ。ところで,イベントは真壁,KUSHIDA両選手から「小さな頃から遊んでいた。ゲームがプロレスの入り口だった」という発言がありました。
松本氏:
たいへん嬉しかったですし,試合を見てすぐに「あ,ちゃんと遊んでいる」というのが分かったので,お世辞じゃないんだなって。KUSHIDA選手は位置取りが上手でしたし,真壁選手は関節技から抜け出すのに方向キーをガチャガチャしていましたからね。感動的な光景でした。ところで,試合が決着したあとで気づいたんだけど,2カウントフォール設定になってなかった?
田村氏:
そうだったかもしれない……。
――昭和プロレスもビックリな,まさかの疑惑決着ですか。
松本氏:
そうなると真壁選手も「オイおまえ,どういうことなんだよ」となるでしょうから,ぜひリベンジをしていただきたいです。
――KUSHIDA選手からは「コラボ技を考えます」という発言がありました。
松本氏:
選手からそういうアプローチをもらえるのはすごくありがたいですし,コラボが実現したからこそですね。ほかにもそういった声があれば,できる限り対応します。 技は田村さんがパパッと作ってくれますから。
田村氏:
フルスクラッチだと,さすがに時間がかかりますよ(苦笑)。
――「ファイプロで実名?」というアレルギー反応も心配されたでしょうが,フタを開けたら選手のほうからファイプロLOVEが溢れてきて,いい相乗効果が生まれてきそうな予感がします。
松本氏:
「実名で登場できるのが光栄だ」という声ももらったのですが,いやいや,こちらのほうが光栄ですよと。棚橋弘至選手も自分のファイプロネーム(名良橋正士)を知ってまして,即座に「これまではごめんなさい」とお詫びしました。でも,それだけファイプロがレスラーの人達に認知されているということですから,7回のプレゼン却下にもめげずに復活させて,本当によかったと思います。
――PlayStation 4版の発売が2018年夏と発表されました。
松本氏:
G1前くらいには発売したいですね。新日本DLCのリリースも同じくらいの時期となります。PlayStation 4版は,開発的にはかなり進んでいますけど,コラボが決定したことでスケジュールを再設定したために,その時期になりました。コラボがある以上,恥ずかしくないものにするために,ちょっとお時間をいただきます。
――ここまでガッチリとロックアップしたコラボだと,新日本プロレスの大会冠スポンサーにも期待します。
松本氏:
実は,「ザ・ベスト・オブ・スーパーJr.」の冠スポンサーは決定しています。
――ええっ,ファイプロワールドPresentsに!
松本氏:
こう言っちゃうと手前味噌ですが,ヤバイですよね。コラボをする以上,業界最大手の新日本プロレスしかないだろうと決めていましたが,いざ実現してみると,まだ夢心地です(笑)。といった形で,発売前の2,3か月の期間は,ファイプロの名前をできるだけ多く露出させていく予定です。
――関係者が立ち会っているので聞きにくいのですが,ほかの団体さんとのコラボはどうですか。
松本氏:
(あっさりと)考えています。将来的には,全部いったろうかと。とはいえ,まずは夏の新日本プロレスとのコラボを成功させてからですね。ファイプロ“ワールド”ですから,ワールド感を出すために,いろいろ手を尽くしたいと思います。いざ話をしにいったら,怒られるかもしれないですけど(笑)。
――太平洋,渡っちゃいますか。ところで,すでにアナウンスされている団体運営モードの配信はいつ頃の予定でしょうか。
松本氏:
今年の1月下旬から2月初めの予定です。正式な日付は,1月11日のTwichで発表しますので,ご覧いただければと。基本的には,「ファイナルファイヤープロレスリング 夢の団体経営」のマネジメントモードをベースに,今回の新要素が追加されたものになります。
――開発はすでに終わっている……。
松本氏:
(遮って)絶賛制作中です。
田村氏:
形くらいにはなっていますけど,ゲーム作りって,そこから(のバランス調整)が大事ですから。
松本氏:
そのうえで,リリース後の反応や声を聞いて対応できたらと思っています。本音を言えば,あと3年はファイプロだけを作っていたいですね。楽しいですから。
田村氏:
3年といわず,5年,10年とやりたいですね。
――では最後に,今回のコラボと,PlayStation 4版を期待している読者にコメントをお願いします。
松本氏:
今回のコラボで新しいファイプロファンが広がってくれたら嬉しいです。ファイプロ特有の面白さを広められるよう,なるべく多くの人に協力してほしいので,ぜひよろしくお願いします。
田村氏:
少し前までは想像もしなかった事態になっていて少し戸惑っていますが,スタッフ一同,より一層がんばります。これまでのファンはもちろん,ファイプロを知らない新日本プロレスのファンの人にもゲームの存在を知ってもらえることが大きいと思うので,新しいユーザーも意識していけたらと思います。
――ありがとうございました。今後の展開に期待しています。
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